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ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(ダンジョンにであいをもとめるのはまちがっているだろうか)は、大森藤ノによる日本ライトノベル、およびその派生作品群[1]。本編のイラストはヤスダスズヒトが担当[書 1]、派生作品のイラストははいむらきよたかニリツ、かかげが担当する[書 2][書 3]。2013年1月からGA文庫SBクリエイティブ)より既刊37冊(本編18冊[書 4]、派生作品19冊[書 5][書 6][書 7]、2022年12月現在)が刊行されている。また、本作品を原作とする漫画、テレビアニメ、劇場版アニメ、ゲームなどの作品がメディアミックスされている[1]。略称は『ダンまち[1]

ダンジョンに出会いを求めるのは
間違っているだろうか

ジャンル ファンタジー
小説
著者 大森藤ノ
イラスト ヤスダスズヒト
出版社 SBクリエイティブ
レーベル GA文庫
刊行期間 2013年1月15日 -
巻数 既刊18巻(2023年1月現在)
小説:ダンジョンに出会いを求めるのは
間違っているだろうか 外伝 ソード・オラトリア
著者 大森藤ノ
イラスト ヤスダスズヒト(キャラクター原案)
はいむらきよたか
出版社 SBクリエイティブ
レーベル GA文庫
刊行期間 2014年1月15日 -
巻数 既刊14巻(2023年3月現在)
小説:ダンジョンに出会いを求めるのは
間違っているだろうか ファミリアクロニクル
著者 大森藤ノ
イラスト ヤスダスズヒト(キャラクター原案)
ニリツ
出版社 SBクリエイティブ
レーベル GA文庫
刊行期間 2017年3月15日 -
巻数 既刊2巻(2019年12月現在)
小説:アストレア・レコード 邪悪胎動
ダンジョンに出会いを求めるのは
間違っているだろうか 英雄譚
著者 大森藤ノ
イラスト ヤスダスズヒト(キャラクター原案)
かかげ
出版社 SBクリエイティブ
レーベル GA文庫
刊行期間 2022年10月14日 - 2022年12月15日
巻数 全3巻
(テンプレート) - (ノート)
プロジェクト ライトノベル
ポータル (文学)

概要

円形都市オラリオとその地下に広がるダンジョンを主な舞台とした神の眷族が織り成すファンタジー作品[2]。本編は駆け出しの冒険者である主人公ベル・クラネルがオラリオで出会ったヒロインたちを救い、仲間との絆を育みながら英雄へと成長する物語である[3]。外伝『ソード・オラトリア』は本作品のヒロインであるアイズ・ヴァレンシュタインがあまりにも強過ぎて、本編で全ての出番を奪いかねないことから、その実力を遺憾なく発揮できる場として企画された派生作品であり[4]、『ファミリアクロニクル』シリーズは本編と外伝で掘り起こしきれない多くのキャラクターたちの過去を描くための作品である[5]

本作品は大森のデビュー作であり、小説投稿サイト「(Arcadia)」に『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のタイトルで投稿されていた[注 1]。これを『ファミリア・ミィス』へ改題して、第4回GA文庫大賞へ投稿して大賞を受賞し、タイトルを戻して2013年にGA文庫より書籍化され[6][書 1]、さらに、アイズ・ヴァレンシュタインを主人公にした外伝『ソード・オラトリア』が2014年に、『ファミリアクロニクル』シリーズがリュー・リオンを主人公として2017年に刊行される[書 2][書 3]。また、2022年にはゲーム『メモリア・フレーゼ』で展開された物語が書籍化される[7]

本作品は、2013年に受賞したGA文庫大賞のほかに、2014年には第3回『ラノベ好き書店員大賞』を受賞し[8]、2016年に『第2回SUGOI JAPAN Award』でラノベ部門1位を獲得している[9]。2019年6月時点でシリーズ累計発行部数は1200万部を記録している[10]。『このライトノベルがすごい!』作品部門では2014年版で4位[11]、2016年版で8位[12]、同文庫部門では2018年版で9位を獲得しており[13]、2020年版で発表された「2010年代総合ランキング」では第4位に入っている[14]

また、メディアミックスとして、2013年に本編、2014年に外伝『ソード・オラトリア』が漫画化される。2015年に本編のテレビアニメが放送されてヘスティアのキャラクターが話題となり[15]、2022年時点で第4期まで放送されている[16]。2017年には外伝『ソード・オラトリア』のテレビアニメが放送され、『ファミリアクロニクル episodeリュー』の漫画が文庫本と同時連載され、さらにスマートフォン用ゲーム『メモリア・フレーゼ』が公開される[17]。また、2019年には劇場アニメ『オリオンの矢』が公開されている[18]

作風とテーマ

作品世界では、千年前よりも昔の時代、ダンジョンから無限に産み出されるモンスターが、問答無用に人間に襲いかかる敵として存在しており[19]、モンスターと戦った英雄たちの活躍が様々なお伽噺(英雄譚)として作品が描かれる時代に伝わっている[20]。約千年前に天界より神々が降臨し、神の眷族となった人間たちはファミリアを組織して下界に蔓延るモンスターに対抗するようになり[21]、ダンジョンの上に建設されたバベルという巨塔によりモンスターがダンジョンに閉じ込められたため、地上には一定の秩序がもたらされる[22]。本編が開始される15年前にオラリオで最強を誇ったファミリアが黒竜に敗れて全滅し、過激派ファミリアが跋扈する暗黒期がオラリオに訪れるが[20]、5年前にギルドなどにより過激派は鎮圧される[23]。新たなファミリアも台頭し、オラリオに再び安寧がもたらされた時代に本物語が始まる。

本作品に登場する神々は、ギリシャ神話北欧神話インド神話日本神話などに登場する神の名を冠し、ヘスティアが竈の神である設定などは現実世界の神話を踏襲している[24][25]。本作品の神々は天界での退屈に耐えられず下界に降臨し、超越的な能力が封じられる代わりに、神の恩恵を授けた人間が織り成す未知の物語を楽しんでいるが、自身の娯楽を最優先に行動する者も多く、人間たちを騒動に巻き込んだりもしている[26]。人間たちは、ヒューマン、エルフドワーフアマゾネス小人族獣人などの種族が登場し、神々から恩恵を授けられた者にはロールプレイングゲームのようなレベル能力などを数値で示した神聖文字が体に刻まれる[27]。これにより、モンスターと戦うことができるように心身が強化され、魔法などの超常的な力も使えるようになる[27]冒険者と呼ばれる神の眷族は、未知への探求心から、またモンスターとの戦闘により得られる富や栄誉を求め、ダンジョンに挑戦しており[22]、高い能力の者は残された黒竜の討伐を望む作品世界の人々から新たな英雄として期待されている[20]

主人公のベル・クラネルは、英雄譚のような異性との運命の出会いに憧れてオラリオにやって来て、ヘスティアのファミリアに入団した駆け出しの冒険者であり、物語では様々な出会いと冒険を通じたベルの成長、そして出会いの結実やファミリアの絆が描かれる[28]。素朴で純粋な動機でダンジョンに挑むベルの行動が次々とヒロインを救うことに繋がり、無意識的にヒロインたちから想いを寄せられてゆくストーリ展開や、憧れを目指して努力や友情によりベルが強くなってゆく昔ながらの少年漫画のような「熱血」な展開が本作品の特徴となっている[29][24]

作者の大森藤ノは、本編をベルと周囲の者の成長譚と位置付けており、作品の世界観は外伝の方が迫っていると評している[30]。作者はベルの成長を魅力的に描写するために、作品に登場する神の設定やベルの能力に関する仕掛けを考え、ベルを物語の最初から(最強主人公)としなかった[24][31]。また、本作品の世界観はファンタジーだが、作中の設定はゲームが意識されており、作者はゲームからインスパイアされた多くの設定をファンタジーの世界に溶け込ませるように苦心して作品を作り上げている[2][32]。この理由は、作者が沢山の人に作品を読んでもらえるようにと意図し、制作当時に流行していたキャラクターの能力を数値化する設定を取り入れようと考え、ゲームにおける経験値などのシステムを参考にしたためである[32][33]。ただし、作者によれば、ゲームからインスパイアされた設定は、ネット上に公開されている多くのゲーム関連の二次創作作品から間接的に受け取ったものであり、参考とした特定のゲームはないと述べている[33]

本編あらすじ

本編 第一部

主人公ベルとヒロインたちの出会い、ベルの最初の冒険などが描かれる。

本編 第1巻
ヘスティア・ファミリアで唯一の団員である駆け出しの冒険者ベル・クラネルは、単独でダンジョンに臨み、我流でモンスターと戦っていた。いつものように上層で戦っていたベルは、不運なことに中層級の強さをもつミノタウロスに襲われる。なすすべもなく追い詰められたベルは、間一髪のところでロキ・ファミリアの女性冒険者アイズ・ヴァレンシュタインに助けられたが、礼も言わずにその場から逃げ去ってしまう。あまりの衝撃的な出会いにより、アイズに一目惚れしてしまったベルは、彼女に釣り合うような立派な冒険者となろうと心に誓う。これが切っ掛けとなりベルにスキル憧憬一途が発現して規格外の成長が始まる。
ダンジョンに向かう道すがらに出会った酒場「豊饒の女主人」のシル・フローヴァから招かれ、酒場で食事をとっていたベルは、自分の醜態を嘲笑するロキ・ファミリアの団員の話を耳にする。憧れの人であるアイズの前で嘲笑されたことに耐えきれなかったベルは酒場から逃げ出してしまう。自分の弱さを思い知らされたベルは、憧れの人に追いつくために強くなりたいと心から願うようになる。ベルの願いを知ったヘスティアは、神友である女神ヘファイストスに強引に頼み込み、神(ヘスティア)のナイフを作製してもらう。
ベルは女神フレイヤから見初められ、ベルを見定めるためのフレイヤの暗躍により、ガネーシャ・ファミリアが主催する怪物祭からモンスターが地上に解き放たれる。逃げ出したモンスターは執拗にヘスティアを狙い、ベルはヘスティアを守るためにモンスターと対峙し、ヘスティアから託された神のナイフを使い、格上のモンスターを辛うじて打倒する。
本編 第2巻
ベルを担当するギルド職員エイナ・チュールは、駆け出しのベルの不用意な行動を心配していたが、ベルの異常な成長を確認した後、成長したベルに相応しい防具を準備するために、ヘファイストス・ファミリアの店にベルを誘う。ベルは店の片隅にあったヴェルフ・クロッゾ製の防具を気に入り、有り金を叩いて購入する。
ベルの成長を促すフレイヤの企みにより「豊饒の女主人」へ魔導書が届けられ、シルがこれをベルに貸し与えたことで、ベルに魔法ファイアボルトが発現する。ベルは喜びのあまり魔法を使いまくり、精神疲弊を起こしてダンジョン内で意識を失う。偶然に通りかかったアイズが気絶したベルを介抱するが、意識を取り戻したベルは状況を把握できず、再び逃げ出してしまう。
ベルは冒険者に追われていたリリルカ・アーデと出会う。ベルが持っていた神のナイフに目を付けたリリルカは、魔法で外見を変えてベルに近づき、サポーターとしてベルとパーティを組むようになる。一方、エイナはリリルカの所属するソーマ・ファミリア団員の尋常でない振る舞いをギルドで目にしており、リリルカとパーティを組んだベルが心配でソーマ・ファミリアを調査し始める。面識のあったロキ・ファミリアの副団長による仲介で酒に造詣が深い女神ロキと面談したエイナは、男神ソーマの作る酒の異常性とソーマ・ファミリアの団員の尋常でない行動との関係を察し、リリルカに対する懸念をヘスティアへ伝える。
リリルカはベルの信用を利用して神のナイフを盗み出すものの、「豊饒の女主人」のリュー・リオンが取り返し、神のナイフはベルの手に戻るが、リリルカはもう一度、ベルの命を顧みない入念な作戦を立て、神のナイフを盗み出すことに成功する。地上に戻ろうとしたリリルカはソーマ・ファミリア団員の罠に嵌り、自身が命の危機に晒されるが、ベルが間一髪で駆けつけてリリルカは九死に一生を得る。リリルカはこれまで騙し続けてきたベルに助けられたことに困惑したが、ベルの純粋な優しさに心を打たれ、本当の意味でベルのサポーターになると決意する。
本編 第3巻
エイナの計らいによりアイズと対面したベルは、これまでの礼をアイズにしっかり伝え、アイズからの提案で戦い方を教えてもらえることになる。口下手なアイズは言葉でベルを導くことはせず、実戦形式の訓練を通じて、戦闘の技と駆け引きの基礎をベルに授ける。
フレイヤは魔法を得て輝きが増したベルの更なる成長を望んでおり、ファミリアの団長オッタルとの会話から、ベルの成長を妨げている原因がミノタウロスへのトラウマにあると考え、ベルがトラウマを克服するための舞台の準備をオッタルへ命じる。フレイヤの命を受けたオッタルはダンジョン上層で片角のミノタウロスを鍛え上げ、これをベルに直接ぶつけて彼の成長を促すことにする。
ヘスティアはリリに対して懐疑的だったが、リリの言葉とベルの判断を信用してリリを受け入れる。ベルはリリとのパーティを続け、リリと共にダンジョンに潜るが、オッタルに調教された片角のミノタウロスと対峙してしまう。トラウマにより恐怖で怯えるベルだったが、リリだけは何とか逃がし、戦いながら自身も逃げる算段をしていた。危機一髪のところにアイズが駆けつけ、ベルを助けようとする。ベルは憧れの人に再び助けられることを拒み、自身で決着をつけるべくミノタウロスと真正面から戦う決意をする。
ベルはアイズから教わった技と駆け引き、魔法、神のナイフなど、自身の全てを賭して片角のミノタウロスと戦い、最後は立ったまま精神疲弊で意識を失ったが、片角のミノタウロスに勝利する。その戦う姿は目撃したアイズとロキ・ファミリア幹部たちに衝撃を与え、自分たちが冒険者であることを再認識させ、深く印象に残るものとなる。

本編 第二部

ベルの仲間となる者たちのヘスティア・ファミリアへの集結などが描かれる。

本編 第4巻
中層級のミノタウロスを単独で倒したことで、ベルは僅か1か月半という前代未聞の最短記録でLv.2にランクアップし、これにより新たなスキル英雄願望が発現し、神々から二つ名「未完の少年(リトル・ルーキー)」を授けられる。オラリオで一躍注目の的となったベルは、神々からの疑惑と多数の冒険者からのやっかみも買うことになる。
ベルはミノタウロスとの死闘で傷んでしまった防具を新調するために、ヘファイストス・ファミリアの店を訪れ、元の防具の製作者である鍛冶師ヴェルフと出会う。ヴェルフから専属契約とパーティの打診を受けたベルは、リューからパーティの仲間を増やすことを勧められていたこともあり、ヴェルフの提案を受け入れてリリを含めた三人でパーティを組む。エイナと相談の上、装備を調えたベルたちはダンジョン中層の13階層を目指す。
クエスト×クエスト
同時掲載の短編。時系列は本編第3巻2章と3章の間に相当する[34]
ある日ベルは懇意にしているミアハ・ファミリアの団長ナァーザ・エリスイスから冒険者依頼を頼まれ、リリと共にドロップアイテムの採取に成功する。しかし、その報酬が依頼内容に見合わないことをリリに見抜かれてしまい、男神ミアハはナァーザを咎める。ファミリアにはナァーザの義手を作製した ディアンケヒト・ファミリアに莫大な借金があり、そんなファミリアを救うためにナァーザは報酬をごまかしていたことを吐露する。事情を知ったベルたちと和解したナァーザは改めて冒険者依頼を発注し、それによって得たアイテムを材料にして新たなポーションの作製に成功する。
女神へのカンパネラ
同時掲載の短編。時系列は本編1巻の開始前に相当する[34]
結成したばかりのヘスティア・ファミリア。日々の生活の中、ベルとヘスティアはお互いの理解を深めてゆく。そんなある日、ベルが武器屋の店先で剣を、ヘスティアが商店の店先で髪留めを、物欲しそうに眺めているところをお互いが目撃する。
本編 第5巻
ベルたちのパーティは順調に13階層を踏破していたが、タケミカヅチ・ファミリアのパーティから怪物進呈され、15層へ落とされてしまう。ダンジョン中層で遭難したベルたちは、場所と被害状況を考慮したリリの提案により、上層へ戻るよりも危険だが最短コースを選択し、安全地帯である18階層へ逃げ込む決断をする。一方、ベルたちの危機を察したヘスティアは、男神ヘルメスとそのファミリアの団長アスフィ・アル・アンドロメダ、そして助っ人を頼まれたリューと共にベルたちの救助に向かう。
ベルたちのパーティは命辛々18階層に到着し、遠征からの帰還の途にあるロキ・ファミリアに救われる。救助に向かっていたヘスティアたちとも合流できたベルたちは、ロキ・ファミリアの団員やヘルメスらと交流し、しばし穏やかな時を過ごす。ロキ・ファミリアが上層へ出発した後、一部の冒険者の嫉妬と悪意を利用したヘルメスの策略によりヘスティアが攫われてしまう。ヘスティアは神威を開放することで冒険者たちから解放されたが、神威を感じとったダンジョンが階層主の変異種である漆黒のゴライアスを生み出してしまう。
漆黒のゴライアスの誕生により上層への通路が塞がれたため、ベルたちとリヴィラの街の100人を越す冒険者たちは力を合わせて漆黒のゴライアスに立ち向かうことになる。漆黒のゴライアスの異常な再生能力に苦戦したが、ステイタスの高いリューやアスフィが主力となって戦い、最終的にベルの英雄願望により漆黒のゴライアスは打倒される。
本編 第6巻
18階層からの帰還後、ベルは恋多き男神アポロンに目を付けられてしまう。アポロンはベルを我が物にするために様々な策略を巡らし、本拠を襲撃してベルを追い回し、ベルを孤立させるためにリリをソーマ・ファミリアに捕えさせて、ついにはファミリア同士の総力戦である戦争遊戯を実現する。オラリオ以外の冒険者一人の助っ人が認められたが、戦争遊戯の内容が攻城戦となったことで団員1人のヘスティア・ファミリアの勝利は絶望的となる。
ベルは再びアイズに特訓をつけてもらうためにロキ・ファミリアの本拠へ向かい、アイズと対人戦を想定した1週間の猛特訓を行う。この間、ヘスティアはリリを救出すべくソーマ・ファミリアの本拠に殴り込みをかける。ソーマは神酒の誘惑を乗り越えたリリを認め、ヘスティアは神のナイフを脱退金の担保にすることでリリの身柄を確保し、リリは正式にヘスティアの眷属となる。また、タケミカヅチ・ファミリアのヤマト・命は13階層での怪物進呈を悔やんでおり、タケミカヅチに自ら申し出て1年間限定でヘスティア・ファミリアに改宗する。ヴェルフもヘファイストスの許しを得てヘスティア・ファミリアに改宗する。また、助っ人としてリューが参戦することになり、ヘスティア・ファミリアは5人で戦争遊戯に挑むことになる。
戦争遊戯では、リリが変身魔法を駆使して予め城内を攪乱し、リューがクロッゾの魔剣を用いてアポロンの団員の半数を城外に引きつけ、命が残った城内の半数を重圧魔法により動きを封じ、ベルとヴェルフが僅かに残った団員たちとの個人戦に持ち込む。これにより、ヘスティア・ファミリアは速攻で圧倒的な数の不利をひっくり返す。シルから貰ったアイテムの助けもあり、ベルはレベルの差を物ともせずアポロン・ファミリア団長ヒュアキントス・クリオを一騎打ちで討ち取り、戦争遊戯はヘスティア・ファミリアの勝利で終わる。
本編 第7巻
戦争遊戯に勝利したヘスティア・ファミリアはアポロン・ファミリアから没収した財産や新たな本拠「竈火の館」を手に入れ、ベルは僅か1か月でLv.3にランクアップを果たす。
その喜びも束の間、女神イシュタルが支配する歓楽街に、命の幼なじみサンジョウノ・春姫と似た狐人が捕らわれているとの噂を聞きつける。真相を確かめるために、ベルたちは歓楽街へ向かうが、歓楽街で迷ったベルは戦闘娼婦アイシャ・ベルカに絡まれ、イシュタル・ファミリアの団長フリュネ・ジャミールから追い回される。ベルは彼女から必死で逃げ、とある娼館の部屋に身を隠し、そこに現れた娼婦である春姫と出会う。
本拠に戻ったベルたちは春姫を身請けするために、高額な冒険者依頼を引き受けるが、これはイシュタルが画策した罠であり、ベルと命は歓楽街に捕えられてしまう。春姫は隙を見てベルと命の逃亡を手助けするが、自身に逃亡防止の魔道具が仕掛けられており、フレイヤを打倒するために今夜行われる殺生石の儀式で犠牲になると告げ、同行を拒否する。これを聞いたベルと命は春姫を奪還するために、二人でイシュタルたちと戦うと決意する。
歓楽街を攪乱するための囮となったベルは直ぐに捕えられてしまうが、ベルの魅了に失敗して茫然自失となったイシュタルの隙を突いて逃亡に成功する。一方、春姫は助けに来た命に、娼婦である自分は救われる価値がないとの想いを告げて救出を拒む。一時撤退したベルと命は殺生石の儀式に乱入し、命が決死の魔力暴発を行い、ベルが間一髪で殺生石を破壊する。この時、春姫は救って欲しいという本心を初めてベルに吐露するが、アイシャに連れ去られてしまう。
イシュタルの動きを内偵していたフレイヤは、イシュタルとの全面戦争を決断し、フレイヤたちの一気果敢な攻勢により歓楽街は大混乱となる。イシュタルの団員たちは悉く打ち倒され、最後に残ったフリュネはオッタルに徹底的に痛めつけられる。混乱の中、アイシャは、けじめを付けるためにベルと対峙し、ベルに覚悟を問う。ベルは真っ向勝負でアイシャを撃破し、あなたを助けにきましたと春姫に告げる。フレイヤの手で崖の下に突き落とされたイシュタルが天界に送還され、イシュタル・ファミリアは壊滅する。
本編 第8巻[注 2]
ラキア王国の男神アレスが三万の眷族を率いて、オラリオに出兵してきた。ギルドはオラリオの最大派閥であるロキとフレイヤのファミリアに防衛に当たらせる。眷族のレベルの違いから戦力差が圧倒的なため、オラリオでは平穏な日常が流れており、ヘスティア・ファミリアでは新たに仲間となった春姫の力をダンジョンで確認していた。
ベルは街で偶然にシルを見かけて、用もあったので彼女の後を追いかける。シルはダイダロス通りの孤児院に通っており、ベルは孤児たちから地下調査を依頼される。シルたちと共に地下に降りたベルは血塗れのモンスターと遭遇し、モンスターの戦い方に違和感を抱く。苦戦するベルを見るに見かて、シルを護衛していたフレイヤの団員がモンスターを打倒し、事無きを得る。
ヴェルフは戦争の混乱に紛れてオラリオに侵入したラキア王国の父と再会し、父からクロッゾの魔剣の作製を頼まれる。魔剣を受け取るためにヴェルフを呼び出したアレスの眷族たちは、ロキ・ファミリア団長フィン・ディムナの指示でヴェルフを見張っていたヘファイストスの団員に一網打尽にされる。ヴェルフの説得に失敗したアレスは、今度はヘスティアの誘拐を企てるが有効な手はなかった。ところが、バイト先からの頼まれ事でヘスティアがオラリオから外出してしまい、アレスたちは都合良くヘスティアの捕縛に成功する。ヘスティアの拉致を知ったロキとヘルメスは、アスフィに空から逃走先を特定し、アイズに追跡するよう指示し、ベルはこれに強引に同行する。ベルたちはベオル山地でアレスたちに追いつくが、乱戦の混乱でヘスティアは崖下の川へ落ちてしまう。ベルとアイズはヘスティアを助け出し、たどり着いたエダスの村でヘスティアを看病しつつ休息をとる。エダスの村では、かつて神の眷族であった村の長老が天に召され、これを看取ったヘスティアは悠久を生きる自分を必要以上に恐れずに、自分と向き合って欲しいとベルに告げる。
ヘスティアの拉致に失敗したアレスは、ロキたちに捕縛される。アレスはオラリオの捕虜になった数万もの自身の眷族たちのステイタスを封印した上で眷族たちと共にオラリオから追放され、ラキア王国との戦争は終結する。

