大和路快速(やまとじかいそく)とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が天王寺駅 - 奈良駅・加茂駅・五条駅間を大阪環状線・関西本線(大和路線)および和歌山線経由で運転している列車種別である[1][2]。
大和路快速 | |
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大和路快速で運用される221系電車 | |
概要 | |
国 | 日本 |
現況 | 運行中 |
地域 | 大阪府・奈良県・京都府 |
運行開始 | 1989年4月10日 |
運営者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
路線 | |
起点 | 天王寺駅 |
終点 | 奈良駅・加茂駅・五条駅 |
営業距離 | 72.2 km (44.9 mi)(天王寺 - 大阪 - 加茂間) 79.2 km (49.2 mi)(天王寺 - 大阪 - 五条間) |
使用路線 | 大阪環状線・関西本線(大和路線)・和歌山線 |
車内サービス | |
クラス | 普通車 |
座席 | 全車自由席 |
技術 | |
車両 | 221系電車 ((吹田総合車両所奈良支所)) |
軌間 | 1,067 mm |
電化 | 直流1,500 V |
最高速度 | 120 km/h |
ルート番号 | O(大阪環状線内) Q(天王寺 - 王寺 - 奈良・加茂間) T(王寺 - 五条間) |
概要
大阪環状線と大和路線とを直通して運行される列車のうち、大阪環状線内でも快速運転を行うものを大和路快速とし、大阪環状線内各駅に停車する列車は区間快速として区別されている[2]。
元々、大阪環状線は東半分(京橋・鶴橋方面)の輸送量が圧倒的に多かったこともあり、この区間の混雑緩和を目的(大阪・天王寺間直通客を西半分経由に誘導)として1964年3月のダイヤ改正で大阪環状線で快速列車が運転を開始した[3][4]。その後、1973年に関西本線が電化されたこともあり、近鉄奈良線に対抗するために同年10月1日から大阪環状線の快速と関西本線の快速を組み合わせた快速列車を、主に休日昼間に113系を使って運転を開始した[4]。写真にある車両先頭部に「快速 奈良←→大阪(環状線)」のヘッドマークをつけて運転しており、1974年7月20日からは平日ダイヤでも運転されるようになった[5]。これが大和路快速の前身である。そして国鉄末期の1986年、天王寺鉄道管理局による「あなたとなら・大和路キャンペーン」の中で、「快速・大和路号」の愛称が付けられた[6]。
民営化された後も113系の運用が続いたが、スピードアップとさらなるサービスアップを目的として、1989年にそれまでの113系に代えて221系を関西本線直通の快速列車に投入し、あわせて1989年3月のダイヤ改正により「大和路快速」と名づけられた[7]。転換クロスシートを備えた車両の投入によるグレードアップと、最高速度を120km/hに引き上げによる運転時分の短縮がおこなわれ、所要時間は大阪駅 - 奈良駅間で45分、天王寺駅 - 奈良駅間で30分に短縮された[7]。
1995年9月30日の改正により大阪駅 - 奈良駅間の所要時間を41分[8]、天王寺駅 - 奈良駅間を29分にまで縮めたが、2001年3月3日のダイヤ改正時で久宝寺駅が停車駅に追加され、大阪駅 - 奈良駅間の所要時間が最速44分に延長された。JR福知山線脱線事故の影響を受けた運転時分の見直しが行われた2006年3月18日ダイヤ改正では、天王寺駅 - 奈良駅間で所要時間が最速33分、朝ラッシュ時上りの運転時間も最速38分にまで延びている[9]。
運行概要
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全列車が吹田総合車両所奈良支所に所属する221系を使用し、王寺駅で分割された列車を除き8両編成で運行されている[10]。
設定当初は6両のみであったが、利用客の増加に伴い8両編成での運転が増加し、2020年3月14日のダイヤ改正で全列車が8両編成となった。混雑の激しい大阪環状線での運行も行うためである[要出典]。
2022年3月12日のダイヤ改正現在[11]、平日・土休日ともに日中から夕方にかけて1時間あたり大阪環状線 - 奈良駅間で4本(15分間隔)、奈良駅 - 加茂駅間で1本(1時間隔)運転されている[2]。また、土休日ダイヤでは朝・夜間にも運転されているほか、夕方には王寺駅で分割を行い和歌山線に直通する五条行き・高田行きが併結されている列車も2本設定されている。和歌山線から大阪環状線に直通する列車は設定されていない。
