今村 聖奈(いまむら せいな、2003年11月28日 - )は、日本中央競馬会(JRA)[2]栗東トレーニングセンターの騎手。マネジメント先はホリプロ[3]。JRAでは10人目の女性騎手である[2]。
来歴
2018年に競馬学校騎手課程第38期に合格[4]。2022年にJRA競馬学校騎手課程を第38期生として卒業して騎手免許を取得。同期には(大久保友雅)、(川端海翼)、佐々木大輔、(土田真翔)、角田大河、(西塚洸二)、(鷲頭虎太)らがいる[5]。特に大久保と角田は幼馴染であり、競馬学校入学前の小中学時代の同級生でもある[6]。
2022年
2022年3月に寺島良厩舎から騎手デビュー。3月5日に阪神競馬1R(3歳未勝利)で初騎乗し、リンギングフォンで8着。3月13日の阪神競馬8R(4歳以上1勝クラス)をブラビオで制し、デビューから17戦目で初勝利を挙げた[7]。
5月22日、新潟競馬3Rをタマモエビトで勝利して通算10勝目を挙げ、牧原由貴子と西原玲奈の持つ女性騎手によるデビュー年の最多勝利数(9勝)を22年ぶりに更新した[8]。
7月3日、小倉競馬11RのGⅢ・CBC賞にテイエムスパーダで重賞初騎乗[注 1]。レースは好スタートから前半600m29.8秒のハイラップで先頭に立ち、直線に入ってから後続を更に引き離して従来の日本レコードタイムを6.2秒更新する59秒8のタイムで逃げ切り重賞初騎乗・初制覇を飾った[9]。重賞初騎乗初勝利は1984年のグレード制導入以来5人目[注 2]、ルーキーイヤーの重賞制覇は2008年の三浦皇成以来で14年ぶり10人目。重賞初騎乗での制覇は1998年の池添謙一以来4人目で、ともに女性では初。女性騎手によるJRA重賞制覇は(ロシェル・ロケット)(2002年中山大障害)、藤田菜七子(2019年カペラステークス)に続く3度目、平地芝重賞では初となる[10]。
7月27日、園田競馬場で行われたJRA交流競走・六甲山特別にてティラミスに騎乗し1着、地方競馬での初勝利を挙げる[11]。
7月31日、アイビスサマーダッシュでオールアットワンスに騎乗して1着。このレースには藤田菜七子も騎乗しており(騎乗馬スティクス・5着)、重賞でJRA所属の女性騎手が複数人騎乗するのはJRA史上初となった[注 3][12][13]。
8月1日、芸能事務所「ホリプロ」とマネージメント契約を結んだ[14]。
8月13日、小倉競馬9Rのオープン特別・フェニックス賞にてミカッテヨンデイイに騎乗、(見習騎手の減量特典)やハンデキャップが伴わない特別競走にて初勝利を挙げた[15]。
8月20日、小倉競馬6Rをヤマニンウルスで勝利して、JRA見習騎手のGⅠ競走騎乗可能となる通算31勝目(地方4勝含む)を挙げた[16]。同条件が定められた1996年以降では三浦皇成(7月6日)、福永祐一(7月7日)に次ぐスピード達成となった[16]。また、本レースでは2着に10秒0差をつけレコード勝ちをおさめた。これは1984年のグレード制導入以降の平地競走における最大着差である[17][注 4]。
8月30日、第32回「(九州競馬記者クラブ) 小倉ターフ賞」を受賞した[18]。9月4日の昼休みに小倉競馬場の(賞典台)(ウイナーズサークル)で表彰式が行われた[19]。
10月22日、新潟競馬12Rをスカイナイルで勝利し、藤田菜七子の持つJRA女性騎手の年間最多勝利記録の43勝に並んだ。
10月23日、新潟競馬2Rをフェステスバンドで勝利。JRA女性騎手の年間最多勝利記録を更新した。
10月29日、新潟競馬12Rをメイショウフジタカで勝利してJRA通算47勝目を挙げた。地方での4勝と合わせて通算51勝に到達したため、見習騎手の規定により負担重量が★4kg減から▲3kg減となった[20]。
10月30日、2022年の新潟競馬の全日程が終了し、シーズン通算19勝を挙げて年間リーディングを獲得した[21]。女性騎手としては2019年の藤田菜七子以来の2人目、女性ルーキーとしては初[21]。
