ヤマハポピュラーソングコンテストは、ヤマハ音楽振興会の主催で1969年から1986年まで行われたフォーク、ポップス、ロックの音楽コンテストである。略称「ポプコン」(POPCONとも)。後に年2回開かれるようになった。グランプリ優勝者には自動的にレコードデビューが約束され、世界歌謡祭の出場資格を得ることができた。もともと第5回まではプロを対象にしたコンテストで、アマチュア向けのプロへの登龍門として開催されるようになったのは第6回からである。
1970年代はフォーク・ニューミュージック、1980年代はニューミュージック全盛期であったが1980年代後半にかけてバンドブームの隆盛やロックへの移行傾向とともにこの名称での大会は終了。1987年以降は世界最大のアマチュアバンドコンテストBAND EXPLOSIONやTEENS' MUSIC FESTIVALに受け継がれ、さらに2007年には「MUSIC REVOLUTION」と名称を変更した。
大会の模様はフジテレビで編集版を放送していたほか、関連協賛番組として、『コッキーポップ』をフジテレビとのつながりが深いニッポン放送他、NRN地域基幹局を中心にネットしたラジオ版と、日本テレビ系列全国ネットで放送されたテレビ版が放送された。
沿革
- 1969年 - 「'69作曲コンクール」として初開催（後に第1回ポプコンと位置づけられた）。会場は三重県志摩半島のヤマハリゾート合歓の郷（ねむのさと）。
- 1972年 - 第4回大会より、コンテスト名称が「作曲コンクール」から「ポピュラーソングコンテスト」に変更。
- 1973年 - 年2回開催となり、5月に「第5回ポピュラーソングコンテスト」を開催。10月には第6回と「グランプリ大会」（この年のみ）を連続開催。
- 1974年 - 5月の第7回大会より会場を静岡県掛川市のヤマハリゾートつま恋に変更。
- 1984年 - 5月の第27回大会のみ東京都中野区にある中野サンプラザで開催（前年に起きたつま恋ガス爆発事故のため）。このため同大会に限り全国大会の名称を使用。10月の第28回大会以降は再びつま恋で開催された。
- 1986年 - 9月の第32回大会をもって終了。
- 1987年以降、TEENS' MUSIC FESTIVALと名称を変更。
司会
出場歌手
コンテストに出場、グランプリ、優秀曲賞、入賞、特別賞などを受賞し、デビューした代表的な歌手に、NSP、高木麻早（1973年）、谷山浩子、八神純子（1974年）、渡辺真知子、中島みゆき、因幡晃（1975年）、佐々木幸男（1976年）、、安部恭弘（1977年）、佐野元春、長渕剛、円広志、大友裕子（1978年）、チャゲ&飛鳥、クリスタルキング（1979年）、Side by Side（伊丹哲也、十川知司）(1980年) 、雅夢（三浦和人）、きゅうてぃぱんちょす（(杉山清貴&オメガトライブ)）（1980年）、伊藤敏博、アラジン（高原兄）（1981年）、あみん（岡村孝子）（1982年）、TOM★CAT、辛島美登里（1983年）、新居昭乃（1984年）、音楽家に寺嶋民哉、千住明などがいる。
また、受賞には至っていないが、1986年の第31回大会には岡崎律子が同級生2人と共に結成したアマチュアバンド『エレナー』名義で関東・甲信越大会とつま恋本選会に出場している。アマチュア時代の安全地帯も1973年の第6回から1977年の第13回まで（第11回を除く）北海道大会に出場し、1976年の第12回ではつま恋本選会に出場した。アマチュア時代のピンク・レディーも1974年の第8回東海地区大会決勝に「クッキー」というグループ名で出場している。大江千里も1977年に関西地区大会予選に出場したこともあったが、このときは世良公則&ツイストが全国大会に進出を果たした。田中マイミも1978年の第15回大会のつま恋本選会[1]に「田中真美」[2]名義で出場している[3]。
開始当初は「作曲コンクール」という名称であったが、1972年の第4回から「ポピュラーソングコンテスト」の名で、若者中心のコンクールに移行した[4][5]。1970年代の後半までは、フォーク系の楽曲が多かったが、1977年にグランプリを獲得した以降はロック系の楽曲が増えた[4][6][7]。ポプコンがスターの登竜門として華々しくなったのは、世良公則&ツイスト以降である[5]。
受賞
'69作曲コンクール(第1回)
- 1969年11月23日 合歓の郷ヤマハミュージックホール
- グランプリ（曲名／作詞／作曲／歌手）
- 入賞（曲名／作詞／作曲）
'70作曲コンクール(第2回)
- 1970年11月5日 合歓の郷屋内ホール