本編 第三部

異端児による事件を経験したベルの葛藤、覚悟、精神的な成長などが描かれる。

本編 第9巻
リヴィラの街の冒険者依頼に借り出されたベルは、19階層で傷ついて怯えた竜女と出会う。竜女にはモンスター特有の恐怖感がなく、ベルが傷を癒すために近づくと、竜女は人語を話し始める。驚愕したベルは、竜女を追う冒険者たちから咄嗟に竜女を外套で隠して「竈火の館」へ連れ帰ってしまう。当初、団員たちは警戒していたが、竜女にウィーネと名付け、会話や食事、風呂を共にするにつれて次第に打ち解け、ウィーネはベルと春姫を筆頭にリリたちに懐いてゆく。
ウィーネとベルたちを密かに監視していたギルドの主神ウラノスは、ヘスティア・ファミリアへ強制任務を発令し、ベルたちはこの指示に従ってウィーネと共に20階層へ向かう。指定された未開拓領域へ進んだベルたちは、蜥蜴人に襲われる。ベルを吹き飛ばした蜥蜴人はウィーネを狙うが、春姫とリリが必死にウィーネを庇う姿を見て、人語で笑い出す。蜥蜴人は自らをリドと名乗り、ベルたちを試していたと謝罪してベルに握手を求める。戸惑いながらベルがこれに応えると周囲から歓声が沸く。リドは自分たちを異端児と名乗り、ベルたちを歓迎するための宴会が始まる。異端児との交流後、ベルは別れを惜しみつつウィーネをリドたちへ託す。この時、ベルは異端児を狙う狩猟者の存在を初めて知る。
一方、ヘスティアはフェルズの案内でウラノスと秘密裏に対面し、異端児の存在を知らされる。ウラノスは異端児を保護という名目で支援しており、フェルズの他にガネーシャとヘルメスが協力者であり、最終的には異端児と人の共生を目指しているとヘスティアに伝える。
ウィーネを追っていた冒険者たちはイケロス・ファミリアであり、団長ディックス・ペルディクスは取り逃がした上物の狩猟を諦めていなかった。ディックスはウィーネが起こした街での騒動や男神イケロスの情報から、ウィーネとヘスティア・ファミリアとの関係を確信し、地上から20階層へ向かうベルたちを監視して追跡していた。しかし、ウラノスの指示を受けたヘルメスたちの二重尾行に気付いたディックスらは、その正体を露見することなく拠点へ撤退した。
本編 第10巻(章は第9巻から継続)
ディックスたちは罠を張り、「隠れ里」へ向かう異端児たちのパーティを24階層で惨殺し、ウィーネを攫うことに成功する。一方、眼晶を通じてこの惨劇を見ていた異端児は激怒し、復讐とウィーネの救出のために殺された仲間の臭いを辿り、リヴィラの街を襲う。これを知ったウラノスはベルを加えたガネーシャ・ファミリアを討伐隊と称して、18階層へ向かわせる。
一部の異端児たちが18階層に残って討伐隊を足止めする中、狩猟者を拷問してウィーネの行き先を聞き出したリドたちは、敢えて開放された隠し扉から「地下迷宮クノッソス」に進入する。遅れてベルとフェルズも偶然手に入れた鍵(ダイダロス・オーブ)を用いてクノッソスへ侵入を果たす。これを待ち構えていたディックスは呪詛を放ち、正気を失ったリドたちは同士討ちを始める。さらにディックスは磔にされたウィーネの額から紅石を剥ぎ取り、見上げるほどの怪物となったウィーネがベルを襲う。それでもウィーネを助けようとするベルにディックスは偽善者と罵るが、ベルは助けを求める者に人もモンスターも無いと叫ぶ。この叫びに感動して正気を取り戻したリドたちはベルと共闘してディックスを追い詰める。ディックスはウィーネに呪詛をかけて地上へ誘導し、ベルとリドたちにその後を追わせ、その隙に自身はクノッソス内部に逃れるものの、18階層で討伐隊を難なく制圧してクノッソスに進攻した異端児のアステリオスにより一撃で両断される。
地上では暴走したウィーネを討伐するためにロキ・ファミリアが現れる。ベルは衆目の前で彼らと対峙するが、フィンはベルを無視し、リドたちとウィーネの討伐に動く。そこに現れたアステリオスが単独でロキの第一級冒険者たちと戦い、この隙にリドたちは散り散りとなるが逃亡に成功する。ベルは冒険者たちに攻撃を仕掛けながらウィーネを追走するものの、魔法の一斉砲撃が放たれ、長槍がウィーネを貫く。ベルはウィーネと共に崩壊した地面の下に落ち、最期の時を迎えるウィーネを抱きしめる。その胸の中から大量の灰がこぼれ落ちた瞬間、フェルズのみに許された蘇生魔法が捧げられ、奇跡が起こる。
イケロスはオラリオから追放処分となり、イケロス・ファミリアは壊滅し、ひとまず事件は収束したが、ロキ・ファミリアから逃れた異端児は未だ地上に取り残されていた。
本編 第11巻
イケロスからクノッソスの情報を得たフィンは、ダイダロス通りを封鎖し、団員にベルの監視を指示する。オラリオではモンスターを庇ったベルへの失望が蔓延していたが、ヘスティア・ファミリアは異端児への協力を決意する。フェルズの協力により入手した眼晶を用いてリドたちと連絡を取ったベルたちは、ヘルメスから得た「ダイダロスの手記」を元に、リドたちをクノッソスの出入口からダンジョンへ帰還させる作戦を決行する。
ヘスティアと春姫は眼晶を使ってリドたちをダイダロス通りへ誘導し、ナァーザが協力してダイダロス通りを混乱させ、リューがベルの見張りについたアイズの足止めに協力し、ベルは囮として動き回る。リリはフィンに変身してロキ・ファミリアの陣営を切り崩し、ヴェルフと命、ヘファイストス・ファミリアの団長椿・コルブランドがフェルズの魔道具と魔剣でロキ・ファミリアに対抗する。しかし、この混乱によりウィーネが逸れてしまう。これを知ったベルと春姫がウィーネを助けに向かい、春姫とアイシャがベートの足止めに成功するが、ベルとウィーネはアイズと対峙してしまう。ウィーネはベルを守るために必死に想いを訴え、自分の過去とウィーネを重ねたアイズは、二人を見逃してしまう。ウィーネは散り散りになっていた異端児と共にアステリオスから譲り受けた鍵を使い、ベルが思い出した孤児院の地下からダンジョンへ帰還する。一方、ロキ・ファミリアから逃れたリドたちは「ダイダロスの手記」が示す場所に到達するが出入口はなく、その場にはヘルメスが待ち構えていた。この「ダイダロスの手記」は偽物であり、ヘルメスは本当の出入口の場所を教える代償として、ベルの名誉回復のためにリドたちへ犠牲を求める。
ヘルメスとの取引に基づき石竜のグロスが地上で暴れてベルに討たれようとするが、ベルはこれを受け入れようとせず、膠着した場にアステリオスが割って入る。アステリオスはベルが倒した片角のミノタウロスが生まれ変わった存在であり、ベルに対して再戦を熱望する。オッタルたちがロキ・ファミリアを抑えたことで、衆目の前でベルとアステリオスの一騎打ちの激闘が進められる。激闘はアステリオスの勝利に終わり、彼はベルに次の戦いを誓ってダンジョンへ去ってゆく。この戦いを目の当たりにしたオラリオの冒険者や街の人々は、ヘルメスの思惑すら越えた強い印象をベルに抱く。

本編 第四部

作者は第四部を『豊饒編』と名付けており[35]、オラリオを巻き込んだベルの奮闘と「豊饒の女主人」のリューとシルの救済が描かれる。

本編 第12巻
ベルはアステリオスに敗北したが、街の人々から軽蔑や非難の目を向けられることもなくなる。ベルは2か月でLv.4へランクアップを果たし、新しい二つ名「白兎の脚(ラビット・フット)」を得る。
ギルドから遠征の強制任務を与えられたヘスティア・ファミリアは、特訓や準備を進めていた。これまで懇意にしてきたミアハの派閥からダフネ・ラウロスカサンドラ・イリオンが、タケミカヅチの派閥からカシマ・桜花ヒタチ・千草が参加し、個人参加のアイシャを含めた派閥連合でベルたちは遠征へ出発する。
ベルは異端児の事件を経て、強くなる覚悟、偽善者となる覚悟を決め、頼もしさと安心感が格段に増していた。パーティは目標である25階層へ進攻し、巨蒼の滝に感嘆しつつ、強制任務の要求アイテムや迷宮のお宝を順調に入手する。目的を果たし、24階層へ引き返そうとしたベルたちは、右手を失ったエルフの冒険者(ルヴィス)を襲うモンスターと遭遇し、戦闘の末に追い返す。このモンスターは狡賢く多くの冒険者たちを襲撃してきた強化種であり、ベルたちはルヴィスの仲間とモンスターの種子に寄生された千草を救うべく、強化種の打倒を決意する。ところが、ベルたちは強化種が仕掛けた罠に嵌ってしまい、パーティからベルが分断される。水中に引き込まれたベルは強化種により巨蒼の滝から突き落とされるものの一命を取り留める。滝壺に降り立った瀕死のベルは人魚の異端児マリィと出会い、彼女の血により全回復したベルは彼女の案内で引き離されたリリたちの下へ急行する。一方、リリたちは、瀕死のルヴィスの仲間を確保し、さらに同じ強化種に襲われたドワーフたちも引き連れ、ベルの無事を信じて24階層まで撤退を図っていた。その道中、リリたちは強化種により怪物進呈を仕掛けられるものの、春姫の新たな魔法により大量のモンスターを何とか打ち倒す。しかし、これも強化種の企みであり、大量の魔石を喰らうことで能力向上を果たした強化種にリリたちは追い詰められる。
間一髪でリリたちの下に駆け付けたベルは、英雄願望を付した魔法で強化種を吹き飛ばし、自らの力で考案した魔法と斬撃の同時蓄力による新技である聖炎の英斬により強化種を打倒する。ベルたちは傷付いた冒険者と共にリヴィラの街へ戻るが、疾風による殺人事件の報が伝えられ、衝撃を受ける。
本編 第13巻
リューの潔白を信じるベルたちは、冤罪を晴らすために疾風の討伐隊に参加する。カサンドラはパーティが破滅する予知夢を見たが、自身も討伐隊に同伴してベルたちを救う決意を固める。24階層に到着した討伐隊は二手に分かれ、ベルは27階層へ向かう選抜隊に同行し、リリたちはリューの犯行を証言した冒険者(ターク)を監視するために24階層で待機する。
27階層に到着した選抜隊の下に爆発音が響き渡り、ベルは単独でその場へ急行し、殺気と共に冒険者(ジュラ)を踏みつけるリューを発見する。リューの言葉を信じたベルはジュラの古傷を確認し、殺人事件がリューに恨みを持つジュラの自作自演であると確信する。企みが露見したジュラは、調教した深層のモンスターであるラムトンを呼び出してリューたちに嗾けるが、ベルとリューはラムトンを圧倒してジュラを追い詰める。一方、リリたちは、25階層へ向かったタークのパーティを追跡するものの、痺れを切らしたタークはジュラから託されたラムトンをリリたちに嗾け、その追跡から逃れる。春姫の魔法で強化されたヴェルフと桜花が盾となり、アイシャが止めを刺してラムトンを打倒するが、その隙に、タークは25階層で大量の火炎石を爆発させ、ダンジョンの大規模破壊に成功する。ジュラの思惑の通り、ダンジョンからジャガーノートが生み出され、ジャガーノートは次々に討伐隊を襲撃し、水の迷都は冒険者の血で赤く染まり、カサンドラが予知した厄災が始まる。
リューはトラウマが原因で十全でなく、ベルはジャガーノートと一騎打ちとなる。その破爪に右腕を切断され、首の骨まで砕かれたベルだが、戦いを見守っていたマリィが自身の血によりベルの腕を繋いで全快させる。ベルは再び戦いの場に戻り、討伐隊のリーダを庇って足を折られたリューを間一髪で救う。カサンドラの勧めで装備していた防具のみが破爪に対抗でき、これを盾にベルは超近接戦を仕掛け、聖火の英斬でジャガーノートに深傷を負わせる。その隙に、ジュラは傷付いたジャガーノートの調教を試み、リューの殺害を命ずるが、逆にジャガーノートに瞬殺される。
瀕死のリューとベルはジュラの最期の命令に従ったラムトンにより37階層へ落とされる。一方、25階層では次産時期を無視して誕生した階層主(アンフィス・バエナ)が、ベルの救助に向かおうとするリリたちに襲い掛かろうとしていた。
本編 第14巻(章は第13巻から継続)
前半[36]
リリからの手紙でファミリアとリューの危機を知ったヘスティアとミアハは、椿と「豊饒の女主人」のアーニャたちに救出を依頼する。一方で、ウラノスとフェルズも、クノッソス攻略の作戦中ながらも異端児の半分をベルたちの救出に向かわせる。
双頭の水竜(アンフィス・バエナ)と対峙したリリたちはヴェルフの言葉で戦意を漲らせ、リリの指揮の下、春姫の魔法により能力が底上げされたパーティで超格上の敵を順調に削ってゆく。双頭の水竜の起死回生の行動で戦況が一変するが、命が自爆覚悟で水中から魔法を放って双頭の水竜を抑え込み、桜花が命の魔法による勢いを借りて、その片首を切り落とす。続けざまにアイシャが斬撃により魔石を打ち砕き、辛うじて双頭の水竜を討伐する。これまでの破壊や戦闘で水の迷都が崩壊しかける中、カサンドラが予知夢の解釈に成功して26階層への進行を訴え、ダフネがカサンドラ自身を信じてパーティを導き、ダンジョンの崩壊から逃れることに成功する。遅れて到着した椿たちは崩壊後の水の迷都に唖然とするが、無事を信じてリリたちの後を追う。
リリたちはベルを助けに向かうが、モンスターの異常発生に苦戦する。窮地を切り抜けるためにヴェルフはダンジョンで魔剣の鍛冶を敢行し、朽ちない新たな魔剣の創製に成功する。魔剣により危機を乗り越え、道中で遭遇した討伐隊のリーダの案内でベルのいた27階層へ到着したリリたちだが、大量のモンスターに包囲される。間一髪で椿たちと異端児の救出隊が到着し、リリたちを助けた異端児は引き続きベルが落とされた37階層へ救出に向かい、リリたちと椿たちもこれに同行する。
後半[36]
絶望的な状況の中、瀕死のベルとリューは協力して37階層からの脱出を試みるが、リューは自身を犠牲にしてでもベルを助ける決意を固めていた。上層へ向かうために、二人はモンスターが無限発生する闘技場を通り抜けようとするが、死を覚悟したリューはベルを騙して彼だけを上層への連絡路へ向かわせ、魔法により連絡路を破壊する。しかし、闘技場に残ったリューを救うべく、別の連絡路から戻ってきたベルは、英雄願望を付した火炎石を爆発させ、モンスター諸共、闘技場を破壊する。
崩壊した闘技場の下の安全地帯に落ちた二人は束の間の休息を得る。リューは、かつて所属していたアストレア・ファミリアでの情景を回想し、見殺しにした仲間、正義への裏切りなどについてベルに吐露するが、ベルはリューの正義は生き続けていると告げる。ベルの言葉が染み渡り、リューはこれまでの罪悪感から救われる。回復した二人は意を決して再出発し、正規ルートを見つけて上層へ急ぐが、ジャガーノートが待ち構えていた。ジャガーノートの攻撃に苦戦したベルをリューが身を挺して庇い、狭隘な通路に逃げ込むことで二人は何とか生き延びる。傷を負ったリューを休ませたベルは一人で対決の場へ向かい、眠っていたリューは夢の中でかつての仲間と邂逅して勇気を貰って未来を見出す。
ベルが再びジャガーノートに真っ向勝負を挑む中、トラウマを乗り越えたリューが駆け付ける。リューは魔法の並行詠唱を行い、ベルは聖火の英斬を発動し、ジャガーノートへ駆け引きを迫る。かつての仲間を想いながらジャガーノートを追い詰めたリューが魔法を直接打ち込み、ついにジャガーノートを打倒する。精根尽き果てたベルとリューは倒れ込み、意識を失いかけるが、異端児、椿たち、リリたちが到着してベルとリューは命を繋ぎ、地上に帰り着く。
本編 第15巻
ベルはジャガーノートとの戦闘で殆ど破壊された左腕の治療経過をアミッド・テアサナーレに診て貰う。遠征後2週間の無理が祟ったベルは、左腕をギプスで完全に固定された上で絶対安静を言い渡される。ヘスティアは遠征後のドタバタで延び延びとなっていた団員たちのステイタスを更新し、ベルの異常なアビリティ向上に頭を抱える。命たちも大幅にステイタスが向上し、リリは念願のランクアップを果たし、ヴェルフや春姫には新たなスキルが発現する。春姫もランクアップ可能だったが、浮かれるリリに対する配慮とアイシャの助言から、ランクアップを保留する。
リリはファミリアの実力以上の成果を伏せるために、遠征を失敗としてギルドへ報告する。ベルはエイナにだけ事実を伝えるが、あまりの内容にエイナは机に突っ伏してしまう。ヴェルフはヘファイストスに新たな魔剣を認めてもらい、飛び上がりたいほど歓喜する。それぞれ、自身の確かな前進を噛み締め、ふとオラリオに来た昔を振り返る。その後、ベルのギプス脱装と、リリ、ダフネとカサンドラのランクアップのお祝いも兼ねて、ベルたちは「豊饒の女主人」で宴会を行い、シルたちからも無事の帰還を祝福される。リューは自身の感情に混乱してベルを避けていたが、ベルの願いでアストレア・ファミリア時代の思い出を語る。春姫の経験値稼ぎのためにダンジョン上層に潜ったベルたちは、リリの上機嫌な様子に苦笑し、春姫の一向に戦えない様子に難儀していたが、命だけは春姫と出会ったころを思い出して春姫の成長を確信する。
ベルの完治を確認した後、ダンジョン探索を再開したベルたちは同業者の死に立ち会う。折しもベルがオラリオに来てから半年、オラリオでは過去の英雄たちを哀悼し、亡くなった冒険者を弔う挽歌祭が開かれていた。亡くなった同業者の墓前に参ったベルは英雄たちの記念碑の前でアイズと出会い、迷宮神聖譚の大英雄とアイズの名の類似性に気がつき、驚愕する。
本編 第16巻
"シル"はフレイヤとの交渉の末、自身の望みを叶えるためにベルとのデートを決意する。フレイヤの侍従頭ヘルンからシルの手紙を受け取ったベルは、シルの本意を確かめるために「豊饒の女主人」へ向かうが、その道中でフレイヤの眷族ヘディンに捕えられる。シルの相手として相応しい紳士とすべく、ヘディン師匠による容赦ない教育がベルに施される。
女神祭の1日目、ついにベルとシルのデートが始まる。ベルは特訓の成果を活かし、見事にシルをエスコートし、シルはベルのらしくない振る舞いに胸を高鳴らせる。多くの監視の目を巻いた二人は楽しい時を過ごすが、船上レストランでシルの護衛を務めるフレイヤの眷族たちに襲われる。シルを見守っていたアーニャたちと、ヘスティアと共にベルを追跡していたアイズが立ち向かう中、二人は船から水路に飛び込む。ずぶ濡れになった二人は宿に逃げ込み、シルはベルに迫るものの自分らしくないと引き下がる。夜の12時となり、シルは眠っているベルに気付かれることなく、一人宿を後にする。
女神祭の2日目、目覚めたベルは工業区で"シル"を見つけ出すが、"シル"がフレイヤの眷族ヘグニに襲撃される。偶々居合わせたヘルメスに依頼されたアイズがヘグニらと対峙し、二人は僅かな時間を得て廃墟に身を隠す。そこで、ベルは静かに"シル"の手を拘束し、彼女の手からナイフが地に落ちる。ベルは初めからこの"シル"が偽者であると見抜いており何者かと問うが、彼女はベルとだけの思い出の場所にシル様がいるとのみ語る。ベルはシルから初めて告白された場所に向かい、廃墟に残った偽者の"シル"はフレイヤ・ファミリアの副団長アレンに叩きのめされる。変身魔法が解かれたヘルンは自身の望みを語り、フレイヤとの勝負には敗れたが、結果は同じになると笑う。
シルを見つけたベルは、シルから改めて告白される。ベルもシルの望みに真剣に応え、ごめんなさいと告げる。雨に打たれてうつむくシルは、ベルを盗るための準備をオッタルへと命じ、フレイヤへとその姿を変える。望みに決着が着いた娘は死に、拘りが無くなった神は笑う。
本編 第17巻
手段を選ばなくなったフレイヤは、オッタルらにヘスティアの眷族やリューたちを襲撃させてベルの身柄を確保する。フレイヤは眷族の生命と引き替えにベルとの契約解除をヘスティアに迫るが、ヘルメスが神の定めたルールに従いベルの改宗を半年待つように提案する。両者は不承不承にヘルメスの提案を受け入れるが、フレイヤはオラリオに住む神や人間に魅了の力を行使し、彼女の力を無効化できるベルやヘスティアなどを除いて、ベルがフレイヤの眷族であるという偽りの認識を強制してベルを奪取する。
フレイヤの本拠で目覚めたベルは、自身がフレイヤの眷族であると告げられる。驚いたベルは親しい者たちに会いに行くが、誰もが偽りの認識を当然としている状況に動揺する。さらにフレイヤ・ファミリアの連日の苛烈な洗礼により疲弊したベルは、フレイヤの甘言に心が折れそうになり、自身の存在を疑い始める。一方、ヘルメスの指示で郊外に緊急避難したアスフィは、共に避難したリューの回復の後にオラリオの偵察を開始するが、シルの正体を明かされて混乱したリューはフレイヤに捕縛されてしまう。絶望の思いが増すベルは、最後の頼みの綱としてアイズと会い、彼女との会話から自身の存在に確信を持つ。フレイヤの本拠を監視していたアスフィは状況の変化を感じ取り、魅了される直前のヘルメスがヘスティアに託した反撃の切り札を受け取る。一方、魅了はされたものの、状況に違和感を察していたヘルメスは、アスフィから受け取った自身の伝言に基づき、冬に備えてオラリオ中の家庭に薪を配布するギルドの仕事を引き受ける。
捕らえられたリューが脱走騒ぎを起こす中、ベルはヘルンと対面し、シルの正体がヘルンでありフレイヤでもあると知る。命を賭けた彼女から苦しむフレイヤを助けて欲しいと懇願され、ベルは二人を救うと決意する。その時、全ての準備が整ったヘスティアは自身の権能を発動し、オラリオ中の家庭の竈に灯された炎を触媒にしてフレイヤの魅了を解除する。フレイヤの暴挙に気付いた怒り心頭の神や人間がフレイヤの本拠を包囲する中、ヘスティアとベルと対峙したフレイヤはベルを賭けたヘスティア・ファミリアとの戦争遊戯を宣言する。
本編 第18巻(章は第17巻から継続)
戦争遊戯は、ヘスティア・ファミリアを旗手とする47ものファミリで構成された派閥連合とフレイヤ・ファミリアとの対決となる。ギルドの調整により勝負は「神探し」(隠れんぼ)となるが、ギルドはオラリアの二大派閥の潰し合いを避けるために、ロキ・ファミリアの参加を禁止する。そのためフレイヤ・ファミリアが戦力的に圧倒する状況となるが、ベルたちは結束して立ち向かう準備を進める。
派閥連合の指揮を任されたリリは、フィンの協力のもと入念に戦略を立てて戦争遊戯に臨んだが、フレイヤ・ファミリの指揮を担うヘディンは「神探し」の趣旨を無視した全面戦闘に持ち込む戦略を採り、これにより派閥連合の眷族たちは次々と戦線から脱落する。派閥連合の敗戦が濃厚になる中、ミアを初めとする「豊饒の女主人」の女たちが戦場に駆け付け、また、これを期と捉えたヘディンがフレイヤの真の望みを実現するためにファミリアを裏切ったため、突如、選局はひっくり返る。
Lv.5にランクアップしたベルだが、オッタルと一騎打ちに全く歯が立たずにいた。この場にミアとLv.6にランクアップしたリューが現れて三人で協力して改めてオッタルと対峙する。さらに裏切ったヘディンも駆け付け、春姫の魔法で能力が押し上げられた四人の共闘により、漸くオッタルを倒すことに成功する。ベルは「神探し」の勝利条件を果たすべく、追っ手を振り切りフレイヤの下に駆け付ける。ベルと対面したフレイヤは、街娘であるシルではダメだったから女神であるフレイヤを選んで欲しいと涙ながらに訴える。しかし、ベルはフレイヤの「伴侶」にはなれないときっぱりと告げ、これによりシルとフレイヤの初恋は散り、また戦争遊戯は派閥連合の勝利で終わる。
この騒動でフレイヤは自身の真の望みに気が付き、美の女神としては決して得ることができない恋が欲しかったのだと自覚する。戦争遊戯に敗れたフレイヤ・ファミリアは解体され、フレイヤにはオラリオ追放の処分が下される。フレイヤは最後にミアと酒を酌み交わした後、粛々とオラリオを去ろうとするが、酒場の仲間とベルに引き留められる。ベルと彼女らの追求により女神を辞めてシルでいたいとの本音を漏らし、「豊饒の女主人」のシルとしてオラリオに残ることになる。

派生作品あらすじ

外伝『ソード・オラトリア』

『都市の破壊者編』(第1巻から第12巻)[37]

アイズを主人公に据え、本編の裏で同時進行していたオラリオの運命を賭けた事件が描かれる。

外伝 第一部

外伝 第1巻
時系列は本編1巻に相当する。
ロキ・ファミリアは、これまで未踏破であったダンジョン59階層へ遠征しており、50階層の安全地帯に到着した部隊は、冒険者依頼を果たすために、フィンたち幹部を中心とした小部隊が51階層を探索していた。
フィンたちは未知の極彩色のモンスター巨蟲)と遭遇し、大量の巨蟲による強力な腐食液を用いた攻撃により武器が次々と破壊されたため50階層へ撤退するが、下半身が巨蟲で上半身が女性の人体である未知のモンスターが現れて部隊は窮地に陥る。フィンは遠征の中断及び部隊の撤退を決断し、腐食液に対処可能なアイズだけを未知のモンスターと対峙させ、その間に部隊を安全に撤退させる作戦を指示する。アイズは部隊の撤退を確認した後、未知のモンスターを単身で撃破し、部隊は難を逃れる。その後、部隊と供に撤退中のアイズは、偶然ミノタウロスに襲われた少年(ベル)を助けたが、ベルは脱兎の如く逃げ出してしまう。
地上に戻ったアイズは何故か元気が無く、それを心配したティオナたちが遊びに誘い出し、少し調子を取り戻す。その後、アイズはロキにも強引に怪物祭へ連れ出されるが、突如、地上に現れた極彩色のモンスター(食人花)と対峙する。この戦闘に、怪物祭の見学に来ていたティオネとティオナも参戦するが丸腰だっため苦戦し、レフィーヤは重傷を負う。レフィーヤは執念で起ち上がり、召喚魔法により食人花を氷結し、アイズたちが止めを刺すことで事無きを得る。
外伝 第2巻
時系列は本編2巻開始前から前半に相当する。
ロキはベートと共に怪物祭の騒動で地上に現れた食人花の出現ルートを調べ、旧式の地下水路で食人花を発見し、これをベートが退治する。地上に戻ったところ、ディオニュソスフィルヴィスと遭遇し、ディオニュソスから極彩色のモンスターの件で協力関係を打診される。
一方、アイズは怪物祭の騒動で破壊した代剣を弁償するために、単身、ダンジョンで資金稼ぎをするつもりだったが、ベートとガレスを除く派閥幹部とレフィーヤがこれに付き合い、パーティでダンジョンに向かう。18階層へ到着したアイズたちは、リヴィラの街で殺された冒険者の犯人捜しに協力することになり、アイズは、街の外れで冒険者(ルルネ)を捕える。殺された冒険者から受け取った荷物の運び屋役であるとルルネに告げられ、身の保護を依頼されたアイズは、荷物の中身が不気味な緑色の宝玉であることを確認した後、フィンに判断を求めるために街に引き返そうとする。その道中、冒険者を殺害した謎の女性(レヴィス)から襲われ、これと同時に街には大量の食人花が発生する。また、アイズとの戦闘の最中に緑色の宝玉が原因となって精霊の分身も発生し、18階層は大混乱となる。アイズはレヴィスに追い詰められるが、間一髪でフィンとリヴェリアが間に合い、食人花の群れはレフィーヤの魔法で殲滅され、ティオナとティオネにより精霊の分身も打破される。
騒動がひとまず沈静化したので、フィンたちは下層の37階層まで探索し、十分な成果が得られたため地上へ帰還する。レヴィスが自身を「アリア」と呼んだことや戦闘で敵わなかったことに思い詰めるアイズはダンジョンに残り、単身でウダイオスに挑戦し、その打倒に成功する。37階層からの帰還の途、アイズは精神疲弊したベルと遭遇して介抱するが、気がついたベルが再び逃げ出してしまい、呆然として立ち尽くす。
外伝 第3巻
時系列は本編2巻後半から本編3巻冒頭に相当する。
アイズはLv.6へランクアップしたが、その心はどこか曇っていた。いつものようにダンジョンに向かうアイズは、その道中でエイナからベルの救援を依頼される。10階層へ急行したアイズはベルを手助けするが、焦るベルはアイズに気付かずに慌てて上層へ向かってしまう。その場に残されたアイズはフェルズから24階層の食料庫における騒動の調査と鎮圧を目的とした冒険者依頼を引き受け、リヴィラの街で落ち合ったアスフィたちとパーティを組んで24階層へ出発する。
24階層の騒動についてロキとディオニュソスが相談していた場に、アイズからの手紙が届く。驚いたロキはベートとレフィーヤを24階層へ急遽派遣し、ディオニュソスはロキの信用を得るためにフィルヴィスを同行させる。24階層へ向かう道中のフィルヴィスはベートたちに頑な態度を取るが、レフィーヤが強引に距離を縮めたことで二人は親しくなってゆく。
アスフィたちは不気味な緑肉で覆われた24階層の食料庫に到達し、6年前の「27階層の悪夢」で死亡したはずのオリヴァスと対峙する。食料庫では、オリヴァス、闇派閥の残党、食人花の群れとアスフィらが戦闘となり、これにレフィーヤたちも加わり乱戦となる。レフィーヤに支援されたベートの攻撃で追い詰められたオリヴァスは、怪人に生まれ変わった自身の正体を明らかにし、自分たちの目的がオラリオの破壊であると宣言する。一方、パーティから分断されたアイズを生け捕りにしようとするレヴィスは、Lv.6の力を得たアイズに圧倒される。レヴィスはオリヴァスの魔石を喰らって能力強化を図るもののアイズたちに追い詰められる。レヴィスは巨大花を暴走させ、緑色の宝玉を「エニュオ」に渡せと仮面の人物(エイン)に告げ、アイズに59階層へ向かうように挑発して撤退に成功する。
地上に帰還したアイズは、エイナの助けで漸くベルと対面する。お互いに伝えたい言葉を交わし合うことができて心が晴れたアイズは、ベルに師事されることになる。
外伝 第4巻
時系列は本編3巻に相当する。
アイズはベルの成長の秘密に興味があり、朝早くからベルとの訓練の場へ出かける。その姿を偶然見かけたレフィーヤはアイズの後を追い、その道中でベルと出会う。その後、拠点に戻ったアイズは、レフィーヤからの思わぬ圧力によりベルとの訓練を打ち明けてしまい、半ば強引にレフィーヤにも師事されることになり、59階層への再遠征までの間、アイズは忙しい日々を過ごす。
ロキ・ファミリアは巨蟲対策のために同行を依頼したヘファイストス・ファミアリアと共に再遠征に出発し、その道中の9階層でベルの冒険に立ち会い、衝撃を受ける。その後、部隊は予定通り50階層に到着し、ファミリアの幹部と椿やレフィーヤらを加えた選抜隊のみで59階層に向かう。52階層で砲竜による階層無視の砲撃を受け、選抜隊は二隊に分断され、砲撃の穴に落下したレフィーヤは、フィルヴィスやアイズとの訓練でものにした魔法の並行詠唱を早速実践し、深層のモンスターを一掃してティオネたちと共に58階層に降り立つ。さらに遅れて降り立ったガレスが砲竜の群れを一人で始末し、階層無視の砲撃の元を絶つ。一方、正規ルートで急ぎ59階層へ向かうフィンたちは、53階層でエインが率いる巨蟲の群れに遭遇するが、事前の準備が功を奏して巨蟲を難なく殲滅し、椿がエインの片腕を切断して追い返す。58階層で合流した選抜隊は59階層へ侵入し、巨蟲と食人花の魔石を大量に喰らった精霊の分身と対峙する。精霊の分身はアイズをアリアと呼び、アイズに照準を定めて強力な魔法を放ち、パーティは壊滅に近い状態となる。フィンはベルを出しにしてパーティに奮起を促し、レフィーヤを含む幹部たちの突撃により精霊の分身に肉薄し、最期はアイズが止めを刺す。
戦いに勝利したフィンは怪人の企みを、宝玉を用いた地上での精霊の分身の召喚と推測し、これに対処する必要があると考える。一方、地上では、アイズに持たせた眼晶から24階層の争乱を観察していたフェルズはエニュオが事件の重要神物であると考えるが、ウラノスはエニュオという名の神は知らず、神の言葉では都市の破壊者という意味であると語る。ロキはディオニュソスとヘルメスと対談し、極彩色のモンスターや怪人に対処すべく、ダンジョンのもう一つの出入口を明らかにするために三者間で同盟を結ぶ。

