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トヨタ・G16E-GTS

トヨタ・G16E型エンジン > トヨタ・G16E-GTS

トヨタ・G16E-GTSトヨタ自動車が開発・製造する水冷直列3気筒DOHC12バルブターボガソリンエンジンである[3][5]。燃料は無鉛プレミアムガソリンを使用する[6]

トヨタ・G16E-GTS
GRヤリスに搭載されるG16E-GTS
生産拠点 トヨタ自動車下山工場[1]
製造期間 2020年7月27日 - 現在[1][注釈 1]
タイプ 直列3気筒DOHC12バルブ[1][2][3]
排気量 1,618 cc[1][2]
内径x行程 87.5 mm×89.7 mm[1][2]
圧縮比 10.5:1[1][2]
最高出力 272 (PS) (200 kW) / 6,500 rpm[1][2][4]
最大トルク 370 N⋅m (37.7 kgf⋅m) / 3,000 – 4,600 rpm[1][2][4]
(テンプレートを表示)

概要

GRヤリスの四輪駆動システム(GR-FOUR)に組み込まれるG16E-GTS(画像右側)[7]

世界ラリー選手権(WRC)の制覇を目指すGRヤリスRZ/RC系専用[6][8]に新開発された[9][注釈 2]、史上初のGRシリーズ専用設計のトヨタ内製エンジンである[11]。「(ダイナミックフォース・スポーツエンジン)」の初弾となる[10]総排気量1,618 ccの水冷直列3気筒DOHCターボエンジンであり[5]、通常のダイナミックフォースエンジンの流れを汲み、ダンブル流(縦の渦流)による高速燃焼、高効率、高い環境性能を意識した[12]設計がなされている[4]GRヤリスRS系に搭載されている1.5 Lの水冷直列3気筒DOHCエンジン「M15A-FKS」型や「M15A-FXE」型と気筒数は同じだが、モータースポーツでの使用を念頭に置いて設計されているため、ボアストロークが通常のダイナミックフォースエンジンと異なり、ややスクエア寄りのロングストロークである[5][13]排気量はWRCのホモロゲーションモデルとの繋がりを意識し、ラリー走行時の最大性能をrally2の上限排気量である1,620 cc以下で発揮できるように設計されたため、1,618 ccとされた[5]

メカニズム点においては、両カムに可変バルブタイミング機構の「VVT-i」を、燃料噴射装置は筒内噴射とポート噴射を使い分ける「D-4ST」を採用し[4]IC付きボールベアリングターボを装着している[4]

名称

G16E-GTS」の名称は、「G16E」が「G1.6 LのE型」という(エンジン型式)を示し、「GTS」のうち、「G」が高性能スポーツエンジンであることを、「T」がターボチャージャー装着エンジンであることを、「S」が直噴仕様エンジンであることをそれぞれ示している[14]

系譜

開発・製造

このエンジンはTOYOTA GAZOO Racing companyのパワートレイン部門にて開発が行われた[15]。ベースとなったエンジンはダイナミックフォースエンジンの(M15A型)であり、GRヤリス専用設計、ゼロベース開発としつつも[3]、そのベースエンジンに排気量の拡大を施したり、ボールベアリングターボを装着したりするなどして開発された[10]

開発経緯

当機はWRCのRC2クラスで勝てることをコンセプトにしたGRヤリス専用エンジン(登場当時)として開発が開始された[3]。トヨタのエンジン開発チームは、開発初期の段階で競技用エンジンの規定や使われ方を調べるべくヨーロッパにわたり徹底的な調査を行った[3]。すると競技用エンジンは4,500 - 6200 rpmの回転域を多用することが判明、加えてヤリスの競合車種を打ち負かすためには1クラス上にも優る動力性能が要求されることも判った[3]。また多品種少産を行う下山工場で生産を行うことなども踏まえ、TNGAエンジンからある程度切り離し、ゼロベース開発を前提としたGRヤリス専用エンジンの開発が開始された[3]

