内田光子

内田 光子（うちだ みつこ、Dame Mitsuko Uchida DBE、1948年12月20日 - ）は、静岡県熱海市生まれ東京都育ち^[1]、英国籍英国在住のクラシック音楽のピアニスト、指揮者。

内田光子
生誕	(1948-12-20) 1948年12月20日（74歳）
出身地	日本静岡県熱海市
学歴	ウィーン音楽院
ジャンル	クラシック音楽
職業	ピアニスト、指揮者
担当楽器	ピアノ
レーベル	ユニバーサルミュージック
公式サイト	Mitsuko Uchida

略歴

お茶の水女子大学附属小学校在学中、桐朋学園の「子供のための音楽教室」にて、(松岡貞子)に師事した^[2]。父親の内田藤雄が外交官^[3]であったため、12歳で渡欧。1961年からオーストリアのウィーン音楽院で(リヒャルト・ハウザー)（ドイツ語版）に師事する^[4]。同時期に、留学中の(寺田悦子)が同音楽院に在籍^[5]し、互いに切磋琢磨したという。その後も、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ、ヴィルヘルム・ケンプ、ステファン・アスケナーゼ、ニキタ・マガロフ^[6]らの薫陶を受けた。その後、一時帰国^[7]するが、再び渡欧。ロンドンでは一時、マリア・クルチオなどにも師事していた^[8]。

1971年のウィグモア・ホール小ホールでの演奏会にて、ロンドン・デビュー^[9]。1972年に拠点をロンドンに移した。ヨーロッパを中心に活動するが、メジャーレーベルからのオファーが全くなかった。東芝EMI^[10]や各地の放送用録音があるのみで、ラフマニノフのピアノ協奏曲を演奏するなどレパートリーの照準が定まらなかった^[11]。

1982年、ウィグモア・ホール小ホールで開かれたモーツァルト「ピアノ・ソナタ連続演奏会^[12]」はロンドンの批評家から絶賛を浴び、一躍楽壇の寵児となった。1984年にはイギリス室内管弦楽団と共演したモーツァルトのピアノ協奏曲の全曲演奏会^[13]を契機に、フィリップスにモーツァルトのピアノ・ソナタとピアノ協奏曲を全曲録音して大成功を収めた。この名声を経てレパートリーを絞り込んだ。1983年はエリザベート王妃国際音楽コンクールの審査員^[14]を務めた。

1984年、小澤征爾の指揮するベルリン・フィル定期演奏会にバッハのピアノ協奏曲とメシアンの異国の鳥たちを弾いてデビュー^[15]。以降、ザルツブルク音楽祭^[16] 、プロムス^[17]、タングルウッド音楽祭^[18]、ルツェルン音楽祭^[19]などの世界的音楽祭の常連となった。1991年には(アリス・タリー・ホール)（英語版）^[20]でリサイタル。1999年には(20世紀の偉大なるピアニストたち)（英語版）へ日本人で唯一の選出。アメリカ合衆国を拠点とする様々な奏者と、室内楽で共演した^[21]。(ボルレッティ-ブイトーニ トラスト)（英語版）の評議員^[22]をつとめ、(ジョナサン・ビス)（英語版）と共同でマールボロ音楽祭のディレクターもつとめている^[23][24]。

2010年からは、弾き振りでクリーブランド管弦楽団とモーツァルトの協奏曲を録音 している^[25]。2022年現在もモーツァルトの協奏曲を演奏し続けている^[26]。ユニバーサルミュージック所属。パートナーは「世界最高の知性100人」にも選ばれた、EU理事会対外・政治軍事総局長であるロバート・クーパー^[27]。母方祖父に原脩次郎^[28]。

