奥出雲おろち号(おくいずもおろちごう)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が木次線で運転している臨時列車(観光列車)である。
奥出雲おろち号 | |
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木次駅停車中の「奥出雲おろち号」 (2017年9月) | |
概要 | |
種類 | 普通列車 |
地域 | 島根県・広島県 |
運行開始 | 1998年4月25日[1] |
運行終了 | 2023年度(予定)[2][3] |
現運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 木次駅 |
終点 | 備後落合駅 |
使用路線 | 木次線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
座席 | 全車指定席 |
技術 | |
車両 | 12系客車 DE10形ディーゼル機関車 (後藤総合車両所) |
軌間 | 1,067 mm (3 ft 6 in) |
電化 | 直流1,500 V(出雲市 - 宍道間)[注 1] 非電化(宍道 - 備後落合間) |
概要
木次線の利用促進を目的として、JR西日本が1998年から運転を行っているトロッコ列車である[4]。2000年には、第7回しまね景観賞(工作物・その他部門優秀賞)を受賞した[5]。
2005年度の利用者総数は19,770人(前年度比1,517人増)で1998年の運転開始以来最高であったが、2007年度は10月28日に2万人を突破し2004年7月21日に累計乗車数が10万人に達している[6]。2010年度の利用者数は、16,712人(乗車率72.1%)で、島根県外からの観光客が利用する人気列車として島根県を代表する観光資源として成長している[7]。
2009年度から出雲の國・斐伊川サミット[8]が運行経費などを負担している[9][7]。2011年には「奥出雲おろち号」のマスコットキャラクターが決定された[10]。
車両の老朽化に伴い、2023年度をもって運行を終了する予定であり[2][3]、代替として観光列車「あめつち」が木次線へ乗り入れることがJR西日本と沿線自治体との協議で固まっている[11]。
運行概況
4月から11月までの金曜日・土曜日・休日およびゴールデンウィークと夏休みならびに紅葉シーズンの平日に木次駅 - 備後落合駅間で1往復運転されている。※新型コロナウイルス感染症の今後の状況により、運行状況が変更になる場合がある。2010年度から日曜日を中心に備後落合行きのみ出雲市駅始発で延長運転されている[12]。
ダイヤは往路が午前中に、復路が午後に設定され、以前は広島県側からのアクセスには不便だったため、夏休み期間中は土曜日限定で「奥出雲だんだんおろち号」としてさらにもう1往復運転されていた(2007年・2008年は設定なし)。
なお、トロッコ列車の運転にあわせて「奥出雲おろち号」の車内や長時間停車駅ではお弁当やそばなどの沿線の特産品が発売されている[13]。
停車駅
出雲市駅 → 直江駅 → 荘原駅 → 宍道駅 → 加茂中駅 → 出雲大東駅 → 木次駅 - 日登駅 - 下久野駅 - 出雲八代駅 - 出雲三成駅 - 亀嵩駅 - 出雲横田駅 - 八川駅 - 出雲坂根駅 - 三井野原駅 - 油木駅 - 備後落合駅
使用車両
ディーゼル機関車であるDE10 (1161) と12系客車2両(スハフ12 801、スハフ13 801)が連結された3両編成で、車体塗装は白・青・灰色地に星模様を散らした塗装としている。銀河鉄道をイメージしたデザインである。
DE10 1161は木次寄りに連結されている機関車で、「奥出雲おろち号」の専用塗装となっている。DE10 1161は2010年の4月から専用機関車として使用されている。
スハフ12 801はスハフ12 3001(←スハフ12 40)を改造した控車で、2号車として編成の中間に連結されている。冷暖房とトイレ・洗面台が完備された控車で、座席は簡易リクライニングシートとなっている。1号車の指定席番号で2号車の同じ座席が使用できる。2007年から2009年は2号車にも乗客を乗せていたため年間乗客数が2万人を超えていた[15]。
スハフ13 801はスハフ12 148を改造した車両で、1号車として備後落合寄りの先頭に連結されるトロッコ車両である。従来の車掌室部分の片側に運転室が新設され、もう片側は展望スペースに改造された。前面には前照灯とスカートとスノープラウが設置され、床下の給電用エンジン等は撤去された。客室部分は窓のないオープン構造で、車内には不燃化木材が使用され[16]、一部の座席は外側向きに設置されている。照明はランプ風の照明としている。後部の出入口は撤去されている。
