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二酸化ゲルマニウム

二酸化ゲルマニウムは、化学式GeO2無機化合物である。無色の固体で、水に可溶性の六方晶系に属する結晶と、不溶性の正方晶系に属する結晶とがある。転移温度は1033℃。正方晶系の結晶の密度は6.24g/cm3で融点1086℃。一方、六方晶系の結晶の密度は4.23g/cm3と比較的小さく、融点は1116℃である。密度は熱処理のしかたによりやや変わる。融解したものを急冷すると水溶性の非晶質の固体が得られる。水に不溶性のものは酸にも不溶であるが、濃アルカリには徐々に侵される。

二酸化ゲルマニウム

ルチル型の正方晶系結晶
識別情報
CAS登録番号 1310-53-8 
PubChem 14796
ChemSpider 14112 
UNII 5O6CM4W76A 
RTECS番号 LY5240000
特性
化学式 GeO2
モル質量 104.6388 g/mol
精密質量 105.911007
外観 白色の粉末もしくは無色の結晶
密度 4.228 g/cm3
融点

1115 °C, 1388 K, 2039 °F

への溶解度 4.47 g/L (25 °C)
10.7 g/L (100 °C)
溶解度 フッ化水素酸塩酸に不溶
その他の酸やアルカリに可溶
屈折率 (nD) 1.650
構造
結晶構造 六方晶
危険性
EU Index Not listed
引火点 (不燃性)
半数致死量 LD50 3700 mg/kg (ラット、経口)
関連する物質
その他の(陰イオン) 二硫化ゲルマニウム
(二セレン化ゲルマニウム)
その他の(陽イオン) 二酸化炭素
二酸化ケイ素
二酸化スズ
二酸化鉛
関連物質 (酸化ゲルマニウム)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

構造

GeO2の主な結晶構造には六方晶および正方晶の2種類の結晶多形があり、他に三方晶や斜方晶、アモルファスの形も取る。六方晶のGeO2はβ-石英に類似した4配位の構造を取る。正方晶のGeO2は鉱石のアルグ石などで見られ、スティショバイトに含有されるルチルに類似した6配位の構造を取る[1]。正方晶のGeO2は高圧下でCaCl2の構造に類似した斜方晶に変化する[2]。アモルファスのGeO2石英ガラスに類似している[1]

GeO2は結晶質およびアモルファスの両方の形で化合させることができる。常圧下におけるアモルファス構造のGeO2は、局所的なGeO4の4面体ユニットのネットワークによって形成される。9 GPa程度までの高圧条件下では、Ge-Oの結合距離の増加に対応してGeの平均配位数は4からおよそ5まで連続的に増加する[3]。より高圧な15 GPaまでの領域ではGeの配位数は6まで増加し、局所的なGeO6の8面体ユニットの高密度なネットワーク構造が形成される[4]。その後減圧されると局所構造は4面体形に戻る[3][4]

低温領域における安定相は立方晶であり、高温領域では六方晶(β-石英型)が安定相となる。しかしながら六方晶から立方晶への相転移速度は非常に小さいため、高温領域で六方晶に相転移させたGeO2を単純に冷却するだけでは立方晶への相転移が起こらず、準安定相であるα-石英型構造に転移するのみである。そのため、常温においてもGeO2の結晶形は六方晶のまま維持される。六方晶から正方晶への相転移には減圧下もしくは添加物を加えて加熱するという操作が必要になる[5]

反応

GeO2を金属ゲルマニウムの粉末と共に1000度で加熱すると一酸化ゲルマニウム (GeO) が得られる[1]

 
 

六方晶のGeO2は水に溶解してゲルマニウム酸(H4GeO4もしくはGe(OH)4)を形成する。GeO2は酸にはわずかに溶解するのみであるが、塩基に対してはゲルマン酸 (GeO44-) を形成するためより容易に溶解する[6]

 

用途

GeO2光ファイバーのような光学ガラスの屈折率を調整するための添加剤として利用される。石英ガラスに添加されたGeO2は屈折率を増大させる方向に働き、光ファイバーのコア部分に用いられる。このような光学ガラスは塩化物を原料として化学気相蒸着法によって合成され、ゲルマニウムの場合は原料として四塩化ゲルマニウムが用いられる[7][8]

GeO2ポリエチレンテレフタラート樹脂 (PET) を合成する際の触媒として利用される。PETの触媒としては他にアンチモンやチタンなどが利用されるが、GeO2触媒で製造したPETは高温においても透明性を維持できる特性を有する。PETの触媒は安価な三酸化アンチモンの利用が世界的に主流であるが、日本では高温で飲料をボトルに充填して殺菌する充填方式を採用しているため、飲用ボトル向けに耐熱性を有するGeO2触媒で製造したPETが主に使われている。しかしながら、日本企業においても飲料の充填方法の変更による安価なアンチモン触媒製PETの利用が広まっており、Ge価格の高騰も相まってPET向けのGeO2の需要は減少している[8][9][10]

