アモルファス (amorphous)、あるいは 非晶質(ひしょうしつ、英: non-crystalline)とは、結晶のような長距離秩序はないが、短距離秩序はある物質の状態。これは熱力学的には、非平衡な準安定状態である。
amorphous は、morphous(形を持つ)に「非」の意味の接頭辞 a‐ が付いた語(19世紀にスウェーデンのイェンス・ベルセリウスが非結晶の固体に対して命名した[1])。結晶は、明礬や水晶のようにそれぞれ固有の結晶形態を持っており、morphous である。しかし、急冷や不純物が混じった状態で出来た固体は、時間的空間的に規則的な原子配列が取れず非晶質となり、不定形である。
アモルファス状態は、非金属ではしばしば見られる状態である。しかし、金属にもアモルファス状態が存在することが、アメリカの(ポール・デュエイ)カリフォルニア工科大学教授によって1960年に発見されている。
潜晶質
アモルファスとされるものには結晶構造を完全にもたないものと、光学的には結晶構造が見られない場合でもX線回折ではハロー図形((halo pattern))を示す潜晶質とがある(ただし、潜晶質は結晶質と解される場合もある)。天然に産出する鉱物の場合、「非晶質」と言われるもののほとんどが潜晶質である(例:オパール、(ネオトス石))。
特徴
均質で等方性であることが挙げられる。結晶が存在しないため、結晶粒界や格子欠陥のような「弱い」構造が存在しないことが利点になる。
結晶状態とアモルファス状態では、同じ材料でも物性が大幅に変わることがある。例えば電気伝導性や熱伝導性、禁制帯幅、光透過率や光吸収率、透磁率、物理的強度、(耐蝕性)、超伝導性などである。