WBSC世界ランキング(英語: WBSC World Ranking)とは、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)により発表される野球、ソフトボールおよびベースボール5のナショナルチームのランキングシステム。
概要
2009年に制定された野球のIBAFランキングは、数値上で各国のナショナルチームの強さを表したものである。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)など過去4年間の国際野球連盟(IBAF)公認の国際大会の成績に基づいて算出される。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が発足したことに伴い、2014年7月1日よりWBSCランキングへと移行した。
野球・ソフトボール共に男子と女子双方のものがあるが、女子のランキングは過去3大会のWBSC 女子ワールドカップが獲得ポイントの対象となるなど、男子とは異なる点がある。またベースボール5は男女混合の競技であることから、男女別ではなく単一のランキングとなっている。
ランキングに掲載されているのは、野球の男子84か国、女子20か国。ソフトボールの女子63か国、男子38か国。ベースボール5が43か国(2023年3月現在)。
男子野球については、ランキング制定されて以降長らくはキューバが首位を守っていたが、2013年12月のランキングで陥落。代わってアメリカが首位に立つも、2014年11月のランキングで日本(侍ジャパン)が初の1位を獲得した。その後日本は3年間1位を保ったが、2018年2月発表のランキングで4年ぶりに陥落。2017年のWBCやU-18W杯で優勝したアメリカが再び首位に浮上した[1]。しかし、日本が2019 WBSCプレミア12で優勝したことなどから、再び日本が首位に返り咲き、2位アメリカを大差で引き離している。
男子野球のランキングで上位12位までに入っている国・地域の代表は、WBSCが主催するWBSCプレミア12の出場権を得る。
このランキングは、サッカーにおけるFIFAランキングとは違い、トップチームだけでなくU-12以上のカテゴリーの成績も反映されるため、多数のメジャーリーガーを排出している強豪国であるドミニカ共和国やプエルトリコはメジャーリーガー育成を最優先し、アンダー世代の大会には重きを置いていないという背景があり、相対的に順位が低くなっている[2]。
加盟国・地域別ランキング
野球
男子の上位20位と女子の全ランキングについて記述する。
順位 | チーム | ポイント | 加盟組織 |
---|---|---|---|
1 | 日本 | 5323 | BFA |
2 | アメリカ | 4402 | COPABE |
3 | メキシコ | 4130 | COPABE |
4 | チャイニーズタイペイ | 4061 | BFA |
5 | 韓国 | 4049 | BFA |
6 | ベネズエラ | 3534 | COPABE |
7 | キューバ | 3151 | COPABE |
8 | オランダ | 3089 | CEB |
9 | オーストラリア | 2600 | BCO |
10 | ドミニカ共和国 | 2415 | COPABE |
11 | プエルトリコ | 2230 | COPABE |
12 | イタリア | 2017 | CEB |
13 | カナダ | 1970 | COPABE |
14 | パナマ | 1936 | COPABE |
15 | コロンビア | 1826 | COPABE |
16 | チェコ | 1745 | CEB |
17 | ニカラグア | 1334 | COPABE |
18 | イスラエル | 1134 | CEB |
19 | ドイツ | 1075 | CEB |
20 | イギリス | 882 | CEB |
順位 | チーム | ポイント | 加盟組織 |
---|---|---|---|
1 | 日本 | 1355 | BFA |
2 | (チャイニーズタイペイ) | 1097 | BFA |
3 | (カナダ) | 1029 | COPABE |
4 | アメリカ | 1015 | COPABE |
5 | (ベネズエラ) | 900 | COPABE |
6 | (ドミニカ共和国) | 717 | COPABE |
7 | (キューバ) | 520 | COPABE |
8 | (オーストラリア) | 509 | BCO |
9 | (プエルトリコ) | 371 | COPABE |
10 | (韓国) | 364 | BFA |
11 | (香港) | 256 | BFA |
12 | (メキシコ) | 160 | COPABE |
13 | (オランダ) | 155 | CEB |
14 | (フィリピン) | 152 | BFA |
