来歴
東京都出身。世田谷区育ち[1]。教育者岩代吉親を祖父に、作曲家の岩代浩一を父に持つ。
私立和光小学校、和光中学校を卒業。中学3年生の夏から本格的に作曲とピアノのレッスンを始め[2]。、東京都立芸術高等学校に入学。卒業後、1浪ののち、東京藝術大学音楽学部作曲科に入学する。1989年に東京芸大音楽学部作曲科を首席卒業、1991年に同大学院修士課程を首席修了する。南弘明、近藤譲、松下功、黛敏郎に師事した[1]。大学院在学中、サクソフォーン奏者雲井雅人の演奏からサクソフォーンのための作曲を思いつき[3]、寺山修司の詩「世界のいちばん遠い土地へ」(『寺山修司少女詩集』角川文庫所収)からの霊感を受けて、寺山の詩をタイトルとするサクソフォーン協奏曲を書き始める。完成した「TO THE FARTHEST LAND OF THE WORLD(世界のいちばん遠い土地へ)〜ソプラノ・サックスとオーケストラの為のコンチェルト〜」は、1990年から1991年にかけて行われた(シルクロード国際管弦楽作曲コンクール)[注 1] に応募し、杜鳴心、團伊玖磨、黛敏郎、山田一雄、松村禎三ら同コンクール審査委員から高い評価を得て最優秀賞を受賞、1991年2月17日にサントリーホールにて演奏された。また同曲ならびに音楽科作曲専攻卒業作品「A White Room In Mid-Summer」は、大学院修了作品中の最優秀作品として東京芸大に買い上げられ、スコア(原譜)は同大学資料館に永久保存されている。以後、多彩なジャンルで活動しており、特に近年では映画音楽を数多く手掛けている。
2003年6月9日、当時日本テレビのアナウンサーだった松本志のぶと結婚した。
2006年より東京都交響楽団の理事に就任し、同楽団と共に活動の幅を広げている。
2008年に開催された北京オリンピックではアーティスティックスイミング日本代表(マーメイド・ジャパン)の音楽を手掛け、話題となった。同年にはアジア各国や欧米で劇場公開されたジョン・ウー監督作品『レッドクリフ』の音楽を担当するなど、近年では映画音楽を数多く手がけている。
2009年「天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典」の奉祝曲を委嘱され、同祭典において『奉祝曲 組曲「太陽の国」』を発表した。
『ニューズウィーク』日本版では、「世界が尊敬する日本人100人」の特集記事において、北野武、田村響、隈研吾らと共に紹介されている。
受賞歴
- 第13回日本ゴールドディスク大賞(1999年、『ONCE IN A BLUE MOON 長谷川天イメージ・アルバム』
- 第28回日本アカデミー賞 優秀音楽賞(2004年、『血と骨』)
- 第29回日本アカデミー賞 優秀音楽賞(2005年、『蟬しぐれ』)
- 第29回日本アカデミー賞 優秀音楽賞(2005年、『春の雪』)
- 第1回 韓国 ソウルドラマアワード 2006年 短編ドラマ部門『海峡を渡るバイオリン』「音楽監督賞」受賞
- 第28回香港電影金像奨 最優秀音楽賞(2008年、『レッドクリフ』)[4]
- 第29回香港電影金像奨 最優秀音楽賞ノミネート(2009年、『(レッドクリフII)』)
- 第36回サターン賞音楽賞ノミネート (2010年『レッドクリフ』)
- 第37回日本アカデミー賞 優秀音楽賞(2013年、『利休にたずねよ』)[5]
- 第34回香港電影金像奨 最優秀音楽賞ノミネート(2014年、『(太平輪・The Crossing Part 1)』)
- 第44回日本アカデミー賞 優秀音楽賞(2020年、『Fukushima 50』)
- IMFCA 2020 第17回国際映画音楽批評家協会賞「BEST ORIGINAL SCORE FOR A DRAMA FILM」部門最優秀賞(2020年、『Fukushima 50』)
- 第45回日本アカデミー賞 優秀音楽賞(2021年、『(キネマの神様)』)
主な作品
純音楽
- TO THE FARTHEST LAND OF THE WORLD(世界のいちばん遠い土地へ)〜ソプラノ・サックスとオーケストラの為のコンチェルト〜 (1991年)
- INTO THE SILENCE 〜オカリナとオーケストラの為のコンチェルト〜 (1995年)
- 交響詩「潮騒のうた」 (1998年)
- 交響歌集「36億年のいのち」 (1998年)
- 交響曲「MANGA SYMPHONY 〇」(2018年)
- 器楽曲「The F50」for Violin and Acoustic Piano inspired by original motion picture 「Fukushima 50」(2020年)
CD
- 「岩代太郎オリジナルCDアルバム〜It's」(ファンハウス, 1994年)
- 「岩代太郎オリジナル・サウンドトラック集〜クローズ・ユア・アイズ」(EMIミュージック・ジャパン, 1997年)
