KFOR(英:Kosovo Force)、コソボ治安維持部隊(コソボちあんいじぶたい)は、1999年6月10日に採択された国連安保理決議1244に基づき、北大西洋条約機構(NATO)指揮の下、当時ユーゴスラビア連邦共和国のセルビア共和国(2008年にセルビア共和国として独立)統治下にあったコソボ・メトヒヤ自治州(2008年2月17日にコソボ共和国として独立を宣言)において治安維持を担う国際安全保障部隊である。
同決議に基づき暫定行政を行う民生部門は国際連合コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)という。
概要
組織
目的
コソボ問題に対するG8合意及び、ユーゴスラビア連邦共和国のスロボダン・ミロシェヴィッチ大統領(当時)が受諾した和平案に基づき国連安保理決議1244が可決されると、NATO及び関係国は治安維持部隊としてKFORを編成した。同決議に基づくKFORの目的は、
- 停戦の維持、ユーゴ軍及びセルビア治安部隊のコソボからの撤退の確保
- アルバニア系住民の武装組織コソボ解放軍(Ushtria Çlirimtare e Kosovës; UÇK)の武装解除
- 治安秩序の維持
となっている。
編成
KFORは以下のように4区域に分割し、各区域に複数の国から派遣された部隊により編成される。また、各担当区域にはリーダー国が配置されている。
- 中央部
- 北部
- 東部
- 南西部
- リーダー国: イタリア
- 担当国: アルゼンチン、 オーストリア、 アゼルバイジャン、 ブルガリア、 ジョージア、 ドイツ、 ハンガリー、 ルーマニア、 スロベニア、 スペイン、 スイス、 トルコ
- 主な都市:プリズレン
またこれら担当区域別の治安維持部隊とは別に、以下のような特別任務部隊もある。
- MSU
- KTM
- KFOR司令部下で軽武装の緊急行動部隊で、中央部区域の任務も部分的に担っている。
治安の現状
KFOR駐留以前はセルビア治安部隊やユーゴスラビア軍とコソボ解放軍の対立は激しく、セルビア人、アルバニア人双方に迫害の被害者を出した。
KFOR駐留以後は和平案は概ね履行され、また、スロボダン・ミロシェヴィッチ大統領も逮捕されたことから、アルバニア系住民への迫害は改善したと言われている。
しかし、その一方で非アルバニア系、特にセルビア系住民の拉致と見られる行方不明、虐待、虐殺などの迫害が続いている。そのため、現在に至るもコソボのセルビア人帰還は進んでいない。また、KFOR及びUNMIKの支配下でこのような行方不明や殺人が起きていることから、セルビア系の元住民らにはKFORやUNMIK、NATOに対する根強い不信感があるという指摘もある。
他にも、KFORはアメリカがコソボに打ち込んだ劣化ウラン弾を回収していないと言われている。