15 | (中国) | 126 | BFA |
16 | (フランス) | 100 | CEB |
17 | (ニカラグア) | 59 | COPABE |
18 | (インド) | 47 | BFA |
19 | (パキスタン) | 21 | BFA |
20 | (チェコ) | 10 | CEB |
ソフトボール
男女の上位20位について記述する。
順位 | チーム | ポイント |
---|---|---|
1 | (アメリカ) | 4288 |
2 | 日本 | 2697 |
3 | (チャイニーズタイペイ) | 2502 |
4 | (カナダ) | 2342 |
5 | (プエルトリコ) | 2330 |
6 | (メキシコ) | 1927 |
7 | (チェコ) | 1789 |
8 | (イタリア) | 1776 |
9 | (オーストラリア) | 1529 |
10 | (オランダ) | 1498 |
11 | (スペイン) | 936 |
12 | (イスラエル) | 844 |
13 | (中国) | 829 |
14 | (フランス) | 791 |
15 | (ドイツ) | 779 |
16 | (イギリス) | 761 |
17 | (アイルランド) | 710 |
18 | (ブラジル) | 644 |
19 | (ペルー) | 631 |
20 | (ポーランド) | 608 |
順位 | チーム | ポイント |
---|---|---|
1 | (アルゼンチン) | 3722 |
2 | (カナダ) | 2954 |
3 | 日本 | 2909 |
4 | (オーストラリア) | 2864 |
5 | (アメリカ) | 2655 |
6 | (チェコ) | 2221 |
7 | (ニュージーランド) | 1934 |
8 | (ベネズエラ) | 1877 |
9 | (キューバ) | 1807 |
10 | (メキシコ) | 1322 |
11 | (デンマーク) | 1069 |
12 | (南アフリカ) | 1004 |
13 | (グアテマラ) | 825 |
14 | (シンガポール) | 787 |
15 | (フィリピン) | 623 |
16 | (オランダ) | 412 |
17 | (ボツワナ) | 363 |
18 | (ドミニカ共和国) | 221 |
19 | (チャイニーズタイペイ) | 192 |
20 | (クロアチア) | 182 |
ベースボール5
上位20位について記述する。
順位 | チーム | ポイント |
---|---|---|
1 | (キューバ) | 2055 |
2 | (チャイニーズタイペイ) | 1679 |
3 | (フランス) | 1650 |
4 | (日本) | 1635 |
5 | (ベネズエラ) | 1370 |
6 | (南アフリカ) | 1286 |
7 | (リトアニア) | 1213 |
8 | (チュニジア) | 1174 |
9 | (ケニア) | 1046 |
10 | (イタリア) | 819 |
11 | (メキシコ) | 807 |
12 | (韓国) | 781 |
13 | (オランダ) | 714 |
14 | (ルーマニア) | 710 |
15 | (チェコ) | 600 |
16 | (ベルギー) | 532 |
17 | (ロシア) | 528 |
18 | (香港) | 518 |
19 | (ブルガリア) | 466 |
20 | (トルコ) | 465 |
算出方法
WBSCが発表している世界ランキングは、過去4年間に出場したWBSC公認の国際大会の成績から算出される。各国の獲得したポイントを加算してゆき、トータルポイントの多少により格付けされる。国際大会で獲得できるポイントは順位ごとに設定されているが、「大会の格」と「大会出場チームのランキング」によって変動する。また、2013年にIBAFは世界ランキングシステムの拡大と、各国野球連盟が男女ランキングのために獲得できる追加のポイント制度の導入を発表した[3]。
2022年12月時点での男子野球のランキングポイント計算方法は以下の通り[4]。
大会別獲得ポイント
最高ランク世界大会
大会 | 最大ポイント | 最小ポイント | 優勝ボーナスポイント |
---|---|---|---|
WBSCプレミア12 | 1200 | 120 | 180 |
ワールド・ベースボール・クラシック | 1000 | 100 | 150 |
世代別ワールドカップ
大会 | 最大ポイント | 最小ポイント | 優勝ボーナスポイント |
---|---|---|---|
WBSC U-23ワールドカップ | 600 | 60 | 90 |
WBSC U-18ワールドカップ | 500 | 50 | 75 |
WBSC U-15ワールドカップ | 400 | 40 | 60 |
