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キクイモ

キクイモ(菊芋[2]学名: Helianthus tuberosus)は、キク科ヒマワリ属の多年草[3]。別名はアメリカイモ、ブタイモ、カライモ(唐芋)、サンチョーク、エルサレムアーティチョーク、トピナンブール[4][5]北アメリカ原産で[3]、世界中に外来種として分布している。夏に黄色い花を咲かせ、地中にできる塊茎は食用になる[6]

キクイモ
キクイモの花(2001年9月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : キク亜綱 Asteridae
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: ヒマワリ属 Helianthus
: キクイモ H. tuberosus
学名
Helianthus tuberosus L. (1753)[1]
和名
キクイモ、ブタイモ
英名
Jerusalem artichoke

名称

「キクイモ」の和名は、菊に似た花をつけ、地下に芋(塊茎)ができ、それを利用するところから名付けられた[7][8]中国名は「菊芋」(洋姜)[1]

エルサレム・アーティチョークは英名 Jerusalem artichoke に由来する。Jerusalem はイスラエルの都市エルサレムのことだが、この植物との関わりはない。もともと、古いイタリア語ではキクイモを Girasole Articiocco(ジラソーレ・アルティチョッコ)と呼んでいた。「ヒマワリ・アーティチョーク」の意で、ヒマワリとは花が、アーティチョークとは味が似る。この Girasole をジルーサウルと発音して Jerusalem(ジュルーサラム)と混同し、英語で Jerusalem artichoke というようになったとする説がある[9]

分布と来歴

北アメリカ北部から北東部を原産地とする[10]カナダ東部とアメリカ合衆国北東部には野性があり、ヨーロッパ人が移入する以前からアメリカインディアンは栽培していた[11]

南アメリカヨーロッパアジア日本を含む)、オセアニアに移入分布する[3]。ヨーロッパへは17世紀初めに伝わり、ジャガイモ栽培に向かない乾燥地や痩せ地で重要な農作物になり、比較的短期間で一般的な野菜になった[11]。現在は、アメリカよりもヨーロッパのほうが栽培の主流となっている[11]

日本には江戸時代末期に飼料用作物として伝来し、日本全国の空き地や荒れ地で野生化している[12]。1850年代から1860年代に初めて導入され、全国に定着が拡大している[3][10]。農学者の津田仙は、文久初年に渡来したと明治9年に記録している[11]。一説には、文久3年(1863年)に、横浜に入港したアメリカ船の船員がキクイモを棄てたものが発芽し、これが日本における栽培の始まりとする説もある[11]明治初年に導入されたキクイモでは、北海道でブタイモ(豚芋)とよんで飼料用に栽培していた[11]。特に葉は飼料用として価値が高かったが、芋は家畜の腸内で発酵してまうことから大量に与えてはいけないという理由がつけられ、その後は栽培されなくなった[11]。栽培されているもの以外に、第二次世界大戦中に加工用や食用として栽培されたものが野生化したものもある。北海道では、函館本線沿線に自生しているものがみられる[11]。果糖とアルコール製造原料として北海道と長野県で栽培されてきたが、近年では栽培が少なくなっている[11]

特徴

宿根草で、草丈1 - 3 メートル (m) と大きくなる[3][13]。茎は直立して、太さ3センチメートル (cm) ほどになり、よく分枝して茂る[7][12]は先のとがった卵状の長楕円形で、長さ20 - 30 cm、葉と茎には荒毛がある[12][7]。茎の下部の葉は対生し、茎の上部の葉は互生する[12]。茎や葉に小さな刺がある。繁殖力は強い。

花期は秋(日本では9 - 10月ごろ)[7]短日植物で、に似た黄色い花を多数つけ、直径4 - 10センチメートル (cm) の一重の頭状花が咲く[7]。開花直前に茎葉が急速に生い茂るようになり、地下の節から長い匍匐茎を出して、その先にサトイモに似た塊茎を多数作る[12][7]。塊茎は厚さ3 - 6 cm、長さ7 - 10 cmほどの凸凹した不整形で、芽の部分は隆起する[7]。品種によってイモの大きさは変わり、外皮の色で、赤系と白系や、黄色、紫赤色のものがある[7][2]。地上部は降霜には弱いが、塊茎はかなりの低温でも耐える[7]