- 「岩代太郎オリジナルCDアルバム〜オープン・ユア・アイズ」(EMIミュージック・ジャパン, 1997年)
- 「メロディアス・ムーブメント」(ソニー・ミュージックレコーズ, 2000年)
- 「ALL ALONE」(プライエイド, 2000年)
- 「ハーモニー・オブ・サイレンス」(プライエイド, 2001年)
- 「岩代太郎オリジナルCDアルバム〜12 VOX」(ソニーレコード, 2001年)
- 「ザ・ゲート・オブ・ライツ」(プライエイド, 2001年)
- 「On The Sixth Line」(プライエイド, 2002年)
- 「Self-Notes 〜The Romantic Contemporary〜」(キングレコード, 2003年)
- 「Tact Taro Best Works 2000-2005」(avex trax, 2006年)
- 「Tact II 〜Soundtracky〜」(avex trax, 2012年)
- 「岩代太郎オリジナルCDアルバム The 30/55」(コロンビアミュージック 2020年)
映画音楽
- 課長島耕作 (1992年)
- あした (1995年)
- フランダースの犬 劇場版 (1997年)
- 卓球温泉 (1998年)
- るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 維新志士への鎮魂歌 (1998年)
- (あつもの) (1999年)
- MARCO 母をたずねて三千里 (1999年)
- アナザヘヴン (2000年)
- しあわせ家族計画 (2000年)
- すずらん 少女萌の物語 (2000年)
- 11'09''01/セプテンバー11 (2002年)
- あずみ (2003年)
- さよなら、クロ (2003年)
- 釣りバカ日誌14 (2003年)
- 殺人の追憶 (2003年)
- 血と骨 (2004年)
- 蟬しぐれ(2005年)
- SHINOBI-HEART UNDER BLADE-(2005年)
- ヒナゴン(2005年)
- (6月の日記)(2005年)
- 春の雪(2005年)
- 愛してよ(2005年)
- 日本沈没(2006年)
- 風のダドゥ(2006年)
- テニスの王子様(2006年)
- あおげば尊し(2006年)
- 花田少年史(2006年)
- 蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜(2007年)
- あかね空(2007年)
- 舞妓Haaaan!!!(2007年)
- 未来予想図 〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜(2007年)
- (リアル鬼ごっこ)(2008年)
- 歓喜の歌(2008年)
- 闇の子供たち(2008年)
- レッドクリフ パート1(2008年)
- 252 生存者あり(2008年)
- レッドクリフ パート2 -未来への最終決戦-(2009年)
- 真夏のオリオン(2009年)
- 火天の城(2009年)
- カムイ外伝(2009年)
- なくもんか(2009年)
- 書道ガールズ!! わたしたちの甲子園(2010年)
- 鋼の錬金術師 嘆きの丘の聖なる星(2011年)
- 聯合艦隊司令長官 山本五十六(2011年)
- かぞくのくに(2012年)
- 綱引いちゃった!(2012年)
- 許されざる者(2013年)
- 利休にたずねよ(2013年)
- 武士の献立(2013年)
- 魔女の宅急便(2014年)
- The Crossing ザ・クロッシング Part 1(2014年)
- The Crossing ザ・クロッシング Part 2(2015年)
- 愛を積むひと(2015年)
- (Lost in White)(2016年)
- 二重生活(2016年)
- 探偵ミタライの事件簿 星籠の海(2016年)
- 健さん(2016年)
- ミュージアム(2016年)
- あゝ、荒野(2017年)
- マンハント(2017年)
- 空母いぶき(2019年)
- 新聞記者(2019年)
- Fukushima 50(2020年)
- MOTHER マザー(2020年)
- あこがれの空の下 (2020年)
- ヤクザと家族 The Family(2021年)
- キネマの神様(2021年)
- 名も無い日(2021年)
- 人と仕事(2021年)
- ひらいて(2021年)
- (前科者)(2022年)
- 妖怪の孫(2023年)
- ヴィレッジ (2023年)
放送音楽
ドラマ
- 君といた夏 (1994年)
- 東京SEX(1995年)
- 恋も2度目なら (1995年)
- 沙粧妙子-最後の事件- (1995年)
- 白線流し (1996年)
- 炎の消防隊 (1996年)
- 翼をください! (1996年)
