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ケートス

ケートス古希: κῆτος, kētos)はクジラ類やアザラシなどの「海獣」を意味するギリシア語だが、ギリシア神話においては本来の姿をやや離れ、一種の神獣怪物として登場する。ラテン語化されたケートゥス / セタスcetus)の形で参照されることも。今日でも、鯨類を Cetacean と呼ぶのはケートゥスが語源とされる。

コリントス産の壺に描かれたケートス、ペルセウス、アンドロメダー。ΚΗΤΟΣ の字が添えられている。
くじら座 としてのケートスのイラスト例。
ネーレーイス智天使を運ぶケートスのイメージ(ガンダーラ

概要

個別の存在だけでなく巨大な海洋生物全般を指す場合もある。

大きく膨れたイルカや鯨に似た胴体に猪や犬に似た頭部を持ち、下半身は魚。尾鰭は扇形で二つに割れている。または、竜/ドラゴンや大蛇の様な姿をしているとされる。 頭蓋骨だけで12m以上、背骨は1キュビットの厚さがあり、横たわる骨格だけで象よりも高さがあったとされる(船と変わらないほどという場合もある)[1]スキュラカリュブディスゴーゴンメデューサにはケートスと共通性のある部分がある[2]

ケートスに因み、Cetusmegakētēs (μεγακήτης、ケートスの異名) が船の名前に用いられる事例もあった[3]

ギリシャ神話や関連神話におけるケートス

出自についてはゼウスないしポセイドーンによって作られたとも、テューポーンエキドナの間に生まれた[4]とも言われており、伝承によって差異がある。ネーレーイス等を運ぶ描写がされる事例も少なくない。

最も有名なエピソードに於いて、ケートスはポセイドーンによって作り出され、エチオピア人の王国を崩壊させるために送り込まれている。王妃カッシオペイアが自らの美貌を誇示し、女神ヘーラーや海のニュムペー達よりも美しいと吹聴したため、ポセイドーンの怒りを買った。ポセイドーンが仕向けたケートスを鎮めるには、娘のアンドロメダーを生贄にするしかなく、アンドロメダーは鎖に繋がれ、海岸の岩に縛り付けられた。束縛されたアンドロメダーがケートスに喰われようとした所に、メドゥーサを退治した英雄ペルセウスが通りかかった。ケートスはペルセウスによって退治され(剣で倒されたとする話と、メドゥーサの首を突き付けられ石と化したとする話とがある)、アンドロメダーは救われ、ペルセウスの妻となったという。

ヘーシオネー(英語版)を救うためにヘラクレスによって倒される逸話もある[5]

ケートスが、(パライモーンを救った海豚の代わりに)イーノーメリケルテースを救う描写がされた事もある[6]

エトルリア神話におけるケートス

エトルリアに伝わったケートスは、死者の魂を来世に運ぶプシュコポンポスの役割を担ったため、骨壷や石棺に多くのケートスや海豚や海馬ヒッポカムポス)が描かれている[7][8]

ネタンスはケートスを象徴した兜を持っている描写がされる場合がある。

キリスト教やユダヤ神話におけるケートス

ギリシャ語訳聖書七十人訳聖書)のヨナ書第二章の中で、嵐を鎮めるために海に投げ込まれたヨナを救うために、神はケートスを遣わしたとされている[7]。他にも創世記マタイによる福音書の記述にもケートスが登場する。ギリシャ語訳聖書が一般的だった初期キリスト教の教会装飾には、ケートスと考えられる海獣のモチーフが多く見られる。しかし、ギリシャ語訳聖書の原本であるヘブライ語聖書や、その翻訳である共同訳聖書では神が遣わしたのは「大きな魚」となっており、ケートスが現れるのはギリシャ語訳聖書とウルガタ聖書の一部である。古代ローマ文化の影響が過去となり、ギリシャ語訳聖書を使用しなくなった西方キリスト教圏では、ゴシック期にはケートスのイメージは巨大魚のイメージに置き換わっている[7]

(タンニーン)(英語版)七十人訳聖書ウルガタにてケートスと混同され、「クジラ」や「竜(ドラゴン)」という翻訳がされる場合もある[9][10]

ユダヤの神話にては、リヴァイアサンラハブと混同される場合もあった[11]

竜/ドラゴン等との関連性

 
アルブレヒト・デューラー(1514年)「イルカに乗るアリオン」(猪の様な頭部のデザインが見られる)

ケートスとギリシャ神話のドラコン(drakōn、後の西洋のドラゴンの原型とされる)には、姿だけでなく神話上の類似性が目立ち、ケートス自体がドラゴンとして扱われる場合もある[2][1][12]

ケートスの姿は、東洋におけるや(のルーツともされる)マカラに影響を与えたという意見もある。シルクロードによってケートスのイメージが東方に伝わり、竜のデザインがより近代に近い姿になったとされる[13]。 後年ではラクダの頭を持つとされる中国の竜は、最初期の竜のデザインの一つが「猪竜/ 玉猪竜(zhūlóng)」と呼ばれる物であり[注 1]、ケートス[14][15]の他にもギリシャ神話や古代西洋美術にて普遍的にみられる鯨や海豚の描写の一つである猪に似た頭を持つ点と類似性がある。

鯨と竜神竜王または竜やドラゴンに該当する存在を関連付ける伝承は、上記の通りケートスと混同されてきたヨナ書の「大魚」[16](タンニーン)(英語版)リヴァイアサン[17]およびバハムートの他、古代中国や韓国やベトナムの鯨神[18]マオリ神話タニファ[19]十二支[20][21]等世界各地に存在し、鯨類の骨が竜(ドラゴン)伝承の発端となった可能性もある[22]