- グランプリ（曲名／作詞／作曲／歌手）
- 入賞（曲名／作詞／作曲／歌手）
- 編曲賞（曲名／作詞／作曲／編曲／歌手）
- 風の中、二人は…／西海枝淑子／西海枝淑子／山添貢／はつみかんな(しばたはつみ)
- 風の中にあなたが／梶浦恵子／梶浦恵子／橋口万砂光／小野階子
'71作曲コンクール(第3回)
- 1971年10月9日 合歓の郷野外ホール
- グランプリ（曲名／作詞／作曲／編曲／歌手）
- 入賞（曲名／作詞／作曲／編曲／歌手）
- 人は誰も恋を語る時／銘木章／古本貴子／東海林修／弘田三枝子
- 小さな恋だから／大場小百合／大場小百合／宮川泰／五代ゆう子
- お見合いのうた／世良基／西形美智子／福井利雄／平野レミ
- September Rain／-／八木節／青木望／ランプラーズ
- 太陽の忘れもの／中村裕子／中村裕子／(中川昌)／バンプス
- ひと夏の想い出／我谷和夫／佐藤健／服部克久／美樹克彦
- サルビアの花／早川よしお／早川よしお／ボブ佐久間／オフコース
- あなたを夢見て／杉本民子／杉本民子／大柿隆／岩渕リリ
- 君への不満オレの不満／小田健二朗／小田健二朗／かまやつひろし／かまやつひろし&ドボンエイドバンド
- あなたの手紙／有美子／阿部俊一／小谷充／大木康子
- 愛の始め／安井かずみ／田村博正／中野正次／藤田とし子
- あの娘と俺との／村田茂／渡辺滋生／藤尾正重／上条恒彦
- 作曲奨励賞（曲名／作詞／作曲／編曲／歌手）
- 愛の始め／安井かずみ／田村博正／中野正次／藤田とし子
- 編曲賞（曲名／作詞／作曲／編曲／歌手）
- 愛の始め／安井かずみ／田村博正／中野正次／藤田とし子
- 罪と罰／鹿倉義一／中村雅彦／中村雅彦／麻生レミ
- 歌唱賞（曲名／作詞／作曲／編曲／歌手）
- 川上賞（曲名／作詞／作曲／編曲／歌手）
ポピュラーソングコンテスト'72(第4回)
第5回ポピュラーソングコンテスト合歓本選会
第6回ポピュラーソングコンテスト合歓本選会
- 1973年10月13日 合歓の郷野外ホール
ポピュラーソングコンテスト'73グランプリ大会
- 1973年10月14日 合歓の郷野外ホール
- グランプリ
- さすらいの美学／伊勢功一&卍（まんじ）
- あなた／小坂明子（→'73第4回世界歌謡祭・グランプリ）
- 優秀曲賞
- 糸 ／高田真樹子
- すみれの花／岡本正とドボンエイドバンド
- さよならの世界／上条恒彦
- グランプリ
第7回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第8回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第9回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第10回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第11回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第12回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1976年10月3日 つま恋エキシビションホール
- グランプリ
- 鐘／ホワイトハウスII（セカンド）
- 優秀曲賞
- 朝が来ないうちに／キング・コング・パラダイス
- 流れ星／中川由乃
- ねえ、ピーター ／亜雲土
- 恋人が欲しくて／Cha Cha II（セカンド）
- 入賞
- 沈丁花／安部 勝巳とダニエル
- 伝言（ことづて）／奥山直美
- 悲雪／甲斐完治と季節風(甲斐完治は後にバンドやスタジオミュージシャンとして活動)
- 心帰郷（しんききょう）／雪の華
- 時は流れて／竹下俊子
- 私が愛した男（ひと）／水田真理
- 川上賞
- ブルドック・ハイウェイ／ラブ・サステイン
- グランプリ
第13回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1977年5月8日 つま恋エキシビションホール
第14回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第15回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1978年5月7日 つま恋エキシビションホール
- グランプリ
- 10月の汐吹は寒かった／U・U
- 優秀曲賞
- さよならのひとこま／小林雄二(作曲は山梨鐐平)