開発理念には豊田章男社長が求めた『モータースポーツから量産へ』『競技に耐えられる、ラリーで勝てるエンジン』を目標に掲げた[3]

まず、エンジンレイアウトは開発初期のうちから3気筒エンジンとすることが決定した[3]。これは排気干渉を起こさず、4気筒では必須のツインスクロールターボが不要であるレイアウトであったり、排気カムに可変動弁機構がなくとも中低速のトルクが出しやすいという特性があったり、4気筒と比較しエンジン重量を抑えられるなどの要素からターボエンジンの最適解とエンジン開発チームが判断したためである[3]

エンジンスペックはCAEやMBDを駆使し[注釈 3]ゼロベースから諸元設定を行った[3][11]。ボアストロークの設定は、出力の最大化を追求しある固定した排気量から6,000 rpm時に最適なボア径の算出から始まった[3]。このときの最適なボア径は87 - 88 mmであったが、車両搭載を考慮しボア径87.5 mmに設定した[3][注釈 4]。また、ストローク量は1,600 ccの排気量から逆算する形で算出されたが、途中から1,620 ccまでが許容範囲であることに気付いた開発陣は許容排気量全てを使い切る方向に舵を切り、最終的に89.7 mmのストローク量に設定した[3]。以上のボアストロークから求めた総排気量は許容範囲ギリギリの1,618 ccとなった[3]

バルブ径もボアストロークと同じくCAEを用いた開発が行われたが、通常、充填効率を求めると空気を多く取り入れるために吸気バルブ径の方が排気バルブ径よりも大きくなるところ、吸気バルブ径と排気バルブ径がかなり近い大きさになった[3]。これは当機がターボエンジンで排気を再利用できることや[3]、競技使用の際に吸気リストリクターの装着を義務付けられ吸気量に制限が掛かるため、吸気効率を求めるには排気バルブ径を大きくした方が伸び代があること[3]、また最大トルク(GRヤリス仕様)が発生する4000 rpm付近の回転域では吸気リストリクターによる吸気制限の影響が無いことが判明し、排気バルブの大径化によるレスポンス向上を見込んで開発したためにこのようになった[3]。その他ノッキング耐性や出力向上の観点から[11]、排気流量を増やすことを念頭に数値流体力学(CFD)解析及びCAE設計をした結果でもある[3][11]

シリンダーヘッドのポート形状は最適な形状を追求して開発を行い、特に排気バルブの大径化と対比した吸気機構の最適化で、吸気ポート形状がモータースポーツ用ではないトヨタの最新4気筒エンジンのものと似通ることとなった[11][注釈 5]

ピストンの軽量化は開発陣を最も苦労させた[3]。それは3気筒という気筒数が少ないエンジンレイアウトだと重量のアンバランスに繋がり、振動抑制が厳しくなるにもかかわらず、高出力にも耐えられる軽量なピストンを作らなければならないためである[3]。これはトヨタ自動車が持つ技術の全てを注ぎ込み、トヨタ自動車の2Lクラスのエンジン((8AR-FTS))と同様の重量に抑えることで解消した[3]。具体例を挙げると、トップリングの溝にニレジスト鋼を挿入したり、ピストンピンにDLCを塗布したり、ピストン表面に強度増強のためのショットブラストを掛ける、スカート部に樹脂コーティングを施しフリクション軽減を行うなどの加工をしている[3]

ターボチャージャーは2Lエンジンサイズの大型でボールベアリング支持のものを採用した[3]。ボールベアリング支持にした理由はモリゾウ(豊田章男社長)がテストドライバーとして開発に携わっていた際に「野性味が足りない」というフィードバックを送り、フィードバックを受け取った開発陣がダイレクト感を要すと判断して採用した[3]。これにより、無駄な渦の抑制、コンプレッサーホイールのチップクリアランスの最適化、吸気の高効率昇圧が達成された[3]

