TSR(ティーエスアール)は、日本のオートバイレーシングチームである。現在の名称はテクニカルスポーツレーシング(Technical Sports Racing)の頭文字からきている。
概要
運営母体は三重県鈴鹿市のホンダワールド株式会社で、オートバイショップの店舗名とレーシングチームの名称に『TSR』を使用している。
レース活動以外でも公道車両販売部門により、マフラーやバックステップなどオートバイのカスタマイズパーツの販売、公道用車両の販売、各種整備などを手掛けている。
レース活動
1980年代から1990年代にかけてテクニカルスポーツのチーム名で、ホンダ系の有力(プライベーター)として全日本ロードレース選手権、鈴鹿8時間耐久ロードレースに参戦。1991年には上田昇とともにロードレース世界選手権125cccクラスに参戦。以降、坂田和人や辻村猛といった日本人の若手ライダーを起用しながら2002年まで参戦を続けた。
オリジナルフレームのGPマシンを製作し、ロードレース250ccクラスのチームに供給したり、2006年の鈴鹿8耐で総合優勝するなど、日本を代表するレーシングチームのひとつであり、ハルク・プロと並ぶホンダ系サテライトチームの雄である。
2010年よりMotoGPのMoto2クラスにおいてフレームビルダーとしてJiRチームにフレームを供給し(ビルダーとしての登録名はモトビとなっている)、アレックス・デ・アンジェリスが勝利を挙げている。また日本グランプリには自社でスポット参戦している。2012年からはMoto3クラスのテクノマグCIPチームに所属ライダーの藤井謙汰と共に参加し、Technomag-CIP-TSR としてレーサーを提供する。
2016年からレース活動の主軸をFIM世界耐久選手権へ置く。2017-2018シーズンはルマン24時間耐久ロードレース、オッシャースレーベン8時間耐久で優勝し、ランキングトップで迎えた鈴鹿8時間耐久ロードレースで5位入賞し、参戦3シーズン目にして選手権総合優勝を成し遂げた[1]。
なお、1980年代から1990年代にかけて同じくホンダ系プライベートチームの雄として活躍し、岡田忠之や青木宣篤らを輩出したテクニカルスポーツ関東(TS関東)と、宇川徹や柳川明、加藤大治郎らを輩出したテクニカルスポーツ九州(TS九州)という2つのレーシングチームがあるが、前者は筑波サーキットを本拠地とするワールド筑波が、後者は高武富久美率いるTeam高武が母体であり、三者の間に直接の資本関係はない(ただしワールド筑波創設者の橋本勲は、TSRの前身となったワールドモーター創設メンバーのひとりである)。
スポンサー
- メインスポンサーは一貫してクラッチメーカーのF.C.C.が務めている。鮮やかなブルーに白地の同社ロゴを配したマシンカラーリングは「F.C.C.ブルー」と呼ばれ、ホンダのスポーツバイクのカスタムペイントとして人気がある。
- 世界耐久選手権では、2017 - 2018年シーズンからフランスのホンダ現地法人「Honda France」とタッグを組み、『F.C.C. TSR Honda France』として参戦している。チームカラーはフランスの国旗、青白赤の3色を使用している。しかしチーム国籍は日本であり、メディアでも日本チームとして扱われている。
- 以前は名古屋のFMラジオ局・ZIP-FMが1995年から2007年まで鈴鹿8耐のみスポットスポンサーとして加わっていた。当時のナンバーはZIP-FMの周波数から#778であった。
主なレース活動
鈴鹿8時間耐久ロードレース
年 | ゼッケン | チーム(マシン) | ライダー | 決勝順位 | 周回数 | Total time | Delay |
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2011 | #11 | F.C.C. TSR Honda (ホンダ・CBR1000RR) | 秋吉耕佑 伊藤真一 清成龍一 | 優勝 | 217周 | 8:00'50.922 | - |
2012 | #11 | ジョナサン・レイ 秋吉耕佑 岡田忠之 | 優勝 | 215周 | 8:01'35.450 | - | |
2013 | #11 | ジョナサン・レイ 清成龍一 | リタイヤ | 58周 | 2:15'12.621 | 156Laps | |
2014 | #11 | 秋吉耕佑 ジョナサン・レイ (ロレンツォ・ザネッティ) | 40位 | 157周 | 6:58'09.7113 | 15Laps | |