受賞と受勲歴

• 1966年 - ミュンヘン国際音楽コンクールピアノ部門第3位^[29]
• 1968年 - エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門第10位^[30]
• 1969年 - (ウィーン・ベートーヴェン国際ピアノコンクール)第1位^[31][32]
• 1970年 - ショパン国際ピアノコンクール第2位^[33][31]
• 1973年 - (クララ・ハスキル国際ピアノコンクール)（英語版）ファイナリスト^{[34][注釈 1]}
• 1974年 - (福山賞)^[35]
• 1975年 - リーズ国際ピアノ・コンクール第2位^[36]
• 1976年 - レーヴェントリット国際コンクールピアノ部門ファイナリスト^{[37][38][注釈 2]}
• 1986年 - サントリー音楽賞^[39]
• 1988年 - 芸術選奨文部科学大臣賞音楽部門^[40]
• 1988年 - 第3回日本ゴールドディスク大賞アルバム・オブ・ジ・イヤー^[41]
• 1989年 - (グラモフォン・クラシック音楽賞)（英語版）^[42]
• 1990年 - ロイヤル・フィルハーモニック協会・(シャルル・エドシック)（英語版）特別賞^[43]
• 1991年 - 第3回(飛騨古川音楽大賞)^[44]
• 1996年 - 朝日賞^[45]
• 2001年 - CBE（大英帝国勲章第3位）^[31]
• 2001年 - (グラモフォン・クラシック音楽賞)（英語版）^[46]
• 2004年 - ロイヤル・フィルハーモニック協会器楽奏者賞^[47]
• 2005年 - 文化功労者^[48]
• 2005年 - 恩賜賞 (日本芸術院)^[49]
• 2006年 - レコード・アカデミー大賞^[23]
• 2008年 - BBC Music Magazine Awards^[50]
• 2009年 - DBE（大英帝国勲章第2位）^{[31][注釈 3]}
• 2009年 - オックスフォード大学より名誉音楽博士号授与^[51]
• 2011年 - 第53回グラミー賞・最優秀インストゥルメンタル・ソリスト演奏賞^[52]
• 2012年 - ロイヤル・フィルハーモニック協会金メダル^[53]
• 2014年 - ケンブリッジ大学より名誉音楽博士号授与^[54]
• 2015年 - モーツァルト生誕259年記念モーツァルト・ゴールデン・メダル^[55]
• 2015年 - 高松宮殿下記念世界文化賞音楽部門^[56]
• 2017年 - 第59回グラミー賞・クラシック部門最優秀ソロ・ボーカル・アルバム賞^{[注釈 4][57]}

　参考文献　

• 吉澤ヴィルヘルム『ピアニストガイド』青弓社、印刷所・製本所厚徳所、2006年2月10日.
• Dame Mitsuko Uchida, in: Internationales Biographisches Archiv 32/2008 vom 2008年8月5日, im Munzinger-Archiv.

脚注

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注釈

1. ^ 第2位と書かれる文献もあるが誤りである。
2. ^ 第2位と書かれる文献もあるが誤りである。
3. ^ エリザベス女王よりデイム・グランド・クロス授与。
4. ^ (ドロテア・レシュマン)のアルバム『シューマン　リーダークライス、女の愛と生涯／ベルク　初期の７つの歌』で、ピアノ伴奏を担当している。

