柔道ワールドマスターズ(World Masters)は2010年度より開催されることになった国際柔道連盟(IJF)主催の柔道の国際大会。オリンピック、世界柔道選手権大会に次ぐ大会との位置づけである。今大会はIJFに招待された世界ランキングの上位選手しか出場できない。開催国は基本的に毎年変わる[1]。
概要
2009年のIJFワールド柔道ツアーの導入、それに伴うランキング制の設立に伴い、2010年度から開催されることとなった。第一回は2010年1月16日から2日間の日程で韓国の水原で行われた。2014年は各国の選手事情を勘案して中止となった[2][3]。2015年5月にはモロッコのラバトで再開された[4][5]。2017年から2019年までは12月にロシアのサンクトペテルブルクでの固定開催に一旦は決まった[6]。しかしながら、2018年から2022年まで中国の広州における固定開催に変更された[7][8]。なお、2019年は同じ中国の深圳が予定されていたが、青島開催となった[9][10][11]。2020年5月にドーハで開催予定だった今大会は、新型コロナウイルスの影響で2021年1月に開催が延期された[12][13][14]。2022年は広州で開催予定だったものの、イスラエルのエルサレムに変更となった[15]。
- 2018年までは各階級の世界ランキング上位16名のみが出場できた。開催国の選手は全階級に出場することが可能な為、ランキング上位16名以内に開催国の選手が入っていない場合は17名の選手によって争われることになる。2019年からは世界ランキング上位36名まで出場選手が拡大されることになった[18][19]。
- 出場選手のうち世界ランキングの上位8名はシードされる。同一国の選手が複数いる場合は別々のパートに振り分けられる。
- 2010年から2012年まで敗者復活戦は設けられていなかったが、2013年からは導入されることになった。準々決勝で敗れた選手は敗者復活戦に回れるが、それ以前に敗れた選手はその時点で試合終了となる。
- 優勝者には6000ドル、2位には4000ドル、3位には2000ドルが授与される。2015年のワールドマスターズでは、メダリストの他にそのコーチにも賞金が支給されることになった。そのため、メダリストの賞金は従来より2割減となる(優勝者に4800ドル、そのコーチに1200ドル、2位に3200ドル、そのコーチに800ドル、3位に1600ドル、そのコーチに400ドル)[20]。
順位 | ポイント |
---|---|
優勝 | 1800 |
2位 | 1260 |
3位タイ | 900 |
5位タイ | 648 |
7位タイ | 468 |
参加ポイント | 200 |
優勝者
男子
年 | 60 kg級 | 66 kg級 | 73 kg級 | 81 kg級 | 90 kg級 | 100 kg級 | 100 kg超級 |
2010年 | リショド・ソビロフ | サンジャースレン・ミヤラグチャー | 方貴満 | 金宰範 | 小野卓志 | 穴井隆将 | テディ・リネール |
2011年 | リショド・ソビロフ | ハシュバータル・ツァガンバータル | 王己春 | エルヌル・ママドリ | エルハン・ママドフ | セルゲイ・サモイロビッチ | テディ・リネール |
2012年 | アルセン・ガルスチャン | サンジャースレン・ミヤラグチャー | 王己春 | エルヌル・ママドリ | 西山将士 | マクシム・ラコフ | ラファエル・シルバ |
2013年 | 高藤直寿 | セルゲイ・リム | サインジャルカル・ニャムオチル | イワン・ニフォントフ | イリアス・イリアディス | エルハン・ママドフ | アダム・オクルアシビリ |
2015年 | 高藤直寿 | ゲオルグリー・ザンタラヤ | デニス・ヤルツェフ | 永瀬貴規 | ベカ・グビニアシビリ | エルマール・ガシモフ | テディ・リネール |
2016年 | オルハン・サファロフ | アン・バウル | 橋本壮市 | トラヴィス・スティーブンス | ベイカー茉秋 | エルマール・ガシモフ | ダニエル・ナテア |
2017年 | 永山竜樹 | ガンボルド・ヘルレン | 橋本壮市 | ハサン・ハルムルザエフ | ベカ・グビニアシビリ | ヴァルラーム・リパルテリアニ | グラム・ツシシビリ |
2018年 | ロベルト・ムシビドバゼ | 丸山城志郎 | ルスタム・オルジョフ | 佐々木健志 | ニコロス・シェラザディシビリ | ヴァルラーム・リパルテリアニ | グラム・ツシシビリ |
2019年 | 永山竜樹 | マヌエル・ロンバルド | 橋本壮市 | マティアス・カス | ラシャ・ベカウリ | ミハエル・コレル | 原沢久喜 |
