マクスウェル分布(マクスウェルぶんぷ、英: Maxwell distribution[1])とは、熱力学的平衡状態において、気体分子の速度が従う(分布関数)である。マクスウェル=ボルツマン分布(英: Maxwell–Boltzmann distribution[1])と呼ばれることもある。気体分子運動論により導かれたが、より一般化されたボルツマン分布からも導かれる。イギリスの物理学者J.C.マクスウェルが1859年に見いだしたことにちなんで名付けられた。
マクスウェル分布 確率密度関数
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累積分布関数
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母数 | |
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台 | |
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確率密度関数 | |
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累積分布関数 | erfは誤差関数 |
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期待値 | |
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最頻値 | |
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分散 | |
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歪度 | |
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尖度 | |
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エントロピー | |
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導出 気体分子運動論では、成分を vx, vy, vz とする速度ベクトル v について、x 方向の速度成分 vx の分布は、分子の質量を m、ボルツマン定数を k、絶対温度を T、係数を A として
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に従うことが知られており、この式は左右対称なつりがね状の正規分布になる。したがって、係数 A を求めるには vx に関して積分した値が1になれば良いので[2][3]
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より、A = √m / 2πkT となる。したがって、x 方向の速度成分 vx の分布は
-
となる[2][4]。
また、x, y, z 方向の各速度の分布は互いに独立で、
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が成り立つので、方向を指定しない3次元の速さ v の分布は
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となる[2]。ここで、dvxdvydvz は半径 v で厚さ dv の球殻の体積に相当するので、4πv2dv となり[5][3]、またスカラー量である速さ v の大きさは v = √v 2
x + v 2
y + v 2
z なので、マクスウェル分布は
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より
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となる[6][5][4][3]。
マクスウェル分布は(一般化ガンマ分布)(英語版)の一つである。
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速度分布
25℃における
希ガス中での分子の速さの分布をプロットした図
分子の質量が大きく温度が低いほど分布は密になり、分子の質量が小さく温度が高いほど分布は疎になる。
導かれる速度 マクスウェル分布からは3種類の速度が導出される。
まず1つ目の速度が英語で"The most probable speed"と呼ばれる速度で、日本語では「最大確率速度[3]」や「最確速度[5][7]」などと呼ばれるものであり、記号で vmp と表される。これは、マクスウェル分布の最頻値であり、グラフのピークを求めれば良いので[5]
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より[8]
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となる[5][8][9]。
次に求められる速度が(平均速度) v である。これはマクスウェル分布の期待値なので
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となる[5][8][9]。
最後に求められる速度が根二乗平均速度 vrms である。これはマクスウェル分布のモーメントなので
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となる[8]。
また、これら3つの速度の比は
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と表される[9]。
脚注参考文献関連項目
ウィキメディア・コモンズには、マクスウェル・ボルツマン分布に関連するカテゴリがあります。
外部リンク - 法則の辞典『(マクスウェル分布)』 - コトバンク
- 法則の辞典『(マクスウェル‐ボルツマンの速度分布則)』 - コトバンク
- 世界大百科事典 第2版『(マクスウェル=ボルツマン分布)』 - コトバンク
- 日本大百科全書(ニッポニカ)『(マクスウェル‐ボルツマン統計)』 - コトバンク
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