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シオニズム(ヘブライ語: ציונות, Tsionot)、シオン運動、シオン主義は、イスラエルの地[注釈 1]に故郷を再建しよう、あるいはユダヤ教、ユダヤ・イディッシュ・イスラエル文化の復興運動を興そうとするユダヤ人の近代的運動。後者の立場を「文化シオニズム」と呼ぶことがある。
歴史
イスラエルの歴史 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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現代
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シオニズムという呼称は、1890年代、オーストリアの同化ユダヤ人であるナータン・ビルンバウムにより考案された[2]。当時の19世紀末ヨーロッパでは反ユダヤ主義が吹き荒れていた。シオニズム運動の名前の由来は聖書のゼカリヤ書の言葉に由来する。
主はこう仰せられる。「わたしはシオンに帰り、エルサレムのただ中に住もう。エルサレムは真実の町と呼ばれ、万軍の主の山は聖なる山と呼ばれよう。」 — ゼカリヤ書 8章3節 、新改訳聖書
ドレフュス事件を取材していたオーストリア人記者テオドール・ヘルツルは、ユダヤ人自ら国家を建設し諸外国に承認させることを訴える。そして1897年バーゼルで第1回シオニスト会議[注釈 2]を主宰。後にヘルツルは建国の父といわれる。1917年にイギリス外相が「パレスチナにおけるユダヤ人居住地の建設とその支援」を約束したバルフォア宣言が出され、1922年に国際連盟はバルフォア宣言の条文を使った委任統治領パレスチナの決議案を採択した。1947年に国際連合によるパレスチナ分割決議を経て、1948年にイスラエルが建国され、ユダヤ国家が誕生した。
シオニズムの運動に全てのユダヤ人・ユダヤ教指導者が賛同したわけではなく、西欧社会で確固とした地位をえているユダヤ人[注釈 3]の中には関心を寄せない者もいた。また、伝統的なユダヤ教徒には、メシアによるイスラエルの再建というヤハウェの約束を信じてきた観点から、シオニズムをユダヤ教のメシア信仰に対する裏切りであるとみなし、反対する者が多かった。核心が政治的なもの、あるいは「民族的なもの」なのか[注釈 4]、宗教的なものなのか、様々な解釈の違いもある。
ヘブライ語の復興はシオニズム運動の大きな成果の一つといえる。イディッシュ語やドイツ語を公用語にしようとする計画もあったが、ホロコーストによってその望みは断たれた。
シオニズム指導者とアラブ民族指導者の言葉
「私はユダヤ教徒(ユダヤ人)であり、シオニストである。私にとってこの二つは切り離せない一つの拠り所である。またこれが、歴史的なユダヤ教の立場であるとも考えている」—ラビ・エマニュエル・ラックマン
「私達アラブ人、特に教育と知識のある者は、シオニズム運動に対して心から共感を覚え、見守っている。(中略)私達アラブ人は、ユダヤ人帰還者を心から歓迎する。我々は改革され、更に改善された中東社会を求め、共に働くつもりである。二つの運動は相補的、また民族的であり、帝国主義的なものとは無縁である。シリアには二つの民族が共存できる余地がある。実際に、どちらか一方が存在しなければ、これは成功する運動ではない。(中略)私は、私の民族と全く同じように、我々が支持しあうようになろう将来を、楽しみに待っている」
「我々は、ユダヤ人が、ロシア・ドイツ・オーストリア・スペイン・アメリカなど外国から、パレスチナの地にたどり着くのを見てきた。深い判断力を持っているものならば、ユダヤ人の権利に目を閉ざすことはできない。我々は、あらゆる違っている点にもかかわらず、この土地が共に愛され、あがめられ、共通の祖国であり、同時に、この土地の本来の子らのものであることを知っている」
人物年譜
- ヤーコプ・バセヴィ Jakob Bassevi(1580 - 1634)
- ザームエル・オッペンハイマー Samuel Oppenheimer(1630 - 1703)
- ザムゾン・ヴェルトハイマー Samson Wertheimer(1658 - 1724)
- レーオポルト・ツンツ Leopold Zunz(1794 - 1886)
- ツヴィ・カリシャー(1795 - 1874);宗教シオニズム
- イェフダー・アルカライ Yehuda Alcalay(1798 - 1878)
- ルートヴィヒ・フォン・フランクル(1810 - 1894)
- モーゼス・ヘス(1812 - 1875)
- (モーリツ・フォン・ヒルシュ) Moritz von Hirsch(1831 - 1896)
- エドモン・ド・ロッチルド Edmond James de Rothschild(1845 - 1934)
- マックス・ノルダウ Max Nordau(1849 - 1923)
- アハド・ハアム Achad ha‘Am(1856 - 1927);精神的シオニズム
- ルイス・ブランダイス Louis Brandeis(1856 - 1941)