また、エンジン製造時にも工夫を凝らしており、異物管理を徹底するためにライン内には関係者以外の立入を禁止する、手組みで組立てを行いピストン、ピストンピン、コンロッド重量のずれの許容範囲をトヨタ自動車従来基準の2分の1に設定するなど厳しい品質管理を行っている[3]

製造・生産

製造生産はトヨタ自動車の下山工場で、シリンダーブロックを始め鋳物部品の鋳造はトヨタ自動車の上郷工場で行われており[1][3] 、下山工場で「匠」と呼ばれる熟練工が製造した証に「 G  R  SIMOYAMA  匠 」と書かれた品質証明のエンブレムが貼られている[1]。また、エンジン生産は専用ラインを使用せず通常の混流生産ラインを用いて行われており、不純物混入を防止する対策や、高精度に組み上げる技術などさまざまな工夫をして、レーシングエンジンに近い高精度さながらも通常ラインでの量産を実現している[1]

性能

乾燥重量は109 kgで、圧縮比が10.5、最高出力272 PS(6,500 rpm時)と最大トルク370N・m(3,000 - 4,600 rpm間)を発生し[2]、1L当たりの馬力は168.11 PSを発揮する[16]。加えて、純正でBMEPが28.7barほど掛けられ、2020年時点において国産エンジン最大値の26.6barを発揮したスバルEJ20型エンジンをも上回る数値を叩き出している[17]加速、最高時速はGRヤリスに搭載される場合、0 - 100 km/h加速は5.5秒以下、最高時速は230 km/hを実現する[18]。また、このエンジンは初登場時から、世界最高レベルに高出力な3気筒エンジンとして知られている[18]

GRカローラ

 
当機を搭載するGRカローラRZ
 
GRカローラに搭載された当機

2022年4月1日に発表された「GRカローラ」搭載エンジンにおいては、GRヤリスに搭載されている当機に3本出しマフラーを採用し排圧低減や消音性の向上など排気系の強化、さらにピストンの材質変更、過給圧の強化等のチューニングを行ったため最高出力 304 (PS) (224 kW) / 6500 rpm、最大トルク370 N⋅m (37.7 kgf⋅m) / 3000 – 5550 rpmを発揮している[19][20][21][注釈 6]

耐久性・チューニング

エンジン本体、ターボが純正状態のままでECUチューニング[注釈 7]のみの場合、過給圧が2.3kgf/cm²時に最高出力410 PS / 最大トルク62 kgf・mを絞り出すことができる[22]

また、チューニング用のアフターパーツ開発を手掛ける企業『HKS』によるチューニング、またはチューニングパーツの開発がなされている[23]

HKSによるチューニングパーツ開発は3台のGRヤリス(G16E-GTS型エンジン搭載車)を使用しており、そのうち1台は「HKS レーシング パフォーマー GRヤリス」というサーキット仕様車として、他の2台はストリート仕様としてチューニングされ、G16E-GTS型用チューニングパーツ開発の足掛かりに使用している[23]。このうち、主軸となるチューニングはサーキット仕様車を用いたものであり、エンジンの限界性能を探ることを目的に試行されている[23]

エンジンの限界性能を探るためにHKSの開発陣はエンジン本体をノーマルのままタービン交換を行い、過給圧を2.3kgf/cm²まで引き上げた[23]。このとき、G16E-GTS型は450 PSを出力しており、開発陣は「通常はここまでのパワーアップを行うと何かしらの損傷トラブルが起こる」と想定し、その損傷した部分を強化する部品を開発しようとしていたが、実際は全くの無傷であった[23]

これほどチューニングを施してもエンジンが損傷しなかった理由として開発陣は「市販車とは思えないほど高品質なピストンコンロッドが使用されている」と述べた[23]。このためエンジンを損傷させることが出来ず、HKSの商品開発が進行しないため、現状ではエンジン本体をノーマル状態で使用している[23]。また、純正部品の段階で各部品がかなり軽く開発陣は「アフターパーツメーカーとしては開発が大変」、「アフターパーツメーカー泣かせ」と述べる一方で、トヨタ自動車に対し

細部の作り込みや部品を検証していくと、よくトヨタはこんなに軽くクルマを作れたな、この値段で実現したな、と思いますよ!それにチューニングしがいのあるクルマを出してくれてありがとうという気持ちです
GAZOO、【ワクワクが止まらない!GRヤリスの世界】アフターパーツメーカー『HKS』開発最前線!どれだけ追い込んでも“壊れないエンジン”の強度と耐久性に驚愕!

