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アメリカバイソン

アメリカバイソンBison bison)は、哺乳綱偶蹄目鯨偶蹄目とする説もあり)ウシ科バイソン属に分類される偶蹄類。別名アメリカヤギュウ。特にアメリカ合衆国カナダの一部では一般にバッファローとも呼ぶが、これは誤称とする意見もある。

アメリカバイソン
ヘイゲンバイソン Bison bison bison
シンリンバイソン Bison bison athabasca
保全状況評価[1]
NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 偶蹄目 Artiodactyla
: ウシ科 Bovidae
: バイソン属 Bison
: アメリカバイソン B. bison
学名
Bison bison (Linnaeus, 1758)[1][2][3]
シノニム

Bos bison Linnaeus, 1758[2]
Bison americanus Brisson, 1762[2]

和名
アメリカバイソン[4][5]
英名
American bison[1][6]

分類

以下の亜種の分類は(Meagher, 1986)に従う[2]。和名は(丸山, 1992)に従う[7]。一方で生息環境が異なる多型にすぎないとして、亜種を認めない説もある[3]

  • Bison bison bison (Linnaeus, 1758) ヘイゲンバイソン Plains bison
  • Bison bison athabasca Rhoads, 1898 シンリンバイソン[注 1][8] Wood bison

分布

アメリカ合衆国アイダホ州アリゾナ州カリフォルニア州サウスダコタ州モンタナ州ワイオミング州ユタ州)、カナダメキシコ[1]

以前はアラスカからカナダ西部・アメリカ合衆国からメキシコ北部にかけて分布していた[1][2]。ワイオミング州のイエローストーン国立公園ノースウェスト準州ウッド・バッファロー国立公園を除いて野生個体群は絶滅し、各地で再導入が行われている[3]

また、シンリンバイソンがロシア連邦サハ共和国に絶滅種の代用として野生導入されている[9]

形態

 
走るヘイゲンバイソン

アメリカバイソンは大型のウシ科動物であり、頭部の毛の量や大きさなどの性的二形がみられる[10]。成獣は頭部や肩部、前肢が長く縮れた体毛で被われ[7]、湾曲した角は最大で角長60~66cm[11]に達する[12]

シンリンバイソンはヘイゲンバイソンよりも大型である[13]。雄は体長は2.0~3.5m、肩の高さは最大で186cm[注 2][14] ~ 201cm[注 3][13]、尾の長さは30~95cm[注 4][13]、野生個体の体重は390[13]~1270kg[10]に達する。 上記の通り大きさにも性的二形が見られ、雌は雄よりも小型である。大型の雌は頭胴長2.85m[注 5]、体高172cm[注 6]、体重640[注 7]~680kg[15]になる[13][2][5][4]。1986年に発表された調査結果では、体重の中央値に関してもヘイゲンバイソン(オスで792kg、メスで497kg)とシンリンバイソン(オスで943kg)と明確な違いが見られた[13]

飼育された最大の個体は体重が1,724キログラムだった[2]

生態

草原森林に生息する[7]。以前は季節により南北へ大規模な移動を行っていた[6]。メスと幼獣からなる群れを形成する[7]。オスがこの群れに合流するが、これらが合流して大規模な群れを形成することもある[7]。オス同士では威嚇したり、突進して角を突き合わせる等して激しく争う。

食性は植物食で、草本や木の、芽、小枝、樹皮などを食べる[7]。 繁殖形態は胎生。6 - 9月に交尾を行う[6]。妊娠期間は285日[2][6]。4 - 5月に1回に1頭の幼獣を出産する[6]。オスは生後3年、メスは生後2 - 3年で性成熟する[6]

通常の成獣であれば捕食されることはないが、老齢個体や病気・怪我をした個体や幼獣はヒグマタイリクオオカミピューマに捕食されることもある[6]。オオカミの場合、アカシカの数が減り弱ったバイソンの個体が見られがちな冬や春に狩りが集中するが、単独の狼がバイソンの赤子を狙っても捕食には至らなかったり、狼の群れがバイソンを狙ってもバイソンが逃げる姿勢を見せない場合は諦める傾向にあり、バイソンも狼が攻撃してこない場合は無視をする[16][17]。ヒグマの場合は、オオカミが仕留めたバイソンの死骸を盗むことがあるが、直接の狩りは子供を狙わない限りほとんど成功しない。群れからはぐれた怪我をしたり病気の若い個体を狙っても仕留めることは稀であるだけでなく、バイソンを狙うことはヒグマにとっても危険であり、ヒグマがバイソンに殺されることもある[18][19][20][21][22]

