『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』(ガンダム ダブルオーセブンティナイン ザ ウォー フォー アース)は、Presto Studiosが開発し、日本では吹き替えがおこなわれて1996年[1]に(バンダイ・デジタル・エンタテインメント)(BDE)が発売したピピンアットマーク、パソコン(Power Mac、Windows 95)用のインタラクティブムービーソフト。1997年5月2日にはバンダイよりPlayStation用が発売された[2]。
ジャンル | アドベンチャー |
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対応機種 | ピピンアットマーク Power Mac Windows 95 PlayStation |
開発元 | Presto Studios |
発売元 | (バンダイ・デジタル・エンタテインメント) バンダイ |
シリーズ | (ガンダムシリーズ) |
人数 | 1人 |
メディア | CD-ROM |
発売日 | ピピンアットマーク、Power Mac、Windows 95 1996年 PlayStation 1997年5月2日 |
概要
バンダイは一人称視点のアドベンチャーゲームの開発で知られていたPresto Studiosにゲームの開発を依頼した。当時、バンダイは1995年に発売したPlayStation用の『機動戦士ガンダム』の様に一人称視点のモビルスーツの操縦をシミュレートするというゲーム内容の発想がすでにあった。そしてバンダイとPresto Studiosはより映画的なアプローチを採用し、一人称視点の映画的なガンダムのインタラクティブムービーのゲームを求めた。その為、アニメ『機動戦士ガンダム』を原作としたキャラクターゲームであるが、メカがCGで人物は外国人の俳優による実写(声はアニメと同一声優が吹き替え)という異色の組み合わせとなっている[3]。主人公は原作のアムロ・レイに相当する民間人だが、プレイヤーの感情移入を考えてかゲーム内では台詞や設定などは一切登場しない。ゲームシステムは、流れているムービー途中の特定のタイミングで操作入力を要求され、正解の操作をしないと即ゲームオーバーになるというもの。1980年代に登場した、いわゆるレーザーディスクゲームと同等のシステムである。ほとんどはノーヒントであり、正解は繰り返しプレイで試行錯誤して探すことが求められる。しかも特定のポイントでしかセーブできないため、正解を模索して何度も同じ場面を見せられることになり、またセーブポイント自体も少なくシーンごとのムービーが長い。一方でセーブはパスワード方式、それもパターンがそれほど多くないので、無作為にパスワードを入力すれば一気に後半のステージに進めるなど、問題点が多い。
またストーリーは原作の(ガルマ・ザビ)死亡まで(1話~10話)をベースとしているが、実写という点に留まらず、あらゆる部分で差異が多い。大筋以外は原作とは異なっていて、原作に登場しないジオンの兵器「ソア・キャノン」を中心に物語が進行するほか、ガンダムがガンタンクの下半身を装着して出撃するシーンなどがある。また原作では非常に堅牢だったガンダムが、本作ではザクのマシンガンを受けるだけで簡単に撃破されてしまうため、その点でも原作とのギャップが大きい。
これらの要素のいくつかは、既存の概念や原作をなぞることだけに囚われない、制作スタッフ独自の発想とも考えられる。事実、ガンダムがコア・ファイターを介してガンタンクとドッキングするのは、クローバーの玩具などで実現されていたものであり、アニメ本編ではやらなかっただけの話である(本作のCGモデル自体もガンプラをベースにしており、玩具的なアクションを見せている)。
原作で登場するキャラクターが多数登場しない割には、原作で登場しないキャラクターが複数登場するといった特徴がある。また、原作と人種が変わっているキャラクターもいるが、海外向けのアピールとも考えられ、オリジナルと同一声優の演技も、俳優に合わせてアニメとは全く違ったキャラクターとして演じられている。
ゲームクリア時には続編が存在するかのような演出を見ることができ(続編用のパスワードも表示される)、開発スタッフも「好評なら続編を作る」と発言していたが、現在のところ続編は作られていない。
ゲーム本作はアメリカのPresto Studiosが開発したゲームであるが、PS版は日本だけの販売で海外の英語版はPC版しか発売されていない。