と感嘆のコメントを残した[23]

構造・機構

ヘッド・カムバルブ・インジェクター

シリンダーヘッドは軽量化のためにアルミブロックであり[13]、冷却水の流れを加速させるためウォータージャケットを2つに分割[2]。吸排気動弁機構はDOHCを採用し、タイミングチェーンにより駆動する[2][3]。また、DOHCながら油圧式ラッシュアジャスターが採用されている[2][注釈 8]

カムシャフトはトヨタ自動車が独自に開発した鋼製の中空組立カムシャフトを採用し[3]、軽量、高レスポンス化を行っている[3][13]。両方のカムシャフトに可変バルブタイミング機構のVVT-iを装着し[5]、吸気側が70°まで、排気側が41°までの可動範囲でバルブタイミングを制御する[2]

カムキャップは2階建て構造を採用しており、M15A型に比べ2kgの軽量化を達成[3]。タイミングチェーンカバーの構造変更[注釈 9]も行い、同じくM15A型に比べ1kgの軽量化を更に達成している[3]

(バルブ)関連ではダイナミックフォースエンジンの特徴であるレーザークラッドバルブシートを使用せず、バルブシートを工夫して打ち込んでいる[4]。これはダイナミックフォースエンジンと同様に高ダンブルでの高速燃焼を実現しつつも、シートの打ち換え等メンテナンスカスタマイズチューニングでの扱いにくさを解消するためである[4]。バルブ径は吸気側が直径32.8 mm、排気側が直径32.0 mmで吸気バルブと排気バルブの大きさが近く、他のエンジンと比較し排気バルブ径が大きいものとなっている[3][注釈 10]。この設計でダンブル流の強度とバルブ径を最適化したことによって燃焼速度が向上した[11]

インジェクターは(ポート噴射)・直噴を併用する「D-4S」のターボ版、「D-4ST」を採用している[2][5]。このインジェクターは、低中回転域に複合噴射を行い、高回転域は直噴のみの噴射になる[2]。また、運転状況に応じて2.4 - 20 MPaの範囲で噴射圧が制御される[2]。この制御の働きで低中回転域での安定的な運転や高負荷運転時のノッキング抑制が可能になる[2]

エンジンブロック

シリンダーブロックは(排気干渉)が少なくターボタービンが効率良く回せる直列3気筒の形状を取る[5][26]気筒内径×行程は87.5 mm×89.7 mm[2]、1気筒当たりの容積は約539.1 ccである[27]

ブロック本体の材質は軽量化の為にアルミニウムが用いられ[13][26]、製造法にアルミダイカストを採用することでエンジン全体での乾燥重量を109 kgに抑えるなどかなりの軽量化を達成している[2][13]。ブロックがアルミ製であるため鋳鉄ライナーが挿入されており、ブロック内側の特殊な粗面と噛合して強く固定されている[2]。この挿入されている鋳鉄ライナーは高出力を発揮する高負荷回転時の耐久性や剛性を高める為に肉厚なものを採用している[26]

冷却水冷式でウォータージャケットが浅底化、オープンデッキ状になっている[注釈 11]。この浅底構造をしたウォータージャケットはトヨタ自動車では初採用であり、同じくトヨタ製3気筒エンジンのM15A型ブロックなどと比較して、ジャケット横の肉を抜けるなど軽量化に大きく影響を与え、それに加えてスポーツ使用下の高燃焼荷重にも耐えられるブロック構造の支持にも貢献している[3][注釈 12]。また、オイルレベルゲージがブロック内部に作られておりブローバイガス通路としても機能している[2]