2015 | #778 | (ジョシュ・フック) (カイル・スミス) ドミニク・エガーター | 2位 | 204周 | 8:01'47.119 | 1'17.411 |
FIM世界耐久選手権
年 | ゼッケン | チーム(マシン) | ライダー | 選手権シリーズ | 決勝順位 | 周回数 | タイム | ポイント | 総合 順位/ポイント |
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2016 | #5 | F.C.C. TSR Honda (ホンダ・CBR1000RR) | 渡辺一馬 (ダミアン・カドリン) (アラン・テシェ) (アルツゥール・ティゾン) | 第1戦 ル・マン24時間耐久 (2016 4/9-10) | 3位 | 808周 | 24:02'30.173 | 44pt | 7位 / 56pt |
渡辺一馬 ダミアン・カドリン (パトリック・ジェイコブセン) | 第2戦 ポルティマオ12時間耐久 (2016 6/11) | 12位 | 381周 | 12:00'27.802 | 9pt | ||||
渡辺一馬 パトリック・ジェイコブセン ドミニク・エガーター | 第3戦 鈴鹿8時間耐久 (2016 7/31) | 18位 | 208周 | 8:01'49.703 | 3pt | ||||
渡辺一馬 ダミアン・カドリン パトリック・ジェイコブセン | 第4戦 オッシャースレーベン8時間耐久 (2016 8/27) | リタイヤ | 70周 | 2:26'09.073 | - | ||||
2016-2017 | #5 | F.C.C. TSR Honda (ホンダ・CBR1000RR) | 渡辺一馬 ダミアン・カドリン 伊藤真一 アルツゥール・ティゾン | 第1戦 ボルドール24時間耐久 (2016 9/17-18) | 5位 | 674周 | 23:51'54.846 | 32pt | 4位 / 115.5pt |
ダミアン・カドリン (グレッグ・ブラック) アルツゥール・ティゾン | 第2戦 ル・マン24時間耐久 (2017 4/15-16) | 5位 | 843周 | 24:00'36.167 | 35pt | ||||
ダミアン・カドリン グレッグ・ブラック ジョシュ・フック | 第3戦 オッシャースレーベン8時間耐久 (2017 5/20) | 5位 | 314周 | 8:00'50.178 | 17pt | ||||
ダミアン・カドリン グレッグ・ブラック ジョシュ・フック | 第4戦 (スロバキアリング)8時間耐久 (2017 6/24) | 21位 | 197周 | 8:01'11.689 | 0pt | ||||
ドミニク・エガーター ランディ・ド・ピュニエ ジョシュ・フック | 第5戦 鈴鹿8時間耐久 (2017 7/30) | 3位 | 215周 | 8:01'58.784 | 31.5pt | ||||
2017-2018 | #5 | F.C.C. TSR Honda France (ホンダ・CBR1000RR) | ジョシュ・フック アラン・テシェ (フレディ・フォーレイ) アルツゥール・ティゾン | 第1戦 ボルドール24時間耐久 (2017 9/16-17) | 6位 | 670周 | 24:01:07.831 | 37pt | 総合優勝 / 171.5Pt |
第2戦 ル・マン24時間耐久 (2018 4/21-22) | 優勝 | 843周 | 24:01:04.008 | 58Pt | |||||
フレディ・フォーレイ アラン・テシェ ジョシュ・フック | 第3戦 スロバキアリング8時間耐久 (2018 5/12) | 3位 | 224周 | 08:02:55.164 | 21Pt | ||||
第4戦 オッシャースレーベン8時間耐久 (2018 6/9) | 優勝 | 312周 | 08:00:49.802 | 30Pt | |||||
第5戦 鈴鹿8時間耐久 (2018 7/29) | 5位 | 196周 | 08:01:04.467 | 25.5Pt | |||||
2018-2019 | #1 | F.C.C. TSR Honda France (ホンダ・CBR1000RR SP2) | ジョシュ・フック フレディ・フォーレイ マイク・ディ・メリオ | 第1戦 ボルドール24時間耐久 (2018 9/15-16) | 優勝 | 698周 | 24:01:50.590 | 51Pt | 2位 / 137.5Pt |
