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ゲイリー・グリッター(Gary Glitter、1944年6月4日 - )は、イギリスのグラムロック歌手。本名はポール・フランシス・ガッド(Paul Francis Gadd)。
略歴
16歳から音楽活動を始め、 Paul Russell、Paul Raven、Rubber Bucketなど芸名を何度も変更しながらデビューを繰り返すも、チャートインの機会に恵まれる事なく無名時代を長く続ける。1961年には遂に活動を停止し、当時の人気テレビ番組レディ・ステディ・ゴーの収録前説の仕事に就く。
番組の前説を担当しながらエンターテイナーの才能を地道に築き上げる日々を送りつつ、長年に渡り出演者たちを観察した結果、「彼らは自分の才能に比べたら大した事ない連中ばかりじゃないか?」と考えるようになる。
そして1972年にグラムロック・ムーブメントの中で自己の新バンドを結成し、新しいキャラクターとしてゲイリー・グリッターを思い付く(その他にTerry Tinsel、Vicky Vomitなどの名前の別キャラクター候補案も存在した)。間も無くして制作したシングル「ロックン・ロール」はT・レックス と双璧を成すブギー路線のグラムロックの代表曲として大ヒットする。
他のグラムロックのアーティストよりも1世代年上であるものの、敢えてその加齢に伴う体型変化を隠さずに若い世代のグラムロック・アーティストを遥かに超越する綺羅びやかな衣装、厚底のロンドン・ブーツ、パーマのかかった派手なリーゼント・ヘア、それに目をひん剥いて鋭く眉をつり上げながらのステージングなどのコミカルな誇張グラムのスタイルで絶大な人気を博した。
70年代と90年代にそれぞれ自己破産の申請を行なっているものの、所属レーベルに依存せず自らレーベル事業を開業し、時代ごとの新しいアプローチによる新曲発表でチャート入りを果たして再度の成功を幾度も経験したり、過去のヒット曲のリバイバル等を多数経験した結果、経済的には何度も復活を果たす。
加えて、グリッターが逮捕等で自由を束縛されていた期間にグリッター本人抜きの状態でバックバンドメンバーだけで敢行したツアーですら大盛況で終えるほど、ゲイリー・グリッターの名前とその音楽が持つ影響力やファンからの支持は英国及び欧州各国では絶大であった。
不祥事
1997年、グリッターがパソコンを修理しようとしていたところ、ハードディスクの中から4000以上もの児童ポルノが収められていたことが発覚し、1999年に禁錮4か月を言い渡された。これを以て刑期後7年間性犯罪者登録の身となり、英国警察機関の監視下に置かれる措置となるが、その前に刑期を終えて出所したグリッターは直ちに祖国を後にし、スペイン、キューバなどでの短期間生活を展開した後にカンボジアに渡る。
しかし、カンボジアでも少女に対して児童買春を繰り返していたとして2002年に国外退去処分を受け、その後の居住地であるベトナムにおいても2006年に南部のバリア・ブンタウにて児童性的虐待の罪で有罪判決を受ける。刑期満了後の英国強制帰国という条件付きで(本来なら終身刑の可能性もある重罪)懲役3年の刑を言い渡される。その後、刑期満了前に27ヶ月の服役を以て恩赦が下り、両国の当局による厳密な監視の下で英国に帰国する。
2008年8月の英国帰国と同時に性犯罪者として終身登録され、加えて以降の海外渡航は警察機関からの許可なくして不可能となった。
2012年、司会者のジミー・サヴィルが未成年の男女を含む多数に性的虐待を繰り返していたとして告発された際、国家ぐるみの捜査「ユーツリー作戦」が英国警察全体の威信に掛けて展開される。その捜査にてグリッターがスターとしての地位を利用し、サヴィルと同じ時代にBBC局の楽屋内で多数の少女に性的暴行していたという事実が新たに発覚し、同年10月に逮捕。その後、保釈金支払いの下で一度は自由の身になるも、2015年2月5日の裁判において強姦未遂、1975年から1980年の期間に及ぶ13歳以下の少女複数との淫行、及びその他の強制わいせつ行為で有罪となり、懲役16年が言い渡される。
この判決により、BBCはグリッター出演の番組映像の一切を封印することとなり、貴重な過去の音楽番組の映像多数の再放送やソフト化は絶望的となった。
2022年現在も、全英から集められた性犯罪者が収監される性犯罪者指定刑務所(HM Prison The Verne)に収監中。
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
- 『グリッター』 - Glitter (1972年)
- 『タッチ・ミー』 - Touch Me (1973年)
- 『G.G.』 - G. G. (1975年)
- 『シルヴァー・スター』 - Silver Star (1977年)
- Boys Will Be Boys (1984年)
- Leader II (1991年)
- On (2001年)