AT105 サクソン(AT105 Saxon)は、イギリス製の装甲兵員輸送車である。サクソンは、GKN サンキー社がAT 100 IS計画としてAT104計画を基に設計した装甲兵員輸送車であり、Future Rapid Effect System計画によって選定されたピラーニャVに更新されて退役する予定である。
設計
サクソンは、費用対効果の高い「戦場タクシー」のコンセプトで設計開発され、軽装甲装輪装甲車は路上での速度で装軌式車両に勝り、さらに多くの部品を民生用トラックから流用することが可能だったため、整備維持費用の削減にも貢献した。
サクソンの装甲は、小火器の弾丸や榴弾の破片には耐えられるが、対装甲車両・対戦車兵器には耐えられない。車体の底面は(対戦車地雷)対策としてV字型の形状となっており、地雷が爆発しても爆風と爆圧を車体外部へ逃がすように設計されている。武装は対空自衛用の機関銃1挺のみである。
エンジンは、操縦席の横に配置されている。原型は、イギリス式の右ハンドル車で、車体前方左側にエンジンが配置されていたが、輸出用の左ハンドル型では操縦席とエンジンの配置が逆になっている。
運用
最初にサクソンが配備されたのは、西ドイツに駐屯するイギリス陸軍ライン軍団所属のイギリス陸軍(第3歩兵師団)(3rd Infantry Division)であり、1983年に同師団所属の4個機械化歩兵大隊に配備された。
多数のサクソンIS(サクソン・パトロール)は、(北アイルランド紛争)において、サーチライトやワイヤーカッターなどを装備して、旧式のFV603 サラセンと共に警備任務に従事した。暴動発生時には、車体左右に装備された金網を左右に展開して暴徒の進行を阻止すると共に、イギリス軍鎮圧部隊の盾として活躍したほか、車体容積の広さを活かして救急車として運用された。
旧ユーゴスラビアにおいては、地雷処理車両として広く活躍した。
派生型
採用国
関連項目
- ブッフェル装甲兵員輸送車 - サクソン同様、助手席がない装甲兵員輸送車
- ウィキメディア・コモンズには、AT105 サクソンに関するカテゴリがあります。