12月17日、この日の中京5Rで勝利し、史上5人目にして女性騎手初となるルーキーイヤー50勝を達成した[22]。
デビュー年はJRA53勝、地方競馬4勝という成績を挙げ、この年にに初めて騎手免許を取得して、平地競走および障害競走で30勝以上した騎手の中で最多勝の者に与えられるJRA賞最多勝利新人騎手賞を受賞した。
人物
父の影響で、物心がついた時から馬は身近な存在であり、小学5年生の頃には騎手を志していた。座右の銘は人馬一体[23]。競馬学校時代に「馬と会話しなさい」と教えられ、馬をよく観察して何を感じて考えているかや性格、騎手との相性を把握することを心掛けている[2]。
騎乗成績
日付 | 競馬場・開催 | 競走名 | 馬名 | 頭数 | 人気 | 着順 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
初出走 | 2022年3月5日 | 1回阪神7日目1R | 3歳未勝利 | リンギングフォン | 14頭 | 5 | 8着 |
初勝利 | 2022年3月13日 | 1回阪神10日目8R | 4歳以上1勝クラス | ブラビオ | 12頭 | 5 | 1着 |
重賞初騎乗 重賞初勝利 | 2022年7月3日 | 3回小倉2日目11R | CBC賞 | テイエムスパーダ | 17頭 | 2 | 1着 |
GI初騎乗 | 2022年12月28日 | 5回中山9日目11R | ホープフルステークス | スカパラダイス | 18頭 | 15 | 18着 |
出典: JRA日本中央競馬会 騎手名鑑プロフィールより
年度別成績
年度 | 1着 | 2着 | 3着 | 騎乗数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 表彰 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2022年 | 51 | 48 | 42 | 606 | .084 | .163 | .233 | 中央競馬関西放送記者クラブ賞(関西所属騎手新人賞) 2022年度JRA賞(最多勝利新人騎手) |
中央 | 51 | 48 | 42 | 606 | .084 | .163 | .233 | |
地方 | 4 | 6 | 3 | 27 | .148 | .370 | .481 |
主な騎乗馬
脚注・出典
注釈
- ^ この経緯としては、当初今村は自厩舎のシホノレジーナに騎乗予定だったものの、レース当週に発表されたテイエムスパーダの負担重量が48kgとなり本馬に騎乗予定だった国分恭介が騎乗不可となったため今村に騎乗依頼があり受諾、シホノレジーナは角田大河が騎乗することになった。なお、ハンデキャップ競走における負担重量48㎏での出走例は、直近で2021年のケフェウスステークスでのマリアエレーナ(騎手・酒井学、3着)がある。
- ^ 過去に菊沢隆仁、武幸四郎、池添謙一、宮崎北斗(デビュー2年目)が達成。
- ^ なお、地方競馬含めた女性騎手の複数人騎乗としては、1999年の新潟3歳ステークスにてJRA所属騎手の細江純子と公営新潟競馬(廃止)所属騎手の(山本泉)の2名が出走した例がある。
- ^ それ以前の記録は1986年3月1日にツキノオージャによる3秒6差であった。
出典
- ^ a b c “今村 聖奈(2022年 ルーキーズ)”. 日本中央競馬会. 2022年3月26日閲覧。
- ^ a b c 女性ジョッキー 新時代の足音/今村聖奈騎手 JRA新人勝利数で独走:馬との対話大事に「力仕事じゃない」『東京新聞』朝刊2022年9月24日(特報面)2022年9月28日閲覧
- ^ “新人ジョッキー今村聖奈、先輩・藤田菜七子と同じホリプロと契約 7月に重賞初騎乗初勝利”. ORICON NEWS. 2022年8月8日閲覧。
- ^ 「競馬学校第38期生合格者を発表 今村康成元騎手の娘・聖奈さんら9人」スポニチ Sponichi Annex(2018年10月26日)2022年9月28日閲覧