- 酒場のギター弾き／山川義幸
- 離別学（わかれがく）／ビナタス
- Do What You Like (勝手にしなよ)／佐野元春
- 入賞
- 白いページの中に／柴田まゆみ(後にデビュー)
- 目をとじて／ロブバード(後にデビュー)
- 巡恋歌／長渕剛とソルティードッグ
- シンガー／安岡孝章(アイリーン・フォーリーンとしてデビュー)
- 化石／川崎信宏とたっちゃんブラザーズ(作詞の阿里そのみは八神純子らに作品提供)
- サザンクロス／ドミノ
- サンセットストリート／よいこバンド
- 川上賞
- 大好きなあなたミスタールゥ／神門千鶴
- プラスティック・カウボーイ／佐藤弘子とロンサムスージー
- グランプリ
第16回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第17回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第18回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1979年10月7日 つま恋エキシビションホール
- グランプリ
- 大都会／クリスタルキング（→第10回世界歌謡祭・グランプリ）
- 優秀曲賞
- 酒もってこい／芝田洋一(後にデビュー)
- 哀歌／金子裕則
- おらが鎮守の村祭り／ジプシーとアレレのレ（後のスターダストレビュー）
- イン・マイ・カリプソ・ドリーミング／カリビアン・レヴュー
- 入賞
- そよ風の妖精／トゥインクル(後にデビュー)
- 倖せへの道／小山実(後にデビュー)
- 難破船／中川淳子
- ポパイズ・ブギ／オールマイティー・ブルースバンド
- 時のいたずら／福沢恵子
- 夢民（むうみん）／松永千鶴
- 川上賞
- 時のいたずら／福沢恵子
- 嵐／大谷絹子
- グランプリ
第19回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第20回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1980年10月5日 つま恋エキシビションホール
- グランプリ
- 愛を心に／エディ山本(第11回世界歌謡祭 最優秀歌唱賞、後にデビュー)
- 優秀曲賞
- 孤独のメッセージ／(キャデラックスリム)(後にデビュー)
- 恋するロリータ／トライアルスポット(小島恵理でデビュー)
- My Yesterday／MAHOY（マホイ）
- Here,don't cry／Shore Break (井伊英理)
- 入賞
- コーヒーハウスにて／相曽晴日
- 今夜もきめよう／ぴかぴか
- きらめく夏の君へ ／ジェントル・ハート
- Shy ナ Boy／ラズベリー・スロープ
- I'm not the スーパーマン／じぇいるはうす
- 川上賞
- 交通安全／若草児童会
- ホンキートンクウーマンブルース／オールマイティーブルースバンド
- 大阪 Country／須田あきらとMAXI MAX
- グランプリ
第21回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第22回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1981年10月4日 つま恋エキシビションホール
第23回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1982年5月16日 つま恋エキシビションホール
- グランプリ
- 優秀曲賞
- 入賞
- Again／プリティーパンパース
- 星空のティータイム／トワイライトゾーン
- クロージングタイム／彩
- 未来へファンタスティック／スィング
- まくらことば／藤田久美子
- 死化粧／川口雅子(後にデビュー)
- 思い出はプロローグ／チャウチャウ
- 川上賞
- 未来へファンタスティック／スィング
- I'm singing the blues for you／カルロス・トーレス&スィートドリームス
第24回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第25回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1983年5月15日 つま恋エキシビションホール
- グランプリ
- 冬の華／磨香(後にデビュー)（→第14回世界歌謡祭・グランプリ）