本種と花がよく似ている(キクイモモドキ)(w:Heliopsis helianthoides)という植物がある。

栽培

欧米では実生により多くの品種が育成され、市販もされていた[7]。日本の北海道では白色群、紫色群と「喜久芋」があり、特に「喜久芋」は他の品種より経済的栽培に適する品種とされた[7]。現在、日本の各地で栽培されているキクイモは少量で、その品種は明らかではない[7]

キクイモは栽培条件となる気候と土壌に要求される条件が少なく、畑地を選ぶことも少ない[7]。欧米ではジャガイモ栽培が不適とされる土地で、キクイモの栽培が行われている[7]。収量については連作すると劣るといわれ、痩せ地よりも肥沃で保水力のある(砂壌土)の畑のほうが優れている[7]。キクイモの生育期間は長く、種芋の植え付けを春に行い、萌芽後は夏以降に匍匐茎が地中にのびて、秋の開花後に塊茎が肥大化して晩秋の霜が降りるころにその塊茎を収穫する[7]。種芋植え付け前の畑は、堆肥を元肥としてすき込むと望ましいとされるが、ジャガイモより施肥量は少なくてよいとされる[7]。収量は10アール (a) あたり1.5 - 3トン (t) ほどが採れ、肥沃地では2.5 - 3 t、痩せ地でも1 t前後とされる[7]

利用

 
エルサレムアーティチョーク
きくいも 塊茎、生[14]
100 gあたりの栄養価
エネルギー 147 kJ (35 kcal)
14.7 g
デンプン (2.8) g
食物繊維 1.9 g
0.4 g
1.9 g
ビタミン
チアミン (B1)
(7%)
0.08 mg
リボフラビン (B2)
(3%)
0.04 mg
ナイアシン (B3)
(11%)
1.6 mg
パントテン酸 (B5)
(7%)
0.37 mg
ビタミンB6
(7%)
0.09 mg
葉酸 (B9)
(5%)
20 µg
ビタミンC
(12%)
10 mg
ビタミンE
(1%)
0.2 mg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
1 mg
(カリウム)
(13%)
610 mg
(カルシウム)
(1%)
14 mg
(マグネシウム)
(5%)
16 mg
(リン)
(9%)
66 mg
(鉄分)
(2%)
0.3 mg
(亜鉛)
(3%)
0.3 mg
()
(9%)
0.17 mg
他の成分
水分 81.7 g
水溶性食物繊維 0.5 g
不溶性食物繊維 1.4 g
ビオチン(B7 3.7 µg

ビタミンEはα─トコフェロールのみを示した[15]。廃棄部位: 表層。エネルギー: 暫定値
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。

主に塊茎を食用にするが、春に出る若い苗も食べられる[12][13]。採取時期は、若苗が4 - 6月ごろ、塊茎は秋から冬とされる[12]。若苗は、茹でて和え物おひたし炒め物にしたり、生で天ぷらにする[12]。塊茎は、輪切りにしてから酢水につけて灰汁抜きし、サラダ甘酢漬け、生のまま天ぷらにしたり、味噌漬けにしたものが市販されている[12]。キクイモの味は甘味と独特の香りと歯触りがあり、特殊な味が万人向けの食品ではないとする意見もあるが、各種の漬物に適しており、皮を剥いて、酢漬け・醤油漬け・かす漬け・煮物などにすると味が良くなる[7]。東南アジアやヨーロッパでは、シチューパイにするなど、各種の料理法が工夫されている[7]

さらに、ブタなどの家畜の飼料とするほか[13]果糖の原料にもされてアルコール製造の原料にされる[11]