ピストン・コンロッド・クランク

コネクティングロッド鍛造品が用いられ、クランクシャフトは4つの回転軸バランスウェイトから構成される[2]。ピストンとクランクシャフトには高精度な加工が施され徹底的な軽量化、レスポンスの追求がなされている[3][13]。また、ピストンがシリンダー壁に押し付けられないようにクランク軸とピストン軸を10 mmほどずらして横方向の力を軽減している[2]

ピストンはアルミ製のT字の形状をとる[2]。ピストン上部の溝山はニレジスト鋳鉄製で、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)が塗布されている[2][3]。ピストンスカート部分にはポリマーコーティングが施されている[2][3]

またクランクシャフトの直下にA25A-FKS型エンジンやM20A-FKS型エンジン、M15A-FKS型エンジンと同様にアイドリング時の振動対策としてバランスシャフトが組み込まれている[2][3][5]。このバランスシャフトはM15A型とは異なる締結構造を用いており高剛性化を行っている[3]

ターボ・点火・補機

フリクション軽減やレスポンスの向上のため、ターボのタービンセラミックボールベアリングを採用している[3][13]インタークーラーはラリーでのメンテナンス性を考慮して空冷式である[2]。なお、『RZ“High-performance』には冷却スプレー機能が追加装着されている[2][17]。また、純正状態でBMEP(正味平均有効圧力)が28.7barも掛かっていて、近年[注釈 13]の国産エンジンとしては異例である[17]

点火系にはダイレクトイグニッションが採用され、一つの気筒に対し一つのダイレクトイグニッションコイルが備わる[2]点火プラグにはイリジウム合金製でプラチナコーティングが施されている先端電極を採用[2]。点火順序は1番気筒→2番気筒→3番気筒の順である[2]

空燃比センサー冷寒時排ガス低減を行うために新開発品が採用されている[29]。当機が開発される以前のトヨタ自動車の空燃比センサーは氷点下で数分、25℃の平常気温で10秒ほど始動が出来ない時間があったが、当機の排ガス浄化性能を向上させるためトヨタとデンソーが共同で新開発した空燃比センサーを使用し、始動不可の時間を3 - 5秒ほどに短縮。トヨタの従来型空燃比センサーを搭載するエンジンと比べ一酸化炭素炭化水素を冷寒時は約50%、25℃時は20%削減している[29]

冷却ファンはコントロールユニットの制御で動作し、水温や車速、エンジン回転に応じて無段階的に制御される[2]。また、オイル潤滑装置は一般的な形状をとり、クランクシャフトからチェーンを介して駆動される[2]

その他補機などはM15A型エンジンやA25A型エンジンと同様なものが採用されている[2]

水素仕様

水素カローラ

水素燃料エンジンを搭載したカローラスポーツ富士24時間レースに投入された[30]。このエンジンはカーボンニュートラル内燃機関のままで達成するために試験的に開発され[30]、G16E-GTS型を水素仕様に改造する形で造られている[31]。主にインジェクターと点火プラグが水素用に取り替えられている[31]。この水素G16E-GTSは航続距離燃費面で課題があるため、これからも研究が続けられる[31]

2021年12月現在においては最高出力と燃費性能が大幅に改善され、最高出力は富士レース時の258 PS程と比べ24%向上して300 PSを発揮、最大トルクは同じく富士レース時の300 - 308 N・m程と比べ33%向上した390 - 400 N・mを叩き出した[32]。馬力と燃費性能が大幅に向上した大きな要因は水素の噴射、過給圧圧縮圧の改善による燃焼改善である[32]。具体的には異常燃焼の制御、混合気をダンブル流に乗せてより多くの水素を噴射することなどである[32]。また、水素を多く吹いて最高出力と最大トルクを稼いでいるが、リーン燃焼を行い富士レースと同等の燃費を達成している[32]

GRヤリス H2

水素カローラに続き、GRヤリスでも水素仕様のテストレーシングカーが発表された[33]。水素カローラ同様にインジェクターと点火プラグが水素仕様に変更されている[33]