天理教祭礼時(おおむね毎月26日やその前後と1月4 - 6日)が土曜・休日ダイヤの場合は6両編成の大和路快速がそのまま奈良駅折り返しで天理駅まで延長運転されている[要出典]。しかし、現行のダイヤ設定では祭典の開始時間に間に合わないため信者の利用は少ない[要出典]。また過去には春と秋の行楽期には加茂行きの8両編成のうち後ろ2両を「(奈良万葉レジャー号)」として奈良駅で分割し、天理駅・桜井駅経由で高田駅まで延長運転されていたこともあるが近年の設定は無い[要出典]。
大阪環状線内では天王寺駅の環状線ホーム発着を基本とするが、一部京橋駅発着の列車が存在する。
新型コロナウイルス感染症に伴う大阪環状線の減便で、天王寺折り返し列車が運転されていた。[要出典]
停車駅
天王寺駅 … (この間は鶴橋駅・京橋駅を経由して各駅に停車) … 大阪駅 - 福島駅 - 西九条駅 - 弁天町駅 - 大正駅 - 新今宮駅 - 天王寺駅 - 久宝寺駅 - 王寺駅 … (この間は各駅に停車) … 加茂駅/五条駅
- 大阪環状線側では事実上福島駅を境に各駅停車となるが、旅客案内上は大阪駅を境に各駅停車⇔快速運転となる旨の案内がされる。
旅客案内
大和路快速の下り列車(大阪方面)の行き先は「大阪行き」であるが、大阪駅に到着すると、そのまま京橋駅・鶴橋駅経由天王寺行きとなって大阪環状線を一周する。このため、車両の行き先表示は「大阪環状線」となっている[要出典]。ただし、車内では「大阪(方面)行き」と放送されており、大阪到着前に「大阪から環状線外回り、京橋・鶴橋方面天王寺行きとなります」と放送されている[要出典]。
大和路快速上り列車(奈良・加茂方面)の行き先は、始発である天王寺駅の環状線ホームのみ「普通 鶴橋・京橋方面」と表示されており、寺田町駅からは「大和路快速」に表示が変わる[12]。
2015年3月14日路線記号の導入にあわせて、大阪環状線行きの列車は赤色のラインカラーに大阪環状線の路線記号 O を表示した種別幕が、奈良方面行きの列車は、緑色のラインカラーに大和路線の路線記号 Q を表示した種別幕が使用されている[13]。また和歌山線直通運用のために和歌山線の路線記号Tを表示したものも用意されているが、現時点では使用している場面は見られず、和歌山線直通列車もQを表示した幕を使用している。
運行開始直後は「大和路快速 加茂」行きの表示であったが、1999年5月10日から「奈良方面」という表示が加えられ、運転開始から2002年頃までは寺田町駅 - (鶴橋駅・京橋駅) - 大阪駅間も「大和路快速 奈良方面加茂」、始発の天王寺駅環状線ホームでは「大和路快速 大阪環状線」の表示であった[要出典]。それ以降、天王寺駅 → 京橋駅 → 大阪駅間は、列車の表示は「普通 奈良方面加茂」、駅や車内では「大阪まで普通、大阪から大和路快速の加茂行」と表示するようになっていた[要出典]。なお、奈良方面から大阪行きの大和路快速に関しては、1990年ごろより加茂駅・奈良駅 → 大阪駅間が「大和路快速 大阪環状線」で運転し、大阪駅からは「普通 天王寺」の表示にするというスタイルが定着していた[要出典]。
2008年3月15日のダイヤ改正からは、関空快速・紀州路快速の環状線内停車駅が大和路快速と共通化されたこともあり、始発の天王寺駅環状線ホームを除き、「大和路快速」の方向幕を表示する運行開始当初のパターンに戻った[要出典]。また、環状線外回りとなる大阪駅 → 京橋駅 → 天王寺駅間でも、「大和路快速 天王寺」の表示になった。
2018年10月28日のダイヤ改正からは、大阪駅→京橋駅→天王寺駅間は、再び「普通 天王寺」の表示となり、同区間は普通としての運転となっている[要出典]。奈良方面行きの列車は、今まで通り天王寺駅では「普通 大阪環状線」の表示となり、寺田町駅からは「大和路快速 奈良」または「大和路快速 加茂」に変わる[要出典]。
2019年3月改正からは、車掌のタブレット端末による車内自動放送が開始された。先行して導入された奈良線・嵯峨野線の普通・快速列車と同様に、日英中韓の4カ国語での放送が行われている[14]。
大阪行きの表示
奈良方面の表示
歴史
- 1973年(昭和48年)10月1日:関西本線湊町駅(現在のJR難波駅) - 奈良駅間が電化され、これにより大和路快速の原型となる大阪環状線直通の快速が、休日の日中のみ運転開始[4]。
