在日ベトナム人(ざいにちベトナムじん、ベトナム語: Người Việt tại Nhật Bản/𠊛越在日本)は、日本に一定期間在住するベトナム国籍の人々である。日本に帰化や亡命した人およびその子孫で日本国籍を取得した者のことを、ベトナム系日本人(ベトナムけいにほんじん)と言う。
概要
日本の法務省の在留外国人統計によると、2022年末時点で在日ベトナム人は489,312人である[1][2][3]。同年における日本の外国人では、韓国籍の411,312人を抜いて、中国籍の761,563人に次いで2番目に多い[1]。
在留資格別でみると、全体の約3分の1にあたる「(技能実習)」が160,563人と最も多く、これは在日外国人の中ではベトナム人が最多となっている[5]。次いで「技術・人文知識・国際業務」(64,200人)と「特定活動」(59,847人)が多い。4番目に多い「留学」(46,403人)に関しては、高等教育機関及び日本語教育機関への留学生数が2021年5月1日時点で中国(11万4255人)に次いで多い4万9469人となっている[6]。
在日ベトナム人は年々増加しており、特に近年では在日外国人の中でも最も多い増加数を示している。また、ベトナム戦争でのインドシナ難民の子の2世や日本国籍の取得者を含めると、さらに多い人数となる。
歴史
19世紀末から20世紀初頭の東遊運動によりベトナム人留学生が日本に在住していた。そして、1970年代のベトナム難民の受け入れから始まり、その多くが難民収容施設のあった神奈川県や兵庫県に定住し1万人規模での受け入れとなった。定住促進センターは兵庫県姫路市と神奈川県大和市に設置された。その中では現在でも永住者や定住者として居住している他、日本国籍を取得したものも少なくない。その後1990年代の外国人労働者の増加の波に合わせてベトナム人も増加したが、それでも2000年にその数はわずか16,908人に過ぎなかった。その後、技能実習生の導入によりベトナム人が急増しはじめ、その数は2010年の41,781人からわずか8年間で約30万人の増加となる330,835人にまで激増した。
居住地域
2022年6月末時点の統計によると、都道府県別では愛知県が48,608人と最も多く、次いで大阪府の45,344人、東京都の37,167人、埼玉県の33,641人、神奈川県の29,093人の順となっている。留学生は首都圏、京阪神、福岡県等の都市部に集中しており、技能実習生は愛知県、大阪府、埼玉県の順に多く、その他全国各地に遍在している。また、永住者、定住者はインドシナ難民の定住先でもある神奈川県、兵庫県のほか次いで埼玉県等に多い[2][3]。
基礎的自治体別で見ると最も多いのは大阪市(大阪府)の19,412人、次いで名古屋市(愛知県)の10,441人、以下横浜市(神奈川県)9,545人、神戸市(兵庫県)8,053人、福岡市(福岡県)6,930人、川崎市(神奈川県)4,582人、川口市(埼玉県)4,431人、広島市(広島県)4,023人となっており、首都圏に限らず西日本の自治体にも多く在住している[7]。
インドシナ難民を雇用促進住宅の受け入れた八尾市[8]、定住促進センターのあった姫路市はインドシナ難民のコミュニティがある[9]。
ベトナム人労働者
2022年のベトナム人労働者は日本における外国人労働者の中で最大のグループであり約46万人あった。これは全体の26%ほどである[10]。
外国人実習生として日本に滞在するベトナム人は多く、在日ベトナム人の40%近くを占めている。ベトナム人労働者の約半数が技能実習生である[10]。
悪質ブローカーを仲介させた強引なベトナム農村部での労働者集め、日本での実習先での劣悪な就労環境から来る失踪等、様々な問題が生じている[11]。この実習制度は人権侵害や現代の奴隷制度であると世界的に批判を浴びているが、この制度を利用した外国人はベトナム人が中国人を大きく引き離して最多を占めている。
統計
日本の法務省の在留外国人統計によると、2022年6月末時点で在日ベトナム人は476,346人である[2][3]。
- 在留資格別(11位まで)
順位 | 在留資格 | 人数 |
---|---|---|
1 | (技能実習)2号ロ | 96,404 |
2 | 技術・人文知識・国際業務 | 72,997 |
3 | 特定技能1号 | 52,748 |
4 | 技能実習1号ロ | 49,671 |
5 | 特定活動 | 45,962 |
6 | 留学 | 44,358 |
7 | 家族滞在 | 36,571 |
8 | 技能実習3号ロ | 34,422 |
9 | 永住者 | 21,125 |
10 | (定住者) | 5,915 |
11 | 日本人の配偶者等 | 5,835 |
- 都道府県別(10位まで)
著名な人物
- クォン・デ - 独立運動家
- トラン・ヴァン・トゥ - 経済学者
- グエン・トラン・フォク・アン - 野球選手
- フォンチー - アイドル
脚注
注釈
出典
- ^ a b c 令和4年末現在における在留外国人数について
- ^ a b c d [1]
- ^ a b c d [2]
- ^ Shingaki, Masami; Asano, Shinichi (2003), “The lifestyles and ethnic identity of Vietnamese youth residing in Japan”, in Goodman, Roger, Global Japan: The Experience of Japan's New Immigrant and Overseas Communities, ラウトレッジ, pp. 165–176, ISBN (0-415-29741-9)
- ^ 『令和3年6月末現在における在留外国人数について』(プレスリリース)出入国在留管理庁、2022年3月29日。 オリジナルの2022年4月3日時点におけるアーカイブ2022年6月1日閲覧。 第3表を参照。 。
- ^ “2021(令和3)年度外国人留学生在籍状況調査結果”. 独立行政法人日本学生支援機構 (2022年3月30日). 2022年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月1日閲覧。
- ^ “第7表 市区町村別 国籍・地域別 在留外国人(令和3年(2021年)6月末日現在)” (XLS). e-Stat政府統計の総合窓口. 出入国在留管理庁 (2021年12月10日). 2022年6月1日閲覧。
- ^ “3.大阪府八尾市”. 大阪府. 2023年1月28日閲覧。
- ^ “日本で働く外国人で最多となったベトナム人 増加のきっかけはあの感染症”. 朝日新聞. 2023年1月28日閲覧。
- ^ a b “「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】”. 厚生労働省. 2023年1月28日閲覧。
- ^ “低賃金に逃げ出す技能実習生、「強制労働」と米報告書-爆買い無縁”. ブルームバーグ (2016年2月23日). 2016年4月20日閲覧。