- フォリナー／小森田実&ALPHA
- 優秀曲賞
- 童未望（ドミノ）／鳥山あかね(後にデビュー)
- 花嫁／アベサチコ
- 遠すぎたアメリカ／佐藤良平
- 航海詩−夢追人のレクイエム−／松江川哲宏
- 入賞
- ミモザの風に揺れて／キャンサー
- アザミのマスター／ペパーミント
- ダブル・キャスティング・ゲーム／黒瀬智弘とステーションズ
- 時の中を／坂上詩
- 酒／OKAPON
- 1991／プラネットサイクル(後にデビュー)
- グランプリ
第26回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第27回ポピュラーソングコンテスト全国大会
第28回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1984年10月7日 つま恋エキシビションホール
第29回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第30回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
第31回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1986年5月11日 つま恋エキシビションホール
- グランプリ
- サイレント・シャウト／長原裕三(FLEXでデビュー)
- 優秀曲賞
- 美辞麗句／藤村篤志
- Friendship／Ronny Rucker
- パラダイス／千賀研治
- 入賞
- サヨナラだけは／Islamd(野見山正貴がデビュー)
- きんもくせいの頃／LEO
- 異国慕情／伊奈セクション
- 惚れて／陣内大蔵
- FEEL YOU／桑村達人 with MONDAY
- グランプリ
第32回ポピュラーソングコンテストつま恋本選会
- 1986年9月29日 つま恋エキシビションホール
- グランプリ
- 明日ゆきの列車／(小野健児)
- 金賞（シニア部門）
- 心冷たき弱気な戦士／立石慎太郎＆Genocide
- 金賞（ジュニア部門）
- おいでブランコリー／さそり座
- 銀賞（シニア部門）
- 哀しい…ダンス／PUMKIN HEADS
- パーティ ナイト／フィフティーズ(後にデビュー)
- 銀賞（ジュニア部門）
- もうひとつの17才／HEART BREAKER（後に鈴木哲彦がlittle by littleでデビュー）
- 夢を… 〜Believe〜／さくらさくら
- グランプリ
商標
「ポピュラーソングコンテスト」と「ポプコン」は商標として登録されている。
脚注
- ^ MD NEXT 第1回シンクロ率120%！?「ドン・キホーテのテーマ」と売場の深い関係 - 「この回の舞台には長渕剛と佐野元春が立っていた」と語っている。
- ^ MAIMI TANAKA OFFICAL WEBSITE - DISCOGRAPHY - 初期のアーティスト名は田中真美。
- ^ ポピュラーソングコンテスト 第15回(1978年) - 下段の「出場バンド」に名前あり。
- ^ a b スペシャル対談 Part1 小野崎孝輔 &田中克彦 〜世界歌謡祭・ポプコンを語る〜
- ^ a b “音楽の祭典「ポプコン」を熱く、語り尽くす 八神純子、渡辺真知子、NSP、因幡晃が約40年ぶりに大集結”. 週刊朝日. (2013年7月26日) 2013年8月20日閲覧。
- ^ ポプコンの流れを変えた「ツイスト」
- ^ 『一九七〇音楽人百科』 学習研究社、1994年、137頁
- ^ “第11回 ポピュラーソングコンテスト”. ヤマハ音楽振興会. 2021年10月12日閲覧。
- ^ “商標「ポピュラーソングコンテスト」の詳細情報”. Toreru商標検索. 株式会社Toreru. 2022年1月7日閲覧。
- ^ “商標「ポピュラーソングコンテスト」の詳細情報”. Toreru商標検索. 株式会社Toreru. 2022年1月7日閲覧。
- ^ “商標「ポプコン」の詳細情報”. Toreru商標検索. 株式会社Toreru. 2022年1月7日閲覧。
- ^ “商標「ポプコン」の詳細情報”. Toreru商標検索. 株式会社Toreru. 2022年1月7日閲覧。
- ^ “商標「ポプコン」の詳細情報”. Toreru商標検索. 株式会社Toreru. 2022年1月7日閲覧。
関連項目
外部リンク
- POPCON.JP 株式会社ヤマハミュージックパブリッシング
- ポピュラーソングコンテスト 全記録 ヤマハ音楽振興会