外伝 第二部

外伝 第5巻
時系列は本編4巻後半から本編5巻に相当する[38]
59階層からの帰還の途、ロキ・ファミリアの部隊は毒妖蛆の異常発生に遭遭して部隊の多くが行動不能となり、18階層での休息を余儀なくされる。そこに、中層で遭難したベルたちのパーティが到達し、フィンはベルたちを受け入れて治療を施す。間もなく、ベルたちを助けにきたヘスティアとヘルメス、その護衛であるアスフィとリューが合流する。ティオナたちは英雄譚に詳しいベルに精霊「アリア」について問うが、核心について何も得られなかった。その後、ティオナたちのアイズへの心配に配慮したリヴェリアは、アイズには精霊の血が流れていると明かす。
ヘルメスの男の浪漫に付き合わされたベルはレフィーヤの怒りを買い、18階層の森の中で追い回され、二人で迷子になってしまう。怒りが多少収まったレフィーヤはベルと野営地へ戻ろうとするが、その道中で闇派閥と考えられる人物たちを発見、ベルと共に彼らを尾行するものの、溶解液で満たされた落とし穴状の極彩色のモンスター(巨靫蔓)に捕らわれる。レフィーヤはベルへの蟠りを捨て、二人で協力して落とし穴から抜け出すことに成功する。瀕死のレフィーヤとベルは闇派閥が操る食人花から追撃されるが、リューが現れて食人花を打倒する。リューはベルとレフィーヤを治療し、騒ぎを察知したアイズたちが到着したので、その場を後にする。
ベルとレフィーヤがアイズと共に野営地に戻った後、フィンたちはその場を調査したが、闇派閥に関する証拠は何も見つからず、毒の特効薬が地上から届き、団員の治療が済んだので、部隊を地上へ撤退させる。リューは食人花を解き放った闇派閥を捕らえて尋問していたが、エインにより闇派閥の団員は魔剣で消し炭にされ、口封じされてしまう。リューはその跡地で「D」の文字が刻まれた謎の魔道具を手に入れる。
外伝 第6巻
時系列は本編6巻の開始前から冒頭までに相当し[39]、ロキ・ファミリア入団前のヒリュテ姉妹(ティオネとティオナ)の過去が描かれる。
遠征から戻ったロキ・ファミリアではベート、ヒリュテ姉妹がLv.6へランクアップし、レフィーヤも魔力のアビリティが成長するまで保留したが、ランクアップ可能となる。ロキはダンジョンへのもう一つの出入口を見つけ出すためにディオニュソスと話し合い、かつてダンジョン下層と繋がっていたメレンの調査を引き受ける。ロキ・ファミリアは女性団員だけでメレンへ赴き、メレンのロログ湖に食人花を確認する。この地に地上とダンジョンを繋ぐ経路の存在が示唆されたため、ロキは男神ニョルズ、ギルド支部、メレンの長に調査への協力を求める。
ロキたちは、かつてヒリュテ姉妹が所属していたテルスキュラの女神カーリーと出会う。カーリーはフレイヤを打倒するためにイシュタルが呼び寄せた戦力だったが、因縁のあるティオネとアルガナ、ティオナとバーチェとの闘争の儀式を望み、ロキ・ファミリアの足止めをイシュタルに要望する。カーリーはレフィーヤを攫って人質に取り、ヒリュテ姉妹を儀式に引きずり出すことに成功する。イシュタルの眷族たちはレフィーヤたちを取り戻そうとするロキ・ファミリアを邪魔するために食人花をメレンの街で暴れさせ、フリュネがアイズを足止めする。カーリの企みを知ったロキは、全力でカーリーの企みを潰すために男性団員をメレンに呼び寄せ、ベートがフリュネを叩きのめし、ガレスがレフィーヤ、アイズがティオナ、フィンがティオネを救出してメレンの騒動は収束する。
ロキは罠を張ってニョルズたちの共犯関係を暴き出し、ニョルズたちは海のモンスターを退治するために、モンスターを襲う食人花を海に解き放っていたと自白し、前髪で片目を隠した陰湿そうなヒューマンによる密輸に協力する代わりに食人花の提供を受けており、運び屋がイシュタル・ファミリアであると打ち明ける。一方、カーリーはイシュタルからメレンに招かれた理由をロキに明かさなかったが、イシュタルには他にも「隠し玉」があるのだろうと示唆する。
外伝 第7巻
時系列は本編7巻に相当する[40]
ロキたち同盟の神々は、これまでの調査結果からダンジョンのもう一つの出入口がダイダロス通りにあると確信し、ヘルメスはダイダロス通り近くに歓楽街を構えるイシュタルを、ロキはダイダロス通りの調査を開始する。一方、エインから連絡を受けたレヴィスはロキ・ファミリアによるクノッソスへの進攻が近いと男神タナトスに伝える。タナトスはバルカに命じて、ヴァレッタとフィン、レヴィスと「アリア」の決着の場を設け、他は始末するように罠を巡らせる。
ダイダロス通りの旧式の地下水路を探索していたフィンたちは、最硬精製金属製の扉を発見する。フィンは罠の可能性を認識しつつ扉内部への侵入を決意、フィルヴィスもレフィーヤの護衛のために同行する。事前に張り巡らされた罠によりパーティは数人規模の集団に分断され、アイズが孤立し、ティオネの集団は暗殺者による弱体化攻撃を受け、ティオナの集団は毒妖蛆に襲われ、ガレスの集団は闇派閥による自爆攻撃を受け、ベートの集団はディックスの呪詛に苦しめられる。レヴィスの急襲によりフィンが深傷を負い、フィンの集団はヴァレッタに執拗に狙われるが、フィンを囮にしたラウルアキたちによる眼黽怪物進呈により難を逃れる。二人となったレフィーヤとフィルヴィスは退路を探索する中で、六天使と竜の絵画が飾られた広間でタナトスと出会い、彼の真意を知らされる。
アイズは能力強化を果たしたレヴィスに圧倒されるが、地下空間全体に及ぶ風を巻き起こして分断された仲間を呼び寄せる。集結したロキ・ファミリアとレヴィスが対峙する場に、イシュタルの意向で精霊の分身が解き放たれるが、レヴィスはアイズの魔法に興奮した他の精霊の分身の様子を探るために撤退する。ガレスとティオネとティオナが殿として精霊の分身と戦い、フィンたちはレフィーヤが見つけた退路から撤退する。精霊の分身はティオネの魔法とガレスとティオナの力業で絞首され、最期はガレスにより息の根を止められる。
複数の団員の死亡が確認され、怒りに燃えるロキが次なる戦いを決意した時、フレイヤ・ファミリアの襲撃によるイシュタル・ファミリア壊滅が知らされる。
外伝 第8巻
時系列は本編7巻後から本編8巻前に相当し、ロキ・ファミリア入団前のベートの過去が描かれる。
フィンたちは地下迷宮の鍵(ダイダロス・オーブ)の情報を収集するために、人海戦術により破壊された歓楽街での鍵の捜索と元イシュタルの眷族たちへの接触を開始する。一方、地下迷宮への進攻で殺されたリーネにかけた言葉が原因で、ベートはファミリア内で孤立し、フィンは混乱を避けるために、ベートにだけ暇を出す。
酒場でやらかし、アイズにまで突き放されて街を彷徨っていたベートは、元イシュタルの眷族でベートに懸想するレナに絡まれる。ベートは鍵を探すために、不承不承ながらレナとのデートに付き合って歓楽街に向かったところ、バルカの呪道具で武装したヴァレッタが率いる暗殺者から襲われる。その狙いが自分であると気付いたレナは暗殺者たちを引き付けるためにベートから離れ、ヴァレッタはベートを足止めするためにリーネたちの殺害ついて挑発的に暴露し、ベートの怒りが許容範囲を超えたと察して一時撤退する。
ヴェレッタは鍵の流失を防ぐために元イシュタルの眷族たちを襲撃し続け、呪道具による傷がアミッドの魔法でしか治癒できなかったため、治療が間に合わずに命を落とす者もいた。漸くアミッドから治療を受けられたベートは咆哮を上げ、単独で街に繰り出し、これをフィンも黙認する。ベートは暗殺者たちを次々と始末しつつ、誘いに乗って地下の広間に向かい、ヴァレッタと対峙する。事前に施されていたヴァレッタの結界魔法によりベートはLv.4程度まで弱体化させられるものの、切り札である魔法を発動したベートは命乞いするヴァレッタらを容赦なく消し炭に変える。
その後、ロキの一芝居もあって、ベートの罵詈雑言は弱者への叱咤激励であることがファミリアに直接伝わり、ベートの孤立は解消し、逆に下位団員から付きまとわれる。また、アミッドによる秘薬の開発が間に合い、命を繋ぎ止めたレナからも付きまとわれ、ベートには顔を真っ赤にして怒鳴り散らすことしかできなかった。
外伝 第9巻
時系列は本編8巻に相当する[41]
ラキア王国の進攻に対して、ロキ・ファミリアは前線で防衛の任に就いていた。ラキア王国は徒に戦線を長期化しており、フィンはその狙いがオラリオ内部にあると確信する。フレイヤ・ファミリアに防衛を任せ、フィンは団員たちにクノッソスの鍵と扉の探索を指示する。これにより、闇派閥が密輸に使っていた地上の洞窟とダンジョン18階層の隠し扉が明らかになる一方、壊滅した歓楽街の再調査では鍵を発見できないでいた。一方、フレイヤは先の抗争でイシュタル・ファミリアの副団長を魅了しており、鍵の存在、及び闇派閥、クノッソス、さらには精霊の分身についても把握していたが、神の勘に基づき鎌を掛けてきたロキに白を切り通す。
アレスに攫われたヘスティアを追走したアイズは、ベルと共にヘスティアの体調が回復するまでベオル山地のエダスの村で休息を余儀なくされる。モンスター除けに村に奉られている黒竜の鱗を紹介されたアイズは、自身の異常な闘争心が抑えられず、ベルや村人との距離が一気に広がったと感じる。村の祭りでヘスティアやベル、村人の楽しそうな様子を見たアイズは益々孤独感を抱くが、アイズの悩みを見抜いたヘスティアの言葉で悩みが和らぎ、ヘスティアと一緒に踊ることで、微かな笑みを浮かべるようになる。
本巻ではロキ・ファミリア入団直後の幼少期のアイズが描かれる。モンスターへの復讐心に囚われていたアイズは、ダンジョン12階層で顔を隠したタナトスから闇派閥に勧誘されたが、自身の意志でこれを断る。タナトスはアイズを始末するために神威を開放し、漆黒の翼竜をダンジョンに産ませたが、アイズは初めて魔法エアリエルを唱え、これを打破する。

外伝 第三部

外伝 第10巻
時系列は本編9巻から本編11巻に相当する[42]
アイズは地上に出現した竜女を庇うベルの行動と、互いに庇い合う武装したモンスターたちのあってはならない姿に懊悩する。フィンはウラノスとヘルメスが理知のあるモンスターを囲っていることを見抜き、全てを捨てる覚悟で竜女を庇ったベルの愚直な行動を尊いと感じる自身に対して憂鬱になる。
フィンは自身の推測をリヴェリアとガレスにだけは打ち明けるが、自身の成り立ちと感情からモンスターとの結託を拒否、鍵の入手を目的とした、モンスターの確保とそれを囮にして闇派閥を釣り出すための二面作戦を立案し、ダイダロス通りの地上と扉へファミリアを布陣する。ラウルの布陣の綻びがリリの仕業だと見破ったフィンは、アキに命じてリリの身柄を確保させ、その変身魔法を利用して闇派閥を釣り出し、クノッソスの鍵を入手する。 地上では、一度は地下に逃げ込んだ石竜が再び現れ、衆目の前でベルと対峙する。石竜を最後まで信じたベルの愚しいほど眩しい行動を目撃したフィンは再び衝撃を受け、これまでの自分を捨てて本物の英雄となる決意をする。
アキから鍵を託されたリヴェリアの妖精部隊はクノッソスを速攻で蹂躙し、闇派閥から新たな鍵を手に入れ、ダンジョン12階層の扉を発見した後も進攻を深める。一方、ヘルメスはクノッソスの扉に陣取るクルスと交渉し、フレイヤから譲り受けた鍵を渡す代わりにクルスたちを撤退させ、フェルズと異端児たちをクノッソスへ導く。これを知ったタナトスはクノッソスの扉を操作して異端児たちと妖精部隊を遭遇させ、その場に闇派閥とレヴィスも加わって乱戦が始まる。乱戦の中、歌人鳥が身を挺してレヴィスの剣からアリシアを庇い、妖精部隊のエルフたちは衝撃を受ける。レヴィスが追撃を仕掛けた瞬間、間一髪でフィンやガレスが駆け付け、フェルズたちにも同行を促しつつ素早くその場から撤退する。新たな決意を得たフィンは歌人鳥の治療を指示し、フェルズと異端児に向かって共闘を呼びかける。
リューを振り切ったアイズは竜女を守るベルと戦闘になるが、ベルを庇った竜女は自身の爪や翼を折り、自身の想いをアイズに告げる。竜女の行動と言葉に自身の過去を投影したアイズは竜女を見逃してしまう。アイズは自身の誓いを初めて破ったことに衝撃を受け、雨に打たれながら立ち尽くす。
外伝11巻
時系列は本編12巻前から本編14巻に相当する。
クノッソスの鍵を確保したフィンは、ウラノスと異端児の協力関係を得て、クノッソスへの本格的な進攻作戦を計る。自身の誓いを破ったことに苦しんでいたアイズは、前に進む決心を固め、フレイヤへの借りを代償にオッタルとの訓練に臨む。ヘルメスはこの件からベルを遠ざけるためにヘスティア・ファミリアへの強制任務をウラノスへ要求する。ロキはディオニュソスから自身とその眷族たちの作戦への同行を依頼され、同意する。
囮として12階層から進攻したアイズが唯一の懸念であるレヴィスを抑え、ダンジョン18階層から異端児が、地上からフィンたちがクノッソスへ進攻する。進攻部隊がクノッソスを攻略する中、隠密行動のアスフィらがバルカを追い詰め、ついに「ダイダロスの手記」を手に入れる。これによりフィンたちはクノッソスの構造を完全に掌握し、タナトスと闇派閥の幹部たちを包囲する。観念したバルカは自身に宝玉の胎児を寄生させて異形の怪物へ変わり果て、その強力な呪詛にフィンたちは苦戦するが、アミッドの全癒魔法によりバルカだったものは絶命する。
ロキはタナトスと対峙して最期を言い渡すが、ディオニュソスの不在に気付き、慌てて眼晶で呼びかける。眼晶に前後不覚のディオニュソスがエニュオに殺害された様子が伝わり、神の強制送還の衝撃が届いた瞬間、クノッソス内部に全てを飲み込む緑肉が爆発的に発生する。主神の送還により常人となったフィルヴィスは、レフィーヤの目前でエインに首を折られて緑肉に飲み込まれ、ディオニュソスの眷族も逃げ遅れて全員死亡する。その他の進攻部隊は撤退に成功するが、ロキとフィンたちは逃げ場を失う。タナトスがエニュオに踊らさせられていた腹癒せに自刃し、神の送還で穿たれた穴からロキたちに逃げろと告げる。ロキたちは慌てて撤退し、逃げ遅れたフィンもレイにより間一髪で助け出される。
クノソッスから撤退後、ロキとヘルメスはディオニュソスを黒幕と推理していたと互いに打ち明ける。ヘルメスは悔しさを滲ませ、元凶探しに走る。感傷的になっていたロキの前に偶然ソーマが現れてロキから神酒の匂いを察知する。ディオニュソス・ファミリアの本拠に向かったロキは、神でさえ酔わすことができる葡萄酒を発見し、とある神を思い浮かべる。
外伝 第12巻
時系列は本編14巻後から本編15巻前に相当する[43]
ギルド本部に向う道中でアイズたちは左腕に妙な鎧を装着したベルと出会い、レフィーヤがクノッソスで見た絵画の題材が、精霊とニーズホッグとのお伽噺であると知らされる。フィンは敵の狙いが六体の精霊の分身を用いた大秘術「精霊の六円環」によるオラリオの破壊であると各派閥の代表者に告げ、進攻作戦の要諦を伝える。ロキはヘルメスにエニュオの正体に関する推理を説明し、それを受けてヘルメスは女神デメテルの追跡に向かう。拠点に戻ったロキはフィルヴィスの死に直面して心を閉ざしたレフィーヤにも自身の推理を伝え、その内容を知ったレフィーヤは真実を確かめるために再起する。
オラリオの各派閥と異端児による部隊がクノッソスへ進攻を開始し、これらの部隊が六体の精霊の分身と対峙する中、フェルズが魔力回路を破壊してクノッソスの防御力を奪う。これによりフレイヤやカーリーの眷族、アステリオス、ヘスティアの眷族が援軍として参戦し、精霊の分身を追い込んでゆく。地上では作戦に参加しなかった冒険者やニョルズの眷族も、暴れ回る食人花を退治する。アイズは、スキル復讐姫と魔法エアリエルを結合した黒き力でレヴィスを12階層へ落として一騎打ちを仕掛ける。エインによりベートと共に12階層まで落とされたレフィーヤは、ロキの推理をエインに語り、正体を明かしたエインと対峙する。その場に、援軍としてアスフィとリュー、アイシャと春姫が駆け付ける。
ヘルメスがベオル山地の隠し小屋でデメテルを見つけ、貴女はエニュオではないと告げる一方、ロキはクノッソスの隠し通路の先でエニュオと一人で対峙し、自身の推理を語る。ついにエニュオは正体を明かし、子供たちが狂い叫ぶ時代の復活を目的とし、怪人や闇派閥と手を結んでこの動乱を15年前から進めていたと暴露し、七体目の精霊の分身(ニーズホッグ)による冒険者たちの殲滅こそが本命だと笑い出す。フィンには既に打つ手が無かったが、神の思惑に対抗するための「未知」を閃き、ベルをニーズホッグの下に運ぶようにレイに命令する。ベルはニーズホッグと対峙し、全力で英雄願望の蓄力を始め、クノッソスに大鐘楼の音が響き渡る。
アイズは消耗戦となりつつあるレヴィスとの戦闘で、さらに自身の黒き復讐心に頼ろうとするが、そこにベルの鐘の音が響き渡り、復讐心に飲み込まれる直前で踏み止まる。一方、エインとの戦闘で深傷を負っていたレフィーヤたちも、ベルの鐘の音が切っ掛けで起ち上がる。春姫の魔法によりLv.7の力を得たベートはエインに挑むものの決定打に欠け、最後の手段である魔法を詠唱する。その間、レフィーヤやリューたちがエインの攻撃を受け止め、ベートが完成した魔法を付与した拳をエインに叩きつける。
ニーズホッグはベルの英雄願望により消滅し、レヴィスはアイズの白き一撃で止めを刺され、弱体化したエインはレフィーヤにより魔石を砕かれる。打つ手の無いエニュオをロキが容赦無く叩きのめす中、灰化が進むエインの片割れが駆け付ける。エインの片割れはエニュオから歪んだ愛を語られて満足して逝き、エニュオは最期にダンジョンはもう限界だと言い残し、自刃して天界に送還される。アイズはベルの下に向かい、精神疲弊したベルに感謝の言葉を告げ、その隣で休息を取る。レフィーヤは灰化するもう一方のエインの片割れと最期の言葉を交わし、レフィーヤの慟哭がクノッソスに轟き、エニュオによる動乱は幕を閉じる。

外伝 第四部

外伝13巻
時系列は本編18巻後に相当する[44]
エニュオによる動乱でフィルヴィスを喪なったレフィーヤは新しい自分に生まれ変わろうと決意する。守られるばかりの後衛でなく、一人でも戦えるフィルヴィスの様な魔法剣士となるべく、時を惜しんで自らを鍛錬し、ベートにも近接戦闘の稽古を付けてもらう。派閥の幹部たちや同僚は、冷静に自分を追い込み、自分以外の者になろうとするレフィーヤを心配していた。ロキもレフィーヤの状態を芳しくないと考え、彼女の出身でもある「学区」へ派遣し、自分を見つめ直す機会を与える。
当初、「学区」への派遣に不満を持ったレフィーヤだが、旧友や先生との邂逅を喜び、学生への教導にもやりがいを覚える。レフィーヤは学生4人の研修を担当し、彼らと共にダンジョンに潜るが、不運にもダンジョン15階層の崩落に遭遇する。レフィーヤと分断された学生は、彼女からの教導で得た策を決行し、18階層の安全地帯に向かうものの、階層主に立ち塞がられる。漸く彼らに追いついたレフィーヤは、安全のために学生たちを魔法で閉じ込め、階層主と単独で対峙する。レフィーヤはフィルヴィスの様に一人で戦い、階層主を追い詰めるものの多数のモンスターに囲まれて窮地に陥いる。その時、学生らが自らレフィーヤの魔法を破壊して避難所を抜け出し、レフィーヤと共に戦いたいと懇願する。彼らの思いを受けたレフィーヤは、自分を守るように彼らに指示し、自らは後衛に陣取り魔力を高めるにために集中する。学生らは前衛として命がけでレフィーヤで守り切り、レフィーヤの特大魔法により階層主は焼き尽くされる。感激して泣き出す学生に抱きつかれて困惑するレフィーヤだが、かつて「学区」の学生だった時に同じ様に無謀にも階層主と対峙してアイズたちに助けられて感激した過去を思い出す。
「学区」での仕事を終えてファミリに戻ったレフィーヤは、かつて冒険者になりたいと心から願った自分を取り戻し、フィルヴィスに対する罪悪感から彼女の幻影を追うのではなく、自身らしく成長しようと晴れやかに笑みを浮かべる。
外伝14巻

