伊藤 匠(いとう たくみ、2002年10月10日[1] - )は、日本将棋連盟の棋士[2]。(棋士番号)324[3]。宮田利男門下[1]。東京都世田谷区出身[1]。
棋歴
5歳のときに父(伊藤雅浩)に将棋を教わる[3]。
2010年の第9回全国小学生倉敷王将戦の低学年の部で準優勝した[4][5]。
2012年1月に行われた(第9回小学館学年誌杯争奪全国小学生将棋大会)では、伊藤と同学年の藤井聡太[6]と準決勝で対局し伊藤が勝利している[7](伊藤は2位、藤井は3位)[5]。
同年4月、宮田利男の三軒茶屋将棋倶楽部で将棋の研鑽を積む様子がNHK教育の「カラフル!」で放送された[8]。
2013年7月には父親とともにベラルーシのミンスクで開催されたヨーロッパ選手権の会場を訪れ、世界オープン将棋選手権に参加して優勝した[9][10]。このとき後に女流棋士となるカロリーナ・ステチェンスカとも対局して勝っている[11]。
2013年9月に奨励会入会。
2017年、将棋に専念するため、高校1年生の1学期中に在籍する高校を退学[12]。
2018年4月より三段リーグに参加。2020年9月12日に第67回三段リーグで14勝2敗となり、1位が確定したため、四段昇段が内定した[6]。2002年10月10日生まれの伊藤は、この時点の最年少棋士藤井聡太(2002年7月19日生まれ)よりも3か月ほど若く、4年ぶりの新たな最年少棋士となった[2][13]。なお最年少棋士の座は、新たな最年少棋士藤本渚(2005年7月18日生まれ)が2022年10月1日付で四段昇段するまで続いた。
2021年3月27日にAbemaで放送された「第4回ABEMAトーナメント」のドラフト会議でリーダー棋士を務めた藤井聡太から指名を受け、高見泰地とともに「チーム藤井」を結成した[14]。同年9月18日の決勝まで勝ち進んだチーム藤井は、5勝3敗でチーム木村を破って優勝を果たした[15]。
プロ入り同期の古賀悠聖との決勝となった第52期新人王戦決勝三番勝負では、2021年10月11日に行われた第2局を2連勝で勝利して棋戦初優勝を飾った[16]。新人王戦の優勝者にはその時点のタイトル保持者1人との記念対局が組まれることが恒例となっており、同年11月に竜王を獲得して史上最年少四冠となった藤井聡太との記念対局が2022年1月2日に放送された(結果は98手で藤井の勝利[17])。なお、記念対局が同学年の棋士同士となるのは史上5例目、10代の棋士同士となるのは史上初であった[18]。
2021年12月3日には第63期王位戦予選3組決勝で日浦市郎に勝利し、自身初となる挑戦者決定リーグ進出を決めた[19]。この予選ではタイトル保持者である永瀬拓矢王座を下す金星を挙げている[20]。リーグ戦紅組では3勝2敗の成績を挙げたもののリーグ陥落となった。
第80期順位戦では、順位が下位から始まる初参加のため自力昇級ではなかったが、最終局で近藤正和七段に勝利し競争相手が敗れたため、9勝1敗の好成績でC級2組の1期抜け、C級1組への昇級と五段への昇段を果たした。
2022年3月30日、第63期王位戦挑戦者決定リーグ紅組で西尾明七段に勝利して2021年度の勝率を0.818(45勝10敗)とし、年間勝率1位となった。これにより、藤井聡太がデビュー以来続けていた年度勝率1位の記録を4年で途絶えさせた[21]。
2022年の第48期棋王戦コナミグループ杯では、挑戦者決定トーナメントで前期挑戦者の永瀬拓矢王座を破る等でベスト4進出と健闘するも、準決勝で羽生善治九段に、敗者復活戦で藤井聡太竜王に敗れた。
棋風
- 得意戦法は相掛かり[3]。
人物
- プロ野球の中日ドラゴンズの熱狂的ファン[16]。
昇段履歴
昇段規定は、将棋の段級 を参照。
主な成績
一般棋戦優勝
- 新人王戦 1回 (2021年・第52回)
非公式戦優勝
- ABEMAトーナメント 1回(2021年・第4回 - チーム藤井<藤井聡太・高見泰地・伊藤匠>)
在籍クラス
開始 年度 | 順位戦 | 竜王戦 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
期 | 名人 | A級 | B級 | C級 | F | 期 | 竜王 | 1組 | 2組 | 3組 | 4組 | 5組 | 6組 | |||
1組 | 2組 | 1組 | 2組 | |||||||||||||
2020 | 79 | 昇段前 | 34 | 6組 | ||||||||||||
2021 | 80 | C250 | 35 | 6組 | ||||||||||||
2022 | 81 | C130 | 36 | 5組 | ||||||||||||
2023 | 82 | C101 | (37) | 4組 | ||||||||||||