毒性

GeO2を摂取した際の中毒症状としては自発運動の減少やチアノーゼ、尿細管の変性などがあり、長期間に渡り摂取した場合には慢性症状として腎機能障害が引き起こされる[11][12][13]。GeO2に由来する腎障害では強く不可逆な障害が引き起こされるが、尿所見による判別は困難である[13]。また、GeO2ミトコンドリア内に蓄積してシトクロムcオキシダーゼなどミトコンドリア酵素の働きを阻害することで、ミオパチーや末梢神経障害が引き起こされることも知られている[14]。過去にはGeO2LD50(ラット、経口)が1250 mg[15]と比較的大きな値であるため毒性の低い物質であると考えられており健康食品に用いられていたが[16][14]、GeO2を含有する健康食品の摂取による健康被害や死亡事故が起こっており行政指導が行われている[12]

出典

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c (グリーンウッド, ノーマン); アーンショウ, アラン (1997). Chemistry of the Elements (英語) (2nd ed.). (バターワース=ハイネマン)(英語版). ISBN 978-0-08-037941-8
  2. ^ Structural evolution of rutile-type and CaCl2-type germanium dioxide at high pressure, J. Haines, J. M.Léger, C.Chateau, A. S.Pereira, Physics and Chemistry of Minerals, 27, 8 ,(2000), 575–582,doi:10.1007/s002690000092
  3. ^ a b J W E Drewitt, P S Salmon, A C Barnes, S Klotz, H E Fischer, W A Crichton (2010). “Structure of GeO2 glass at pressures up to 8.6 GPa”. Physical Review B 81: 014202. Bibcode: 2010PhRvB..81a4202D. doi:10.1103/PhysRevB.81.014202. 
  4. ^ a b M Guthrie, C A Tulk, C J Benmore, J Xu, J L Yarger, D D Klug, J S Tse, H-k Mao, R J Hemley (2004). “Formation and Structure of a Dense Octahedral Glass”. Physical Review Letters 93 (11): 115502. Bibcode: 2004PhRvL..93k5502G. doi:10.1103/PhysRevLett.93.115502. PMID (15447351). 
  5. ^ 功刀雅長, 小西昭夫, 福谷征史郎 (1973). “二酸化ゲルマニウムの六方晶系より正方晶系への転移”. 材料 (日本材料学会) 22 (235): 319. doi:10.2472/jsms.22.319. 
  6. ^ Egon Wiberg, Arnold Frederick Holleman, (2001) Inorganic Chemistry, Elsevier (ISBN 0-12-352651-5)
  7. ^ 飯野顕、大久保勝彦 (1990). “光ファイバとその応用IV 光ファイバ材料・製造方法・信頼性”. 光学 (日本光学会) 19 (2): 113-114. ISSN 0389-6625. http://osj-jsap.jp/publication/public/19-02-kougi.pdf. 
  8. ^ a b “鉱物資源マテリアルフロー2014 Ge”. 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構. 2015年8月16日閲覧。
  9. ^ “鉱物資源マテリアルフロー2013 Sb”. 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構. 2015年8月16日閲覧。
  10. ^ 須藤正夫 (2004). “低成長に転じたPETボトル~激変する業界構造と発展への道~”. 工業材料 (日刊工業新聞社) 2014年12月号. 
  11. ^ 日本食品衛生協会『食品衛生検査指針理化学編』社団法人 日本食品衛生協会、2005年、932頁。ISBN (9784889250039)。 
  12. ^ a b “有機ゲルマニウムについて (Ver.20200623)”. 国立栄養・健康研究所. 2022年10月12日閲覧。
  13. ^ a b 佐内透ほか (1989). “腎生検にて経時的に観察した二酸化ゲルマニウム含有健康食品による腎障害の1例”. 日本内科学会雑誌 78 (3): 87. 
  14. ^ a b 樋口逸郎 (2007). “II.筋肉・末梢神経に影響を及ぼす薬物”. 日本内科学会雑誌 96 (8): 1602. doi:10.2169/naika.96.1598. 
  15. ^ Bernard Martel (2004). Chemical Risk Analysis: A Practical Handbook. Butterworth-Heinemann. p. 376. ISBN (9780080529042) 
  16. ^ 板野一臣, 伊村祈年子, 佐々木清司 (1992). “健康飲料水中のゲルマニウム化合物の分析”. 食品衛生学雑誌 33 (3): 231. 
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