ファミリアクロニクル

episodeリュー

グラン・カジノをぶっつぶせ!
ベルと出会って2か月後、酒場「豊饒の女主人」のリューは、娘アンナを賭博の担保に取られて嘆く夫婦と出会い、アンナの救出を画策する。リューはアスフィに調査を依頼し、ギルドも手が及ばないオラリオ最大のカジノにアンナが捕らわれていることが明らかとなる。
シルがとある猫人からカジノの招待状を入手し、リューとシルは夫婦に扮してカジノに侵入する。モルドに連れられてカジノに来ていたベルの「幸運」もあって、賭けに勝って資金を得たリューとシルは貴賓室に招かれ、オーナーのテリーと対峙する。テリーはシルの身柄を賭金として要求するが、シルはテリーたちとポーカーで勝負に挑み、不利な状況をものともせずに悉く勝利する。リューによりテリーが偽者であり、その正体がかつてアストレア・ファミリアに捕らえられたテッドであることが暴露され、テッドは用心棒として雇っていた賞金稼ぎの黒拳と暗殺者の黒猫を嗾けるが、その黒拳と黒猫も偽者であり、リューに倒される。テッドはアンナを連れて金庫に閉じ籠もるが、リューの魔法で金庫は破壊され、リューに殴り飛ばされたテッドは、シルの耳打ちにより観念し、ガネーシャ・ファミリアに捕縛される。囲われていた女性たちも開放され、リューとシルは無事にアンナを両親の下へ送り出す。
そこは豊饒の酒場〜Girl meets Girls〜
賞金稼ぎで黒拳の通り名で有名なルノアはリューの殺害をブルーノ商会から依頼され、暗殺者で黒猫の通り名で有名なクロエもリューの殺害をドワーフの商人から依頼され、それぞれ、これを最後に引退するつもりで依頼を引き受ける。
路地裏を通りかかったシルは、闇派閥への復讐を果たした瀕死のリューを見つけ、「豊饒の女主人」に運び込んで介抱する。女主人ミアが作った食事を平らげたリューは、宿代を含めて5000万ヴァリスの借金を言い渡されて「豊饒の女主人」で働くことになる。リューは慣れない酒場の仕事に就く中で、シルに何故自分の世話を焼くのかを尋ねる。シルは、暗黒期だったオラリオが再び笑うようになった変化をリューに示し、リューのおかげであると感謝を伝える。リューはシルの言葉からアリーゼたちが残したものを見届ける未来を見出し、シルに恩を返すために「豊饒の女主人」にしばらく厄介になると決める。
ミアはルノアとクロエの監視に気付いたリューに自分で落とし前を付けろと告げ、シルと共にフレイヤの下へ出かける。これ幸いと馬鹿騒ぎした店員たちを介抱し、眠ろうとしたリューに、クロエが襲いかかり、次いでルノアが襲撃する。リューはルノアと一騎打ちとなり、漁夫の利を狙って観戦していたクロエは眼を覚ましたアーニャと戦闘になる。リューは自爆覚悟で魔法を放ち、店の一部を含めて周囲を爆発させる。そこに、ブルーノ商会たちが現れ、今回の件が三人を潰し合いさせるための罠であると暴露し、リューたちに襲いかかる。リューたちは共闘して商人たちを圧倒するが、図ったようにミアとシルが帰宅する。店の惨状を知ったミアは、拳骨1つでアーニャを沈め、店を壊した者たちに雄叫びを上げる。
事情を把握したミアは、ブルーノ商会とそのバックにいたファミリアを根刮ぎ壊滅させる。ルノアとクロエはミアから1億ヴァリスの借金を背負わされるが、リューも含めてミアを母さんと呼ぶ「豊饒の女主人」の仲間となる。

episodeフレイヤ

アリィと8人の眷族
女神フレイヤは「伴侶」探しの発作を起こし、オラリオの外へ旅に出る。砂漠のオアシスの町に辿り着いたフレイヤは、そこで奴隷商人に捕らわれていたアリィを見初める。アリィは隣国の襲撃により一人奴隷に扮して王都から何とか逃げ出した王族であり、臣下と落ち合うために隠し砦への帰還をフレイヤに願い出る。フレイヤは隠し砦に戻るアリィにデートと称して同伴し、自由奔放な振る舞いでアリィを困らせるが、その道中で王として懊悩するアリィに様々な助言をしてゆく。隠れて随伴していたオッタルらファミリア幹部8名の護衛により、難無く隠し砦に到着したアリィは、惨殺された臣下たちの姿に声を失う。
アリィは隣国へ対抗するために、オッタルたちの力を借りたいとフレイヤに頼むが、フレイヤはこれを拒否し、アリィに奪ってゆけと告げて盤上遊戯による勝負を持ち掛ける。勝負は圧倒的にフレイヤが優位に進んだが、アリィは自身も気がつかない起死回生の一手を放つ。フレイヤは笑い声をあげて負けを認め、オッタルたちを貸し与える約束をし、さらにご褒美をアリィに与える。
8万の敵に対してアリィはオッタルら8人の第一級冒険者のみが戦力だったが、質が量を圧倒して敵国は壊滅する。国には平和が戻り、アリィはフレイヤに感謝を述べる。フレイヤはアリィの輝きが王である責務に基づくものであることに気づき、自身の「伴侶」とすることを諦め、アリィに王として生きろと告げる。オラリオに戻ったフレイヤは、再び退屈を持て余していたが、新たな「伴侶」の候補を見つけ、高揚感に打ち震える。
最強の起源
フレイヤの許しを得たオッタルは、アイズの偉業で明らかとなったドロップアイテムを目当てに、単独で37階層の階層主ウダイオスの打破に向かうが、その道中の25階層で同じファミリアのアレン、ヘグニ、ガリバー四兄弟から襲撃される。
フレイヤ・ファミリアではフレイヤの寵愛を得るために、眷族間の殺し合い紛いの戦いは日常茶飯事であり、オッタルは自身がLv.2だったころの激しい洗礼を思い出していた。当時の団長であるミアに、自身を追うのではなく、常に考えて視野を広く持ち、とにかく食べろと告げられ、また、オッタル自身が追われる者になるだろうとも語られていた。体も大きくなり、団長となってオラリオ最強と呼ばれる身だが、かつてゼウスヘラ・ファミリアに所属していたLv.8やLv.9の冒険者に軽くあしらわれてきたオッタルは、更なる高みにしか興味がなく、自分を追うアレンたちは眼中になかった。
ヘディンがフレイヤの署名を持ってアレンたちを止め、オッタルは37階層に向かい単独でウダイオスと対峙する。オッタルの一方的優勢に進む戦闘の中で、ウダイオスは大黒剣による一撃を放ち、オッタルはこれを回避せずに受け止める。絶対防御は健在だが体は耐えきれずに自身の未熟を知るが、オッタルは魔法によりウダイオスを打破する。
それぞれの昔日
アレンとその、ガリバー四兄弟、ヘグニとヘディン、そしてシルとフレイヤとの出会いが短く描かれる。

主な登場人物

主人公

ベル・クラネル
- 松岡禎丞[45]
本作品の主人公[46]ヘスティア・ファミリア団長[46]。紅眼白髪を持つ14歳のヒューマンの少年であり[46]、その容姿から作中では兎に喩えられる[47]。物語開始時のステイタスはLv.1の駆け出しだったが、急激な速度でランクアップしており[48]、本編18巻時点でLv.5となっている[49]
育ての祖父の死後[注 3]、異性との出会いを求めて冒険者となるべく田舎からオラリオを訪れ[50]、女神ヘスティアと出会って彼女の最初の眷族となる[51]。性格は基本的に善良かつ奥手だが、祖父の影響で異性に抱く憧れが強く、年上の女性を意識する[52]。祖父から英雄譚(原典)を聞いて育ったために英雄譚に詳しく[53]、年甲斐もなく英雄になりたいという想いを秘める[54]。物語初期からアイズに憧れを抱いて強くなりたいと願い[48]、片角のミノタウロスとの死闘を経て未知に挑む冒険者となり[55]、ベルを見初めた神々が関与した様々な騒動を乗り越えて力を付ける[56]異端児の事件を通じて偽善者となる覚悟と新たな好敵手を得てからは精神的にも成長し、周囲からの信頼を掴み取って英雄に喩えられるようになる[57][58]
アイズから指導されたために戦い方が似ており、主にナイフなどの刃渡りの短い刀剣や軽装の鎧を装備し、自身の速度を生かした戦い方を行う[59]。持ち主と共に成長するという特異な特性を持つ神(ヘスティア)のナイフ[注 4]と、作品世界では異例な無詠唱魔法ファイアボルトを使用する[63][48]。アイズへの憧憬から発現したレアスキル憧憬一途(リアリス・フレーゼ)により[64]アビリティの急激な成長と限界突破を成し遂げており[48][注 5]、その副次効果で魅了(チャーム)が効かない設定がなされている[65]。また、蓄力(チャージ)により攻撃や魔法などの能動的な行動の威力を増幅し、英雄の一撃を放つスキル英雄願望(アルゴノゥト)を得ており、このスキルの特徴を応用した聖火の英断(アルゴ・ウェスタ)という技を独自に編み出す[48][66]
本作品の人気の大きな理由の一つとして、読者が物語当初から純真な意志を失わずに憧れを目指して鍛錬を続け、真っ直ぐに成長するベルの姿に共感し、読者の気持ちを引き付けていると分析されている[26][29]。また、宝島社の『このライトベルがすごい!』による男性キャラクター部門のランキングでは2015年に8位[67]、2016年に7位[68]、2019年に10位[69]、2020年に8位に選ばれている[70]
最初の二つ名未完の少年(リトル・ルーキー)[71]。Lv.4にランクアップした際に白兎の脚(ラビット・フット)という新たな二つ名となる[72]
アイズ・ヴァレンシュタイン
声 - 大西沙織[45]
外伝『ソード・オラトリア』の主人公[4]。本作のメインヒロインであり[25]、作者から本編では最後に救いたいヒロインと位置付けられている[15]。金髪金眼の16歳のヒューマンであり、ロキ・ファミリアの中核を担う冒険者[73]。物語当初のステイタスはLv.5だったが、単身で階層主ウダイオスを打倒してLv.6へランクアップする[74]
ミノタウロスに襲われていた駆け出しのころのベルを間一髪で救い、ベルと出会う[75]。これ以降、ベルの目標であり憧れの人となる[55]。また、ベルに戦い方を初めて教えてから戦闘の師匠という立場にもなり、物語の進展に伴いベルと少しずつ関係を深めている[59]。性格は物静かで感情をあまり表に出さないが、精神的には幼く、対人関係が苦手で天然な行動も多く、酒乱という設定もある[76][77]。一方、その美貌も相まって神秘的な印象を持たれがちであり[73]、ファミリア内外の冒険者から尊敬と人気を集めているが[46]、自身は何よりも強くなることが最優先であり、暇さえあればダンジョンへ潜っている[78]
戦闘では強力な剣士であり、パーティでは主に前衛を務め、自身に風を纏わせる付与魔法エアリエルにより攻撃力と防御力を高める戦闘スタイルをとる[76]。必殺技は武器に風を纏いながら突撃する刺突技リル・ラファーガ[76]神の恩恵を刻まれた当初からモンスターに対する攻撃力の高域強化と竜種に対する攻撃力を超域強化するスキル復讐姫(アヴェンジャー)を発現している[79][80]
作者から本編ではアイズの設定を回収できず、感情移入がしにくいキャラクターになっていると評される[15]。一方、アイズを主人公とする外伝では、ロキ・ファミリアへ入団した年齢は7歳であり[81]、幼少期から「怪物は必ず殺す」と自らに誓いを立るなど、モンスターに対する並々ならぬ憎悪や教育係であるリヴェリアを困らせていた過去が明らかとなる[82]。また、自分の前には英雄は現れないという絶望と、自身が強くなる必要があるという必死の心情が過去の回想と絡めて幾度も描写されている[83]。ただし、本編17巻および外伝12巻時点では、ロキとファミリアの古参首脳陣だけがアイズに関する秘密を把握しており[84]、母の名がアリア[85]、彼女の中に精霊の血が流れていること[86]黒竜に対するただならぬ憎悪[87]、迷宮神聖譚の大英雄アルバート[注 6]との関連だけが示唆されている[88]
二つ名は剣姫(けんき)[75]

主なファミリア・組織

ヘスティア・ファミリア

本編で主役を担う、女神ヘスティアが運営する探索系ファミリア。結成直後はヘスティアとベルのみが所属する弱小ファミリアであり、教会の隠し部屋を本拠としていた[50]。本編6巻以降、所属する団員も増えてアポロン・ファミリアの本拠だった豪邸に移転し[89]、新たな本拠を「竈火の館(かまどのやかた)」と名付け、エンブレムを重なりあった鐘と炎とする[89]。アポロン・ファミリアとの戦争遊戯での勝利により入団希望者が殺到したが、ヘスティアの莫大な借金が露呈した結果、入団希望者が皆無の状態に戻る[90]。異端児による事件の終結後、ベルがLv.4にランクアップしたため、派閥の等級がD級へ昇格する[72]
ヘスティア
声 - 水瀬いのり[45]
本作品のヒロインの一人[25]。ヘスティア・ファミリアの主神[91]。キャラクターの設定はギリシア神話に登場する女神ヘスティアに由来し[25]、作中においても三大処女神の一人であり、炉の女神として竈の炎を司るとされる[92][93]。また、ボクっ子という設定もあり[25]、黒髪ツインテールで身長140C[注 7]の幼い外見だが巨乳のため、他の神からは「ロリ巨乳」や「ロリ神」と呼ばれ、道行く人やバイト先の客からはマスコットキャラのように可愛がられる[91]
下界に来た当初は友人であるヘファイストスの下に身を寄せていたが、怠惰な生活を改めなかったために追い出され[94]、自身のファミリアへの入団者を見つけられずにいた時に、同じく路頭に迷っていたベルと出会い、彼を眷族にしてファミリアを構える[51]。その後は態度を改め、ファミリアの運営と生活のために幾つものバイトを掛け持ちして、ファミリアの運営に取り組む[95]。ベルのためにと、丸一日かけてヘファイストスに土下座までして頼み込んで神(ヘスティア)のナイフ[注 4]を作製してもらうが、その代償に彼女の店でのタダ働きの義務と2億ヴァリス[注 8]の個人的借金を背負っている[95][99]。同じく零細のファミリアを運営するミアハタケミカヅチと親交がある一方、フレイヤには苦手意識を持っており、ロキとは取っ組み合いの喧嘩をするほど仲が悪い[25][100]。下界に降り立った神々の中でも根っからの善神であり、天界では誰に対しても平等に接する人物として知られ、神格の高さもあり神々からは一目置かれている[101]
神と人の違いを乗り越えてベルと相思相愛になることを夢見ており、彼が想いを寄せるアイズや彼に想いを寄せる女性を警戒する[102]。本編8巻では神々との愛を怖がらないで欲しいとベルに告げ、ベルに想いが伝わったと勘違いしている[103][104]
2015年に本編がアニメ化された際に、外見のトレードマークである「例の紐」が注目され[25][105]、これによりキャラクターの人気に火がつき、作者が想像できない形で本作品が周知されるようになる[15]
ベル・クラネル
リリルカ・アーデ
声 - 内田真礼[45]
本作品のヒロインの一人[30]。栗色の髪を持ち、およそ身長100C[注 7]小人族で15歳の少女[106]。元ソーマ・ファミリアの眷族[46]。愛称はリリ[106]。当初はベルを騙す目的で近づいたが[106]、自分を許してくれたベルに好意を抱き、ベルを支えてゆくと決意する[107]。ベルにとって最初のパーティメンバーであり[106]、本編6巻の戦争遊戯に参加するために正式にヘスティアの眷族となり[108]、派閥連合による遠征を経てLv.2へランクアップする[109]
誰に対しても敬称をつけて敬語で話すが、身内には皮肉や毒を吐くことがある[110]。世間に疎い純朴な団員の中ではオラリオの世故に通じており、金にはがめつく[111]、ファミリアの会計係も務める[112]。本編8巻ではフィンから求婚されるが、ベルを支えたいという気持ちから求婚を断っている[113]。少なくとも3歳の時点でソーマの眷族となって物乞いをしており、6歳の時点で神酒の魔力に取り憑かれて神酒欲しさに金儲けに目の色を変えるようになった[114]。戦闘力の弱さから、やむなくサポーターになったが、冒険者たちに虐げられ搾取され続けたため[114]、神酒の魔力が低下したころから冒険者を憎むようになり、ファミリアからの脱退資金を得るために、冒険者を騙して盗賊まがいの真似までしていた[114]
戦闘ではサポーターを務め、直接的な戦闘は苦手だが、ボウガンやアイテムを駆使したモンスターへの立ち回りには精通している[115]。また、モンスターも含め、自分に似た体格の対象に姿を変え、自身の能力の範囲内で相手の身体能力もコピーできる変身魔法を使用する[116]。いっぽう、豊富なダンジョン経験を生かして物語初期からパーティの参謀的な役割も果しており、物語が進むにつれ指揮官の役割を身に付け[117][118]、フレイヤ・ファミリアとの戦争遊戯では派閥連合の指揮を任され[119]、ヘディンの戦略に翻弄されるが[120]、ヘディンの裏切りを察知して派閥連合を勝利に導く[121]
作者によれば、リリのヘスティア・ファミリアへの加入の描写は本編2巻でベルがリリに放った台詞と対応付けられているとされる[122]。また、作者はリリを本作における才能のないキャラクター代表として位置付けてランクアップさせないつもりであったが、編集長からの助言から、これまでの修羅場を考えると成長しないのはおかしいと考え直してランクアップさせている[123][30]
ヴェルフ・クロッゾ
声 - 細谷佳正[45]
赤髪で意志の強そうな眼差しのヒューマンの青年で17歳の鍛冶師[124]。元ヘファイストス・ファミリアの眷族[46]。自分が作製した防具を探していたベルと出会い、ベルと専属契約を結んでダンジョンに臨み、Lv.2へランクアップして念願の鍛冶アビリティを入手する[125]。その後もリリと共にベルとパーティーを組むが、本編6巻において戦争遊戯に参加するために正式にヘスティアの眷族となる[126]
気前のいい職人気質な性格で[124]、ベルの兄貴分のような存在である[127]。ヘファイストスに尊敬や恩義以上の感情を抱き、彼女に認められる武具を作ることができた時には自分と付き合って欲しいと宣言する[128]ラキア王国の出身であり、10歳頃にスキルが発現し、没落した鍛冶貴族であるクロッゾ一族の中で唯一クロッゾの魔剣を作製できるようになったが、そのことで家族から魔剣の鍛錬を強要されたために嫌気がさして、ラキア王国から出奔した[129]
戦闘では、主に太刀を装備して前衛を担い[130]、敵の魔力暴発を誘発させて自爆させる超短文詠唱の対魔力魔法を使用する[131]。武器は使用者と最後まで寄り添うべきという信念から使用者を残して自壊する魔剣を憎み、当初は意地でも魔剣を鍛錬しなかった[132]。ヘファイストスの助言により意地を捨て、本編5巻からベルを助けるために魔剣を鍛錬するようになり[133]、本編14巻では従来にない新たな魔剣[注 9]の作製に成功し、魔剣に対して少しだけ前向きな考えを持つようになる[135]
担当編集はヴェルフとリリのヘスティア・ファミリアへの加入を急ぐように望んだが、作者の強い意向により仲間が集結するカタルシスを表現するために、加入のタイミングが本編6巻となった[122]。また、作者によれば、本編14巻のダンジョン内での鍛錬の場面は、ヴェルフの内面や成長の全てをさらけ出すように描かれている[30]
二つ名は不冷(イグニス)[136]
ヤマト・命(ヤマト・みこと)
声 - 赤﨑千夏[137]
青紫の瞳で1つに結った艶のある長い黒髪を持つヒューマンで16歳の少女[138]。元タケミカヅチ・ファミリアの眷族[46]。ダンジョン中層で負傷した千草を救うために、ベルたちのパーティに怪物進呈した事件でベルと出会う[139]。ベルたちへの恩を返すため、本編6巻でタケミカヅチに願い出て、1年間の期限でヘスティア・ファミリアに改宗する[140]。ステイタスは本編4巻でLv.2へランクアップしている[141]
非常に生真面目で礼儀を重んじており、義理堅い性格で嘘をつくのが下手[142]。大の風呂好きで料理が得意[143]。タケミカヅチを父として敬愛すると同時に異性としても慕っている[144]。極東の出身で孤児[145]。タケミカヅチ・ファミリアの面々とは幼なじみであり、春姫とも幼少期に出会う[146]。「お姫様」である春姫を敬愛し、彼女の恩に報いるために神の恩恵を授かり、彼女を守ることを心に決めていた[147]
戦闘では、あらゆる配置をこなすオールラウンダーでモンスターや味方の位置を探る優秀な探索・探知スキルを保有し[148]、巨大なドーム状の重力結界を展開して中にいるものを押し潰す重圧魔法を使用する[149]
ヘスティア・ファミリアへの加入は、リリとヴェルフだけでは地味と考えた作者が、本編6巻の執筆直前に決めたとされる[122]。アニメ第1期放送後に発売されたOVAでは、脚本家の白根秀樹が設定を膨らまし、命の温泉好きという設定がユーモラスに描かれている[122]
二つ名は絶†影[141]
サンジョウノ・春姫(サンジョウノ・はるひめ)
声 - 千菅春香[137]
本作品のヒロインの一人[30]。翠の瞳で金色の長髪と太い尾を持つ狐人で16歳の少女[150]。元イシュタル・ファミリアの眷族[46]。本編7巻でベルと出会い、殺生石の儀式による自身の消滅を承知しつつも、諦めてイシュタルたちに従っていたが[151]、自分を救出するために奮闘するベルに物語の英雄を重ねて好意を抱き[152]、ヘスティア・ファミリアへ改宗する[153]。派閥連合による遠征を経てLv.2へランクアップする資格を得て[109]、フレイヤ・ファミリアとの戦争遊戯の前にLv.2へランクアップする。
礼儀正しく気品があり温和で純朴、誰に対しても丁寧にしゃべる[147]。極東の貴族出身であり、タケミカヅチ・ファミリアの面々とは旧知の仲[146]。幼少期は何事につけ他人に従順であり、外の世界を本でしか知ることができなかったため、お伽噺や童話を耽読しており、各物語に対する造詣が深い[154]。11歳頃に父に勘当され、紆余曲折を経て魔法(妖術)に目を付けたイシュタルに娼婦として囲われるが[154]、歓楽街でも自主的には何もできず、男の裸をみると必ず気絶するほどに初心であり、本人も知らないが実際には生娘である[155]。ヘスティア・ファミリア加入後は、独り立ちの意志を示し、ファミリア内の世話係を自主的に務める[156]。異端児の事件ではウィーネと母子または姉妹ともいえるような間柄となり、ウィーネを守るためにベートと対峙した際には一歩も引かない強さを示す[157]
戦闘では、直接の戦闘力は皆無であり、専ら後衛を務め、対象者のレベルを一時的に1つランクアップさせる、規格外の階位昇華の魔法を有し[158]、遠征の前に会得した付与魔法により複数に同時発動することも可能となる[159]。作中では強敵と対峙する際の切り札として使用される[158]
作者によれば、黒竜を含めて敵が強すぎることから、作中の設定では倒せない可能性があるために、作品の都合として登場させたキャラクターであるが、初めてライトノベルらしいヒロインを書けたという手応えがあったとも述べている[30]

ロキ・ファミリア

外伝『ソード・オラトリア』で主役を担う、女神ロキが運営する探索系ファミリア。本拠は「黄昏の館」、エンブレムは道化師[160]。女好きのロキの方針ゆえに、女性冒険者の割合が高い[160]。団長のフィンをはじめとする幹部たち7名の第一級冒険者と、第二軍の中核メンバーであるヒューマンのラウル・ノールド、猫人のアナキティ・オータム(通称アキ)、エルフのアリシア・フォレストライトなどの第二級冒険者が多数所属するオラリオ最強ファミリアの一角を占める[161]。本編18巻ではギルドとの取引に応じ、不承不承だが戦争遊戯への不参加を受け入れる[162]
ロキ
声 - 久保ユリカ[45]
ロキ・ファミリアの主神[46]。糸目がちで朱色の瞳と髪を持つ女神であり[100]、エセ関西弁で喋り[46]、無類の酒好きである[163]。胸がコンプレックスであり、無乳と称されるほど絶壁[100]。天界では退屈凌ぎに他の神々を扇動して殺し合いをさせようとする物騒な神でトリックスターとも言われていたが、下界に来てから丸くなった[164]
フレイヤのベルに対する興味にいち早く気づいており[165]、怪物祭や片角のミノタウロスの騒動がフレイヤの企みであると当たりをつけているが、フレイヤとはベルへの行動に干渉しない取引をしている[166]。ベルには関心がなかったが、異端児を救ったベルを「本物の馬鹿な子」と評し、初めて興味を示す[167]。天界ではヘスティアとよく喧嘩をしており、下界に降りて来てからも続いている[168]。その一方で、ヘスティアの善性は信頼している[101]
外伝『ソード・オラトリア』では、ダンジョン24階層の食料庫における騒動の後にヘルメスとディオニュソスの2人と同盟を組み[169]、4度のクノッソスへの進攻の末に正体不明であったエニュオを追い詰め、オラリオの危機を救う。フレイヤ・ファミリアが起こした戦争遊戯では、ミアを焚き付けて派閥連合の援軍として参加させる[121]
フィン・ディムナ
声 - 田村睦心[170]
ロキ・ファミリアの団長[170]。ファミリアの最古参で首脳陣の一人[171]。年齢は40代だが、黄金色の頭髪に碧眼の幼い少年のような外見の小人族であり[171]、泰然とした穏やかな物腰がカッコよくて可愛いと評され[172]、オラリオの女性冒険者の間で人気がある[173]。初登場時のステイタスはLv.6[174]、エニュオによる動乱の鎮圧後にLv.7へランクアップする[175]。ゲーム『メモリア・フレーゼ』のナイツ・オブ・フィアナ編では主人公を担う[176]
戦闘では主にパーティの指揮官を担う。非常に頭が切れ、計算された戦略や戦術が得意だが、親指の疼きを信じた直感に基づく判断も重要視する[177]。指揮官として、自身が先頭に立って味方を鼓舞し、仲間の士気を高める天才でもある[178]。個人としては、小柄な体格を活かした素早い身のこなしと、長槍を組み合わせた戦法を用い[179]、指揮官として正常な判断能力を失うことを代償に、戦闘意欲が引き出され、全能力が超高強化される魔法を駆使する[180]
架空の女神フィアナと同等の名声を得て小人族の象徴となり、衰退した小人族を再興するという野望の実現を目指している[181]。自身の後継者となる子孫も考慮しており、密かに小人族の嫁を探している[181]。自身の二つ名も神々の発案でなく、ロキに掛け合って強引に得た称号であり、そのために自身を「人工の英雄」と卑下していたが[182]、片角のミノタウロスとの戦いや異端児に対するベルの行動を目撃した後[183]、ベルに感化されたことを自覚の上で「本物の英雄」を目指すためにフィアナを超えた存在になると決意する[184]
二つ名は勇者(ブレイバー)[182]
リヴェリア・リヨス・(アールヴ)
声 - 種田梨沙(本編第1期)、 川澄綾子(外伝『ソード・オラトリア』[170]、本編第3期)
ロキ・ファミリアの副団長[170]。ファミリアの最古参で首脳陣の一人[171]。深緑の長い髪で仙姿玉質な容姿のハイエルフの女性[185]。初登場時のステイタスはLv.6[174]、エニュオによる動乱の鎮圧後にLv.7へランクアップする[175]
エルフの王族出身であり堅物だが、自分に対する過剰な慇懃は苦手である[185]。洞察力に優れており、相手の反応の機微から物事を察知することに長ける[185]。未だ見ぬ外の世界を見たい一心から里を飛び出し、強引にロキの眷族にされたが、いつかはファミリアを脱退して世界を旅することを決めている[186]。アイズを幼少期から世話しており[82]、紆余曲折を経て母と子のような関係となる[187]
戦闘では自他共に認めるオラリオ最強の魔法使いであり、攻撃・防御・回復の3種類の魔法にそれぞれ3段階の階位の魔法があり、詠唱連結によって計9つの魔法を使用でき、二つ名の由来となっている[188]。自分の魔法円の中にいるエルフと自身の魔法効果を増大させ、周囲の魔素を回収して精神力も回復可能なレアスキルにより、リヴェリアを中心としたエルフだけの部隊である妖精部隊(フェアリー・フォース)が作られる[189]
片角のミノタウロスとの死闘で精神疲弊したベルの恩恵を読みとっており、アイズに加えて、ベルがアビリティの限界を超えたことを知る数少ない人物の一人である[190]
二つ名は九魔姫(ナイン・ヘル)[191]
ガレス・ランドロック
声 - 乃村健次[170]
ファミリアの最古参で首脳陣の一人であり[170]、髭を蓄えたドワーフの老兵冒険者[171]。初登場時のステイタスはLv.6[174]、エニュオによる動乱の鎮圧後にLv.7へランクアップする[175]
豪胆な性格で細かな言動は苦手[192]。ロキの眷族になる前は炭坑や鉱山で働いていた[193]。ファミリア結成当初は種族同士の対立からリヴェリアと犬猿の仲であり、仲裁を試みたフィンに対してもリヴェリアと共に侮蔑していたが、時を経るに連れ、お互いに大切な仲間となる[194]。同じドワーフのミアとは腐れ縁であり、昔からの喧嘩仲間[195]
戦闘ではオラリオで1、2を争う力と耐久を活かした超前衛特化型であり[196]、撤退時には部隊の殿を担う[197]。その拳はいかなる敵も砕く破砕鎚となり、その体は何ものよりも強固な盾となる[196]。普段は若い団員の成長を見守る立場にあるため、裏方に回っているが、ひとたび前に出ると豪快な戦いぶりで敵を圧倒する[196]
二つ名は重傑(エルガルム)[196]
ティオネ・ヒリュテ
声 - 高橋未奈美[170]
ティオナの双子の姉で長い黒髪のアマゾネス[170]。ステイタスは59階層への遠征を経てLv.6にランクアップ[198]
普段は冷静沈着に振る舞うが、本来は粗暴な性格[170]。フィンに惚れており、フィンに好かれるために髪を伸ばし、口調や立ち振舞いを矯正しているが[199]、激昂すると口調が戻ってしまう。フィンへのアプローチには遠慮がなく、常に彼のために献身的かつ積極的である[200]
戦闘では主にパーティの中衛を担う。武器や体術を駆使して戦い、ダメージを負う度に攻撃力が上昇し、怒りの丈によって効果が向上するスキルと[201]、瀕死になると力のアビリティに超高補正がかかるレアスキルを持ち、追い詰められてからが最も強い[202]。魔法は得意ではないが、魔力で具現した光の鞭で対象を捕らえる束縛魔法を使用する[203]
生まれ故郷であるテルスキュラではカーリーの眷族であり[204]、風習に従って同族たちと命懸けの闘いの日々を送っていたが、ある日闘って殺したアマゾネスが姉のように慕っていたセルダスであったことに絶望する[205]。今でもセルダスを殺したことを後悔しており、カーリーとその眷族を嫌悪し[206]、師であるアルガナに恐怖とそれ以上の怒りを持っている[207]
二つ名は怒蛇(ヨルムガンド[208]
ティオナ・ヒリュテ
声 - 村川梨衣[170]
ティオネの双子の妹で短髪黒髪のアマゾネス[170]。ステイタスは59階層への遠征を経てLv.6にランクアップ[198]
天真爛漫な性格であり[170]、誰とでも直ぐ仲良くなるが[209]、肉付きの薄いスレンダーな体型で胸が無いことを気にしている[210]。英雄潭が好きで各物語に詳しく[53]、ベルと片角のミノタウロスとの戦いを目撃してからベルを「アルゴノゥト君」と呼んで気に入っており[211]。戦争遊戯が開始されるまでの1週間、アイズに特訓をつけてもらいに来たベルに率先して協力してアイズと共にベルを鍛え上げる[212]
戦闘では主にパーティの前衛を担う。大型武器を駆使した豪快な戦い方を好み、ダメージを負う度に攻撃力が上昇するスキルと[213]、瀕死になると全アビリティの能力に高補正がかかるレアスキルを持ち、追い詰められてからが最も強い[202]
生まれ故郷であるテルスキュラでは、ティオネと殺し合いたくなかったため、主神のカーリーに「国を出たい」と申し出ており、カーリーの許可を得てティオネと共にテルスキュラから去っている[207]バーチェから闘い方を叩き込まれており、鍛練の途中にバーチェに英雄潭を読んでもらい、物語の面白さを知ってからは、それまで以上によく笑うようになる[214]
二つ名は大切断(アマゾン)[215]
ベート・ローガ
声 - 岡本信彦[45]
灰色の毛並みの狼人の男性で180C[注 7]を越える長身、左の頬に入れ墨がある[216]。ステイタスは59階層への遠征を経てLv.6にランクアップ[198]
普段から誰に対しても常に攻撃的な悪漢のように振る舞う[216]。同じファミリの団員にも罵詈雑言を吐くので、首脳陣と好意を寄せていたリーネ以外の団員からは人望が無かった[217]。貪欲に強さを求めるアイズの姿勢と実力を認めて好意を抱いており[218]、本編1巻では、アイズに向かって駆け出しのベルを酔った勢いで口汚く罵るが、これがベルの決意を後押しし、アイズとベルの間柄を深める切っ掛けにもなる[219]。ベルと片角のミノタウロスとの一騎打ちを目撃してからは、ベルに対する評価を変える[220]
戦闘では主にパーティの中衛を担う。ファミリアでトップの速度を有し、接近戦で強力な膂力を叩きつける戦闘スタイルを好む[221]。魔法効果を吸収できる武器を使った蹴技、獣化、魔力を見境無く吸収して攻撃力が際限なく高まる付与魔法を切り札とする[222][223]。ただし、自身の弱さを象徴する詠唱の内容が気に入らないので魔法の使用を禁じているが、ヴァレッタ戦と分身を解いたエイン戦で最後の手段として使用している[223][224]
平原を放浪する獣人部族の出身[225]。12歳頃から、自身の不在時に自身の大切な人を奪われる経験を何度もしており、その経験から弱者の犠牲を許せず、弱者が戦う場に参加することを嫌うようになる[225]。そして、戦う者には弱者であることを許さず、弱者を鼓舞するための罵詈雑言を吐くようになった[223]
二つ名は凶狼(ヴァナルガンド[226]。最初の二つ名は灰狼(フェンリス)
レフィーヤ・ウィリディス
声 - 木村珠莉[170]
山吹色の髪をした15歳のエルフの少女[73]。クノッソスでの最終戦の前にLv.4へランクアップする[227]。本編ではアイズの設定を回収し難いため、いろいろと掘り下げるための仲間として外伝で設定されたキャラクターであり[15]、外伝のもう一人の主人公である[228]。外伝の新章開始に合わせて、外伝13巻から外見と中身が一新される[228]
魔力に秀でたウィーシェの森の出身であり[229]、「学区」からロキ・ファミリアに入団する[198]。心優しい性格でアイズを特に慕う[73]。また、アイズが気に掛けているベルに対して、一方的にライバル意識を持っており、ベルのランクアップの情報を知ると焦りを見せる[230]。ベルに嫉妬や敵意を向けることも多いが[231]、18階層での共闘を通じて彼の人柄は理解しており[232]、ベルとアステリオスの戦いでは思わず声援を送り、ベルの冒険に感化された一人となる[233]。派閥同盟を組んだディオニュソス・ファミリアのフィルヴィスと個人的にも親交を深めていたが[234]、外伝12巻でその正体を知り、悲しみと葛藤を抱えつつ打倒する[235]
戦闘ではアイズやヒリュテ姉妹の攻撃力を越える魔法を放つ程の魔法特化型の後衛専門であり[236]、ロキからは「馬鹿魔力」と評される[198]。エルフの魔法に限って、詠唱とその効果を完全把握していれば、他者の魔法を使用できる召喚魔法を有し、二つ名の由来となっている[237]。この召喚魔法によりリヴェリアの魔法を全て使用でき、将来、ファミリアを離れるリヴェリアの後釜として[198]、彼女から日々指導を受ける[238]。Lv.4へのランクアップにより、先行して詠唱した魔法を保持しながら、次に詠唱中の魔法を放棄することなく、保持中の魔法を任意に発動できるレアスキルを発現する[239]
二つ名は千の妖精(サウザンド・エルフ)[240]
アイズ・ヴァレンシュタイン