- エリエゼル・ベン・イェフダー(1858 - 1922)
- テオドール・ヘルツル Theodor Herzl(1860 - 1904);政治的シオニズム
- (ヘンリエッタ・ソールド) Henrietta Szold(1860 - 1945)
- イズレイル・ザングウィル Israel Zangwill(1864 - 1926)
- ナータン・ビルンバウム(1864 - 1937);政治シオニズムと文化シオニズムの融合
- (アブラハム・クック) Rabbi Abraham Issac ha-Kohen Kook (1865 - 1935年);パレスチナ初代主席ラビ。宗教・世俗シオニズム
- (マックス・ボーデンハイマー) Max Bodenheimer(1865 - 1940)
- リヒャルト・ベーア=ホフマン Richard Beer-Hofmann(1866 - 1945)
- (モルデカイ・エーレンプライス) Mordecai Ehrenpreis(1869 - 1951)
- スティーヴン・サミュエル・ワイズ(1874 - 1949)
- (ユダ・マグネス) Judah Magnes(1877 - 1948)
- マルティン・ブーバー(1878 - 1965);文化シオニズム
- (ヨセフ・トルンペルドール) Joseph Trumpeldor(1880 - 1920)
- (ヴラジミール・ジャボチンスキー) Vladimir Jabotinsky(1880 - 1940)
- (デビッド・ナイルズ) David Niles(1888 - 1952);フランクリン・ルーズベルト・ハリー・S・トルーマン両人の政策顧問。
- ヨーゼフ・ロート(1894 - 1939)
- (ナフーム・ゴルトマン) Nahum Goldmann(1895 - 1982)
- ゲルショム・ショーレム Gershom Scholem(1897 - 1982)
- (ピンカス・サピア) Pinchas Sapir(1906 - 1975)
- アブラハム・ヨシュア・ヘシェル Abraham Joshua Heschel(1907 - 1972)
脚注
註釈
- ^ 現在のパレスチナ
- ^ 米国の文豪マーク・トウェインは、1898年のハーパーズ・マガジンに「テオドール・ヘルツルの計画をお聞きになっただろうか。彼は世界中のユダヤ人をパレスチナに集め、彼ら自身の政府を立てるらしい。とはいっても、おそらくオスマン帝国の君主の管轄下になるだろう。昨年の第一回シオニスト会議には(中略)各地の代表が出席し、提案は圧倒的な指示を得て採択された。」と綴っている。
- ^ 特にディアスポラの傾向を示す改革派など。「(西方ユダヤ人)」とも呼ばれる
- ^ この場合、ユダヤ人を「民族」として定義する傾向が強まる
出典
- ^ ダニエル・コーディス 2018, p. 15.
- ^ ヤコヴ・M・ラブキン著『イスラエルとは何か』平凡社新書、46頁
参考資料
- (Arthur, Hertzberg) (1997-01-01). The Zionist Idea: A Historical Analysis and Reader. Jewish Pubn Society. ISBN (978-0827606227)
- (アブラハム・J・ヘシェル)『イスラエル 永遠のこだま』(石谷尚子)訳、(ミルトス)、1996年1月。ISBN (4-89586-127-9)。
- (ウリ・ラーナンほか)『イスラエル現代史』滝川義人訳、明石書店〈世界歴史叢書〉、2004年3月。ISBN (4-7503-1862-0)。
- テオドール・ヘルツル『ユダヤ人国家 ユダヤ人問題の現代的解決の試み』佐藤康彦訳、法政大学出版局、1991年5月。ISBN (4-588-00330-5)。
- (モーリス・フリードマン)『評伝マルティン・ブーバー 狭い尾根での出会い』 上・下、(黒沼凱夫)・(河合一充)訳、ミルトス、2000年12月。(ISBN 4-89586-144-9) (ISBN 4-89586-145-7)。
- (メイヤ・レヴィン)『イスラエル建国物語』岳真也・(武者圭子)訳、ミルトス、1989年6月。ISBN (4-89586-106-6)。
- (メイヤ・レヴィン)『イスラエル建国物語』岳真也・(武者圭子)訳、ミルトス、1994年10月。ISBN (4-89586-125-2)。
- NHK総合テレビG『映像の世紀バタフライエフェクト』、「砂漠の英雄と百年の悲劇」(初回放送2022年6月22日)https://www.nhk.jp/p/ts/9N81M92LXV/episode/te/6QMKZ59MM2/
- ダニエル・コーディス 著、神藤誉武 訳『イスラエル 民族復活の歴史』ミルトス、2018年4月19日(原著2016年10月18日)。ISBN (978-4-89586-162-5)。
関連項目
外部リンク
- Zionist Gallery[]
- Der Zionismus und die Geschichte seines Werdens (doc)
- haSchomer (pdf)[]