2021年 | 金源鎮 | アン・バウル | 安昌林 | タト・グリガラシビリ | ノエル・ファントエンド | ヴァルラーム・リパルテリアニ | テディ・リネール |
2022年 | イ・ハリム | バールーフ・シュマイロフ | ダニエル・カルグニン | タト・グリガラシビリ | 村尾三四郎 | イリア・スラマニゼ | 斉藤立 |
女子
年 | 48 kg級 | 52 kg級 | 57 kg級 | 63 kg級 | 70 kg級 | 78 kg級 | 78 kg超級 |
2010年 | 浅見八瑠奈 | 中村美里 | 松本薫 | 上野順恵 | 黄藝瑟 | セリーヌ・ルブラン | 秦茜 |
2011年 | 浅見八瑠奈 | 中村美里 | テルマ・モンテイロ | ジブリズ・エマヌ | リュシ・デコス | 楊秀麗 | 田知本愛 |
2012年 | 福見友子 | 西田優香 | 松本薫 | 上野順恵 | リュシ・デコス | マイラ・アギアル | 秦茜 |
2013年 | 遠藤宏美 | マイリンダ・ケルメンディ | ドルジスレン・スミヤ | 阿部香菜 | キム・ポリング | マイラ・アギアル | 于頌 |
2015年 | ムンフバット・ウランツェツェグ | ナタリア・クジュティナ | ドルジスレン・スミヤ | 田代未来 | キム・ポリング | ケイラ・ハリソン | 于頌 |
2016年 | 近藤亜美 | 中村美里 | ドルジスレン・スミヤ | 田代未来 | キム・ポリング | ケイラ・ハリソン | イダリス・オルティス |
2017年 | 渡名喜風南 | ナタリア・クジュティナ | ドルジスレン・スミヤ | 田代未来 | マリア・ポルテラ | マリンド・フェルケルク | 金珉程 |
2018年 | ディストリア・クラスニキ | 角田夏実 | 芳田司 | クラリス・アグベニュー | 新添左季 | 梅木真美 | 素根輝 |
2019年 | ディストリア・クラスニキ | 志々目愛 | キム・ジナ | 鍋倉那美 | キム・ポリング | ファニー=エステル・ポスビト | テシー・サフェルカウルス |
2021年 | ディストリア・クラスニキ | アマンディーヌ・ブシャール | 芳田司 | クラリス・アグベニュー | 大野陽子 | マドレーヌ・マロンガ | ロマヌ・ディッコ |
2022年 | シリヌ・ブクリ | ディストリア・クラスニキ | 出口クリスタ | 高市未来 | ミヒャエラ・ポレレス | アリーチェ・ベッランディ | ロマヌ・ディッコ |
金メダル獲得選手上位一覧
順位 | 選手 | 国籍 | 金メダル | 銀メダル | 銅メダル | 総計 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 田代未来 | 日本 | 4 | 0 | 2 | 6 |
2 | キム・ポリング | オランダ | 4 | 0 | 1 | 5 |
3 | ディストリア・クラスニキ | コソボ | 4 | 0 | 0 | 4 |
ドルジスレン・スミヤ | モンゴル | 4 | 0 | 0 | 4 | |
テディ・リネール | フランス | 4 | 0 | 0 | 4 | |
6 | 中村美里 | 日本 | 3 | 1 | 0 | 4 |
橋本壮市 | 日本 | 3 | 1 | 0 | 4 | |
8 | ヴァルラーム・リパルテリアニ | ジョージア | 3 | 0 | 2 | 5 |
9 | ナタリア・クジュティナ | ロシア | 2 | 1 | 1 | 4 |
クラリス・アグベニュー | フランス | 2 | 1 | 1 | 4 |
(出典[21]、JudoInside.com)
優勝者の年齢
Category | 男子 | 女子 |
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最年少優勝 |
|
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最年少メダリスト |
|
|
最年長優勝 |
|
|
最年長メダリスト |
|
|
(出典JudoInside.com)
各国メダル数
順 | 国・地域 | 金 | 銀 | 銅 | 計 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 日本 | 46 | 35 | 49 | 130 |
2 | フランス | 15 | 22 | 21 | 58 |
3 | ジョージア | 12 | 4 | 13 | 29 |
4 | 韓国 | 11 | 6 | 13 | 30 |
5 | モンゴル | 10 | 8 | 12 | 30 |
6 | ロシア | 8 | 15 | 25 | 48 |
7 | オランダ | 8 | 8 | 24 | 40 |