WBSC U-12ワールドカップ | 300 | 30 | 45 |
シニア大陸選手権・主要マルチスポーツ大会
基本最大ポイント | 最小ポイント |
---|---|
100 - 500 | 合計最大ポイントの10% |
参加チームのランキングによって基本最大ポイントに加算されるチームクオリティボーナスポイントは、以下の通り。
参加チーム | 加算ポイント |
---|---|
ランキング12位以上のチーム | 1チームごとに50 |
ランキング24位以上のチーム | 1チームごとに25 |
ランキング36位以上のチーム | 1チームごとに10 |
その他のチーム | 1チームごとに5 |
さらに、参加チーム内のランキング12位以内のチームの数により、以下のトップ12ボーナスポイントが加算される。
ランキング12位以内チーム数 | 加算ポイント |
---|---|
2 - 3 | 50 |
4以上 | 100 |
公式大陸・地域大会
基本最大ポイント | 最小ポイント |
---|---|
最大100 | 合計最大ポイントの10% |
参加チームのランキングによって基本最大ポイントに加算されるチームクオリティボーナスポイントは、以下の通り。
参加チーム | 加算ポイント |
---|---|
ランキング12位以上のチーム | 1チームごとに50 |
ランキング24位以上のチーム | 1チームごとに25 |
ランキング36位以上のチーム | 1チームごとに10 |
その他のチーム | 1チームごとに5 |
マイナーマルチスポーツ大会
基本最大ポイント | 最小ポイント |
---|---|
最大50 | 合計最大ポイントの10% |
参加チームのランキングによって基本最大ポイントに加算されるチームクオリティボーナスポイントは、以下の通り。
参加チーム | 加算ポイント |
---|---|
ランキング12位以上のチーム | 1チームごとに20 |
ランキング24位以上のチーム | 1チームごとに10 |
ランキング36位以上のチーム | 1チームごとに5 |
その他のチーム | 1チームごとに3 |
また、次の大会は以下のようにポイントを定める。
大会 | 最大ポイント | 最小ポイント |
---|---|---|
FISUワールドゲームズ | 40 | 4 |
世代別ワールドカップ予選
大会 | 最大ポイント | 最小ポイント |
---|---|---|
WBSC U-23ワールドカップ | 120 | 12 |
WBSC U-18ワールドカップ | 100 | 10 |
WBSC U-15ワールドカップ | 80 | 8 |
WBSC U-12ワールドカップ | 60 | 6 |
親善試合など
対戦相手 | 基本獲得ポイント | ボーナスポイント |
---|---|---|
ランキング12位以内の相手に勝利 | 6 | |
ランキング24位以内の相手に勝利 | 4 | |
ランキング25位以下の相手に勝利 | 2 | |
10位以上高い相手に勝利 | 4 | |
5位から9位高い相手に勝利 | 2 |
ポイント差の計算
大会の最終順位により各チームが獲得するポイント差は、以下のように求められる。
例えばプレミア12の場合、最大ポイントが1200、最小ポイントが120であるから、 がポイント差となる。 これにより、各順位の獲得ポイントは、
順位 | 獲得ポイント |
---|---|
1位 | 1200 + 180 |
2位 | 1102 |
3位 | 1004 |
のようになる。なお、ポイントの小数点以下は四捨五入し整数とする。
その他
2012年はサンダーシリーズ(台湾vsキューバ)並びに、日本とキューバとの強化試合が、IBAF実行委員により1勝ごとに25ポイントを付与された[5]。
脚注
出典
- ^ “日本は米国に抜かれ世界ランク2位 4年ぶり陥落”. 日刊スポーツ. (2018年2月23日)2018年2月27日閲覧。
- ^ “WBCが残した「不公平感」という課題。世界ランク順なら日本も「死の組」避けられず?”. CoCoKARAnext (2023年3月26日). 2023年3月27日閲覧。
- ^ IBAF to provide opportunity for World Ranking points2013年2月19日
- ^ “MEN’S BASEBALL WORLD RANKING METHODOLOGY” (PDF). World Baseball Softball Confederation (2022年12月19日). 2023年1月12日閲覧。
- ^ IBAFが世界ランキング ポイントシステムを拡大へ2013年3月2日
外部リンク
- 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)公式サイトWorld Baseball Rankings
- 野球新聞(IBAF日本語公式情報サイト)過去のIBAFランキング