人間への危険性

アメリカバイソンは北アメリカの国立公園にて人間が遭遇しうる最も危険な野生動物である。1980年から1999年の間では、イエローストーン国立公園にてバイソンとの接触で事故になった事例はヒグマの3倍以上記録されているが、これは人間がバイソンに近づくことが多いためである。[23]

警戒心が強くヒトの行動が刺激を与えやすい。最高時速は70km/hに達し、8キロメートルもの距離を走り続け、高さ1.8メートルもの物を跳び越えるなど脚力でヒトを上回り[24][25][26]、バイソンが攻撃をやめない限りヒトが逃げ切るのは難しい。

国立公園ではバイソンに接近できるのは25ヤードまでとされているが、バイソンが自身から近づく場合もあり、バイソンが銃撃に驚かないためさらなる注意が必要である[27]

人間との関係

 
肥料用に積み重なったアメリカンバイソンの頭骨(1870年代中期)
 
米国でアメリカバイソンの図像が入った最初の切手は1898年に発行された。『インディアンがバイソンを狩猟する』

白人が移入する以前の生息数は約60,000,000頭だったと推定されている[28]ネイティブ・アメリカンは食用とし、毛皮は服・靴・テントなど、骨は矢じりに利用された[7]。特にスー族など平原インディアンは農耕文化を持たず、衣食住の全てをバイソンに依存していた。17世紀に白人が北アメリカ大陸に移入を開始すると食用や皮革用の狩猟、農業や牧畜を妨害する害獣として駆除されるようになった[7]。18世紀に白人による、主に皮革を目的とする猟銃を使った狩猟が行われるようになると、バイソンの生息数は狩猟圧で急激に減少する。1830年代以降は商業的な乱獲により大平原の個体も壊滅的な状態となり、ネイティブ・アメリカンも日用品や酒・銃器などと交換するために乱獲するようになった[7]。1860年代以降は大陸横断鉄道の敷設により肉や毛皮の大規模輸送も可能となり、列車から銃によって狩猟するツアーが催されるなど娯楽としての乱獲も行われるようになった[7]。当時のアメリカ政府はネイティブ・アメリカンへの飢餓作戦のため、彼らの主要な食料であったアメリカバイソンを保護せずむしろ積極的に殺していき、多くのバイソンが単に射殺されたまま利用されず放置された。この作戦のため、白人支配に抵抗していたネイティブ・アメリカン諸部族は食糧源を失い、徐々に飢えていった。彼らは、アメリカ政府の配給する食料に頼る生活を受け入れざるを得なくなり、これまで抵抗していた白人の行政機構に組み入れられていった。狩猟ができなくなり、不慣れな農耕に従事せざるを得なくなった彼らの伝統文化は破壊された。バイソン駆除の背景には牛の放牧地を増やす目的もあったとされ、バイソンが姿を消すと牛の数は急速に増えていった[29][30][31]

1860年代以降は保護しようとする動きが始まるが、開拓期の混乱が継続していたこと・ネイティブ・アメリカンへの食料供給の阻止・狩人や皮革業者の生活保障などの理由から大きな動きとはならなかった[7]1890年には1,000頭未満まで激減した[6]。19世紀末から20世紀になりフロンティアの消滅に伴い保護の動きが強くなりイエローストーン国立公園などの国立公園・保護区が設置されるようになり、1905年にアメリカバイソン協会が発足された[7]。1970年には15,000 - 30,000頭まで増加した[7]。2014年の報告では北アメリカの約4,000の農場や牧場で、約300,000頭が商業的に飼育・繁殖されている[1]。一方で国立公園や保護区に分布する野生個体や保全目的で飼育されている個体群は非常に少なく、商業的に飼育・繁殖されている個体が現存する個体の大部分を占めている[1]。商業用に飼育されている個体が脱走することもあり、野生個体と交雑する可能性も示唆されている[1]。近年は生息地の破壊だけでなく、亜種間の交雑などによる遺伝子汚染、牛結核やブルセラ症などの感染症の伝播による影響が懸念されている[1]。1975年のワシントン条約発効時から亜種シンリンバイソンがワシントン条約附属書Iに、1977年から2017年までは亜種シンリンバイソンが附属書IIに掲載されていた[32]。2017年に亜種シンリンバイソンの掲載は抹消されている[32]。2016年にはアメリカ合衆国の「国獣(National Mammal)」になった[33]