第2戦 ル・マン24時間耐久 (2019 4/20-21) | 35位 | 587周 | 24:02:35.461 | 3Pt | |||||
第3戦 スロバキアリング8時間耐久 (2019 5/11) | 3位 | 217周 | 08:01:35.074 | 25Pt | |||||
第4戦 オッシャースレーベン8時間耐久 (2019 6/9) | 優勝 | 308周 | 08:00:53.715 | 30Pt | |||||
第5戦 鈴鹿8時間耐久 (2019 7/28) | 4位 | 215周 | 07:57:14.500 | 28.5Pt | |||||
2019-2020 | #5 | F.C.C. TSR Honda France (ホンダ・CBR1000RR SP2) | ジョシュ・フック フレディ・フォーレイ マイク・ディ・メリオ | 第1戦 ボルドール24時間耐久 (2019 9/21-22) | リタイヤ | 144周 | 18:09:19.174 | 13Pt | 3位 / 143.5Pt |
第2戦 セパン8時間耐久 (2019 12/14) | 12位 | 78周 | 05:52:16.715 | 12Pt | |||||
第3戦 ル・マン24時間耐久 (2020 8/29-30) | 優勝 | 816周 | 24:00:57.502 | 62Pt | |||||
第4戦 エストリル12時間耐久 (2020 9/27) | 2位 | 421周 | 12:01:28.455 | 56.5Pt | |||||
2021 | #5 | F.C.C. TSR Honda France (ホンダ・CBR1000RR-R FIREBLADE SP) | ジョシュ・フック マイク・ディ・メリオ 高橋裕紀 | 第1戦 ル・マン24時間耐久 (2021/6/12-13) | 10位 | 816周 | 24:01:27.232 | 36Pt | 5位 / 91Pt |
第2戦 エストリル12時間耐久 (2021/7/17) | 優勝 | 417周 | 12:00:32.811 | 46Pt | |||||
第3戦 ボルドール24時間耐久 (2021/9/18-19) | リタイヤ | 315周 | 10:49:26.891 | 7Pt | |||||
第4戦 モスト6時間耐久 (2021/10/9) | リタイヤ | 142周 | 4:21:38.976 | 2Pt | |||||
2022 | #5 | F.C.C. TSR Honda France (ホンダ・CBR1000RR-R FIREBLADE SP) | ジョシュ・フック マイク・ディ・メリオ (ジーノ・リア) | 第1戦 ル・マン24時間耐久 (2022/4/16-17) | 3位 | 826周 | 24:01:08.583 | 49Pt | 総合優勝 / 154Pt |
第2戦 スパ・フランコルシャン24時間耐久 (2022/6/4-5) | 3位 | 500周 | 24:03:05.846 | 42Pt | |||||
第3戦 鈴鹿8時間耐久 (2022/8/7) | 10位 | 208周 | 8:02:33.132 | 13Pt | |||||
ジョシュ・フック マイク・ディ・メリオ アラン・テシェ[3] | 第4戦 ボルドール24時間耐久 (2022/9/17-18) | 4位 | 714周 | 24:01:16.300 | 50Pt | ||||
2023 | #1 | F.C.C. TSR Honda France (ホンダ・CBR1000RR-R FIREBLADE SP) | ジョシュ・フック マイク・ディ・メリオ アラン・テシェ | 第1戦 ル・マン24時間耐久 (2023/4/15-16) | 優勝 | 827周 | 24:01:06.266 | 63Pt | / |
第2戦 スパ・フランコルシャン24時間耐久 (2023/6/17-18) | |||||||||
第3戦 鈴鹿8時間耐久 (2023/8/6) | |||||||||
第4戦 ボルドール24時間耐久 (2023/9/16-17) |
主な製品
- AC8
- AC10M
- AC28M
- AC51M
- AC90M(CBR900RR特別仕様)
- AC110M(CBR1100XX特別仕様)
- AC6(Moto2マシン・通称はTSR6)
- TSR2(Moto2マシン・2012年モデル)
- TSR3(Moto3マシン)
主な所属ライダー
※過去に所属したライダーを含む
脚注
出典
関連項目
外部リンク
- TSR公式サイト
- TSR白子店公式サイト