1.4L仕様

2021年11月13日にスーパー耐久に投入する(GR86)用に開発された合成燃料対応の直列3気筒1.4 Lターボエンジンが発表された[27]。このエンジンはG16E-GTS型のストローク縮小版でありボアストロークが87.5 mm×77.0 mmに設定されている[27]。これは往年の4A-GE型エンジンのストローク量と同じになっている[27]

搭載車種

脚注

[脚注の使い方]

出典

  1. ^ a b c d e f g h i j k l “”. WEB CARTOP (2020年9月30日). 2022年4月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月15日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag “”. TOYOTA-CLUB.NET (2020年10月20日). 2021年11月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月15日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au 『Motor Fan illustrated Volume174 図解特集 直3 vs 直4』Motor-Fan、2021年3月15日、46 - 51頁。ISBN (978-4-7796-4352-1)。 
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  5. ^ a b c d e f g h “”. motor-fun (2020年7月14日). 2021年12月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月15日閲覧。
  6. ^ a b “” (PDF). TOYOTA. 2022年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年12月15日閲覧。
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  8. ^ “” (PDF). TOYOTA (2020年). 2022年1月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年1月10日閲覧。
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注釈

  1. ^ G16E-GTSの生産拠点である下山工場では、GRヤリスのラインオフ式より約4週間先立って2020年7月27日にラインオフ式を執り行った[1]
  2. ^ なお、このエンジンのベースはM15A型であり、M15A型に排気量拡大を施す、ボールベアリングターボを装着するなど、ベースエンジンを拡張的に進化させる開発により誕生した[10]
  3. ^ 設計諸元の最適解の大半を殆どMBDだけで導き出したほど[11]
  4. ^ このボア径はA25A型と同じではあるが、結果的なものでありA25A型との関係性はない[3]
  5. ^ その最新4気筒エンジンと全く同じ形状というわけでは無く吸気ポートに機械加工を施し複雑かつストレートな形状を作り出していることや、ペントルーフ形の燃焼室に真っ直ぐ繋げるようポート角を調整していること、吸気ポートのサイアミーズ分岐部を短くしていることなどと細かい部分に違いが設けられている[3][11]
  6. ^ GRカローラモリゾウエディションの最大トルクはRZよりさらに向上し400 N⋅m (40.8 kgf⋅m) / 3250 – 4600 rpmとなっている[19]
  7. ^ ここではモーテックのM142型ECUを使用[22]
  8. ^ DOHCに油圧式ラッシュアジャスターが採用された例として、トヨタが初めて独自開発したDOHCエンジン(5M-GEU)が挙げられる[24][25]
  9. ^ M15A型は1枚で構成されているのに対し当機はチェーンカバーを上下2枚に分割した構成である[3]
  10. ^ ただし、吸気側のバルブにもバルブ径を極力大きくするなどの追求を行ったり、レーザークラッドバルブシートを採用せずともダイナミックフォースエンジンさながらの効率及びダンブル流を実現することを求めたりして偏心バルブシートを圧入するなどの工夫がされている[3]
  11. ^ シリンダーブロック上端部の水路孔が1つに繋がっている形[28]
  12. ^ なお、この浅底ウォータージャケットはウォータージャケット底部に肉厚な部分ができるため鋳巣が出来易くなるという課題があったが、G16E型ブロックを鋳造しているトヨタ自動車の上郷工場でシミュレーションや試行を繰り返し行い鋳造条件の最適化をすることによって解決した[3]
  13. ^ 2021年現在から数えた近年。

参考文献

  • Motor-Fan 編『Motor Fan illustrated Volume174 図解特集 直3 vs 直4』三栄、2021年3月15日、46 - 51頁。ISBN (978-4-7796-4352-1)。 

関連項目

外部リンク

  • “”. TOYOTA. 2022年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月9日閲覧。
  • “”. TOYOTA (2020年1月10日). 2021年8月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月9日閲覧。
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