順位戦、竜王戦の 枠表記 は挑戦者。順位戦の X(数字) はクラス内順位。 順位戦の「F」はフリークラス (F編:フリークラス編入 / F宣:宣言による転出) 竜王戦の 太字 はランキング戦優勝、竜王戦の 組(添字) は棋士以外の枠での出場。 |
将棋大賞
- 第49回(2021年度) 勝率一位賞、新人賞
脚注
- ^ a b c “17歳伊藤匠が四段昇段、藤井超え現役最年少棋士に”. 日刊スポーツ. (2020年9月12日) 2020年9月12日閲覧。
- ^ a b 「藤井聡太2冠の同学年棋士が誕生 伊藤匠三段が四段昇段で「新・最年少棋士」に」『スポーツ報知』、2020年9月12日。2020年9月12日閲覧。
- ^ a b c “新四段誕生のお知らせ|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 日本将棋連盟 (2020年9月26日). 2020年9月26日閲覧。
- ^ 『全国小学生倉敷王将戦』日本将棋連盟 。
- ^ a b 勝又清和『藤井聡太二冠が「最後に泣いた相手」? “最年少棋士”伊藤匠新四段(17歳)とは』Number Web、2020年9月17日 。
- ^ a b “現役最年少プロ棋士の伊藤匠新四段が誕生 藤井王位より3カ月年下”. 毎日新聞. (2020年9月12日) 2020年9月12日閲覧。
- ^ 松本博文 (2020年2月20日). “西山朋佳三段(24)と三段リーグ最終戦で対戦する伊藤匠三段(17)は藤井聡太七段と同い年の天才少年(松本博文) - 個人 - Yahoo!ニュース”. 2020年9月12日閲覧。
- ^ 『カラフル! [特別活動] [2012年度 第3回] 4月27日 もっと強くなるために』NHK for School 。
- ^ 北尾まどか『ベラルーシの将棋熱』47News、2017年10月13日 。
- ^ European Shogi Championship in Minsk 2013 - YouTube
- ^ 伊藤雅浩『World Open Shogi Championship 2013 in Minsk (2)』2013年7月24日 。
- ^ 「ところが伊藤は1年の1学期のうちに高校をやめて、将棋に集中した。」 藤井聡太二冠が「最後に泣いた相手」? “最年少棋士”伊藤匠新四段(17歳)とは(3/4) - 将棋 - Number Web - ナンバー, (2020/09/17)2022年9月10日閲覧。
- ^ “将棋の新・最年少棋士の伊藤匠新四段「藤井2冠に追いつきたい」”. スポーツ報知 (2020年9月26日). 2020年10月28日閲覧。
- ^ 編集部, ABEMA TIMES. “最強の18歳コンビ誕生!藤井聡太王位・棋聖、伊藤匠四段を指名「どんな将棋か楽しみ」/将棋・ABEMAトーナメント | ニュース”. ABEMA TIMES. 2022年1月5日閲覧。
- ^ TIMES編集部, ABEMA. “藤井聡太三冠、ABEMAトーナメントで個人・団体で4連覇達成!「チームの方のおかげ。感謝してもしきれないです」 | ニュース”. ABEMA TIMES. 2022年1月5日閲覧。
- ^ a b “伊藤匠四段 藤井世代が新人王「いずれタイトル戦で戦いたい」”. スポーツ報知 (2021年10月12日). 2022年1月5日閲覧。
- ^ TIMES編集部, ABEMA. “藤井聡太竜王、貫禄の一局 伊藤匠四段に勝利 将棋界の未来を担う19歳対決/将棋・新人王戦記念対局 | ニュース”. ABEMA TIMES. 2022年1月5日閲覧。
- ^ “記念対局は藤井竜王の貫禄勝ち、第52期新人王戦”. マイナビニュース (2022年1月5日). 2022年1月5日閲覧。
- ^ “伊藤匠四段が初の王位リーグ入り 同学年・藤井聡太王位への挑戦目指す”. スポーツ報知 (2021年12月3日). 2022年1月5日閲覧。
- ^ TIMES編集部, ABEMA. “伊藤匠四段、「4強」の一角・永瀬拓矢王座に勝利 藤井聡太三冠と同学年の若手ホープが金星/将棋・王位戦予選 | ニュース”. ABEMA TIMES. 2022年1月5日閲覧。
- ^ “藤井竜王、デビュー以来5年連続の「勝率1位」ならず…同学年19歳・伊藤五段が上回る”. 読売新聞. (2022年3月30日) 2022年3月31日閲覧。
- ^ “伊藤匠四段が五段に昇段|将棋ニュース|日本将棋連盟”. www.shogi.or.jp. 2022年3月11日閲覧。
関連項目
外部リンク
- 伊藤匠|棋士データベース|日本将棋連盟
- チーム藤井 (@abT_fujii) - Twitter