以前はDE15 2558がDE10 1161と交代で運行しており、運転当初から専用機関車として使用されていた。また冬季は除雪列車にも使用されるためラッセルヘッド取り付け部はそのまま残されていた。2021年度の運行終了後に廃車回送され米子支社管内からDE15が姿を消すこととなった。
トロッコ車両(スハフ13 801)
トロッコ車両の内装
控車(スハフ12 801)
控車の車内
トンネル走行中は、おろちを象ったイルミネーションが天井に点灯する
沿革
- 1998年(平成10年)4月25日:木次駅 - 備後落合駅間に臨時快速「奥出雲おろち号」が運転開始[1]。
- 2002年(平成14年)7月6日 - 8月25日:期間中の土曜日・日曜日に松江駅 → 木次駅間で延長運転が実施[17]。松江駅 - 木次駅間は全車自由席で、この間の途中の停車駅は玉造温泉駅・宍道駅 - 木次駅の各駅。
- 2004年(平成16年)
- 2005年(平成17年)
- 2007年(平成19年)12月2日:団体列車として広島駅に乗り入れ。芸備線内は定期列車の時刻で運転されたため、定期列車として宮原総合運転所所属の12系客車2両とDE10形ディーゼル機関車が連結された[22]。
- 2010年(平成22年)4月3日:片道延長運転の始発駅が出雲市駅になる[7][23]。
- 2023年(令和5年)度:運行終了(予定)[2][3]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b 『鉄道ジャーナル』第32巻第7号、鉄道ジャーナル社、1998年7月、103頁。
- ^ a b c (PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道、2021年6月3日。 オリジナルの2021年6月3日時点におけるアーカイブ2021年6月3日閲覧。 。
- ^ a b c . 山陰中央新報. (2021年5月27日). オリジナルの2021年5月27日時点におけるアーカイブ。2021年5月27日閲覧。
- ^ JR西「奥出雲おろち号」 - 時事通信社
- ^ 第7回しまね景観受賞作品(平成11年度) - 島根県
- ^ (インターネットアーカイブ)- 山陰中央新報
- ^ a b c トロッコ列車「奥出雲おろち号」のJR 出雲市駅片道延長運行(臨時運行の実施)について (PDF) - 出雲市
- ^ 出雲市・雲南市・奥出雲町および飯南町で連携・協力し、共同事業を行う組織
- ^ 奥出雲町総合計画 (PDF) - 奥出雲町
- ^ トロッコ列車「奥出雲おろち号」マスコットキャラクターが「おろっち」に決定 - 出雲の國・斐伊川サミット事務局 2011年4月15日
- ^ 木次線に「あめつち」乗り入れ 沿線自治体が受諾 - 日本経済新聞 2022年2月9日
- ^ 奥出雲おろち号(島根県雲南市・奥出雲町) - 朝日新聞 2011年11月1日
- ^ a b 観光列車の旅時間 奥出雲おろち号 - 西日本旅客鉄道
- ^ 木次線トロッコ列車 奥出雲おろち号 (PDF) - 出雲観光協会
- ^ “トロッコ列車"快走" JR木次線早くも2万人達成”. 山陰中央新報. (2007年10月29日)
- ^ 車両案内 トロッコ列車 奥出雲おろち 12系 - 西日本旅客鉄道
- ^ - 西日本旅客鉄道
- ^ (PDF) (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道米子支社プレスリリース 2004年5月14日
- ^ (インターネット・アーカイブ)- 中国新聞 2004年11月16日
- ^ (PDF) (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道米子支社プレスリリース 2005年1月14日
- ^ 『鉄道ファン』 交友社 2006年3月号 169頁
- ^ 「奥出雲おろち号」と12系客車による団臨と定期の併結運転 - 『鉄道ファン』交友社 railf.jp鉄道ニュース 2007年12月4日
- ^ 広報いずも 第123号 (PDF) - 出雲市
参考文献
外部リンク
- JRおでかけネット 観光列車の旅時間 鳥取・島根エリア - 西日本旅客鉄道(一覧に「奥出雲おろち号」の記載あり)
- 奥出雲おろち号【JR木次線トロッコ列車】 - 出雲國・斐伊川サミット(出雲市総合政策部政策企画課)
- しまね観光ナビ 奥出雲おろち号でゆく絶景!トロッコ列車の旅 - 島根県観光連盟