ティアマトのイメージや、竜の姿をした神ヤムと彼の兄弟であるモートがリヴァイアサンと共にケートスのイメージに影響を与えたという説も存在する[1]七十人訳聖書ウルガタにてリヴァイアサン/レヴィアタンとして翻訳されたり、シュメール神話の七つ頭の大蛇(英語版)[注 2]やロタン(英語版)と混同される場合もある[9][10]

関連項目

脚注

注釈

  1. ^ 燭陰(Zhulong)とは別。
  2. ^ ドラゴン(英語版)等と共に七英雄に属し、ギリシャ神話の七つ頭の大蛇(英語版)や黙示録の獣とは異なる。

出典

  1. ^ a b c (Joseph Eddy Fontenrose)(英語版), 1974年, ピュートーン: A Study of Delphic Myth and Its Origins, 289-294項, (Biblo and Tannen Publishers)(Canaveral Press, 英語版)
  2. ^ a b Daniel Ogden, 2013年, Drakon: Dragon Myth and Serpent Cult in the Greek and Roman Worlds,Drakon: Dragon Myth and Serpent Cult in the Greek and Roman Worlds, Fights with Kētē, Sea-Serpents, 116-147項, オックスフォード大学出版局
  3. ^ The Kosmos Society, 2019年, The Idealized Ship | Part 2: Huge, hollow and swallowing, (Center for Hellenic Studies), ハーバード大学
  4. ^ 久保田悠羅F.E.A.R. 『ドラゴン』 新紀元社
  5. ^ Perseus: ビブリオテーケー 2.4.3. ヘラクレス: ホメーロス イーリアス 21.441, Apollodorus 2.5.9.
  6. ^ (Leveson Venables-Vernon-Harcourt)(英語版), 1838年, The doctrine of the Deluge; vindicating the scriptural account from the doubts cast upon it, Vol.1, 385項
  7. ^ a b c 金沢百枝, 2008年, 『ロマネスクの宇宙:ジローナの『天地創造の刺繍布』を読む』, 116-129項, 東京大学出版会, (ISBN 978-4-13-086037-6)
  8. ^ (Nancy Thomson de Grummond), 2006, Etruscan Myth, Sacred History, and Legend, The Journey to the Afterlife, p.212, (University of Pennsylvania Museum of Archaeology and Anthropology)
  9. ^ a b Gen. 1:21 (欽定訳聖書).
  10. ^ a b Isa. 27:1 (欽定訳聖書).
  11. ^ Heider, George C. (1999), “Tannîn”, in Toorn, Karel van der; Bob Becking(オランダ語版); Horst, Pieter Willem van der, (Dictionary of Deities and Demons in the Bible)(英語版), 2nd ed., グランドラピッズ: William B. Eerdmans Publishing Company(英語版), https://books.google.com/books?id=yCkRz5pfxz0C&pg=PA834 
  12. ^ Sharon Khalifa-Gueta, 2018年, The Evolution of the Western Dragon (PDF), 265-290項, Athens Journal of Mediterranean Studies, Volume 4, Issue 4, Center for European and Mediterranean Affairs, Athens Institute for Education and Research
  13. ^ (Boardman, John) (2015). The Greeks in Asia. Thames and Hudson. ISBN (0500252130) 
  14. ^ John K. Papadopoulos, Deborah Ruscillo, 2002年, A Ketos in Early Athens: An Archaeology of Whales and Sea Monsters in the Greek World, American Journal of Archaeology, Vol. 106, No. 2 (2002年4月), Archaeological Institute of America
  15. ^ Joseph Eddy Fontenrose, 1974, Python: A Study of Delphic Myth and Its Origins, 289項, Biblo & Tannen Publishers
  16. ^ Scott B. Noegel, 2015年, Jonah and Leviathan - Inner-Biblical Allusions and the Problem with Dragons, 236-260項, Articles / Articoli
  17. ^ Danielle Gurevitch, 2014年, Symbolism and Fantasy of the Biblical Leviathan: From Monster of the Abyss to Redeemer of the Prophets, 50-68項, JISMOR 10
  18. ^ 李 善愛、1999年、護る神から守られる神へ : 韓国とベトナムの鯨神信仰を中心に、195-212項、国立民族学博物館調査報告149巻
  19. ^ (ニュージーランド・ジオグラフィック)(英語版), 2019年, The whales are back
  20. ^ Rasulid Hexaglot. P. B. Golden, ed., 2000年、The King's Dictionary: The Rasūlid Hexaglot – Fourteenth Century Vocabularies in Arabic, Persian, Turkic, Greek, Armenian and Mongol, tr. T. Halasi- Kun, P. B. Golden, L. Ligeti, and E. Schütz, HO VIII/4, Leiden
  21. ^ Jan Gyllenbok, 2018年, Encyclopaedia of Historical Metrology, Weights, and Measures, Volume 1, 244項
  22. ^ Joseph Stromberg, 2012年, Where Did Dragons Come From?, スミソニアンマガジン, スミソニアン博物館

参考文献

  • ブレンダ・ローゼン『妖怪バイブル』((ガイアブックス)) 143ページ
  • キャロル・ローズ編、松村一男訳『世界の怪物・神獣事典』(原書房) 173~174ページ
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