トヨタ・D-4(Direct Injection 4-Stroke)は、トヨタ自動車が開発したガソリン直噴エンジン技術。
歴史
D-4は1996年(平成8年)に3S-FSEに搭載される形で登場した。その後、新たな燃焼コンセプトとして1999年(平成11年)には「第二世代D-4燃焼系」が2JZ-FSEに採用され[1]、その後のD-4エンジンに適用された。第一世代と第二世代の大きな違いとしては、第一世代では燃料の噴霧形状は円錐状であったが、第二世代では貫徹力の高い扇状の噴射を行うファンスプレーとし、ピストン頂部に凹みを作り貝型の燃焼室にした点などがある。この頃のD-4は三菱自動車の『GDI』と同様にリーンバーン(希薄燃焼)を前提とした技術で、高負荷域を苦手とした。このため低負荷域をモーターに任せるTHS-Ⅱ採用車には用いられていない[2]。1JZ-FSEおよび2JZ-FSEエンジンにおいては長時間のアイドリングなど特定のエンジン回転域を多用されるような運転により、インテーク側にカーボンが徐々に堆積して吸気の流れが変化し、アイドル不調が発生することがあり、当該現象については保証期間が5年または10万Km以内から9年以内に延長されている[3]。
2004年登場の3GR-FSEではストイキ(理論空燃比)での直噴が可能になり、これらの弱点を克服した[4]。
2005年にはレクサスGSの2GR-FSE(V型6気筒 3.5L)で、世界で初となる直噴と(ポート噴射)の2つを採用し、これらを状況に応じて使い分ける『D-4S』を開発。高度で複雑な制御を要するが、低負荷域をポート噴射、ノッキングの恐れのある高負荷域を直噴にすることで出力と低燃費の両立を目指した。また排気再循環により燃費を向上させるにあたり、吸気インジェクターに残る直噴の煤がネックとなっていたが、ポート噴射で洗い流すことでこれを解決した。D-4と違い、D-4Sは上位車種のTHS-Ⅱ車にも採用されている。
2012年にはターボエンジン向けの『D-4T』を開発し、現代的なダウンサイジングターボと組み合わせた直噴技術を実現。2014年にはD-4Sのターボ版である『D-4ST』が登場している。
該当エンジン
- (8NR-FTS)(1200)☆
- G16E-GTS(1600)☆
- M15A-FKS(1500)◎
- 3S-FSE(2000)※ 1AZ-FSE(2000)※/2AZ-FSE(2400)※⇒M20A-FKS(2000)◎/A25A-FKS(2500)◎
- 1JZ-FSE(2500)※/2JZ-FSE(3000)※⇒2GR-FSE(3500)★世界初のD-4S搭載/3GR-FSE(3000)※/4GR-FSE(2500)※
- URエンジン⇒1UR-FSE(4600)★/2UR-FSE(5000)★/2UR-GSE(5000)★
※はD-4、★はD-4S、☆はD-4ST、◎はD-4S(M15A-FKSのみD-4)を採用したダイナミックフォースエンジン
搭載車種
脚注
- ^ 外部リンク参照
- ^ 内燃機関超基礎講座 | トヨタ・プリウスとHEV用エンジンの20年【上】 Motorfan 2021年5月15日閲覧
- ^ https://toyota.jp/recall/kaisyu/071101.html クラウンなど8車種 1JZ-FSEおよび2JZ-FSEエンジンの保証期間延長 2008年
- ^ トヨタGRエンジン:直噴&ポート噴射併用“D-4S”の嚆矢、アルファード/ヴェルファイアも採用 Motorfan 2021年5月15日閲覧
関連項目
外部リンク
- “直噴ガソリンエンジンの開発経過”. トヨタ自動車 (2001年12月). 2009年2月4日閲覧。
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