- 真夏の薔薇 (1996年)
- 恋のバカンス (1997年)
- NHK連続テレビ小説『あぐり』 (1997年)
- 理想の上司 (1997年)
- 金のたまご (1997年)
- WITH LOVE (1998年)
- (1998年)
- なにさまっ! (1998年)
- 必要のない人 (1998年)
- 鬼の棲家 (1999年)
- 氷の世界 (1999年)
- 独身生活 (1999年)
- 葵 徳川三代 (2000年)
- アナザヘヴン (2000年)
- 甘い生活。 (2000年)
- 怪談百物語 (2002年)
- サイコドクター (2002年)
- 川、いつか海へ 6つの愛の物語 (2003年)
- ぼくの魔法使い (2003年)
- 緋色の記憶 (2003年)
- 海峡を渡るバイオリン(2004年)
- 人間の証明 (2004年)
- 恋する京都 (2004年)
- (冬の運動会)(2005年)
- 義経 (2005年)
- わたしたちの教科書 (2007年)
- 風の果て (2007年)
- 黒部の太陽 (2009年)
- (不惑のスクラム)(2018年)
- イノセンス 冤罪弁護士(2019年)
- (前科者 -新米保護司・阿川佳代-)WOWOWオリジナルドラマ(2021年)
- (新聞記者)(2022年、Netflix)[6]
ドキュメンタリー番組
- NHKスペシャル『(FASHION DREAM)』 (1991年)
- NHK-BSスペシャル 『(悠久の長江〜三峡ダム)』 (1996年)
- TBS 生命38億年スペシャル『人間とは何だ』 (1997年)
- NHKスペシャル『(海〜知られざる世界〜)』 (1998年)
- NHKスペシャル『日本新生』 (2011年)
- NHKスペシャル『(知られざる大英博物館)』 (2012年)
報道番組
テレビアニメ
- H2 (1995年)
- みどりのマキバオー (1996年)[7]
- 翠星のガルガンティア (2013年)[8]
- ブレイドアンドソウル(2014年)
- アルスラーン戦記(2015年)
- アルスラーン戦記 風塵乱舞(2016年)
- 正解するカド(2017年)
- ウマ娘 プリティーダービー(2018年、2021年)※音楽プロデュースのみ
Webアニメ
- A.I.C.O. Incarnation(2018年)
- 約束の七夜祭り(2018年)
ゲーム音楽
- 青山ラブストーリーズ (2002年) ※ゲームは未発売
- 鬼武者2 (2002年)
- ブレイドアンドソウル(2012年)※日本国内では2014年
ゲーム音楽のアレンジアルバム
- ロマンシング サ・ガ アレンジバージョン『Windy Tale』 (1995年)
- ときめきメモリアル piano collection (1996年)
- (藤崎詩織 piano collection) (1998年)
その他
- スターフライヤー
- 奉祝曲 組曲「太陽の国」(秋元康:作詞、EXILE:歌踊り) - 天皇即位20年式典
- JRA重賞競走本馬場入場曲(CD「Road to Glory」)
- 『金曜ロードショー』オープニング「スタンリーの週末」
- 魂の輝き、それはFと共に(東日本大震災復興支援・音楽プロジェクト「魂の歌 Spiritual Songs」収録)
- 東京都市大学グループ学園歌「夢に翼を」
- 奏劇「ライフ・コンチェルト」(企画・原作・音楽)
楽曲提供
著書
- 『映画音楽太郎主義 サウンドトラックの舞台ウラ』全音楽譜出版社、2016年4月。
脚注
注釈
出典
- ^ a b “日本テレビ音楽株式会社:岩代太郎さんインタビュー”. www.ntvm.co.jp. 2020年11月3日閲覧。
- ^ 細川周平・片山杜秀『日本の作曲家-近現代音楽人名辞典』日外アソシエーツ、2008年6月、99頁。
- ^ 1991年2月17日にサントリーホールで開催されたシルクロード国際管弦楽作曲コンクール入賞記念演奏会で配布されたパンフレットに詳述。
- ^ “第28屆香港電影金像獎得獎名單”. 香港電影金像奨 Hong Kong Film Awards. 2014年8月3日閲覧。
- ^ “第37回日本アカデミー賞優秀作品発表!”. 日本アカデミー賞公式サイト. 2014年1月20日閲覧。
- ^ “NETFLIX ANNOUNCES PRODUCTION OF THE JOURNALIST STARRING RYOKO YONEKURA”. Netflix Media Center. 2020年9月14日閲覧。
- ^ “みどりのマキバオー”. ぴえろ公式サイト. 2016年5月16日閲覧。
- ^ “翠星のガルガンティア: 作品情報”. アニメハック. 2020年8月26日閲覧。
外部リンク
- Taro Iwashiro official web site 『It's Club』