8 | アゼルバイジャン | 8 | 5 | 11 | 24 |
9 | 中国 | 5 | 3 | 3 | 11 |
10 | ブラジル | 5 | 8 | 14 | 26 |
11 | コソボ | 5 | 2 | 3 | 10 |
12 | アメリカ合衆国 | 3 | 0 | 0 | 3 |
13 | ウズベキスタン | 2 | 2 | 10 | 14 |
14 | カザフスタン | 2 | 1 | 5 | 8 |
15 | イタリア | 2 | 0 | 5 | 7 |
16 | イスラエル | 1 | 6 | 10 | 17 |
17 | スペイン | 1 | 4 | 5 | 10 |
18 | キューバ | 1 | 2 | 5 | 8 |
19 | カナダ | 1 | 2 | 4 | 7 |
20 | オーストリア | 1 | 2 | 1 | 4 |
21 | ベルギー | 1 | 1 | 4 | 6 |
22 | ポルトガル | 1 | 1 | 3 | 5 |
23 | ギリシャ | 1 | 1 | 1 | 3 |
24 | ルーマニア | 1 | 0 | 4 | 5 |
25 | ウクライナ | 1 | 0 | 3 | 4 |
26 | 北朝鮮 | 1 | 0 | 0 | 1 |
27 | ハンガリー | 0 | 3 | 8 | 11 |
28 | イギリス | 0 | 2 | 4 | 6 |
29 | コロンビア | 0 | 2 | 1 | 3 |
チェコ | 0 | 2 | 1 | 3 | |
31 | スロベニア | 0 | 1 | 7 | 8 |
32 | エジプト | 0 | 1 | 4 | 5 |
33 | ベラルーシ | 0 | 1 | 1 | 2 |
クロアチア | 0 | 1 | 1 | 2 | |
チャイニーズ・タイペイ | 0 | 1 | 1 | 2 | |
36 | アルゼンチン | 0 | 1 | 0 | 1 |
タジキスタン | 0 | 1 | 0 | 1 | |
38 | ドイツ | 0 | 0 | 11 | 11 |
39 | トルコ | 0 | 0 | 5 | 5 |
40 | スウェーデン | 0 | 0 | 4 | 4 |
41 | ボスニア・ヘルツェゴビナ | 0 | 0 | 3 | 3 |
42 | ポーランド | 0 | 0 | 2 | 2 |
43 | アルジェリア | 0 | 0 | 1 | 1 |
ブルガリア | 0 | 0 | 1 | 1 | |
モルドバ | 0 | 0 | 1 | 1 | |
セルビア | 0 | 0 | 1 | 1 | |
チュニジア | 0 | 0 | 1 | 1 | |
UAE | 0 | 0 | 1 | 1 |
開催地一覧
関連項目
脚注
- ^ Sports and Organization Rules Edition July 2010
- ^ IJF Calendar - Update 06/03/2014
- ^ 柔道マスターズは中止 世界ランク上位者の大会 スポーツニッポン 2014年3月31日
- ^ IJF calendar 2015
- ^ World Masters - Rabat
- ^ 東京五輪の出場権争い 18年5月から2年間が対象に/柔道 サンケイスポーツ 2017年8月26日
- ^ マスターズ大会は22年まで中国・広州で開催/柔道 サンケイスポーツ 2018年6月6日
- ^ China Judo Association awarded IJF World Judo Masters from 2018 – 2022
- ^ 2023年世界選手権はドーハで開催/柔道 サンケイスポーツ 2018年10月24日
- ^ World Masters 2019 moved from Guangzhou to Shenzhen
- ^ Qingdao Masters 2019
- ^ 国際大会、10月再開 柔道 時事通信 2020年8月28日
- ^ 国際柔道連盟が12月のグランドスラム東京大会中止を発表 東京スポーツ 2020年9月23日
- ^ JUDO IS BACK! IJF
- ^ Jerusalem Masters 2022 IJF
- ^ Information World Masters
- ^ IJF - Events Overview 2013-2016
- ^ World Masters - Tyumen
- ^ 「IJFレフェリー&コーチ・ルールセミナー」近代柔道 ベースボールマガジン社、2019年3月号 23頁
- ^ Information
- ^ judobase.org
外部リンク
- スウォン ワールドマスターズ2010
- スウォン ワールドマスターズ