- ^ 「今村聖奈さん「ようやくスタートライン」JRA現役4人目の女性騎手が来月にもデビュー」スポーツ報知(2022年2月9日付)2022年9月28日閲覧
- ^ “7週連続勝利、重賞初騎乗初制覇”. 中山馬主協会公式サイト (2022年7月5日). 2022年7月6日閲覧。
- ^ 【極ウマ】今村聖奈騎手17戦目で初勝利も冷静「同じ失敗していてはチャンスなくなる」/阪神8R 日刊スポーツ(2022年3月14日)2022年9月28日閲覧
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2022年5月22日). “今村聖奈が新人女性騎手デビュー年最多勝記録を更新! 「たくさん一緒に花を咲かせていきたい」”. サンスポZBAT!. 2022年5月23日閲覧。
- ^ "【CBC賞】すごいぞ今村聖奈!! テイエムスパーダで重賞初騎乗初制覇の快挙". Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社. 3 July 2022. 2022年7月3日閲覧。
- ^ 「今村聖奈騎手快挙、18歳女性ルーキーが重賞初騎乗初V 記録アラカルト/CBC賞」日刊スポーツ(2022年7月4日)
- ^ “今村聖奈騎手が地方初勝利、園田JRA交流競走を制す「たくさんのファンの前で勝てうれしい」”. 日刊スポーツ (2022年7月27日). 2022年7月28日閲覧。
- ^ “【アイビスSD】聖奈オヌシナニモノVS菜七子スティクス JRA女性騎手重賞初対決”. スポニチ Sponichi Annex. 2022年7月31日閲覧。
- ^ INC, SANKEI DIGITAL (2022年7月31日). “【アイビスSD】JRA史上初女性騎手重賞対決は菜七子5着、聖奈1着”. サンスポZBAT!. 2022年7月31日閲覧。
- ^ “今村聖奈騎手がホリプロ所属に 注目のJRA新人女性ジョッキー”. デイリースポーツ. 2022年8月26日閲覧。
- ^ “【フェニックス賞結果】ミカッテヨンデイイがデビュー3戦目で初勝利”. netkeiba.com. 2022年8月16日閲覧。
- ^ a b INC, SANKEI DIGITAL (2022年8月20日). “今村聖奈騎手が通算31勝目 GⅠ騎乗が可能に”. サンスポ. 2022年8月25日閲覧。
- ^ “今村聖奈騎手の最大着差記録 - 島田明宏 | 競馬コラム”. netkeiba.com. 2022年8月25日閲覧。
- ^ “今村聖奈騎手が小倉ターフ賞を受賞”. サンケイスポーツ. 2022年8月30日閲覧。
- ^ “ルーキー今村聖奈騎手が「小倉ターフ賞」受賞「ファンの声援がモチベーションになっています」”. 日刊スポーツ. 2022年9月4日閲覧。
- ^ “今村聖奈、JRA&地方で通算51勝に 負担重量4キロ減“卒業” 次週から3キロ減に | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2022年11月3日閲覧。
- ^ a b “新人女性騎手初!今村聖奈が新潟年間リーディング獲得「感謝の気持ち忘れず頑張りたい」 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2022年11月1日閲覧。
- ^ “聖奈 14年ぶり史上5人目の快挙!新人年間50勝「サポートしてもらえるようなジョッキーでありたい」”. スポニチ (2022年12月18日 05:00). 2022年12月18日閲覧。
- ^ 今村聖奈「父よりうまくなりたい」 今週末デビューJRA現役4人目女性騎手は父も元騎手 netkeiba(2022年3月1日)
- ^ 今週末デビューの今村聖奈騎手「なるべく早く1勝」サンスポZBAT!競馬(2022年3月1日)2022年9月28日閲覧