Ӯ(大文字: Ӯ、小文字: ӯ、イタリック大文字: Ӯ、イタリック小文字: ӯ)は、キリル文字У(У、у、У、у)から派生した、キリル文字の文字である[1]。マクロン付きのУは、タジク語のアルファベットで使用されており、円唇中舌半狭母音の/ɵ/を表している。従って、字形自体は⟨У⟩から派生したものではあるが、どちらも比較的近い丸みを帯びた母音であること以外には/u/との共通点がない。1937年には、カレリア語のキリル文字で/y/を表すために使用することも提案されたが、採用されていない。コラ半島と西シベリアで話されているキルディン・サーミ語とマンシ語では、長い/u/を表すために使われている。これらの言語では、長さが特徴的となっており、全ての母音の長いバージョンにマークを付ける上でマクロンが使用されている。この文字はアリュート語でも使用されており、アリュート語の現在のアルファベットでは36番目の文字となっている[2]。スラヴ系の言語では唯一、ルシン語が使用しているが、音自体は/y/に近く、方言によっては/u/に近いものとなっている[3][4]。
コンピュータ上のコード
呼称
- タジク語:
音素
- 円唇前舌半狭母音[ø] = [2]を表す。
脚注
- ^ “Cyrillic: Range: 0400–04FF”. The Unicode Standard, Version 6.0. p. 43 (2010年). 2011年5月15日閲覧。
- ^ Головко, Е. В. (1994). Словарь алеутско-русский и русско-алеутский (беринговский диалект) [Aleut-Russian and Russian-Aleut Dictionary (Bering dialect)]. p. 14. ISBN (5-09-002312-3)
- ^ Кушницькый, Мигаль (2020年5月1日). “Carpatho-Rusyn phonetics. Ep#2 - і, ї, ӯ | Карпаторусинська фонетика. Другый епізод”. YouTube. 2021年8月15日閲覧。
- ^ “ruegrammatica”. rueportal.eu. 2021年8月15日閲覧。