フレイヤ・ファミリア

女神フレイヤが運営する探索系ファミリア。本拠は「戦いの野」、エンブレムは戦乙女の側面像[241]。団長のオッタルは都市最高のLv.7、副団長の猫人でオラリオ最速のアレン・フローメル、英明でファミリアの指揮を担う白エルフのヘディン・セルランド、および黒エルフで厨ニ病ヘグニ・ラグナールはLv.6、小人族のガリバー四兄弟はLv.5の第一級冒険者であり、ロキ・ファミリアをも凌駕するオラリオ随一の戦力を誇る[242]。オッタルを除いた団員たちはフレイヤのベルへの執心に少なからず嫉妬しているが、フレイヤへの忠誠は揺らいでいない[243]。本編18巻における戦争遊戯に敗北し、ファミリアは解体されるものの、眷属たちはオラリオに残留する[244]
フレイヤ
声 - 日笠陽子[45]
本作品のヒロインの一人であり、作者からラスボスと称され、その底の見えなさ具合から畏怖を抱かれる[30]。フレイヤ・ファミリアの主神[46]であり、ファミリアクロニクル『episodeフレイヤ』では主人公[245]。銀色の髪と瞳で神々の中でも随一の美貌を持つ美の女神[170][100]。その美による魅了の効果は絶大でモンスターや神ですら簡単に虜にすることができ、本気で魅了の力を行使すれば、下界の全てを掌握できる絶対支配の力がある[246]
愛の他に勇気と英雄を尊び[247]、魂の本質を見抜く洞察眼を持つことから、天界にいたころから英雄と謳われる戦死者を収集しており、下界でもその趣味は変わっていない[242]。かつてヘラとの抗争に敗れた時の約束によりオラリオに留まっているが、発作的に伴侶(オーズ)を探すために旅に出て行こうとする[248]
かつて見たことが無いほど透き通った綺麗な魂の色を持つベルを偶然目撃して彼を気に入り、これまでと趣向を変えて今回は影ながらベルが成長する姿を見て楽しんでいる[242]。ベルとの直接的な出会いは本編6巻のアポロンが主催した宴の場であるが[249]、最終的に自分のモノとして相応しい能力を身に付けさせるため、本編1巻から密かに試練を与えたり手助けをして成長を促している[250]。ベルに対する執着は尋常でなく[251]、ベル一人のためにイシュタル・ファミリアを壊滅させる[252]
物語当初からシルを娘と呼んでいたが[251]、本編16巻で自身がシルでもあるという正体が明らかとなる[253][注 10]。シルとしてベルに好意を伝えるが正式に振られ[253]、女神としてベルの簒奪を画策するが失敗し[254]、ベルを手に入れるために戦争遊戯にまで持ち込む[255]。戦争遊戯を経て、女神としてもベルに振られて自身の望みを漸く自覚し、自身の心に沿ってシルとしてオラリオに残る[255]
オッタル
声 - 小柳良寛[170]
フレイヤ・ファミリアの団長[170]。32歳の猪人で身長210C[注 7]の大男[256]。ステイタスはオラリオにおいて唯一のLv.7であり[170]、魔力を除いたアビリティは全てS級のほぼ最大値に達する[257]
常に冷静沈着で表情を表に出すことはあまり無いが、実直で武人肌な性格。フレイヤの側仕えのような存在であり、一貫してフレイヤに尽くす[46]。何もわからなかった幼少期にフレイヤに拾われ、その名もフレイヤに名付けられている[258]
都市最強と謳われ、頂天と渾名される[259]。戦闘では絶対防御と呼ばれる安定感を有し、単身で49階層まで踏破した実績がある[260]。作中ではロキ・ファミリアの幹部ですら太刀打ちできない圧倒的な実力者として描かれており[261]、外伝のクノッソスでの最終戦では、ベートたちと分断されたアナキティたちの部隊に加入して精霊の分身をほぼ一人で討ち取る[58]。ヘティア・ファミリアとの戦争遊戯では、ミア、リュー、ヘディンと共闘したベルに敗北する[121]
ベルとアイズの成長にも関与しており、本編では心の中でベルを激励しつつミノタウロスを鍛え上げ[262]、片角のミノタウロスとベルとの戦いでは邪魔が入らないようにベルを助けに向かうアイズと対峙し、アステリオスとベルとの戦いではフィンの介入を阻止している[263]。外伝では、迷いを抱えるアイズの訓練に付き合い、その心の内を見抜いて助言する[264]
二つ名は猛者(おうじゃ)[259]
(ヘルン)

ヘファイストス・ファミリア

女神ヘファイストスが運営する鍛冶系ファミリア。エンブレムは交差する2本の槌に火山[265]。「鍛冶」アビリティを習得した鍛冶師が鍛錬し、ヘファイストスと幹部たちが認めた武具は、ブランド名「Hφαιστοs」の銘が打たれ、その価格は短刀ですら800万ヴァリス[注 8]の値が付く高級ブランド品であり、冒険者の間で最も信頼が厚い[98]。武具販売の収益が絶大であることから、オラリオ内で唯一ダンジョンからの収入に頼らずに運営されている[266]。本編18巻の戦争遊戯ではヘスティアの派閥連合に参加する[119]
ヘファイストス
声 - 寺崎裕香
ヘファイストス・ファミリアの主神。右目に眼帯をつけた赤髪で男装の麗神[94]。鍛冶の神としては他の追随を許さないほどの技術を保有する[46]
めんどう見の良い姉御肌な性格[46]。ヘスティアの神友であり、彼女が下界に降りた時から何かと彼女の世話をし[94]、懇願するヘスティアのためにベルの武器となる神(ヘスティア)のナイフ[注 4]を鍛錬する[95]。異端児の事件ではヘスティアから内密に相談され[267]、彼女に協力する決断をして椿を支援にまわす[268]。派閥間の付き合いでロキとも馴染みであり、ロキ・ファミリアの遠征に自身の眷族たちの同行を許可する[269]
自分の元眷族であるヴェルフに目を掛けており[99]魔剣に意地を張る彼を諭す[270]。本編8巻でヴェルフから自分に認められる武具を作れたら付き合ってほしいと告げられる[128]。本編15巻でヴェルフが鍛錬した新たな魔剣[注 9]を評価し、付き合ってもいいとヴェルフに告げようとしたところ、ヴェルフが立ち去ってしまい、地団駄を踏んで少女のように悔しがる[135]
椿・コルブランド(つばき・コルブランド)
声 - 生天目仁美[170]
ヘファイストス・ファミリアの団長[170]。極東出身のヒューマンとドワーフの間に生まれたハーフドワーフの女性[271]。ステイタスはLv.5[46]
黒髪赤眼で左眼に眼帯を装着し、普段でもさらしを巻いた姿で現れる[271]。何よりも鍛冶優先な考え方と愉快で快活な性格も相まって、見た目に反して色気が薄い[272]。オラリオ最高の鍛冶師であり[170]、ダンジョンで自らの武器を試し斬りし続けて強くなった第一級冒険者でもある[272]
普段はヴェルフを「ヴェル吉」と呼んでからかうが、鍛冶師としてヴェルフの魔剣に対する意地を無意味な拘りと非難していた[271]。本編14巻ではベルたちの救出のためにダンジョンに向い、ヴェルフが作り上げた新たな魔剣[注 9]を確認して、ヴェルフを自分と同じ領域に到達した同族だと歓迎する[134]
ロキ・ファミリアとは繋がりが深く、ガレスとは直接契約を結んでおり[273]ベートの武器は彼女の作品である[274]。幼少期のアイズとも出会っており、武器の作製を依頼されるが、アイズ自身を剣と評して断る[273]。ロキ・ファミリアの遠征に不壊属性の武器を提供して自らも深層まで同行し[275]、クノッソスでの最終戦ではガレス率いる部隊に加入し、彼らと共闘する[276]
二つ名は単眼の巨師(キュクロプス[272]
ヴェルフ・クロッゾ

ミアハ・ファミリア

男神ミアハが運営する回復薬を扱う道具店を営む商業系ファミリア[277]。本拠は「青の薬舗」、エンブレムは五体満足の人の体[278]。かつては名の知られた中堅ファミリアだったが、物語開始当初は派閥の等級がHであり、団員がナァーザだけという零細ファミリア[279]。ヘスティア・ファミリア結成直後から親交があり[280][25]、本編6巻の戦争遊戯に勝利して有名になったベルのおかげで客足も増え[278]、ダフネとカサンドラが加入する[278]。本編12巻ではヘスティアとタケミカヅチと派閥連合を結成して遠征に参加し[118]、本編18巻の戦争遊戯ではヘスティアの派閥連合に参加する[119]
ミアハ
声 - 古川慎
ミアハ・ファミリアの主神[25]。群青色の髪で高身長、美麗な目鼻立ちの青年[277]。借金のためにファミリアは没落したが、ベルをはじめとする多くの知人にタダ同然でポーションをばら撒いたりするため[46]、ファミリアの経営は常に火の車である[281]。タケミカヅチと同様に、無自覚に女性をたらし込んでいるが、その神格からあまり反感をもたれていない[282]。ヘスティアとは懇意であり、ヘスティア・ファミリアの危機には何度も助力しており[283][284]、異端児の事件では、その存在を内密に相談され[267]、オラリオ全体から顰蹙を買ったヘスティアを支援する[285]
ナァーザ・エリスイス
声 - 葉山いくみ
ミアハ・ファミリアの団長。瞼が半分降りた眠たそうな眼をしている犬人の女性で18歳[286]。ステイタスはLv.2[287]
かつては冒険者だったが、右腕をモンスターに喰われた心的外傷により冒険者を廃業して薬師に専念している[281]。ファミリアの全財産を投げ打って魔道具の義手を手に入れ、自分を救ってくれたミアハに好意を持っている[288]
ファミリアの経営の観点から、金に対して厳しく[289]、ポーションの売り込みに余念がない[46]。駆け出しのベルにぼったくり価格でアイテムを売りつけていたが[286]、本人も反省した後、ヘスティア・ファミリアの団員とは友好的な関係を築き、ベルたちに助力している[281][283][290]
二つ名は医神の忠犬(ミーヤル・ハウンド)[291]
ダフネ・ラウロス
声 - 小若和郁那[137]
アポロンの元眷族であり、アポロンが戦争遊戯に敗北した後にミアハの眷族となる。ヒューマンの女性で18歳。ステイタスは本編15巻でLv.3へランクアップ[289]
短髪吊り目の美少女で外見から強気そうな印象を持たれがちだが、冷静で落ち着きのある人物[292]。過去に無理やり迫られて眷族にされた経緯があるため、アポロンに見初められたベルに対して同情する[293]。戦争遊戯後はカサンドラと共にヘスティア・ファミリアへの入団を志望するが[294]、ヘスティアの莫大な借金を知って入団を取り止め[90]、紆余曲折を経てカサンドラと共にミアハ・ファミリアに改宗する[278]
戦闘ではアポロン・ファミリア時代に致し方なく指揮官の役割を担った経験から、ヘスティア・ファミリアとの派閥連合による遠征においてリリにパーティの指揮について指導する[295]。パーティでは主に中衛役であるが[118]アンフィス・バエナとの戦闘では戦力不足のために前衛として活躍する[296]。アンフィス・バエナとの戦闘後、カサンドラの予知夢をいつものように受け入れようとしなかったが、彼女自身を信じた決断が派閥連合を救う[296]
二つ名は月桂の遁走者(ラウルス・フーガ)[291]
カサンドラ・イリオン
声 - 真野あゆみ[137]
本作品のヒロインの一人[297]。アポロンの元眷族であり、アポロンが戦争遊戯に敗北した後にミアハの眷族となる。ヒューマンの女性で18歳。ステイタスは本編15巻でLv.3へランクアップ[289]
外見や雰囲気から、あどけいない印象を受ける長髪垂れ目の美少女[292]。戦闘では範囲回復魔法と解害・解呪魔法によりパーティを支える後衛役を担う[118]。神でさえも理解不可能なスキルを発現しており、そのスキルから予知夢を見ることができるが、その予知夢は誰にも信用されない呪縛がある。そのため、アポロン・ファミリアの面々から妄想癖があると思われており、戦争遊戯によるファミリアの危機を予知するものの周囲から相手にされなかった[298]
ヘスティア・ファミリアとの派閥連合による遠征では、パーティが全滅する最悪の予知夢を回避するために行動し、急遽ヴェルフに頼んで作製してもらった「ゴライアスのマフラー」が、ジャガーノートとの戦いでベルの命を繋ぐ要となる[299]。アンフィス・バエナの打倒後、予知夢の解釈に成功してパーティの壊滅を回避し[296]、また予知夢を誤解して嫌々ながら匿った異端児が広いダンジョンの中から自分の場所を特定し、これまで役に立たなかった予知夢が深層に落ちたベルとリューの救出に繋がる[300]
戦争遊戯後に自分の予知夢を初めて信じてくれたベルに感激し[301]、遠征後には予知夢の厄災を打ち破ったベルに想いを寄せる様子を見せる[302]。作者が物語の早期の段階で考えていた予言者としてのキャラクターだが、作者の想定以上に活躍してヒロインに昇格し、作者自身も驚いている[297]
二つ名は悲観者(ミラビリス)[291]

タケミカヅチ・ファミリア

男神タケミカヅチが運営する探索系ファミリア。本拠は「仮住居の長屋」[303]、エンブレムは地面に突き立った剣[139]。本編5巻時点で極東出身者6人のヒューマンが所属し[138]、あらゆる武術や武具の取り扱いに長け、本編8巻時点でLv.2の団員が3人となる[304]。団員たちは春姫とも幼馴染の仲[146]。ヘスティア・ファミリアとは懇意であり[25]、ダンジョンでの滞在を試すための小遠征を共同で行った後[305]、ヘスティアらと派閥連合を結成して遠征に参加し[118]、本編18巻の戦争遊戯ではヘスティアの派閥連合に参加する[119]
タケミカヅチ
声 - 間島淳司[306]
タケミカヅチ・ファミリアの主神[25]。頭髪が角髪の凛然とした容姿であり[138]、女性絡みの対応が天然ジゴロでオラリオ中の女性や子供から好意を寄せられる[141]。下界では新参者であり、普段は街でバイトをしてファミリアの運営の足しにしている[138]。武の神であり、神の恩恵とは関係のない戦う技術に精通しており、団員たちに技と駆け引きや連携の稽古をつける[307]。ヘスティアとは神友(親友)で[308]土下座を教えたり[95]、戦争遊戯に臨むヘスティアのために命の改宗を認めたり[140]、本拠の留守番を引き受けたりする仲である[304]。異端児の事件ではヘスティアから内密に相談され[267]、オラリオを敵に回したヘスティアを助力する[309]
カシマ・桜花(カシマ・おうか)
声 - 興津和幸[306]
タケミカヅチ・ファミリアの団長[310]。大柄な体格のヒューマンの青年[311]。ステイタスはLv.2。
ダンジョン中層で千草が怪我を負った際、地上に撤退するために偶然居合わせたベルたちのパーティに怪物進呈を仕掛け[139]、団長として怪物進呈の決断に後悔はなかったが、後に彼らに土下座で謝罪する[312]ヴェルフとは折り合いが悪かったが、アポロンやイシュタルによる騒動[313]、17階層への小遠征を経てお互いに戦友と呼べる関係となる[305]。戦闘では戦斧を使い[296]、盾役もこなす前衛であり、漆黒のゴライアス戦では体を張ってベルを守る[314]
二つ名は武神男児(マスラタケオ)[315]
ヒタチ・千草(ヒタチ・ちぐさ)
声 - 井口裕香
いつも前髪で瞳を隠しているヒューマンの16歳の女性冒険者。ステイタスは本編8巻でLv.2へランクアップ[304]
気弱な性格で人見知りだが、ファミリアの中では桜花と命に次ぐ力量を持ち[316]、弓は命よりも上手である[317]。命とだけは自然に話ができて互いの思い人を知る仲であり、自身は桜花に好意を持っている[304][311]
二つ名は比翼少女[136]
ヤマト・命(ヤマト・みこと)

ヘルメス・ファミリア

男神ヘルメスが運営する探索系ファミリア。本拠は「旅人の宿」、エンブレムは翼のついた旅行帽と靴[318]。ヘルメスの意向で団員のレベルをギルドへ申告していないため、派閥の等級はFに留まっている[319]。ヘルメスがオラリオにほぼ不在なので、団長のアスフィがまとめている[138]。儲け話ならどんなことにでも手を出すと評判で[320]、立場上、物語で起きる多くの事件に関わっており、団員全員が異端児や闇派閥怪人といった情報に精通している。本編18巻の戦争遊戯には不参加[119]
ヘルメス
声 - 斉藤壮馬[321]
ヘルメス・ファミリアの主神[46]。おどけた言動が多いがその大半は演技であり、勘も鋭く、掴みどころのない性格で全般的に食えない人物[322]
ゼウスの使い走りをしていた経緯でベルに興味を抱き[323]、本編5巻でベルを探るために騒動の火種を蒔き[324]、事件を収束させたベルを英雄の器と認め、ベルと周囲の英雄候補たちが織りなす神々が予想もできない物語を神託する[325]。イシュタルによる事件ではベルを最後の英雄に押し上げると決意し[326]、異端児の事件ではベルとアステリオスの闘争を神意すら越えた未知と評し、打ち震えている[327]。何よりもベルを英雄に押し上げることを優先しており、この点についてはフレイヤと目的を共有し[328]、応援者としてお節介をしてゆくとベルにも直接伝えている[329]
物語全般に裏から影響を及ぼしており、調停者を自称する[330]。異端児の事件では、地に落ちたベルの名誉回復、異端児の保護を目指すウラノス、異端児の討伐とダイダロス・オーブの入手を目指すロキ・ファミリアとの間で板挟みとなるが[331]、際どい立ち回りと裏取引により厳しい状況を切り抜ける姿が本編と外伝を絡めて描かれる[332]。また、本編8巻のイシュタル・ファミリアの壊滅や本編12巻のヘスティア・ファミリアの遠征についても、ヘルメスによる裏からの介在が外伝で描かれている[333]。フレイヤ・ファミリアが起こした戦争遊戯では敗戦濃厚な派閥連合への不参加を決め込むが[119]、リューのランクアップに一役買う[121]
アスフィ・アル・アンドロメダ
声 - 茅野愛衣[321]
ヘルメス・ファミリアの団長[321]。眼鏡を掛けた理知的な雰囲気を持つ22歳のヒューマンの女性冒険者。ステイタスはLv.4[334]
いつもヘルメスに振り回される苦労人で、歳に似合わない蓄積された疲労感を醸し出す時がある[335]。立場を越えてヘルメスに小言や嫌みを言ったり、折檻したりもするが[336]、渋々ながらも結局は命令に従って行動する。立ち居振る舞いや仕草が洗練されており、とある海国の姫であると噂される[337]
調合と彫金に加えてレアアビリティ神秘を保有し、稀代の魔道具製作者として名声が知れ渡っている[338]。被ると透明状態になる漆黒兜はパーティの隠密行動や奇襲に多用され[339]、装備者に飛行能力を与える飛翔靴はアスフィの切り札として使用される[340][注 11]。異端児の事件ではヘルメスの命により「ダイダロスの手記」の偽物を作製し[341]、外伝ではフェルズ製の眼晶に感化され、ダイダロス・オーブの自作に成功する[342]。リューの願いを知ったため、フレイヤ・ファミリアが起こした戦争遊戯への参加を個人的に希望するが、ギルドから名指しで禁止を言い渡される[119]
パーティの戦闘では中衛で指揮を担当し、パーティの要である[334]。発現している魔法がしょぼいため[343]、空気に触れると爆発する液体を小瓶に入れた爆炸薬や凍炸薬を多用する[224]
二つ名は万能者(ペルセウス[344]
ルルネ・ルーイ
声 - 赤尾ひかる[170]
犬人の女性冒険者で18歳[345]、ステイタスはLv.3[346]
役割が盗賊ゆえに、マッピングが得意[347]。口が軽く、何事も少し脇が甘いので、アスフィを疲れさせる原因の一人である[348][349]。外伝では、小金欲しさにフェルズからの冒険者依頼を引き受け、レヴィスに襲われそうになるがアイズとレフィーヤに保護される[345]。これらの件を通じて、アイズと名前で呼び合う仲となる[346]
二つ名は泥犬(マドル)
アイシャ・ベルカ
声 - 渡辺明乃[137]
イシュタル・ファミリアの幹部[46]。容姿端麗な21歳のアマゾネス。ヘルメス・ファミリア入団後にLv.4へランクアップする[350]
性格は剛胆かつ色欲に忠実[46]。姉御肌でめんどう見がよく、イシュタル・ファミリアでは、戦闘娼婦のアマゾネスたちを束ね、妹分として春姫の世話をしていた[351]。戦闘では大剣と体術を流れるように駆使する[350]。また、並行詠唱の使い手でもあり、巨大な紅色の斬撃波を放つ攻撃魔法を使用する[352]
歓楽街で彷徨っているベルと偶然に出会い、一目見て気に入る[353]。イシュタルの魅了の影響で見て見ぬ振りができないため、春姫を救おうとするベルの前に立ち塞がり、その覚悟を見定める[354]。イシュタル・ファミリア消滅後、春姫をヘスティア・ファミリアに任せ[153]、自身は殺生石の流通を監視するために情報通のヘルメス・ファミリアへ入団するが[355]、その後も春姫を守るためにベートと戦ったり、魔導書を使って春姫に新たな魔法を発現させたりする[159]。アスフィとリューと組んで何度も共闘するが、隙あらばベルに迫ろうとしており、リューとは険悪になることもある[356]。本編14巻ではベルのいない戦力不足のパーティで主戦力となってアンフィス・バエナと戦って止めを刺し[296]、外伝12巻では春姫と共に、アスフィや元イシュタル・ファミリアの戦闘娼婦たちも率いてクノッソスに突入する[224]
二つ名は麗傑(アンティアネイラ)[357]