塊茎に含まれる主成分は炭水化物で、その大部分が多糖類イヌリンを含む食物繊維であり[2]、生の菊芋には15 - 19 %のイヌリンが含まれる[11]。通常の類と異なり、デンプンはほとんど含まれない。わずかにタンパク質アルカロイドを含み、イヌリンの含有量は晩秋のころに最高となる[11]。イヌリンはキク科植物に特有の貯蔵多糖類で、デンプンと違い温水に溶け[11]、消化によってオリゴ糖の一種(キクイモオリゴ糖)(イヌロオリゴ糖)となるため、腸内環境を整えて消化吸収をよくする[2]。また、血糖値の上昇を抑えて、糖尿病予防にもよいといわれている[2]

岐阜県恵那市岩村町では、砂地が栽培に適していた為に1987年頃から本格的な栽培が始まった[16]。同市では菊芋の味噌漬けや粕漬けが名物として販売されている[16]長野県下伊那郡泰阜村阿智村熊本県阿蘇郡小国町熊本県菊池市神奈川県藤沢市では、キクイモを用いた地域振興をしている[5][17][18][19]

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Helianthus tuberosus L. キクイモ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年1月7日閲覧。
  2. ^ a b c d e 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、127頁。ISBN (978-4-415-30997-2)。 
  3. ^ a b c d e “キクイモ”. 侵入生物データベース. 国立環境研究所. 2022年10月12日閲覧。
  4. ^ “キクイモ”. みんなの趣味の園芸. NHK出版. 2022年10月12日閲覧。
  5. ^ a b “(市民の皆様へ)菊芋・ヤーコンを作ってみませんか?”. 菊池市 (2022年9月22日). 2022年10月12日閲覧。
  6. ^ 小林義雄 著、相賀徹夫 編『万有百科大事典 19 植物』1972年。 
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t 農文協編 2004, p. 58.
  8. ^ 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN (4-7980-1485-0)。 
  9. ^ James Edward Smith "An Introduction to Physiological and Systematical Botany" (1807), p108注。(2011年6月21日閲覧)。現代のイタリア語でキクイモは topinambur、アーティチョークは carciofo だが、ジェノバ地方では アーティチョークのことを articiocca という。
  10. ^ a b 多紀保彦(監修) 財団法人自然環境研究センター(編著)『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN (978-4-582-54241-7)。 
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m 農文協編 2004, p. 57.
  12. ^ a b c d e f g h i 高橋秀男監修 2003, p. 38.
  13. ^ a b c “キクイモ(菊芋)(キク科ヒマワリ属)”. 野田市 (2019年8月8日). 2022年10月12日閲覧。
  14. ^ “日本食品標準成分表2015年版(七訂)”. 文部科学省 (2015年12月25日). 2022年10月12日閲覧。
  15. ^ “「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書”. 厚生労働省 (2014年3月28日). 2022年10月12日閲覧。
  16. ^ a b “きくいも”. 岐阜の極み. 岐阜県農政部農産物流通課. 2022年10月12日閲覧。
  17. ^ “地域再生等担い手育成支援事業実績報告書” (PDF). 国土交通省 (2007年). 2022年10月12日閲覧。
  18. ^ 「阿智村でキクイモ寄せ豆腐開発」『南信州新聞』、2010年8月21日。2022年10月12日閲覧。
  19. ^ “藤沢メディアプロモーションBOOK” (PDF). 藤沢市. p. 17 (2020年). 2022年10月12日閲覧。

参考文献

  • 高橋秀男監修 田中つとむ・松原渓著『日本の山菜』学習研究社〈フィールドベスト図鑑13〉、2003年4月1日、38頁。ISBN (4-05-401881-5)。 
  • 農文協編『野菜園芸大百科 第2版 20:特産野菜70種』農山漁村文化協会、2004年3月31日、57 - 59頁。ISBN (4-540-04123-1)。 

関連項目

外部リンク

  • 菊芋・キクイモ・きくいも:旬の野菜百科
  • 菊芋のレシピ
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