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ジミー・サヴィル

サー・ジェームズ・ウィルソン・ヴィンセント・"ジミー"・サヴィル（Sir James Wilson Vincent "Jimmy" Savile, 1926年10月31日 - 2011年10月29日, OBE KCSG）は、イギリスのテレビ司会者、DJ、慈善活動家。音楽番組や子供向け番組の司会者という表の顔を利用して未成年者への強姦や性的虐待を繰り返していたことが死後に発覚した[1][2]。「イギリス史上最も多くの罪を重ねた性犯罪者の一人」 ("one of the UK's most prolific sexual predators") [2]とも評され、被害者は10歳未満の児童を含む男女200人以上に及ぶとされる[1]。

ジミー・サヴィル(2006年)

来歴

1926年10月31日にリーズに生まれる。無名時代は炭鉱労働者やプロレスラーを経て、ダンスホールのDJとして働きながら「ラジオ・ルクセンブルク」のDJとしても活動。1960年にテレビ番組「Young at Heart」の司会者として抜擢される。

1964年から42年にわたって放映されたBBCの長寿音楽番組「トップ・オブ・ザ・ポップス」の初代司会者であり、憧れの有名人たちとの面会など少年少女の視聴者たちの夢を叶える企画を実施するBBCの子供向け番組「(ジムにおまかせ)（英語版）」の司会も行っていた[3][4]。

キューバ製の葉巻、金の宝飾品、トレーニング・ウェア、サングラスといった個性的なファッションの他[3]、パラリンピック発祥の地として有名なストーク・マンデヴィルや地元の病院などでのボランティア活動、及びこれらの病院の運営資金として何百万ポンドもの寄付金集めなどを行った[5][6]。チャールズ皇太子はパブリック・リレーションズのアドバイスを求めて長年文通しており、サヴィルは1990年にナイトの爵位を受勲した[5][6]。「バッキンガム宮殿がサヴィルと良好な関係を持っているなら問題ない」と、マーガレット・サッチャー首相の時代に社会のロールモデルとして首相官邸に招待し、サッチャー首相は彼の実行力を称賛した[6]。こうして彼は社会的に「無敵の存在」になり、しばしば国家的な存在、国宝級の人物とみなされていた[6]。

彼の長年に渡る強姦や性的虐待について、警察は何度か端緒をつかんだが、生前に逮捕されることはなかった[6]。

2011年10月29日、84歳で死去した。

性的虐待事件

「:en:Jimmy Savile sexual abuse scandal」も参照

サヴィルの死後、当時10代だった複数の女性がサヴィルにレイプされたと証言しはじめ、その後の警察や独立調査委員会の調査で、サヴィルがBBCの楽屋にて彼の番組に出演する少年少女に性的暴力を加えていたことが判明した。被害者72人のうち、強姦被害者は8人。強姦未遂の被害者は1人という結果が判明した[5]。また、最年少の被害者少年は当時8歳だったという[5]。

また、サヴィルがボランティアスタッフとして勤務していた国営病院施設で患者にも同様の性暴力を働いていた事が判明し、5歳から75歳までの少なくとも103人の犠牲者がいることがわかった。サヴィルは性暴行だけでなく、死体の義眼を取って指輪を作ったり、霊安室にて死体性愛をも行っていたことも判明した[7]。

ジャーナリストのモビーン・アザーは、「サヴィルとバッキンガム宮殿、BBCは邪悪な三角関係にあった。」と述べており、イギリス王室、BBCとの関係が、悪行の隠微に寄与していたとみている[6]。パンク・ロッカーのジョン・ライドンは当時からこの噂を耳にしており、1978年のインタビューの中でそのことを指摘すると、BBCを出入禁止になったと語っている[8]。この他にもBBCは事件発覚直後にサヴィルの犯行を追及する番組の放送を取りやめており[9]、信頼が大きく揺らぐ結果となった。

この一件以降、イギリスでは芸能人による性的虐待への大規模な捜査が始まり(en:Operation Yewtree)[10]、オーストラリア出身の司会者で画家でもあるロルフ・ハリスや、グラム・ロッカーで過去にも児童ポルノの所持・児童への性虐待で有罪判決を受けていたゲイリー・グリッターといった大物芸能人が次々と逮捕された。

関連作品

リンク

  • Profile: Jimmy Savile - BBC News（2016年2月24日付）
  • Obituary: Sir Jimmy Savile - BBC News（2011年10月29日付）
  • ジミー・サヴィル - IMDb（英語）
  • Jimmy Savile Biography and Radio 1 audio clips at Radio Rewind
  • BBC article about the "Clunk Click Every Trip" safety belt advert
  • ジミー・サヴィル - Find a Grave（英語）

関連項目

  • 変態性欲
  • ペドフィリア
  • (スチュアート・ホール (アナウンサー))（英語版） - 同様の不祥事を起こしたBBCの元司会者。
  • ジャニー喜多川 - エンターテインメント業界で権力を持ち、未成年者への性的虐待を繰り返し、生前はそれが事実上のメディアでのタブーとなっており、没後に告発が相次ぎ追及が本格化したといった共通点から、「日本のジミー・サヴィル」[12]とも評される。

脚注

  1. ^ a b “英人気司会者、50年にわたり少年少女に性的暴行 最年少は8歳”. AFPBB News. AFP通信 (2013年1月12日). 2021年4月21日閲覧。
  2. ^ a b “Profile: Jimmy Savile”. BBC News (2016年2月24日). 2022年12月8日閲覧。
  3. ^ a b “故ジミー・サヴィル氏に児童性的虐待疑惑 BBCの責任を追及する声も”. ニュースダイジェスト (2012年10月12日). 2017年7月27日閲覧。
  4. ^ “BBC元人気司会者による性的虐待、プロデューサーは「ひとりにするな」と”. BBC date=2016-2-29. 2022年12月8日閲覧。
  5. ^ a b c d “BBC元人気司会者による性的虐待、プロデューサーは「ひとりにするな」と”. BBCニュースジャパン (2016年2月29日). 2017年7月27日閲覧。
  6. ^ a b c d e f 木村正人 (2023年3月31日). “なぜトップニュースにしないのか…依然としてジャニー喜多川氏の性的虐待を問題視しないメディアの罪”. プレジデントオンライン. 2023年4月9日閲覧。
  7. ^ “レイプ、死体性愛も？ 46年間もみ消され続けた、英・人気タレントの性犯罪が明らかに”. exciteニュース (2014年7月2日). 2017年7月27日閲覧。
  8. ^ “ジョン・ライドン、人気司会者の悪口を言ったためにBBCから出入り禁止となったと明かす”. NMEニュース (2015年9月25日). 2017年7月27日閲覧。
  9. ^ 田中孝宜 (2012年12月). “元BBC人気司会者が少女暴行常習犯疑惑 追及番組の放送中止でBBCに厳しい批判”. 2017年7月27日閲覧。
  10. ^ “ロルフ・ハリス被告が強制わいせつで有罪 自身の娘の友人を含む少女たちに不適切な行為”. ニュースダイジェスト (2014年7月3日). 2017年7月27日閲覧。
  11. ^ “"ITV Exposure" The Other Side of Jimmy Savile (TV Episode 2012)”. IMDb. 2022年12月8日閲覧。
  12. ^ Julian Ryall (2023年4月16日). “How a culture of silence helped Japan’s Jimmy Savile get away with decades of child abuse”. The Telegraph. 2023年4月18日閲覧。
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