ギルド

オラリオの都市運営、冒険者および迷宮の管理、魔石の売買を司る機関[358]。男神ウラノスが長であるが、中立性を示すため、ウラノスはギルドを運営する職員たちに恩恵を授けていない[359][21]。冒険者やファミリア間のトラブルには余程のことがない限り介入しないが、ギルドの傘下であるファミリアや個人はキルドからの緊急の指令には必ず従う決まりがある[360]
ウラノス
声 - 大川透[170]
ギルドの主神[46]。2M[注 7]を超える巨大な老神であり[359]、この地に神の恩恵をもたらした最初の神[21]。千年前に神々が降臨した際に当時のギルドを再編成して作り直す[359]。以降は「君臨すれども統治せず」を貫き[21]、自身はギルドの地下で祈祷を捧げ続け、圧倒的な神威でモンスターの大移動や地上への進出を抑え込んでいる[359]
ゼウスヘラのファミリアが失脚した後、彼個人が動かすことができる戦力はフェルズだけであり、組織的な戦力に乏しい[361]。本編開始の15年ほど前に知った異端児との共生を望み[362]、秘密裏に異端児を庇護すると共にダンジョンの問題に当たらせていたが[363]、クノッソスを根城とするイケロス・ファミリアの存在には気付けずに、彼らが異端児に手を出す隙を与えることになる。
エイナ・チュール
声 - 戸松遥[45]
本作品のヒロインの一人[30]。ギルドの受付嬢を務める眼鏡を掛けたハーフエルフの19歳の美女[46][364]。眼鏡の設定は作者の原案にはなく、原作のイラストを担当するヤスダスズヒトにより追加された設定であり[24]、これにより作者のビジュアルイメージが膨らんだキャラクターとされる[15]
有能で真面目なギルド職員[365]。ベルの担当アドバイザーであり、「冒険者は冒険してはいけない」を信条とする[358]。親身でめんどう見も良く、ベルが冒険者の駆け出しのころから、ダンジョンで生き抜くための知識を叩き込んでいる[366]。ベルの尋常ではない成長速度に頭を悩ませており、自身の予想以上に危ない状況に陥るベルを警戒も含めて心配をする[367]。僅かながら神聖文字が読めるため、何度かベルのステイタスを見る機会があったが、ベルの成長の秘密まではわかっていない[368]
ギルドの同僚や冒険者の異性から人気があるが、本人は少し困っている[369]。自他共に認める世話好きな性格であり、少し頼り無く世話をしてあげられる男性が好み[370]。駆け出しのベルを弟のように思っていたが[371]アステリオスと激戦の上に敗北して悔し涙を流す姿を見て以降、ベルのアイズへの憧憬を承知の上で彼に対する恋心を自覚する[372]
エイナの母はリヴェリアと一緒にエルフの里を出奔した仲[185]。学区を卒業してギルドに就職してから担当する冒険者の死を何度も経験するが、同僚から勧められる冒険者との距離感についての助言に従わずに、冒険者に積極的に深入りしている[373]。そのため、ベルだけに限らず、アドバイザーとしての教えはスパルタである[365]
フェルズ
声 - 小松未可子[170]
ウラノスに仕える魔術師[46]。ステイタスはLv.4[374]
全身を黒衣に包み、容姿どころか性別も判断できない[375]。800年前に神秘のアビリティを極めた賢者であり、不死の秘法を編み出した結果として肉が腐り落ち骸骨の姿となり、その後は愚者(フェルズ)と名乗る[375]。紆余曲折を経てオラリオに流れ着き、ウラノスの右腕として仕えており、異端児との連絡役や裏の仕事を引き受ける[375]
異端児の事件でベルと出会い、異端児の未来についてベルに全てを賭けると決意する[376]。偽善者こそ英雄になる資格があり愚者であれと語り[377]、異端児と共生するためにはダンジョン最下層の攻略が必要であるとも告げ、ベルに大きな影響を与える[378]
神秘のアビリティで数々の魔道具を開発しており、異端児の事件では眼晶をはじめとする特異な魔道具が重要な役割を果たす[379][注 12]。魔導のアビリティを持つ魔導士でもあり、全癒魔法はどんな疲労や負傷でも全快にまで回復できる[384]。死んだ者を蘇らせる奇跡の魔法も発現しており、一度も成功したことがないために無駄な魔法と嘆いていたが、ウィーネの蘇生に初めて成功する[385]

豊饒の女主人

女主人のミア・グランドが、オラリオの治安が悪かった時代に、誰でも笑って酒が飲めるようにと一代で起ち上げた人気の酒場[386]。本編と外伝においてヘスティア・ファミリアやロキ・ファミリアが宴会の場に度々利用する[77][219][289][387]
従業員は全て女性であり、訳ありで腕っ節の強い娘が多く、ミアを「母さん」と呼んでいる[388]。ミアはベルを上回る身長と数倍する横幅を誇るドワーフであり[389]、酒場の女主人となってからは半脱退の状態であるが[388]、かつてフレイヤ・ファミリアに借りがあったために嫌々ながらフレイヤの眷族となり団長になったLv.6の実力者である[390]。ウェイトレスのアーニャ・フローメルは思慮の足りない行動が目立つ少しお馬鹿な猫人であり、Lv.4の元フレイヤ・ファミリアの冒険者。アレンとは実の兄妹だが、物語開始時点では深い確執がある[254]。ヒューマンのウェイトレスであるルノア・ファウストは素手での直接戦闘を得意とするLv.4の元賞金稼ぎであり、猫人のウェイトレスであるクロエ・ロロは幻影魔法などの搦め手を得意とするLv.4の元暗殺者である[391][注 13]
シル・フローヴァ
声 - 石上静香[45]
本作品のヒロインの一人[30]。光沢のない薄鈍色の髪と瞳を持つ18歳のヒューマンの少女[394]。作中のメインキャラの中では唯一の一般市民として登場し[394]、物語当初、ダイダロス通りにある孤児院に赴く際に影ながらフレイヤ・ファミリアの団員から護衛されたり[395]、団員からは「シル様」と呼ばれたりしていたが[396]、本編16巻でその正体がフレイヤであると明かされる[253]
「豊饒の女主人」のウェイトレスとして[46]、駆け出しのベルと出会って店に招待する[397]。ベルに対して好意を抱いており、ベルに弁当を差し入れたり[398]、冒険者という危険な立場のベルを心配したりするが、Lv.2にランクアップした際は心から喜ぶ[399]。また、店に置いてある魔道具などをベルに貸し与えて、それらがベルの窮地を脱することに役立つ[400]
ちゃっかりしているものの、基本的にドジッ子体質。知らない人と触れ合う事が趣味であり、人を見ることが好き[388]。純朴そうな雰囲気であるが、人の心の機微に聡く、瞳を見ただけで人の思考を読み取る事ができ、アーニャやクロエはシルを「魔女」とぼやいており[401]、ロキからは「豊饒の女主人」の中で最も警戒すべき人物と評される[167][注 14]
かつて貧民街で飢えていた時にフレイヤと出会った「シル」は、フレイヤになりたいと告げて彼女と取引をした[396]。この取引により、かつての「シル」は名をヘルンと改め、フレイヤの眷族となって女神の侍従頭を務め、彼女にだけ変身できる魔法を得て心身を彼女と共有することになる[253][注 10]。フレイヤに影響されてヘルンもベルに心惹かれてゆくが[403]、その思い以上に女神を小娘へと堕落させるベルに対して殺意を抱いてベルの殺害を謀る[403]。しかし、最終的にはベルへの愛を受け入れ、自身の命を賭してフレイヤの救済をベルに託す[254]
リュー・リオン
声 - 早見沙織[45]
本作品のヒロインの一人であり[36]、ファミリアクロニクル『episodeリュー』の主人公[5]である。また、ゲーム『メモリア・フレーゼ』のアストレア・レコード編では主人公を担う[404]。薄緑の髪のエルフの女性で年齢は21歳[405]。女神アストレアの眷族でステイタスはLv.4[406]。フレイヤ・ファミリアが起こした戦争遊戯に参加するためにアストレアの下に赴き、一気にLv.6へランクアップする[121]
「豊饒の女主人」に住み込みで働くウェイトレス[46]。謹厳実直な性格で口調も厳しめだが、気を許した相手には若干柔らかい態度になる。駆け出しのころのベルと出会い[407]、かつて起こした事件のために素性を隠していたが[23]、元冒険者の経験を踏まえてベルにアドバイスする[399]。また、出会ったころは、シルのベルへの想いを応援し、将来の伴侶と勝手に定めており[405]、自分よりシルを優先するようにと常にベルに言い聞かせている[398]
戦闘では疾走系スキルを活かした直接戦闘の技術が高く、風の広域攻撃魔法を洗練された並行詠唱で使いこなし、回復魔法も有するオールラウンダーであり、ヘスティア・ファミリアやヘルメス・ファミリアの助っ人として、何度も駆り出される[408]。本編13巻でクノッソス攻略に参加するアイシャらの助っ人として同行し[409]ジュラの罠によりベルと共に深層に落とされるが[410]、彼と共に深層から脱出する過程で、かつての仲間たちを失った自責の念から開放される[411]。深層から帰還した後、疾風は死亡したとギルドから発表されてブラックリストからも削除されるが、ベルの顔を直視できないほど意識ようになる[412]。当初は自身の感情に戸惑うばかりだったが、フレイヤ・ファミリアとの戦争遊戯中にベルへ好意を伝える[121]
11歳頃、エルフに同族嫌悪を抱いて里を飛び出した後にオラリオでアストレアと出会い、アリーゼの強引な勧誘によりアストレア・ファミリアの一員となる[23][413][注 15]。本編開始の5年前、闇派閥の罠により自身を除いた全団員が殺され、その復讐心から多くの者を血祭りにした結果[注 16]、冒険者の資格も剥奪されて一時は賞金を賭けられていた[23]。復讐を終えて自暴自棄になっていた時にシルと出会い、生きる希望を示唆してくれた彼女に多大なる感謝の念を持つようになる[415]
二つ名は疾風[416]

異端児

本編9巻から登場する高い知性や心を備えた異端のモンスターであり、その中には人間の言葉を話す者すら存在する[417]ウラノスによって保護され、ダンジョン内の安全な「隠れ里」を拠点とし、冒険者が落とした武器を装備してダンジョンを巡回しつつ同胞を探しているが[363]、通常のモンスターからも敵として認識されるため、生き残っている者は40体ほどである[362]。アステリオスを除いて全員が地上や人間に対する強烈な憧憬を持ち、いつか地上に出ることを夢見ている[362]。 本編10巻でイケロス・ファミリアによるウィーネの拉致と仲間たちの虐殺により暴走し、地上を巻き込んだ事件に発展したが、全てを失う覚悟で自分たちを救おうとしたベルの決意と覚悟が異端児たちの心に大きな影響を与える[418]。その後、外伝11巻でウラノスとロキと間で協力関係が成立し、クノッソス攻略についてロキ・ファミリアとも連携する[419]

ウィーネ
声 - 日高里菜[321]
ベルよりも年下の初めてのヒロインであり、ベルにとって庇護の対象となる立ち位置にある[420]。ベルが初めて出会った異端児であり[421]、青銀の髪に琥珀色の瞳を持ち、蛇のような下半身をした通常の竜女(ヴィーヴル)と異なり、人と同じように足が生えた姿をしている[422]
「竈火の館」で生活を共にしたヘスティア・ファミリア全員に心を許しており、特にベルと春姫に懐く[423]ディックスの企みにより地上で暴走し、自分を救おうとしてくれたベルに感謝と好意を伝えて一度は命を失うが、フェルズの魔法により奇跡的に蘇る[385]。不安で寂しかった自分を何度も救ってくれたベルの優しさと強さに感化され、怖がられることを覚悟で子供を助けたり、ベルを助けるために自らアイズと対峙したりする程の強さを身につける[424]。本編14巻では深層に落とされたベルを救出するためにリドたちに同行し、ヘスティア・ファミリアの面々と再会を果たす。クノッソス攻略戦にも、地上への恩返しのために自ら参加する[425]
リド
声 - 水中雅章[321]
赤緋色の鱗と雄黄の瞳が特徴的な蜥蜴人(リザードマン)。異端児の最初期からのメンバーであり、古株の木竜のグリューが巨体で気軽に動けない代わりにリーダーを務める[362]
人間との共生を望んでおり[417]、ウィーネと共に20階層の「隠れ里」に訪れたベルたちを歓迎する[363]。気さくな性格であり、ベルを「ベルっち」、リリを「リリっち」と呼んでいる[362]。仲間が惨殺された際、人間に対して複雑な気持ちを持つが[426]、ディックスの呪詛に苦しめられ際にベルが発した言葉に感動し[427]、人間との共生に希望を見出してベルに多大なる感謝と期待を抱く[376]。本編14巻ではフェルズからベルたちの危機を知らされ際には、異端児の半数を率いて深層へ向かい、37階層でベルとリューを救助する。外伝ではクノッソスに部隊を率いて、眼黽の簡易苗花を潰し[425]、精霊の分身と対峙する。
レイ
声 - 高田憂希[321]
毛先が青みがかったくすんだ金髪と青い瞳が特徴的な美しい相貌の歌人鳥(セイレーン)[363]。異端児の最初期からのメンバー[362]。一部は片言だが人の言葉を喋ることができ[363]、美しいその歌声は一部の冒険者たちの間で噂になる[428]。夢は日の光を浴びて空を羽ばたくことと、愛する人に抱きしめられることである[429]
人間に対する友愛を自らの行動で示し、本編ではダンジョン19階層でベルとヴェルフの前に現れ、人とモンスターの共生ができるかについて直接問いかけたり[430]、20階層の「隠れ里」では姿を晒して命とダンスを共にしたり、外伝ではアリシアを身を挺して庇い、精霊の分身の緑肉に飲み込まれそうになったフィンを危機一髪で助けている[431]。フィンを救った後は、ロキ・ファミリアの本拠に保護され、ロキやティオネとも直接交流する[432]
アステリオス
声 - 杉崎亮[321]
黒い猛牛(ミノタウロス[注 17]の異端児。異端児の中では新参者でありながら最強であり[434]、オラリオを代表する冒険者たちを悉く払いのけた実力はLv.7に匹敵する[注 18]。作者の大森は本作品の着想からしてミノタウロスに特別な位置付けを与えており[2]、ベルの好敵手を設定するにあたってはミノタウロスしかないと考え、彼を第三部の猛牛(ヒロイン)と位置付けている[438]
ベルが駆け出しのころに戦って討ち取った片角のミノタウロスの記憶を持っており、ベルとの再戦が憧憬であり[439]、自身の名前も前世の最期に見たベルのファイアボルト(雷光)を由来とする[440]。本編11巻においてベルとの再会を果たし、自身の想いを伝えて再戦を申し込み[440]、瀕死で隻腕の状態ながらベルとの一対一の戦いに勝利する[441]。次回の闘争での決着の意志をベルに告げ、フェルズに右腕を元通りに治療してもらった後、ダンジョン深層で修行に励んでいたが[376]、外伝12巻ではクノッソスでの最終戦に参戦する[442]。クノッソスではリドたちの必死の説得によりベルとの再戦を思い止まり、精霊の分身を討ち取る[443]
マリィ
声 - 福積沙耶[444]
人魚(マーメイド)の異端児。下半身が魚であるため、ダンジョン下層の「水の迷都」から離れられず留守番をしている[445]。普段からリドたちが出かけている間は一人なため、初対面にもかかわらず優しく接してくれたベルには好感を抱く。生まれ落ちたばかりでもないのに言動が幼く、リドたちと異なり好奇心旺盛であり、ベルはマリィから精霊のような印象を受ける[445]
通常の人魚と同様に、歌声を使った魅了の力と水中での圧倒的な速度を有するが、自身の性格もあって基本的に戦闘は苦手[446]。自身の血に宿る類稀な回復能力が特徴であり、ジャガーノートと戦ったベルを何度も窮地から救う[445]

その他の登場人物

現存するファミリア・組織

現存するその他のファミリア・組織、その登場人物を説明する。

ガネーシャ・ファミリア
男神ガネーシャが運営する大手の探索系ファミリア。派閥の等級はSであり、本拠は「アイアム・ガネーシャ」[447]。エンブレムは象の顔。古くからオラリオの治安維持を担っており、Lv.5の団長シャクティ・ヴァルマをはじめとして上級冒険者をオラリオで最も多く抱え、その戦力はロキ・ファミリアフレイヤ・ファミリアに匹敵する[448]。腕の良いモンスターの調教師が多数所属し、ギルドが企画し、観客の前でモンスターを調教する祭典である怪物祭(モンスターフィリア)を主催・運営する[449]。フレイヤ・ファミリアが起こした戦争遊戯では運営・審判として参加する[119]
主神のガネーシャは自身を群衆の主(ガネーシャ)と標榜しており、神々の中でも特に人間たちへの愛が深く、好漢として有名である[447]。常に象の仮面を装着しており会話の一言目が「俺がガネーシャだ!」なので、変神とも見なされている[447]ウラノスからも信頼されており、本編9巻時点より前に異端児の存在を知らされていた数少ない人物であり、極一部にのみ異端児の存在を明かして[450]、怪物祭も異端児との融和を想定して実施している[451]。人々と異端児が理解し合える時代を目指し、その時には群衆と怪物の主(ネオ・ガネーシャ)となると決意している[450]
ソーマ・ファミリア
男神ソーマが運営するファミリア。探索系のファミリアだが、酒の販売も行っている。ソーマが作る酒は神すらも正気を失わせるほどの魅力を有する「神酒」にまで昇華しており、ファミリアにはLv.3以上の冒険者はいないが神酒に魅せられて多数の冒険者が集まったために団員数が非常に多い[452]。エンブレムは三日月に杯[453]
主神のソーマは酒造りにしか興味がなく、他の神々との親交やファミリアの運営にも全く興味がなかった[454]。酒造りの資金のためにファミリアを設立したが[454]、団員たちは我先に報償の神酒を得るために他者を蹴落とす荒くれ者と化す[163]。神酒に溺れてしまう自らの眷族に失望して何も対処しなかった結果[163]エイナの告発によりギルドから警告を受けて[455]、唯一の生き甲斐である酒造りを禁止され、一時は完全な無気力状態に陥ってしまう[141]。本編6巻では、眷族たちがアポロン・ファミリアと手を組んでリリルカを捕らえるものの、ソーマはリリルカに試練を与え、神酒の誘惑に打ち勝ったリリルカに心を動かされ、彼女を解放する[456]。その後、ソーマはファミリアの運営に気を配り、ファミリアの状況は少しずつだが改善してゆく[457]。外伝では、ソーマがロキから嗅ぎ付けた神酒の僅かな香りが切っ掛けとなり、ディオニュソスの企みの真相が暴れる[458]。フレイヤ・ファミリアが起こした戦争遊戯では派閥連合に参加する[119]
リリルカ・アーデ
ディアンケヒト・ファミリア
男神ディアンケヒトが運営する大手の医療系ファミリア[459]。回復薬の販売や原材料の買取り、専門的な医療の提供などを通じて、ロキ・ファミリアをはじめ、多くの冒険者と取引がある[459]。エンブレムは光玉と香草[460]
主神のディアンケヒトは髭を蓄えた初老の男神であり、腕は確かだが意地が悪く、同じ医療系ファミリアの神であるミアハとは犬猿の仲[461]。オラリオ最高の治療師(ヒーラー)と評されるアミッド・テアサナーレは、白銀長髪の小柄な美少女であり、頭が良く優しい気性で沈着冷静なLv.2のヒューマン[462]。ありとあらゆる傷や異常を完全に回復するオラリオ最強の全癒魔法を持ち[463]、支援ではなく攻勢に作用する希有な治療師である[463]。発展アビリティの神秘も有しており、外伝ではバルカが作製した呪道具に宿る呪詛に対抗するための秘薬を作り出す。クノッソス攻略戦には2度参加して規格外の後衛として戦線を支える[464][465]。また、本編ではジャガーノート戦で壊滅したベルの左腕を再建し[466]、その後、クノッソスで無理をしたベルを大叱咤して特殊なギプスでベルの左腕を完全に固定する[467]。フレイヤ・ファミリアが起こした戦争遊戯では運営として治療を担う[120]
ラキア王国
男神アレスを一柱の神として信仰する国家系ファミリア[282]。ラキア王国はオラリオの西部に位置し、緑豊かで肥沃な大地と巨大な王都を持つ豊かな国だが、他国や他都市に戦争を仕掛ける軍事国家でもある[282]。アレスの神意で選ばれる王が派閥の団長を兼ね、60万を超える全ての軍人は神の眷族だが、ダンジョンが無いためにステイタスは低い[282]。ヘスティア・ファミリアのヴェルフの出身国である。
主神のアレスは獅子のような光り輝く金髪に、精悍で逞しい美丈夫の容貌をもつ闘神[282]。頭まで筋肉と称されるほど猪突猛進な性格であり、建国前から所かまわず戦争を仕掛けるため、第一王子であり副団長でもあるマリウス・ウィクトリクス・ラキアをはじめとする配下の将軍や副官たちを振り回して苦労させている[337]
かつては大量に保有するクロッゾの魔剣の力により戦争に連勝していたが、精霊の怒りを買って魔剣が悉く破壊されために一気に連敗する[468]。眷族のステイタスの差により幾度も惨敗していたが[468]、本編8巻で6度目のオラリオ進攻を行う[282]。ロキとフレイヤのファミリアに軽くあしらわれるものの[282]、進攻の真の狙いはクロッゾの魔剣を作製できるヴェルフの確保であり[468]、そのためにヘスティアを誘拐するが[469]、企みは敢え無く失敗する。オラリオの援軍に捕縛されたアレスは、捕虜になった眷族たちのステイタスの放棄と多大な賠償を条件に解放され、眷族と共に故郷へ戻る[470]
テルスキュラ
女神カーリーが治めるアマゾネスの国家系ファミリア。オラリオの東南に位置する断崖絶壁に囲まれた陸の孤島を領地とする国であり、男子禁制のためアマゾネスの聖地と呼ばれる[204]。真の戦士を目指して眷族たちは互いに殺し合って研鑽を積んでおり[471]、ダンジョンは無いが眷族たちのステイタスは高く、団長のアルガナ・カリフバーチェ・カリフの姉妹はLv.6に達する[204]。ロキ・ファミリアのヒリュテ姉妹(ティオネティオナ)の出身国である[204]
主神のカーリーは赤い髪と褐色の肌を持つ幼女のような風貌だが、闘争と殺戮こそが子供たちの真理であるという考えの女神である[472]。アルガナは蛇のような印象を与えるアマゾネスで[473]、カーリーに本質が近く、二つ名の習わしが無いにも拘わらず女神の分身(カーリマー)の異名を持ち、かつて凄惨なやり方でティオネに戦い方を教えていた[207]。バーチェは顔の下半分をヴェールによって隠した砂色の髪のアマゾネスであり[474]、壮絶な姉を恐れ、姉を打倒するための糧とすべくティオナを指導していた[214]
外伝6巻では、フレイヤを打倒するためにイシュタルから港町メレンに秘密裏に呼び出され、カーリーの要望によりカリフ姉妹とヒリュテ姉妹との殺し合いの儀式が行われるが[475]、儀式に介入したフィンに敗れたアルガナはアマゾネスの習性に従って彼に惚れ、ティオナに敗れたバーチェは腑抜けになった姉に恐怖する必要がなくなったので真の戦士になる意味を失う[476]。外伝12巻ではヘルメスからの誘いを受けてクノッソス攻略の援軍として参戦し、アルガナはティオネと、バーチェはティオナと共闘する[477]
その他
モルド・ラトロー
声 - 相馬康一
オグマ・ファミリアに属する、ヒューマンの平凡な上級冒険者。35歳。ステイタスはLv.2。
本編4巻では「豊饒の女主人」で駆け出しのベルにやっかんで絡むが、リューたちに叩きのめされて追い出され[387]、本編5巻では早々に18階層に到達したベルに焦りと嫉妬を抱き、ヘルメスに唆されてヘスティアを人質にし、ベルを一方的にいたぶるが[478]、神威を解放したヘスティアに怖気づいて逃げ出す[479]。その後、漆黒のゴライアスとの戦いで窮地をベルに助けられ、階層主に果敢に立ち向かうベルたちを見て考えを改め、周囲の冒険者たちを奮い立たせて共に立ち向う[480]。その後もベルには好意的な印象を抱いており、度々登場してはベルに味方する立ち位置にいる。本編18巻の戦争遊戯では派閥連合に参加する[119]
アンナ・クレーズ
ファミリアクロニクル『episodeリュー』に登場するヒューマンの街娘であり、オラリオに滞在する男神たちから度々求婚されるほどの美貌の持ち主[481]。その美貌に目をつけたテッドの差し金により、父が賭博で多額の借金を背負わされ[481]、担保として交易所に連れて行かれた末に、オラリオ最大のカジノに買い取られてテッドの愛人にさせられる[482]。カジノに潜入したリューたちによって救出され、男装していたリューに恋心を抱いてしまい、別れ際にリューに告白しそうになったところで男装を解いたリューが女性であると知り衝撃を受ける[483]。呆然としたままリューが手配していた馬車に乗り、母の待つ場所へ送り届けられる[483]
アリィ
ファミリアクロニクル『episodeフレイヤ』に登場するシャルザード王国の第一王子アラム・ラザ・シャルザードであり、王子アラムとして男性のように振る舞うが、実際は褐色の肌で薄紫色の瞳を持つ美しい16歳の女性であり、本来の名がアリィ[484]。傭兵系のラシャプ・ファミリアを引き入れたワルサ国の進攻により国王が殺害され、奴隷に扮装して紙一重で王都から逃げ出した先でフレイヤに見初められる[485]。フレイヤの協力により国を取り戻した後、男としても女としても報われないと承知の上で国を選ぶか、国を捨てて男としても女としても満たすというフレイヤの手を取るか、渇望と葛藤が入り混ざるが、フレイヤから王として生きろと告げられる[486]。後に、シャルザードはアラム王の治世のもと最盛期を迎え、アラム王は後継者も残し、最後まで善政を尽くして「王にして英雄」と呼ばれるまでになる[487]