出典

1. ^ “”. chopincompetition2015.com. chopincompetition2015.com. 2022年5月23日閲覧。
2. ^ “松岡貞子さん死去　桐朋学園大名誉教授”. 共同通信 (2010年12月20日). 2013年7月21日閲覧。
3. ^ “グラミー賞の内田光子さん、12歳でウィーン移住”. www.nikkei.com. 日本経済新聞 (2017年2月13日). 2022年2月13日閲覧。
4. ^ 吉澤ヴィルヘルム『ピアニストガイド』青弓社、印刷所・製本所厚徳所、2006年2月10日、78ページ、(ISBN 4-7872-7208-X)
5. ^ “内田光子さんと隣同士”. www.kawai-os.co.jp. www.kawai-os.co.jp. 2021年12月24日閲覧。
6. ^ “Signed Photograph to her Teacher, Nikita Magaloff”. www.schubertiademusic.com. www.schubertiademusic.com. 2022年1月18日閲覧。
7. ^ “”. blogimg.goo.ne.jp. blogimg.goo.ne.jp. 2022年1月12日閲覧。
8. ^ “Maria Curcio”. The Telegraph (2009年4月7日). 2013年7月21日閲覧。
9. ^ “Wigmore Hall Debut”. twitter.com. twitter.com. 2022年1月14日閲覧。
10. ^ “”. auc-pctr.c.yimg.jp. auc-pctr.c.yimg.jp. 2022年1月13日閲覧。
11. ^ “以前はラフマニノフのパガニーニ狂詩曲をレコーディングしていたこともあった。”. www.chopin.co.jp. www.chopin.co.jp. 2021年12月22日閲覧。
12. ^ “But it was her 1982 cycle of the complete Mozart sonatas at Wigmore Hall that a London critic called legendary.”. www.latimes.com. www.latimes.com. 2021年12月23日閲覧。
13. ^ “Tate and Uchida”. englishchamberorchestra.co.uk. englishchamberorchestra.co.uk. 2022年1月18日閲覧。
14. ^ “Mitsuko Uchida”. queenelisabethcompetition.be. queenelisabethcompetition.be. 2022年2月13日閲覧。
15. ^ “内田光子”. www.digitalconcerthall.com. www.digitalconcerthall.com. 2022年1月18日閲覧。
16. ^ “Mitsuko Uchida”. www.salzburgerfestspiele.at. www.salzburgerfestspiele.at. 2022年2月13日閲覧。
17. ^ “Performances of Mitsuko Uchida at BBC Proms”. www.bbc.co.uk. www.bbc.co.uk. 2022年2月13日閲覧。
18. ^ “Tanglewood Announces 1989 Season”. www.nytimes.com. www.nytimes.com. 2022年2月13日閲覧。
19. ^ “DAME MITSUKO UCHIDA”. www.lucernefestival.ch. www.lucernefestival.ch. 2022年2月13日閲覧。
20. ^ “Friday Music MITSUKO UCHIDA, pianist, Alice Tully Hall, 8.”. www.nytimes.com. www.nytimes.com. 2021年12月23日閲覧。
21. ^ “内田光子とその仲間たち”. www.suntory.co.jp. www.suntory.co.jp. 2021年12月23日閲覧。
22. ^ “”. bbtrust.com. bbtrust.com. 2022年1月18日閲覧。
23. ^ ^{a b} “BIOGRAPHY - 内田光子”. Universal Music Japan. 2013年7月21日閲覧。
24. ^ “Mitsuko Uchida & Jonathan Biss, Artistic Directors”. www.marlboromusic.org. www.marlboromusic.org. 2022年1月18日閲覧。
25. ^ “Mitzuko Uchida and Cleveland Orchestra”. www.hmv.co.jp. www.hmv.co.jp. 2022年1月18日閲覧。
26. ^ “MCO & MITSUKO UCHIDA”. mahlerchamber.com. mahlerchamber.com. 2022年1月18日閲覧。
27. ^ “”. www.murc.jp (2013年4月4日). 2022年4月22日閲覧。
28. ^ “【141A004】 茨城の秘話を探る旅に出よう”. ssl.smart-academy.net. ssl.smart-academy.net. 2022年5月23日閲覧。
29. ^ “”. www.br.de. www.br.de. 2021年12月22日閲覧。
30. ^ “”. queenelisabethcompetition.be. queenelisabethcompetition.be. 2021年12月22日閲覧。
31. ^ ^{a b c d} “ピアニスト内田光子さんに大英帝国勲章”. 朝日新聞DIGITAL (2009年6月13日). 2013年7月21日閲覧。
32. ^ “1. prize – Mitsuko Uchida”. beethoven-comp.at. beethoven-comp.at. 2021年12月22日閲覧。
33. ^ “”. chopincompetition2015.com. chopincompetition2015.com. 2022年1月18日閲覧。
34. ^ “”. www.clara-haskil.ch. www.clara-haskil.ch. 2022年1月14日閲覧。
35. ^ “”. hoshido.com. hoshido.com. 2021年12月22日閲覧。
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37. ^ “Leventritt Picks 5 Young Pianists”. www.nytimes.com. www.nytimes.com. 2021年12月23日閲覧。
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39. ^ “過去の受賞者 サントリー音楽賞”. SUNTORY. 2013年7月21日閲覧。
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41. ^ “”. www.golddisc.jp. www.golddisc.jp. 2021年12月22日閲覧。
42. ^ “Mitsuko Uchida”. chicagoreader.com. chicagoreader.com. 2021年12月22日閲覧。
43. ^ “内田さんは1990年に同団体から、ロイヤル・フィルハーモニック・ソサイエティ・チャールズ・ハイドシェック特別賞も授与されています。”. www.universal-music.co.jp. www.universal-music.co.jp. 2021年12月22日閲覧。
44. ^ “人物クローズアップー64-内田光子--「第3回飛騨古川音楽大賞」を受賞して”. iss.ndl.go.jp. iss.ndl.go.jp. 2021年12月22日閲覧。
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46. ^ “Mitsuko Uchida”. www.gramophone.co.uk. www.gramophone.co.uk. 2021年12月22日閲覧。
47. ^ “内田光子”. royalphilharmonicsociety.org.uk. royalphilharmonicsociety.org.uk. 2021年12月23日閲覧。
48. ^ “森光子さんらに文化勲章　文化功労者には長嶋さんら”. asahi.com (2005年10月28日). 2013年7月21日閲覧。
49. ^ “”. geijutuin.go.jp. geijutuin.go.jp. 2021年12月22日閲覧。
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51. ^ “” (2009年2月5日). 2009年7月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年7月21日閲覧。
52. ^ “Past Winners Search”. Grammy.com. 2013年7月21日閲覧。
53. ^ “内田光子”. royalphilharmonicsociety.org.uk. royalphilharmonicsociety.org.uk. 2021年12月23日閲覧。
54. ^ “Mitsuko Uchida, pianist and winner of the Gold Medal of the Royal Philharmonic Society (Doctor of Music)”. www.cambridgenetwork.co.uk. www.cambridgenetwork.co.uk. 2021年12月22日閲覧。
55. ^ “eぶらあぼ 2014.11月号”. ebravo.jp. ebravo.jp. 2021年12月22日閲覧。
56. ^ “日本生まれでロンドン在住の世界的ピアニスト。”. www.praemiumimperiale.org. www.praemiumimperiale.org. 2021年12月22日閲覧。
57. ^ “内田光子さんにグラミー賞＝世界的ピアニスト、２度目の栄誉”. 時事ドットコム (時事通信社). (2017年2月13日). http://www.jiji.com/jc/article?k=2017021300227&g=soc 2017年2月13日閲覧。 

　外部リンク　

• ユニバーサルミュージック
• 公式サイト（英語）