日本では2020年の時点でバイソン属単位で特定動物に指定されており、2019年6月には愛玩目的での飼育が禁止された(2020年6月に施行)[34]

余談

白亜紀のアフリカ大陸から化石が出土している恐竜の一部(オウラノサウルススピノサウルス)には、背中には「帆」の様な突起があったと考えられているが、首を支える為の筋肉の隆起という説もある。この仮説の根拠の基盤の一つとなったのが、バイソン属、特にアメリカバイソンや先祖であるジャイアントバイソンの骨格とされている。[35][36]

脚注

注釈

  1. ^ モリバイソンという表記も見られる。
  2. ^ ヘイゲンバイソン
  3. ^ ウッド・バッファロー国立公園の Nyarling River 由来のシンリンバイソンの雄(C. G Van Zyll de Jong, 1986年, 37項)。
  4. ^ ウッド・バッファロー国立公園の Nyarling River 由来のシンリンバイソンの雄(C. G Van Zyll de Jong, 1986年, 37項)。
  5. ^ ウッド・バッファロー国立公園の Nyarling River 由来のシンリンバイソンの雌(C. G Van Zyll de Jong, 1986年, 37項)。
  6. ^ ウッド・バッファロー国立公園の Nyarling River 由来のシンリンバイソンの雌(C. G Van Zyll de Jong, 1986年, 37項)。
  7. ^ フラットヘッド・インディアン・リザベーション(英語版)の 群れ(Allard-Pablo Herd)由来のヘイゲンバイソンの雌(C. G Van Zyll de Jong, 1986年, 37項)。本調査では、シンリンバイソンの雌の体重に関してはデータが不足している。