消滅したファミリア・組織

物語開始後に、消滅したファミリア・組織とその登場人物を説明する。

アポロン・ファミリア
本編6巻でヘスティア・ファミリアと対峙した男神アポロンが運営する探索系ファミリア。派閥の等級はDで、エンブレムは太陽に弓矢[488]。アポロンが見初めた者たちが数多く所属しており、美男美女が多い[489]
主神のアポロンは月桂樹の冠を被った金髪の美男子で、1度見初めた相手を絶対に手に入れようとする執念深い性格であり、茶髪で色白な長身の美青年であるファミリアの団長ヒュアキントス・クリオをはじめ、見初めた相手は女性よりも男性の方が多い[490]。天界ではヘスティアにも求愛しており、彼女からは苦手意識を持たれている[489]。恋多き神であるため、他の神からは悲恋(ファルス)と渾名を付けられて笑いものにされる[491]
ベルを見初めたアポロンは、ソーマ・ファミリアと極秘に手を結び、卑劣な手段を用いてベルとヘスティアを追い詰めて戦争遊戯の開催に持ち込ませる[492]。戦争遊戯ではLv.3のヒュアキントスがLv.2のベルと一騎打ちとなり、ベルから渾身の拳を頬に受けて敗北する[493]。戦争遊戯の終了後、アポロンはヘスティアに許しを請うたが聞き入れられず、本拠を含めた全財産を没収され、団員のステイタスを改宗可能な状態にしてファミリアを解散し、自身はオラリオから永久追放される[457]。ヒュアキントスをはじめとする団員の一部はアポロンを追い、ギルドの戦力流出禁止令を無視してオラリオを去る[457]
ダフネ・ラウロス
カサンドラ・イリオン
イシュタル・ファミリア
本編7巻でヘスティア・ファミリアと対峙した女神イシュタルが運営する娼館ファミリア。派閥の等級はA[357]。本拠は「女主の神娼殿」、エンブレムは娼婦[494]。オラリオの南にある歓楽街を牛耳っており、莫大な利益を上げる[357]。構成員の大半は戦闘娼婦のアマゾネスたちが占める[357]
主神のイシュタルは黒髪を編み込んだ褐色の肌を有する性愛の神であり[494]、自身と同じ美の神であるフレイヤを尋常でないほど憎んでいた[495]。本格的にフレイヤを打倒するために、春姫殺生石を使った団員の強化のための儀式を計画し、テルスキュラを味方に付け、闇派閥とも手を結び精霊の分身の準備も進めていた[496]。団長のフリュネ・ジャミールはLv.5のアマゾネスの戦闘娼婦であり、おかっぱ頭に大きな目と裂けた口、短い手足の割りに顔と胴体がずんぐりと太った人間離れした2M[注 7]を超える風貌と「ゲゲゲッ」という笑い方も相まって、同じ派閥の団員たちからヒキガエルと蔑まれる[497]。アイズを一方的にライバル視しており、外伝6巻にて彼女と戦ったものの、剣技のみで対応したアイズに敵わず、最終的に獣化したベートロログ湖まで蹴り飛ばされる[498]。この時、ベートに一撃で倒されたアマゾネスの少女レナ・タリーはアマゾネスの性癖に従って彼に惚れ、外伝8巻でベートの前に現れて以降、ベートに求婚を繰り返す。
本編7巻でイシュタルはヘルメスを尋問してフレイヤのベルに対する執心を知り、彼女より先にベルを我が物にしようとするが、ベルに手を出したことがフレイヤの逆鱗に触れ、フレイヤ・ファミリアから急襲される[499]。フリュネはフレイヤを侮辱した罪でオッタルの怒りを買い、再起不能になるほどの恐怖を叩き込まれ、イシュタルはフレイヤに美しさという自分の矜持すら砕かれて天界へ強制送還されて[252]、ファミリアは歓楽街と共に壊滅する。
アイシャ・ベルカ
サンジョウノ・春姫
イケロス・ファミリア
本編9巻と10巻でヘスティア・ファミリアと対峙した男神イケロスが運営するファミリア。派閥の等級はBで20年以上前からオラリオに存在し[500]クノッソスを根城にしていた。異端児を捕まえては怪物趣味の貴族に売り飛ばしていた無法者の狩猟者集団である。団長のディックス・ペルディクスウィーネを確保するために多数の異端児を惨殺したことが、リヴィラの街と地上を巻き込んだ異端児たちの動乱に発展する[501][502]
主神のイケロスは、常に卑屈そうな眼差しに軽薄そうな笑みを浮かべる神であり[501]、ディックスの狂気を獣の夢として面白がって眷属たちの悪行を放置していた[503]。左の瞳が赤く、煙水晶のゴーグルを掛けたディックスは奇人ダイダロスの子孫であり、バルカの弟である[504]。ステイタスはLv.5であり、超短文詠唱で広範囲に幻惑と錯乱をもたらす呪詛を武器とする[505]。先祖代々のダイダロス一族の呪縛を自覚しているが[506]、異端児を痛めつけることに一族の狂気を越える欲望を見出し、捕らえた異端児を拷問した後に貴族たちへ密輸することで自身の生き甲斐とクノッソス完成のための資金集めを両立していた[507]
本編10巻でイケロスはファリアの全てをヘルメスに暴露し[503]ガレスに捕らわれそうになったフェルズを逃がすためにヘルメスの取引材料にされる[508]。外伝10巻でロキ・ファミリアに闇派閥との協力関係を自白するが、イケロスはエニュオの計画に関与していないことが明らかとなり[167]、ギルドに身柄を引き渡される[509]。異端児とベルに追い詰められたディックスはクノッソス内部に逃げ込むが、最期にはアステリオスの一撃を喰らって死亡する[510]。その他の団員も異端児たちに皆殺しにされ、唯一生き残ったイケロスはオラリオから永久追放の処分となり、本編10巻でファミリアは消滅する[509]
タナトス・ファミリア
外伝『ソード・オラトリア』でロキ・ファミリアと敵対した男神タナトスが運営するファミリア。クノッソスを拠点とし、タナトスが闇派閥の残党を束ね、その幹部のヴァレッタ・グレーデバルカ・ペルディクスと共に、エニュオや怪人と手を組んでオラリオの破壊を企む[511]
主神のタナトスは、退廃的で陰鬱な雰囲気を纏う死を司る神であり、人間は昔のように頻繁に死んだ方が良いという考えに基づいてオラリオの破壊に加担する[511]。本編開始の8年前、幼少期のアイズをダンジョンで闇派閥に勧誘し、この気紛れがアイズの存在を穢れた精霊に気付かせる原因となり、エニュオによる動乱の具体化に繋る[512][513]。Lv.5のヴァレッタは口の悪い下品な女であり、かつて27階層の悪夢を画策した人物でもある[514]。外伝7巻では恨みを抱くフィンを取り逃がした腹癒せにリーネたちを殺害し[515]、元イシュタルの眷族たちを虐殺する指揮もとる[516]。もう一人の幹部でLv.4のバルカはディックスの兄にあたり[504]、弟とは逆にダイダロスの呪縛に囚われ、クノッソスの完成以外は一切の興味がない人物であり、資金集めのための密輸の取引役を担い、クノッソス内部の罠などの機構を掌握する[517][518]。また、レアアビリティ神秘を保有し、作製した強力な呪道具をディックスやヴァレッタ、セクメト・ファミリアの暗殺者にも供給する[519]。眷族たちは、タナトスから死後の転生を信じさせられており、自爆覚悟で戦う死兵と化している[520]
外伝8巻でヴァレッタはベートの魔法により部下と共に焼き尽くされて死亡し、外伝11巻で異形の怪物となったバルカは、アミッドの全癒魔法により生きる意味を失って死亡する[521]。その他の団員たちも精霊の分身の緑肉に飲み込まれて全滅し、主神のタナトスもエニュオに道具として利用された意趣返しとばかりに自らへ短剣を突き刺して天界へ強制送還され[522]、外伝11巻でファミリアは消滅する。
ディオニュソス・ファミリア
男神ディオニュソスが運営する中堅クラス規模のファミリア。外伝『ソード・オラトリア』において、闇派閥や怪人、都市の破壊者と敵対する。
主神のディオニュソスは貴公子然とした様相で上品さと優雅さを兼ね備え、オラリオの住民に敬われており、特に女性には人気がある酒神である[523]。外伝1巻の神会でデメテルと共にロキと顔を合わせ[524]、外伝2巻で極彩色のモンスターに殺害された眷族の敵討ちと称してロキに近づく[525]。外伝3巻でロキの信用を得て[526]、外伝4巻でロキとヘルメスと共に派閥同盟を組む[169]。団長のフィルヴィス・シャリアはファミリアで唯一のLv.3であり、赤緋の瞳に白い肌で濡れ羽色の長髪を有する美しいエルフの少女だが[527]、6年前の27階層の悪夢で一人だけ生き残った後も、参加したパーティが四度とも彼女を除いて全滅したために死妖精(バンシーの悪名で呼ばれ[528][注 19]、団員を含む冒険者たちから忌み嫌われる[529]。そのため、他者に対して気を許さず、潔癖性で排他的な振る舞いや言動が多かったが[530]、外伝3巻でレフィーヤと出会い、強引に親交を深めようとするレフィーヤに根負けして、次第に心を開くようになる[234]。攻撃と防御の超短文魔法による並行詠唱を得意とする魔法剣士であり、外伝4巻で深層の遠征に赴くレフィーヤに並行詠唱を指導し、自身の障壁魔法を授ける[234]
外伝11巻でディオニュソスは団員と共に自らクノッソスの進攻部隊に同行するが、エニュオと思われる神物に襲われて天界に強制送還され、その様子が眼晶を通じてロキへ伝えられる[531]。フィルヴィスはレフィーヤの眼前でエインに首をへし折られた後、食人花に捕食され[532]、団員も精霊の分身の緑肉に飲み込まれて全て死亡する[533]。しかし、外伝12巻において、ディオニュソスとフィルヴィスの死は偽装であることが明らかとなる。
怪人
外伝『ソード・オラトリア』に登場する人間とモンスターの混合種[534]。穢れた精霊により極彩色に輝く魔石を人の身体に埋め込まれた強化種であり、どんな傷でも自己再生する強力な治癒能力を有し[535]、極彩色のモンスターや精霊の分身に命令できる。穢れた精霊の意志に従う存在として、エニュオと呼ばれる神物、闇派閥の残党、暗殺者と利用し合う関係にある。外伝3巻において、27階層の悪夢の首謀者であり、死亡したと認識されていたオリヴァス・アクトが、怪人として蘇った姿を自ら晒してオラリオを滅ぼすと宣言し[536]、ロキ・ファミリアをはじめとしたオラリオ全体と敵対する。
レヴィス
声 - 大原さやか[170]
赤い髪の女性。外伝2巻で初めて登場し、当初、素性が謎に包まれており、食人花を操っていたため、フィンは調教師だと考えていた[537]
フェルズの依頼で緑色の宝玉を持ち去ったハシャーナをリヴィラの街で殺害し、宝玉を探索していた折りにアイズと出会い、初めて会ったアイズを「アリア」と呼び、レフィーヤの援護を受けたLv.5のアイズを圧倒する[538]。これ以降、「アリア」の確保に執着する穢れた精霊の命令を実現するためにアイズと何度も対峙する[539][540]。フィンによる一連のクノッソス攻略に対抗するものの、フィンに深手を負わせたこともあり[540]、フィンから最も警戒すべき敵として認識されたため、エインの邪魔もあり進攻部隊を取り逃がしたり[233]、囮のアイズにつられて進攻部隊から遠ざけられたりする[541]
外伝12巻のクノッソス戦にて、穢れた精霊を惰性で守る役割を含めて、この世の全てをくだらないと感じていたが、アイズとの対戦が愉快であり剣を交えることに夢中だったと語る[80]。一対一でアイズと死力を尽くして戦い、最期には極彩色の魔石を両断され、灰となって消滅する[542]
エイン
声 - 金元寿子
紫紺の外套に両手にメタルグローブを装着した仮面の怪人。外伝3巻でアイズやレフィーヤ、フィルヴィスらの眼前に正体不明の怪人としてオリヴァスと共に現れ[543]、その後も度々登場していたが[544]、外伝12巻でその正体がフィルヴィスであると明かされる[545]。真の姿は27階層の悪夢において穢れた精霊の分身により極彩色の魔石を埋め込まれた怪人であり[545]、普段は分身魔法によりディオニュソスの眷族役のフィルヴィスと、仮面を被った怪人役のエインの二人に分かれていた[546]
怪人となった当初、汚れた自分が許せずに何度も死のうとしたが、怪人の自己再生力によりそれも叶わず[546]、汚れた自分を愛していると語るディオニュソスに救われ、彼の願いを共に叶えることが生きる目的となる[547]。しかし、心を通わせたレフィーヤとの出会いにより、ディオニュソスに対する忠誠との間で心が引き裂かれてゆく[548][547]
外伝11巻では、食人花を率いてレフィーヤを誘導して自分に自分を殺させて自身の死を偽装し[545]、レフィーヤの心を壊してでもクノッソスから遠ざけようとする[547]。しかし、外伝12巻で再起したレフィーヤに正体を突き付けられ[注 20]、分身魔法を解除してレヴィスよりも強力な怪人としてレフィーヤたちと対峙する[547]。最期にはレフィーヤに魔石を砕かれて致命傷を負い、再び分身したエインはディオニュソスの下へ向かいディオニュソスに抱かれながら消滅し[550]、もう一方のフィルヴィスはレフィーヤに抱かれ、感謝の言葉を残して笑顔を浮かべながら消滅する[235]
都市の破壊者
エニュオ
外伝『ソード・オラトリア』に登場するオラリオの破壊を企む黒幕。外伝3巻で謎の神物として初めて名前のみ登場し[551]、その後も事件の黒幕として描かれていたが、外伝12巻でその正体がディオニュソスであると明かされる[552]。普段は自身が作った神酒を飲んで自分を正義の神であると自己暗示をかけていたため、同盟を組んでいたロキやヘルメスにもその偽りの姿を見抜けなかった[553]
かつてモンスターに蹂躙された子供たちが泣き叫ぶ時代「狂乱(オルギア)」を楽しんでいたが、ウラノスによりモンスターがダンジョンに閉じ込められたため[554]、「狂乱」を再び引き起こすためにゼウスとヘラがオラリオから出奔した15年前からオラリオの破壊を計画する[555]。6年前にアイズを求めて27階層に出現した穢れた精霊の分身がフィルヴィスを怪人化したことでその存在に唯一気付き、自身の計画を実現するために怪人や闇派閥と手を結び、アイズを狙う穢れた精霊の要求に応えるためにロキ・ファミリアにも接近する[513]
正体を隠すために、自身に探りを入れた女神デメテルの眷族を誘拐し、彼女を脅迫することで自身の身代わりに仕立て上る[553]。また、神酒を使って老婆の女神ペニアも利用し、自身の眷族をペニアの眷族へ改宗させて隠れ蓑とし、外伝11巻で自身の死を偽装するためにペニアを殺害してロキたちを一時的に欺く[553]。しかし、外伝12巻においてペニアが行方不明であること、何よりディオニュソスに対する恐いというヘスティアの印象からロキに正体を見破られ[553]、計画の最終段階で神の思惑を越える未完の英雄により全ての企みは失敗し[58]、最期は笑いながら自刃して天界に強制送還される[550]
その他
ジュラ・ハルマー
本編13巻に登場する元ルドラ・ファミリアの団員。猫人の男性冒険者で怪物趣味の志向をもつ隻腕の調教師。
本編開始の5年前、敵対するアストレア・ファミリアを全滅させるために策を弄した結果、ダンジョンからジャガーノートが産み出され、リューと自身を残して両ファミリア共に壊滅させられたが、ジュラはジャガーノートの圧倒的な強さに魅せられてしまう[556]。復讐のために本拠に襲撃してきたリューに右腕を斬り落とされるものの、何とかクノッソスに逃げ込み、ジャガーノートを自分の所有物にするための計画を練り続けていた[556]。一連のクノッソスでの騒動から身を隠しきれないと悟ったジュラは強力な調教具を確保し、ターク・スレッドを巻き込んで計画を実行する[557]
本編13巻でタークはリヴィラの街でジャンを殺害し[557]、その犯人が疾風であると騒ぎ立ててリヴィラの街の冒険者を味方につけ[558]、25階層を大規模に破壊してジャガーノートを再び誕生させる[559]。これによりジュラはリューを罠に嵌めてジャガーノートと戦わせることに成功するが[556]、ジャガーノートの調教には失敗して胴を両断されて死亡し[560]、タークも25階層の崩壊に巻き込まれて死亡する[296]
テッド
ファミリアクロニクル『episodeリュー』に登場するドワーフの男性。オラリオ最大のカジノのオーナーであるテリー・セルバンティスが死亡した事故を利用し、彼に成り済ましてカジノを取り仕切る[561]。気に入った女性がいると、その女性の親近者に賭博を持ちかけて多大な借金を背負わせた上、脅しをかけて女性を奪う手口で何人もの女性を囲う[562]アンナを助けにきたリューとシルに正体を暴かれ[561]、シルから後ろ盾として囁かれたフレイヤ・ファミリアの名前を聞いて戦意喪失、ガネーシャ・ファミリアに拘束される[563]

過去に存在したファミリア・組織

物語開始前に、既に消滅していたファミリア・組織とその登場人物を説明する。

ゼウス・ファミリア
本編開始の15年前までオラリオ最強を誇った探索系ファミリアであり、Lv.8の眷族が所属していたが[564]黒竜に敗北してファミリアが全滅し、主神のゼウスロキフレイヤにオラリオから追放されて姿を消す[20]。ゼウスはベルの回想で語られる祖父の正体であるが、ベル自身は育ての祖父がゼウスであり、物語開始時点でも存命であることを知らない。ゼウスとヘルメスには親交があり、ヘルメスがベルに興味を持つ切っ掛けとなる[325]。作者からゼウスとヘラは本作品の重要なキーワードと評されている[565]
ヘラ・ファミリア
本編開始の15年前までゼウス・ファミリアと双璧を成したオラリオ最強のファミリアであり、Lv.9の眷族が所属していたが[564]、黒竜に敗れて主力団員が全滅し、主神のヘラはゼウスと共にオラリオから追放される[20]。ヘラはヘルメスから「ヤンデレ」と評され[20]、ロキからは「最強最悪、超絶残虐破壊衝動女」と評される[101]。また、フレイヤはかつてのヘラとの抗争を、ゼウスとヘラによる「夫婦劇」に巻き込まれたと語る[564]
アストレア・ファミリア
かつて女神アストレアが運営していた探索系ファミリア[23]。派閥の等級はB。ガネーシャ・ファミリアと共にオラリオの秩序を乱す者を取り締まる役割を担っており、住民から慕われていた[566]。ゲーム『メモリア・フレーゼ』のアストレア・レコード編では主役を担う[404]
正義と秩序を司る主神のアストレアは胡桃色の髪をまとめた藍色の瞳を持つ気品ある神であり[567]、団長のアリーゼは自らを清く完璧と自賛する、赤い髪をした快活で美しいLv.4のヒューマンの少女で、リュー曰く、いつでも前を向いて誰にも分け隔てなく接する優しさを持つ「尊敬する人物」である[568]。11人の団員は全て女性の第二級冒険者であり、一見、正義の派閥らしからぬ者たちも所属していたが、アストレアとアリーゼの下、オラリオの暗黒期を終わらせるために団結していた[569]
本編開始の5年前、ジュラの策により産まれたジャガーノートに団員が瞬殺され[556]、辛うじて生き残ったアリーゼもリューを救うために犠牲となり[411]、アストレアはオラリオの外で存命だが、ファミリアは事実上消滅する[411]。本編14巻で危機に陥ったリューの回想の中で団員たちが登場し、リューの中に正義と希望が残っていると伝え、リューにトラウマであるジャガーノートに立ち向かう勇気を与える。本編18巻では、リューの戦争遊戯への参加資格を満足するために、アストレアが久しぶりにオラリオに登場する[121]
リュー・リオン
闇派閥
かつて存在した邪神を名乗る神々が束ねていた過激派ファミリアの総称。ゼウスとヘラのファミリアが壊滅した後、秩序の崩壊や破壊工作を繰り返してオラリオに混沌をもたらす暗黒期を主導していた[570]
本編開始の6年前、ギルドから追い詰められたヴァレッタら幹部は、オリヴァスを唆して闇派閥の団員とギルド傘下の冒険者の潰し合いをダンジョン27階層で画策したが、企みを見抜いたフィンの活躍により戦いはギルド側の勝利に終わる[514]。双方多くの犠牲を出したこの事件は「27階層の悪夢」と呼ばれ、生き残ったヴァレッタはフィンに激しい憎悪を抱くものの、幹部たちだけは死んだ振りをしてギルドから身を隠すことに成功し、闇派閥の壊滅を印象付ける[514]
本編開始の5年前、疾風によるルドラ・ファミリアをはじめとする闇派閥の残党への復讐が行われた結果、関連する組織は壊滅し、男神ルドラなどの邪神たちも天界に強制送還され、オラリオの暗黒期は終焉を向かえる[注 16]

用語

ファミリア関連

ファミリア
「神の眷族」の意味であり、下界に降りた神が神の恩恵を与えた人々を集めて組織した集団[27]。ファミリアの主である神は主神と呼ばれ、主神の名を冠して呼ばれる[27]。ギルドからIからSまで等級付けされ、等級が高くなるほどギルドからの徴税額も上がり[571]、ダンジョン探索系のファミリアの場合は派閥の等級がD以上になると遠征の強制任務が課せられる[572]
ダンジョン探索系が最も多いが、デメテル・ファミリア[注 21]ニョルズ・ファミリア[注 22]のような食料生産を担う商業系、ヘファイストス・ファミリアゴブニュ・ファミリアのような武器の生産や建築を担う製作系、ディアンケヒト・ファミリアミアハ・ファミリアのような医療系、暗殺者集団で構成されるセクメト・ファミリアのような犯罪系、果てはラキア王国テルスキュラのような国家系のファミリアも存在する[575][576]
神の恩恵(ファルナ)
神が神血を媒体にして人間の体に神聖文字を刻む事で発現し、様々な事象から経験値を得て能力を引き上げ、新たな能力を発現させることを可能とする[27]。本作品の根幹を成す設定であり、作者が現実のヒエログリフから思いついた[2]。テレビアニメではベル神のナイフに刻まれた神聖文字の文章を作者自らが考案している[2]
神の恩恵を具体的に数値化したものをステイタスと総称し、基本アビリティ、発展アビリティ、スキル、魔法(呪詛)、そして総合的階位を示すレベルから構成される。
戦争遊戯(ウォーゲーム)
ファミリアの間でルールを定めて行われるファミリア同士の決闘であり、神会で事前に手続きや勝負形式、勝利後の要求などの取り決めを行い、戦争遊戯に敗北した神は勝利した神の要求を絶対に応えなければならない。勝負形式は一騎討ち、攻城戦など様々ある[577]

冒険者関連

冒険者
神の恩恵を得て、ダンジョンに潜り、モンスターと戦い、そこから得た収入で生計を立てる者の総称[578]レベル(Lv.)1の冒険者は「下級冒険者」、Lv.2以上は「上級冒険者」と呼ばれる[注 23]。冒険者の過半数がLv.1の下級冒険者であり、残りの半分の者がLv.2である[579]。下級冒険者はダンジョンの11から12階層までが攻略可能の限界とされる[580]
冒険者が別のファミリアに移転する再契約の儀式を「改宗」(コンバージョン)と呼び、一度改宗を行うと最低1年間は再改宗できない[581]。事件を起こしてギルドから登録を取り消された冒険者は、魔石ドロップアイテムを換金できなくなり、最悪の場合ファミリアから脱退させられる[580]。また、度が過ぎた冒険者の犯罪行為はギルドにより取り締まられており、刑罰が課される[580]
冒険者の「二つ名」は、神々が上級冒険者に与える称号であり、3か月に1回開催される神会において神々の多数決により決定される[141]。ランクアップする毎に改名の機会となるが、現状維持の場合もある。個人的に親しい場合や同じファミリア内の場合を除き、上級冒険者は、本名ではなく、二つ名で呼び表す慣習がある[582][416][357]
サポーター
冒険者が倒したモンスターの魔石やドロップアイテムなどを収集し、予備武器やアイテムなどを持つ役割もこなすため、ダンジョン攻略の生産性と戦力の観点から重要視される[97]。ただし、同じファミリアの高レベル冒険者のサポーターを務める場合は別だが[583]、様々な理由でドロップアウトした冒険者がなることが多いため、専業としてパーティに雇われる場合は冒険者から目下に見られ[584]、雑用係のように手ひどく扱われることもある[585]
怪物進呈
冒険者が大量のモンスターを他者に押し付ける行為の総称[586]。ダンジョン内では日常茶飯事であり、上手く利用することが上手く生き残る技術でもあるため、モンスターの押し付けはお互い様であるため、冒険者の間では悪意が無い限り、一定の理解を払うという不文律がある[586]
冒険者依頼
依頼人が抱える様々な問題を冒険者に解決してもらう依頼の総称であり、依頼者は報酬を用意し、冒険者は依頼をこなして報酬を受け取る[587]。依頼の多くはギルドが仲介しており信用度が高いが、ギルドを介さない依頼も流通しており、この場合、報酬を踏み倒されたりもする[587]
三大冒険者依頼
神の降臨前にダンジョンから地上へ進出した強力な三体のモンスターである「陸の王者」(ベヒーモス)、「海の覇王」(リヴァイアサン)、および「黒竜」の討伐を指す[20]。最強の冒険者が揃うオラリオには、これらを討伐する責務と資格があり、陸の王者と海の覇王はゼウス・ファミリアヘラ・ファミリアにより既に打破され、残された黒竜の討伐は下界全土の悲願である[20]。黒竜は英雄譚の最後を飾る暴虐の竜王であり、最強の英雄アルバート[注 6]が己の命と引き替えに片目を潰して、この地から退けたとされており、古から「隻眼の竜」の名で伝わる生きる伝説的な存在である[20]。作中では黒竜と、アイズおよびその父親との因縁が示唆されている[87]

能力関連

レベル
神の眷族のランクを総合的に示す数値。冒険者のステイタスは部外秘であるが、レベル(Lv.)はギルドへの申告が義務づけられており、公開される[589]。 レベルアップ(ランクアップ)するためには任意の基本アビリティがD以上となり、自分の限界を突破するような特別な経験(偉業)を積む必要がある[399]。ランクアップは上位存在たる神に一歩近づくことを意味し、ランクアップにより心身の強化と器の進化が実現される[590]。レベルの差は絶対的な能力の差を生むとされ、本編17巻時点の最高峰はLv.7のオッタルと名前も登場していない人物の2人だけであるが[591]、過去にはLv.8やLv.9の冒険者も存在していた[564]
基本アビリティ
力・耐久・器用・敏捷・魔力の5項目からなる基礎能力。0 - 999の数字とI - AおよびSで表す等級によって示される[27]。訓練や実戦によって上昇するが、ランクアップのための経験(偉業)とは別物[399]。ランクアップした場合は、アビリティの全ての項目は一旦0に戻るが、以前のレベルで獲得した数値は潜在値として能力に反映される。通常、能力値は999が上限であるが、ベルはスキルの効果によって限界を突破し、等級はSSやSSSで示される[592]
発展アビリティ
基本アビリティよりも専門的に特化した能力[27]。Lv.2以降のランクアップの際に発現する可能性があり、基本アビリティと同じくI - Sの等級が存在する[593]。「耐異常」は毒などに対する耐性が向上し[594]、「鍛冶」は魔力を込めて武具を鍛錬できるようになり、製作した武具の性能が向上する[593]。発現する能力はこれまでの行動や経験と相関があり、例えば薬やアイテム作製の機会が多いと「調合」が発現し易い[595]。魔導師に発現し易い「魔導」は、魔法発動時に魔法円(マジックサークル)が出現し、魔法の威力や精神力の運用効率が向上する[596]
発現すること自体が珍しいレアアビリティもあり、「神秘」は神の奇跡を実現するような貴重なアイテムを作製できるようになる[593]。神の恩恵にアビリティの説明がないため、ベルに発現した「幸運」のように前例のないアビリティは効果が不明であり、ヘスティアは加護に近いと推測する[594]
スキル
特殊な効果や作用を肉体にもたらす能力であり、ステイタスが器の強化であることに対して、スキルは器の中での特殊な化学反応を起こさせる効果があり[27]、ランクアップ時以外でも発現し、その効果の説明がステイタスに刻まれる。スキルは、本人の本質や望みを反映しており、同じような効果でもスキルの名称は個人毎に異なる[54]
魔法
精神力(マインド)というエネルギーを消費して超常現象を引き起こす力[286]。発動するには詠唱を必要とし、詠唱が長いほど効果が強力になる傾向がある。最大3種までの魔法を獲得できるが、大多数の者は発現しないまま生涯を終える[597]
魔導士には、魔力が暴走すると「魔力暴発」と呼ばれる自爆現象が起こるため魔力の制御技術が求められ[598]、精神力の消費が激しいと「精神疲弊」して気絶するため高い精神力が求められる[286]。「並行詠唱」は戦闘や機動を行いながら魔術を発動させる高等技術であり、熟練者は移動砲台と呼ばれる[599]
呪詛(カース)
通常の魔法とは異なる「呪い」に分類される力。魔法と同じく詠唱によって発動し、幻影・錯乱・金縛り・痛覚の付与など、肉体や精神に致命的なデメリットを引き起こす。防御と治療には専用の魔道具が必要であり、耐異常の発展アビリティでも防御できない[600]。強力な力を発現する反面、術者に代償を伴い、この点が魔法との違い[601]