Next GenerationのMacintosh版でのこのゲームの評価は5点満点中2点の評価だった。CGグラフィックの部分は評価される一方で、この種のインタラクティブ的なゲームプレイの貧弱さや難易度の高さや俳優のモーションの動きや演技などの不自然さが目立つなどの批判されていた。
操作方法
基本的にガンダムの操作であるが、生身の状態でもアクションを求められる事がある。操作(選択肢)を間違えるとゲームオーバーとなりガンダムが破壊されるが、ブライト・ノアに対し、軍人になってガンダムに乗る事を拒否した時でもゲームオーバーとなり、表現上、ガンダムが破壊される。
- 移動
- 上下左右の四方向にガンダムを移動させる。攻撃を回避する時等に使用。
- 攻撃
- 防御
- シールドで防御する。
- アクション
- 上記3種類に当てはまらない行動。主に生身の状態で使用。
一旦戦闘に入ると、これらのコマンドが突然同時に表示され、瞬間的に選ばなければならない。単純に考えれば「毎回10択」であり、しかもヒントは無い。場合によっては「2回連続でバルカン」や「敵の挑発に乗らずに移動して近づく」等、意表を付いた選択肢も要求される。
キャラクター
主に原作との差異を示す。
- 主人公
- プレイヤーの分身であり、アムロ・レイに相当する人物だが、前述のように民間人だったこと以外の設定は存在しない。通信中の呼びかけ等では「ガンダム」と呼ばれる。なお、元々のガンダムのパイロット(ドーティ少尉)はザク襲撃の際に建造物の瓦礫に潰されて死亡。
- 俳優 Sean O'Hara。声 鈴置洋孝。
- 本作はガンダムのアクションゲームという都合上、人間ドラマの部分が大幅カットされている為、司令官として苦悩するような描写は無い。同じ場面でも何度か髪型が変わる。
- 俳優 David Kamatoy。声 古川登志夫。
- ガンキャノンのパイロットで、中華系のアジア人。こちらもブライト同様、戦争に対し逃避的な面は見せず、軽い性格の皮肉屋になっている。原作とは違い、最初から軍人らしい。髪型はオールバックで後頭部でまとめている。
- デューク・ホセ(リュウ・ホセイ)
- 俳優 James Hazelwood。声 飯塚昭三。
- ガンタンクのパイロットで、原作とは異なり陽気な黒人になっている。頭はスキンヘッド。
- ハニー・アサナ将軍
- サラ・ホリン少尉
- 俳優 Michael Hickay。声 池田秀一。
- 一般に本作を説明する際に最もよく引き合いに出されるキャラクターであり、太り気味の体格で割れ顎[4]。また原作と違い感情がよく顔に出る。彼の乗るザクはゲームの最終ボスであり(ガルマ死亡後に突然襲ってくる)、勝利する為の選択肢は非常に複雑。
- (ガルマ・ザビ)
- 俳優 Butch Klein。声 森功至。
- やや細めの顔立ちの美青年。髪型は原作とは違い、ショートカットである。
- (ギレン・ザビ)
- 声 銀河万丈。
- 声のみの出演。本作ラストのガルマの国葬シーンで演説を行っている。
- グフのパイロット
- 俳優 Eric Dallaire。声 飯塚昭三。
- ソア・キャノンの内部に控えていた。原作のグフの機体色は青に対し、本作では銀色(おそらくパーソナルカラー)。
- ザクのパイロット
- 俳優 Phil Saunders。
- 連邦士官
- 俳優 Eric Almquist。
- ナレーター
- 声 永井一郎。
メカニック
- ソア・キャノン
攻略本
脚注
- ^ “ガンダムゲーム35周年”. ガンダムゲーム公式ポータルサイト. 2022年5月29日閲覧。
- ^ “総合ゲームカタログ”. バンダイナムコエンターテインメント. 2021年5月30日閲覧。
- ^ “ガンダム実写化で白熱する「シャアは誰?」議論も…「ケツアゴシャア」トレンド入りでよぎる悪夢 (1/2ページ)”. イザ! (2021年4月13日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “ガンダム実写化で白熱する「シャアは誰?」議論も…「ケツアゴシャア」トレンド入りでよぎる悪夢 (2/2ページ)”. イザ! (2021年4月13日). 2021年5月30日閲覧。
- ^ “Gundam 0079 the war for earth完全ガイド (NTT出版): 1997|書誌詳細|国立国会図書館サーチ”. 国立国会図書館. 2021年6月7日閲覧。
- ^ “Gundam 0079 the war for earthパーフェクトガイドブック (勁文社): 1997|書誌詳細|国立国会図書館サーチ”. 国立国会図書館. 2021年5月30日閲覧。