- 1974年(昭和49年)7月20日:大阪環状線直通の快速運転を平日の日中にも拡大[15]。
- 1989年(平成元年)
- 1990年(平成2年)3月10日:大和路快速の最高速度120km/h運転を開始[7]。
- 1995年(平成7年)9月30日:ダイヤ改正により、大阪駅 - 奈良駅間の所要時間が41分にまで短縮[8]。
- 1997年(平成9年)3月8日:日中は基本的に加茂駅までの運転になる[16]。
- 2001年(平成13年)3月3日:久宝寺駅が停車駅になる[17]。
- 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正により、次のように変更[18]。
- 大正駅が停車駅になる。
- 日中1時間あたりの運転本数が3本から4本に増発(2本が奈良駅発着、2本が加茂駅発着)。
- この改正までは大阪環状線内を一周して天王寺駅発着のみであった大和路快速・区間快速は、この改正で新たに一周せずに京橋駅を発着とする列車を一部設定する。
- 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正により、福島駅が停車駅になる[19]。
- 2015年(平成27年)3月14日:ダイヤ改正により、休日の夜間に大和路快速を増発[11]。
- 2020年(令和2年)3月14日:ダイヤ改正により、全列車が8両編成に統一される[10]。
- 2021年(令和3年)10月1日 : ダイヤ改正に伴い、加茂発着は日中毎時2本から1本に減便する。
脚注
- ^ 『鉄道ジャーナル』2011年7月号、鉄道ジャーナル社。
- ^ a b c 『JR時刻表』2012年3月号、交通新聞社。
- ^ 寺本光照『国鉄・JR関西圏近郊電車発達史 大阪駅140年の歴史とアーバンネットワークの成立ち』JTBパブリッシング、2014年、p.81。4-533-09794-2。
- ^ a b c 寺本光照『国鉄・JR関西圏近郊電車発達史 大阪駅140年の歴史とアーバンネットワークの成立ち』JTBパブリッシング、2014年、p.88。4-533-09794-2。
- ^ 『関西の鉄道』1999年陽春号、関西鉄道研究会、1999年、p.11。
- ^ 当時発売されたオレンジカードに、「快速・大和路号」の表記が見られる。
- ^ a b c 寺本光照『国鉄・JR関西圏近郊電車発達史 大阪駅140年の歴史とアーバンネットワークの成立ち』JTBパブリッシング、2014年、p.115 - p.117。4-533-09794-2。
- ^ a b “JR西日本 「大和路快速」スピード向上 大阪-奈良41分に”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 3. (1995年8月31日)
- ^ (インターネットアーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース、2006年1月30日。
- ^ a b 2020年春ダイヤ改正について (PDF) - 西日本旅客鉄道近畿統括本部プレスリリース 2019年12月13日
- ^ a b 『JR時刻表』2015年3月号、交通新聞社。
- ^ 「大阪ステーションシティに集う転換式クロスシートの快速電車」『鉄道ジャーナル』2011年7月号、鉄道ジャーナル社、p.53。
- ^ 近畿エリア・広島エリアに「路線記号」を導入します - 西日本旅客鉄道ニュースリリース 2014年8月6日
- ^ 自動放送アプリ~Train Announce~
- ^ 「大阪環状線の歴史」『鉄道ピクトリアル』2009年6月号、電気車研究会、p.22。
- ^ (インターネットアーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 1996年12月16日
- ^ (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 1996年12月8日
- ^ (PDF) (インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道近畿統括本部プレスリリース 2010年12月17日
- ^ 平成24年春ダイヤ改正について (PDF) - 西日本旅客鉄道近畿統括本部プレスリリース 2011年12月16日