アイテム関連

魔石
モンスターの胸部などの中心部に存在する生命力の核[19]。魔力が込められた紫紺の結晶であり、砕かれるとモンスターは即死する[19]。さまざまな道具に加工され、夜に明かりを灯す魔石灯となったり[602]、発火装置や冷凍器、昇降機のような機械に利用される貴重な資源である[19][98]。冒険者はモンスターを倒し、これをギルドで換金することで主な収入源とする[19]
ドロップアイテム
魔石とは別に、倒したモンスターが残す身体の一部[19]。様々な武具や道具などの優れた素材になるため、魔石よりも高く取引され、高レベルのモンスターが残すドロップアイテムほど高値が付き、探索系ファミリアの収入源となる[19]
魔剣
魔法を放つ剣で、基本的に高レベルの鍛冶アビリティをもつ鍛冶師が作製できる。冒険者が扱う魔法よりも威力は弱い。誰でも速効で魔法を使用できるが、一定回数以上の使用により砕け散るため、消耗品である[593]
クロッゾの魔剣
かつてクロッゾ一族により製作された規格外の魔剣[603]。神々の降臨前、クロッゾの先祖が精霊を命懸けで守り、精霊から血を分け与えられたことで強力な魔剣を作る能力を得て、その力が子孫にスキルとして受け継がれてきた[132]。クロッゾの一族は、クロッゾの魔剣をラキア王国に提供し、鍛冶貴族の地位を獲得したが、ラキア王国の過剰な進攻によって棲み処を追われたエルフや精霊たちから怒りを買ったため、魔剣を作る力を失う[604][132]
魔道具
魔法的・超常的な効果をもたらす道具の総称。作製にはレアアビリティ神秘が必要になる。アスフィが製作した少量の血をインク代わりにできる「血潮の筆」のように一般に流通する魔道具もあるが[605]、非常に高価であったり、ご禁制の品のために入手困難なものもある。魔法を強制的に発現させたり、スロット数を増やすことができる「魔導書」の製作には高ランクの魔導のアビリティも必要になるため貴重であり、その値段は数千万ヴァリス[注 8]を軽く越える[606]。眷族のステイタスを強制的に暴くことのできる「開錠薬」は神血を元に作製され、主に刺客や犯罪者の素性を洗い出すために裏市場でのみ出回る[607]。また、作中では、魔道具の製作者による専用の武器や防具も登場する。
殺生石
狐人の魔力、魂を封じ込めた石であり、狐人の妖術を第三者に与えるための禁忌の魔道具[608]。殺生石を砕いた場合は、その欠片を持つ者は誰でも妖術を使用できるようになるが、その欠片を集めたとしても生け贄の狐人は廃人か赤子のような状態でしか戻らない[608]。原料の一つである鳥羽の石は月光が届かないダンジョンでは効果がないため、通常、殺生石はオラリオでは流通していない[608]。本編7巻でイシュタルフレイヤを打倒するための切り札としてヘルメスに依頼してオラリオ外から入手する。
眼晶(オクルス)
フェルズが開発した、片方の水晶が捉えた光景と音声を番となる水晶に映し出す双子水晶であり、ペアで保持する必要はあるが、作中で唯一存在する遠隔地間の即時交信を可能とする貴重な魔道具[609]ウラノスたちとダンジョンにいる異端児との連絡に使用されていた[609]。本編ではヘスティア・ファミリアと異端児との連絡のためにフェルズから提供され[379]、外伝ではロキ・ファミリアとウラノスとの協力関係が確立した後、クノッソス攻略の要として提供される[610]
ダイダロス・オーブ
クノッソスへ出入りするための「D」の文字が刻まれた魔道具[611]。ダイダロスの子孫の左眼に反応して自由に出入りできる仕掛がクノッソスには組み込まれており、ダイダロスの子孫は死後に左眼をくり抜かれ、他者がクノッソスへ出入りするための鍵に加工される[611]。クノッソスの秘匿性の根幹を担っており、闇派閥の関係者のみに供給されていた。作中では5つの鍵が関係者外に流失し、地上に残された異端児たちの帰還とロキ・ファミリアによるクノッソス攻略において文字通り鍵となる[注 24]

種族

人間
いわゆる普通の人間であるヒューマンの他に、神話でなじみ深い種族が「人間」として登場する。
  • ヒューマンは冒険者のなり手として小人族と共に他種族と比べて見劣りする[619]
  • エルフは容姿端麗で精霊に次ぐ魔法の使い手であり、一部の者は矜恃の高さから他部族との馴れ合いを嫌い、己の認めた者以外の肌の接触を許さない[620]
  • ドワーフは腕力などの身体能力に優れており、筋肉質な体格で少し背丈が低く、土木工事などが得意である。
  • アマゾネスは褐色の肌の女性のみの種族であり、体術による高い戦闘技術と闘争心を持つ[619]。強い男を好み、どの種族とも子供をもうけることができるが、生まれる子供は必ずアマゾネスになる[621]
  • 小人族(パルゥム)は成人しても身長100C[注 7]程度の姿をもつ種族であり[106]、古の時代に偉業を成し遂げた騎士団を擬人化した女神フィアナを信仰していたが、本物の神の降臨後にフィアナがいないと知り、一気に衰退する[622]
  • 獣人は獣の特徴をもつ種族であり[注 25]、鋭い五感と高い身体能力をもつ[619]。種族毎の固有の能力も有し、狐人は魔力が高くエルフとは異なる魔法を駆使したり、狼人は月光により能力が嵩上げされたりする。
天界より降り立った不変不滅の超越存在(デウスデア)[27]。ウラノスのように千年前から下界にいる神もいれば[21]ヘスティアのように最近下界へ降臨した神もいる。下界の住人に神の恩恵を与えて強化でき、大規模なファミリアを擁する神は左うちわで生活できるが、零細なファミリアしか持たない神は自身で働いて生活費を稼ぐこともある[27]
外見はヒューマンと変わりないが、容姿端麗であり[277]、常に発する神威から一目見れば相手が神かどうか判別できる[623]。本来は万能だが、下界では神の力(アルカナム)の使用は禁じられており[27]、基本的に人間と同じ能力しか持たないため、病気にもかかる。下界の者による神殺しは禁忌であり、神に手を下せる者は神のみである[624]。致命傷を与えられると神の力が発動し生命は維持されるが、禁を破ったことで天界へ強制送還され[624]、二度と下界へは降りてこられない。
精霊
神々の降臨前、一部の神々がモンスターを排除するために下界に放った人間の導き手であり、神意を受け取って英雄を助力していた[625]。オラリオには多くの精霊が遣わされ、作品で描かれる時代にも火精霊(サラマンダー)、水精霊(ウンティーネ)、土精霊(ノーム)などが存在し、その中には俗世間の中で暮らすものも多い[27][626]。人間と子を成せないが、何らかの事情で精霊の血をその身に宿す人間もいる[132][86]

モンスター

ダンジョンから産まれ落ちる人間の敵。階層毎に産まれるモンスターは決まっており、階層やモンスターの種類により次産間隔があり、殲滅した後の一定時間はモンスターが産まれない[19]。ダンジョン内部で神の存在(神威)が感知されると、神を排除するために強力な漆黒のモンスターが産み出される[627][512]。バベルができる以前にダンジョンから出現したモンスターは卵によって子孫を残して地上に定着するものの[19]、その力や魔石は弱体化している[628]

強化種
同胞であるモンスターの魔石を喰らい、能力や知恵が特別に強化されたモンスター[629]。魔石を喰らう異端児[629]、極彩色のモンスターや怪人も含まれる[630]。かつてフレイヤ・ファミリアにより討伐された強化種は50人以上の上級冒険者を殺害しており、冒険者から危険視される[630]。本編12巻で登場するモス・ヒュージの強化種は、効率的に魔石を得るために、冒険者の持つ魔石に狙いをつけ、罠などの戦術を駆使するほどの知恵を身につける[631]
階層主
正式名称は「迷宮の孤王(モンスターレックス)」[632]。特定の階層にのみ出現する強力な固有モンスターを指す。ダンジョン17階層に出現するゴライアス[46]、27階層に出現するアンフィス・バエナ、37階層に出現するウダイオス、49階層に出現するバロールが相当する。通常、ファミリアの総出や同盟を組んで討伐される。
  • ゴライアスは、全高7M[注 7]にも届く灰褐色の巨人モンスターであり、次産間隔は2週間前後、推定能力はLv.4相当とされる[633]。リヴィラの街の直前に出現するため、街の冒険者たちにより定期的に討伐される[633]。本編5巻に登場する漆黒のゴライアスは黒色の肌をしたゴライアスの亜種であり、動作が素早く防御力も通常のゴライアスを遙かに上回り、驚異的な治癒能力も備える[627]。そのドロップアイテムは、通常のものよりも耐久力と重量が桁違いであり、討伐後にヘスティア・ファミリアへ渡り[634]ヴェルフにより防具へ加工され、その一部がベルの「ゴライアスのマフラー」となる[635]
  • アンフィス・バエナは、全高20Mを超える総身が白い鱗で覆われた双頭の水竜のモンスターであり、次産間隔は約1か月、水上の地形も考慮した推定能力はLv.6相当とされる[636]。巨蒼の滝(グレート・フォール)を昇って27階層から25階層まで移動でき、水上でも燃え続ける焼夷蒼炎と、魔法を拡散させ威力を落とす紅霧という息吹(ブレス)を有しており、遠距離攻撃が不可能なために水上での接近戦が強いられる[296]
  • ウダイオスは、全高10Mを有する巨大な骸骨型のモンスターであり、次産間隔は約3か月、推定能力値はLv.6とされる[637]。下半身が地中に埋まっているために旋回能力はないが、地面から無数の逆杭を放ち、骸骨型のモンスター(Lv.4クラス)を産み出して兵隊として使役できる[638]。一対一の戦いの場合は地面から巨大な黒大剣を取り出して強力な衝撃波を放つ[639]。一騎打ちで打倒すればドロップアイテム「ウダイオスの黒剣」を獲得でき、作中ではアイズとオッタルが入手する[640]
大蛇の井戸(ワーム・ウェール)
本編第13巻に登場する巨大な蛇の希少種(レアモンスター)。深層に生息するモンスターでありながら、階層間を移動し上部の階層に出現するという習性があり、稀に下層に現れては多くの冒険者を全滅させてきたために冒険者の間では凶兆(ラムトン)という二つ名でも呼ばれる[641]
ジャガーノート
本編13巻と14巻に登場する鎧を纏った恐竜の化石のような姿の大型級のモンスター。修復が追い付かないほどにダンジョンが大きく破壊された時、免疫機構として産み出され、その原因となる存在を全て排除することから[556]、ウラノスから破壊者という意味を込めて名付けられた[642]。驚異的な敏捷性と破爪による圧倒的な破壊力をもち、その一方で殲滅力に特化しているため耐久は低い。魔石がないために長期間存続できないが[643]、魔石の破壊による打倒も不可能であり、魔法を完全反射する装甲殻を持つことから[644]、物理的に破壊し尽くすしか倒す手段がない。
極彩色のモンスター
外伝『ソード・オラトリア』に登場する魔法や魔石に反応して襲いかかってくる黄緑の体を持つモンスター。通常のモンスターと異なり、中央部分だけが極彩色の魔石を有し[645]、モンスターのような苗床から産み出される。
巨蟲(ヴィルガ)は50階層付近から出没する芋虫のような下半身で上半身は指のような形のモンスター。腐食液を出し、死ぬときには破裂して広範囲に腐食液を撒き散らす[646]。食人花(ヴィオラス)は18階層より上層、クノッソス内部や地上に出没する巨大な花の姿をしたモンスター。打撃に強く、Lv.5でも手こずる。巨大花(ヴィスクム)は24階層の食料庫の大主柱に寄生した食人花を産み出すモンスター[647]。眼黽(ヴァルグ)は6本足の虫の姿をした魔石ではない紅い結晶を持つ小型モンスターで、専用の結晶を持つ事で同じモンスターの仲間と誤認させることができるため[648]、クノッソス内部に解き放たれていた。
精霊の分身(デミ・スピリット)
外伝『ソード・オラトリア』に登場する穢れた精霊の分身[649][注 26]。緑色の宝玉に包まれた胎児が寄生し、上半身が女体型の姿に生まれ変わったモンスターであり[651]、精霊由来の何種類もの強力な魔法を使役できる[655]
宝玉の胎児はアイズの体調に異常を喚起し[656]、精霊の分身は穢れた精霊の意志を擬えたかのように彼女をアリアと呼んで自らのものにしようとしたり[655]、彼女の魔法に反応して興奮したりする[657]。穢れた精霊がアイズに対する執着の理由は不明であるが、ダンジョン60階層以下に潜むと示唆されている[169]
外伝12巻に登場した「精霊の六円環」の主体と見なされた6体の精霊の分身は、緑肉に飲み込んだ冒険者たちの養分を魔力としてニーズホッグへ供給する役割でしかなく、7体目の精霊の分身であるニーズホッグこそがエニュオの切り札であった[注 27]

地名

オラリオ
物語の舞台の中心となる、世界で唯一「迷宮」が存在する円形の都市[22]。都市は堅牢かつ巨大な市壁に囲まれており、外周ほど高層の建造物が多く、中心ほど低層となり、中心部にはバベルが聳える[22]。都市の内部は、その中央から八方位に伸びた放射状のメインストリートにより分けられた八つの区画から構成され[659][注 28]ヘスティア・ファミリアの本拠「竈火の館」は西と南西のメインストリートに挟まれた第六区画にある[663]。オラリオは大陸の最西端に位置しており[664]、その東部方向に広がる草原の先にはセオロ密林が繁り、その先にアルル山脈が連なる[665]。北部方向には天然の山城であるベオル山地が聳え[666]、南西方向に港町メレンが位置し[186]、南東にはカイオス砂漠が広がる[664]
神々の降臨前から、迷宮のモンスターから得られる魔石とドロップアイテムで富を築くために、またモンスターの進出を防ぐために、多くの人々が集まり、発展してきた都市であり、世界で最も熱い都市と称される[22]。神々の降臨後、神々の多くがこの地に居を構えたことで神の恩恵を得る機会に恵まれ、成長を促す格好の場であるダンジョンの存在により、他に類を見ないほど高みに到達する者が多く、武力においても世界最高峰となる[282]。また、魔石製品を輸出して莫大な収益も得ており[186]、大陸屈指の大都市となる[667]
バベル
迷宮の真上にそびえ立つ50階建ての白亜の摩天楼施設[22]。迷宮の監視と管理を行うギルド保有の施設で、地下1階は広大な空間の神殿造り[668]、20階までは公共施設や換金所や各ファミリアの商業施設が軒を構え[22]、30階の大広間が神会の会場となる[141]。20階以上はオラリオでも有数のファミリアの神々が住み着き、最上階にはフレイヤが住んでいる[669]
元の高さは周囲の建物と大して変わらなかったが、下界に降りてきた最初の神々によってわざと破壊され、そのお詫びとして再建された結果、巨大な塔になった[22]。迷宮からあふれ出るモンスターを抑える「蓋」としての側面ももつ[22]
ダイダロス通り
オラリオの東と南東のメインストリートに挟まれた第三区画にある貧民層の広域住宅街の通称。奇人ダイダロスによる度重なる区画整理のせいで複雑な迷路構造となり、オラリオに住む者からはもう一つの迷宮と称される[670]。イシュタルが運営する歓楽街と隣接する[671]
迷宮(ダンジョン)
物語の舞台のもう一つの中心となる、モンスターが産まれてくる地下迷宮。オラリオの地下に存在する階層構造の地下空間であり、下部の階層であるほど広がる円錐構造となっている[672]。12階層までが上層、13から24階層までが中層、25から36階層までが下層、それ以下が深層と呼ばれる。下部の階層であるほどモンスターのレベルは高く[19]、10階層から下の階層では同一地帯で瞬間的にモンスターが大量に発生する怪物の宴(モンスターパーティ)と呼ばれる現象が発生する[673]。1、2階層を除く各階層の最奥部ににはモンスターの食料が染み出す食料庫(パントリー)が複数存在し[674]、18階層や50階層のような安全階層(セーフティポイント)と呼ばれる比較的モンスターの出現し難い階層もある[675]。本編17巻時点で人間の最深到達階層は59階層であり、これよりも下層に最下層が存在する[378]
神々の降臨前から地上に存在し、内部は魔石のようなもので出来ており、破壊されても勝手に修復され、壁や天井からはモンスターが産み落とされる[19]。また、ヘルメスからは「神を憎んでいる」と評されたり[676]、異端児からは「母」と評されており[362]、作中では生きているかのように描かれる[19]
リヴィラの街
ダンジョンの安全地帯である18階層に存在する冒険者たちが独自に作った街。アイテムの販売や戦利品が法外な価格で取引されるが、それでも持ちきれないアイテムの換金や非常事態に仕方なく立ち寄るなど利用者は多い。300回以上モンスターに破壊されては、その都度再建される[677]。ギルドの目が届かないため、開錠薬などの地上では御禁制の品なども普通に出回る[678]。ボールス・エルダーという左目に眼帯をつけたヒューマンの男性が、街の顔役[679]
クノッソス
外伝の主な舞台となる奇人ダイダロスとその子孫たちによって造られたオラリオの地下に広がる巨大な人造の迷宮。ダンジョンの周りを覆う地下構造が18階層まで造られており、ダンジョンや地上と繋がる出入口を備える。出入口には最硬精製金属の扉が設置され、その内部は超硬金属の上に魔法効果を弱体化する石材を被せた壁で覆われており、落とし穴などの罠も仕掛けられている[680]
千年前、奇人ダイダロスがダンジョンに勝る作品を作り上げようとして建造を始め、その狂気と執念が呪縛となって子孫たちに継承され、「ダイダロスの手記」を見たダイダロスの一族はクノッソスの拡張を強いられてきた。このために莫大な資金が必要となるため、ダイダロスの一族はオラリオの闇と関わりをもち[507]、バベルの通路を通らずにダンジョンへ出入りできることからイケロス・ファミリアや闇派閥らの拠点として利用されていた[507]
メレン
外伝6巻の舞台となるオラリオから南西3K[注 7]の距離に位置し、巨大汽水湖であるロログ湖に沿う港町[186]。その昔、ポセイドン・ファミリアの拠点があり、オラリオの発展と共に繁栄してきた[681]。海路とオラリオを繋ぐ貿易港であるため、異邦の船が多数入港し、異国の人と物が溢れている[186]。漁業も盛んであり、港の4分の1は漁港である。ゼウスとヘラのファミリアにより「海の覇王」が倒された後、漁港はニョルズ・ファミリアが管理・運営しており[186]、ロログ湖の底にあるダンジョンと繋がる穴は「海の覇王」の骨により封印されている[682]

制作背景

作者の大森が小説投稿サイトに投稿していた当時、大森は、ひとつの題材として確立されていたダンジョンを舞台とする作品の魅力に取り憑かれ、ギリシャ神話などを調べ上げて本作品の原型となる小説を執筆していた[33]。小説投稿サイトの読者から商業化を希望するコメントもあり、その気になって『ファミリア・ミィス』というタイトルに変更して第4回GA文庫大賞に応募し[24]、大森の応募作はGA文庫史上初の大賞を受賞し、2013年に本作品が書籍化された[24]

GA文庫の編集部に所属する小瀧は、作者の大森と会うまでは、大森の応募作が小説投稿サイトに投稿されていた作品であるとは知らなかった[24]。小瀧によれば、大森の応募作は、壮大な世界観にキャッチーな所もあり、伝説をなぞった美しき女神らが登場する豪華な所や、王道のファンタジーに今風の感覚も備わっている所が評価され、満場一致で大賞に選ばれた[24]。また、小瀧は、本作品のイラストを担当するヤスダスズヒトについて、かつて彼が担当した『スカーレット・ソード』という作品のイラストが印象に残り、彼を「ファンタジーでも何でも魅力的に描けるすごい人」と評価し、本作品の特徴である美しく妖しげなキャラクターたちの持つ憂いな表情を描くイラストレータとして最適と考えて採用したと述べている[24]

本作品の着想は、ギリシャ神話のミノタウロスと戦う主人公から始まっており、ミノタウロスは本作品において重要な役割を担うモンスターであり[2]、本作品はヒロインのアイズがダンジョンでミノタウロスに襲われた主人公のベルを救うエピソードで幕を開ける[15]。作者はベルの最初の冒険となる本編3巻のミノタウロス戦を非常に力を入れて執筆しており[15]、ベルの初めてのライバルとして本編10巻で登場したミノタウロスの異端児をヒロインに位置付けている[438]。また、ベルの原型は、作者が気まぐれから考えて作成した、『不思議の国のアリス』の白ウサギアリスの関係を逆にしたお蔵入りの小説であり、この作品では白ウサギに対応するベルが、アリスに対応するアイズを追いかける、という関係となっている[24]

物語のプロットは、作者が小説投稿サイトに投稿していた当時から変化しておらず、当時の構想に従い最終話に向けて物語は進んでおり、本編16巻時点で全体の約7割程度が描かれている[30]。ただし、本編9巻から11巻で描かれた異端児編は商業誌になったからこそ生まれエピソードであり、さらに本編12巻は異端児編で作者の想像を超えたベルの成長を具体的に示すために作成されており、当時の構成には全くなかったエピソードである[30]。このように、物語が進むにつれて巻数が増えたりページ数が増えており、本編14巻はGA文庫史上最長となる640ページの分量となっている[30]

小説

大森藤ノ(著)、SBクリエイティブGA文庫〉。

本編(小説)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか
ベル・クラネルを主人公とした本作品の本編となる作品。イラストはヤスダスズヒト[書 1]
初版第一刷発行日発売日ISBN備考
1. 2013年1月31日2013年1月15日[書 1](978-4-7973-7280-9)
2. 2013年2月28日2013年2月15日[書 8](978-4-7973-7307-3)
3. 2013年5月31日2013年5月15日[書 9][書 10](978-4-7973-7362-2)
(978-4-7973-7360-8)(限定版)
限定版:書き下ろし短編小説&
ゲストイラスト集
4. 2013年12月1日2013年12月14日[書 11][書 12](978-4-7973-7514-5)
(978-4-7973-7515-2)(限定版)
限定版:小冊子
5. 2014年5月31日2014年5月15日[書 13](978-4-7973-7714-9)
6. 2014年11月30日2014年11月15日[書 14][書 15](978-4-7973-8058-3)
(978-4-7973-8059-0)(限定版)
限定版:小冊子
7. 2015年4月30日2015年4月15日[書 16][書 17](978-4-7973-8311-9)
(978-4-7973-8221-1)(限定版)
限定版:ドラマCD
8. 2015年6月30日2015年6月15日[書 18][書 19](978-4-7973-8314-0)
(978-4-7973-8313-3)(限定版)
限定版:【ヘスティア】グラフィグ
9. 2015年9月30日2015年9月15日[書 20](978-4-7973-8500-7)
10. 2016年5月31日2016年5月14日[書 21][書 22](978-4-7973-8677-6)
(978-4-7973-8678-3)(限定版)
限定版:小冊子
11. 2016年10月31日2016年10月15日[書 23][書 24](978-4-7973-8812-1)
(978-4-7973-8813-8)(限定版)
限定版:ドラマCD
12. 2017年5月31日2017年5月25日[書 25](978-4-7973-9280-7)
13. 2018年2月28日2018年2月15日[書 26][書 27](978-4-7973-9356-9)
(978-4-7973-9357-6)(限定版)
限定版:ドラマCD
14. 2018年12月31日2018年12月15日[書 28](978-4-7973-9620-1)
15. 2019年6月30日2019年6月15日[書 29](978-4-7973-9622-5)
16. 2020年10月31日2020年10月14日[書 30](978-4-8156-0756-2)
17. 2021年4月30日2021年4月22日[書 31](978-4-8156-0981-8)
18. 2023年1月31日2023年1月24日[書 4][書 32](978-4-8156-1371-6)
(978-4-8156-1871-1)(限定版)
限定版:小冊子

外伝(小説)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア
アイズ・ヴァレンシュタインを主人公にした派生作品[4]。イラストははいむらきよたか[書 2]
初版第一刷発行日発売日ISBN備考
1. 2014年1月31日2014年1月15日[書 2][書 33](978-4-7973-7553-4)
(978-4-7973-7554-1)(限定版)
限定版:小冊子
2. 2014年6月30日2014年6月13日[書 34](978-4-7973-7716-3)
3. 2014年12月31日2014年12月15日[書 35][書 36](978-4-7973-8203-7)
(978-4-7973-8150-4)(限定版)
限定版:小冊子
4. 2015年5月31日2015年5月15日[書 37](978-4-7973-8312-6)
5. 2015年10月31日2015年10月15日[書 38](978-4-7973-8508-3)
6. 2016年6月30日2016年6月15日[書 39](978-4-7973-8846-6)
7. 2016年12月31日2016年12月15日[書 40][書 41](978-4-7973-8934-0)
(978-4-7973-8935-7)(限定版)
限定版:小冊子
8. 2017年4月30日2017年4月15日[書 42][書 43](978-4-7973-9234-0)
(978-4-7973-9042-1)(限定版)
限定版:ドラマCD
9. 2017年6月30日2017年6月15日[書 44](978-4-7973-9281-4)
10. 2018年5月31日2018年5月15日[書 45][書 46](978-4-7973-9460-3)
(978-4-7973-9623-2)(限定版)
限定版:ドラマCD
11. 2019年1月31日2019年1月15日[書 47](978-4-8156-0026-6)
12. 2019年7月31日2019年7月12日[書 48](978-4-8156-0264-2)
13. 2023年2月28日2023年2月15日[書 49](978-4-8156-0982-5)
14. 2023年3月15日2023年3月15日[書 5][書 50](978-4-8156-1434-8)
(978-4-8156-1872-8)(限定版)
限定版:小冊子

ファミリアクロニクル(小説)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル
本編では掘り起こしきれないキャラクターたちの過去に触れていく外伝シリーズ。イラストはニリツ
サブタイトル初版第一刷発行日発売日ISBN備考
episodeリュー2017年3月31日2017年3月15日[書 3](978-4-7973-9080-3)
episodeフレイヤ2019年12月31日2019年12月12日[書 6](978-4-8156-0464-6)

アストレア・レコード(小説)

アストレア・レコード 邪悪胎動 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚
ゲーム『メモリア・フレーゼ』の長編シナリオ『偉大冒険譚 アストレア・レコード』に改稿を加えたシリーズ。イラストはかかげ。
初版第一刷発行日発売日ISBN備考
1. 2022年10月31日2022年10月14日[書 51](978-4-8156-1017-3)
2. 2022年11月30日2022年11月12日[書 52](978-4-8156-1018-0)
3. 2022年12月31日2022年12月15日[書 7][書 53](978-4-8156-1755-4)
(978-4-8156-1019-7)(特装版)
特装版:小冊子

掌編集

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 掌編集
本編巻の店舗特典のショートストーリーや、限定版の短編、書き下ろし短編などを収録。イラストはニリツ。
初版第一刷発行日発売日ISBN備考
1. ウィキペディア、ウィキ、本、library、論文、読んだ、ダウンロード、自由、無料ダウンロード、mp3、video、mp4、3gp、 jpg、jpeg、gif、png、画像、音楽、歌、映画、本、ゲーム、ゲーム。