出典

  1. ^ a b c d e f g h i Aune, K., Jørgensen, D. & Gates, C. 2017. Bison bison (errata version published in 2018). The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T2815A123789863. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2017-3.RLTS.T2815A45156541.en. Downloaded on 03 January 2021.
  2. ^ a b c d e f g h Mary Meagher, "Bison bison," Mammalian Species, No. 266, American Society of Mammalogists, 1986, Pages 1 - 8.
  3. ^ a b c Peter Grubb, "Order Artiodactyla,". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Volume 1, Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 637 - 722.
  4. ^ a b 今泉吉典、松井孝爾監修 「アメリカバイソン」『原色ワイド図鑑3 動物』、学習研究社、1984年、105、181頁。
  5. ^ a b 三浦慎悟 「アメリカバイソン」『小学館の図鑑NEO 動物』、小学館、2002年、95頁。
  6. ^ a b c d e f g h Toni Lynn Newell, and Anna Bess Sorin 2003. "Bison bison" (On-line), Animal Diversity Web. Accessed September 25, 2020 at https://animaldiversity.org/accounts/Bison_bison/
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m 丸山直樹 「アメリカ開拓の犠牲者 バイソン」『動物たちの地球 哺乳類II 8 バイソン・カモシカ・ヌーほか』第9巻 56号、朝日新聞社、1992年、228-230頁。
  8. ^ ヘイゲンバイソン(Bison bison)対モリバイソン(Bison bison athabascae)における精子特性
  9. ^ Wood bison to be listed in Yakutia's Red Data Book
  10. ^ a b Joel Berger; Carol Cunningham (June 1994). Bison: mating and conservation in small populations. Columbia University Press. p. 162. ISBN (978-0-231-08456-7) 
  11. ^ William Henry Burt, 1976年, A Field Guide to the Mammals: North America North of Mexico, 224項, Houghton Mifflin Harcourt
  12. ^ Legendary Bison Bulls
  13. ^ a b c d e f C. G Van Zyll de Jong, 1986年, A systematic study of recent bison, with particular consideration of the wood bison (Bison bison athabascae Rhoads 1898), 37項, カナダ国立自然博物館
  14. ^ Gennady G. Boeskorov, Olga R. Potapova, Albert V. Protopopov, Valery V. Plotnikov, Larry D. Agenbroad, Konstantin S. Kirikov, Innokenty S. Pavlov, Marina V. Shchelchkova, Innocenty N. Belolyubskii, Mikhail D. Tomshin, Rafal Kowalczyk, Sergey P. Davydov, Stanislav D. Kolesov, Alexey N. Tikhonov, Johannes van der Plicht, 2016, The Yukagir Bison: The exterior morphology of a complete frozen mummy of the extinct steppe bison, Bison priscus from the early Holocene of northern Yakutia, Russia, 7項, Quaternary International, Vol.406 (2016 June 25), Part B, pp.94-110
  15. ^ “Buffalo Hunt: International Trade and the Virtual Extinction of the North American Bison”. 全米経済研究所 (2007年3月). 2023年4月27日閲覧。
  16. ^ (Carbyn LN); Trottier T (1988). “Descriptions of Wolf Attacks on Bison Calves in Wood Buffalo National Park”. Arctic 41 (4): 297–302. doi:10.14430/arctic1736. http://pubs.aina.ucalgary.ca/arctic/Arctic41-4-297.pdf. 
  17. ^ Douglas W. Smith, L. David Mech, Mary Meagher, Wendy E. Clark, Rosemary Jaffe, Michael K. Phillips, John A. Mack, 2000, Wolf–Bison Interactions in Yellowstone National Park, Journal of Mammalogy, Volume 81, Issue 4, November 2000, 1128–1135項
  18. ^ David Maccar, 2010, Amateur Photographer Captures a Grizzly Bear Chasing a Bison Down a Highway in Yellowstone
  19. ^ Watch Now: Yellowstone grizzly vs. bison video vaults Wyoming man to prominence
  20. ^ Wyman, Travis (2002). “Grizzly bear predation on a bull bison in Yellowstone National Park”. Ursus: 375–377. http://www.bearbiology.com/fileadmin/tpl/Downloads/URSUS/Vol_13/Wyman_13.pdf. 
  21. ^ Mary Ann Franke, 2005, To Save the Wild Bison: Life on the Edge in Yellowstone, p.201, University of Oklahoma Press
  22. ^ Tom McHugh, 1979, The Time of the Buffalo, p.213, University of Nebraska Press
  23. ^ Tom Olliff, Jim Caslick, 2003年, , Yellowstone Science, Vol.11, Issue 1, 18–22項(pdf)
  24. ^ Bert Gildart, Jane Gildart, 2021, Hiking the Black Hills Country, p.5, Rowman & Littlefield
  25. ^ National Bison Association, 2021, ~TEACHABLE TUESDAY~ Did you know...Bison may look big and cumbersome, but they're very agile and quick. Bison can run an impressive 30 to 45 mph and jump as high as six vertical feet. on Twitter
  26. ^ Bison Fact Sheet (pdf)
  27. ^ Teresa Scalzo, 2016, Field Guide to the American Bison, The Voice, Summer 2016, Carleton College
  28. ^ Bureau of Sport Fisheries and Wildlife (January 1965). “The American Buffalo”. Conservation Note 12. 
  29. ^ Records, Laban (March 1995). Cherokee Outlet Cowboy: Recollectioons of Laban S. Records. ノーマン (オクラホマ州): オクラホマ大学出版部(英語版). ISBN (978-0-8061-2694-4) 
  30. ^ Moulton, M (1995). Wildlife issues in a changing world, 2nd edition. CRC Press 
  31. ^ Hämäläinen, Pekka (2008). The Comanche Empire. Yale University Press. pp. 294–299, 313. ISBN (978-0-300-12654-9). https://books.google.co.jp/books?id=Fmh0AAAAMAAJ&redir_esc=y&hl=ja 
  32. ^ a b UNEP (2020). Bison bison. The Species+ Website. Nairobi, Kenya. Compiled by UNEP-WCMC, Cambridge, UK. Available at: www.speciesplus.net. (downroad 09/25/2020)
  33. ^ バイソンを米国の国獣に指定、議会が法案可決2016年5月11日ロイター
  34. ^ 特定動物リスト (動物の愛護と適切な管理) (環境省・2021年1月3日に利用)
  35. ^ Bailey, J.B. (1997). "Neural spine elongation in dinosaurs: sailbacks or buffalo-backs?". Journal of Paleontology. 71 (6): 1124–1146.
  36. ^ Was Spinosaurus a Bison-Backed Dinosaur?

関連項目

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