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2016年リオデジャネイロオリンピックの陸上競技・女子10000m

2016年リオデジャネイロオリンピックの陸上競技・女子10000m(リオデジャネイロオリンピックにおけるりくじょうきょうぎ・じょし10000メートル)は8月12日ブラジルリオデジャネイロエスタジオ・オリンピコ・ジョアン・アベランジェで開催された[1]。当種目はリオデジャネイロオリンピックにおける陸上競技で最初に決勝が行われた[2]金メダルはこの種目にわずか2回目の出場となったエチオピア代表のアルマズ・アヤナが獲得し、世界新記録となる29分17秒45をたたき出した。前回のロンドンオリンピック銅メダルに輝いたケニアビビアン・チェルイヨットは1つ順位を上げて銀メダル、前回覇者のティルネシュ・ディババは銅メダルを獲得した[3]

2016年リオデジャネイロオリンピック
陸上競技
トラック競技
100 m   男子   女子
200 m 男子 (女子)
400 m 男子 (女子)
800 m (男子) 女子
1500 m (男子) (女子)
5000 m (男子) (女子)
10000 m (男子) 女子
100 mハードル (女子)
110 mハードル (男子)
400 mハードル (男子) (女子)
3000 m障害 (男子) (女子)
4×100 mリレー 男子 (女子)
4×400 mリレー (男子) (女子)
ロード競技
マラソン 男子 女子
20 km競歩 (男子) (女子)
50 km競歩 (男子)
フィールド競技
走幅跳 (男子) (女子)
三段跳 (男子) (女子)
走高跳 (男子) 女子
棒高跳 (男子) (女子)
砲丸投 (男子) (女子)
円盤投 (男子) (女子)
やり投 (男子) (女子)
ハンマー投 男子 (女子)
混成競技
七種競技 (女子)
十種競技 (男子)

ハイライト

エチオピアのティルネシュ・ディババは前回ロンドンオリンピックの覇者として、ケニアのビビアン・チェルイヨットは2015年世界陸上競技選手権大会の覇者として今大会に臨んだ。しかしながら今大会に今季最高記録かつここ7年間で最高記録となる30分07秒00を保持して試合に臨んだのは、その記録をデビュー戦でマークしたアルマズ・アヤナであった[4]

レースの序盤で出場した37人の先陣を切ったのはケニアの(アリス・アプロット・ナワウーナ)(英語版)であった。ナワウーナは急速にペースを上げ、選手の列から抜け出し、5周目には先頭集団が8人に絞られた。その8人はケニア勢3人(ナワウーナ、チェルイヨット、(ベッツィ・サイナ)(英語版))とエチオピア勢3人(アヤナ、ディババ、(ゲレテ・ブルカ)(英語版))、トルコ(ヤスミン・キャン)(英語版)アメリカ(モリー・ハドル)(英語版)であった。レースは通常の国際大会に比してハイペースで推移した。先頭8人からハドルがまず脱落、続いてブルカが脱落した。12周目に突如ナワウーナをアヤナが抜き去り、既に最後尾の選手を周回遅れにしていた先頭集団のペースを乱した[5]

アヤナはハイペースを維持し、さらに加速し、平均71秒で周回した。チェルイヨットは唯一アヤナに食らい付いたが、15〜20秒近くアヤナに引き離されていた。アヤナは10位以下の選手全員を周回遅れにする力走で29分17秒45をマークしてゴールし[5]王軍霞が22歳の時に記録した世界記録(この記録は当時他の選手より20秒も速く、ドーピング疑惑が浮上していた[2][6])を14秒も更新した[7]。チェルイヨットは王が保持していた世界記録よりも1秒遅れてゴールした。前回覇者のディババは歴代4位となる29分42秒56を出して銅メダルを獲得、序盤を率いたナワウーナも30分を切る快走で、歴代5位となる29分53秒51で4位入賞を果たした[8]

アヤナの世界新記録とオリンピック新記録に加え、今大会では8つの国内新記録が樹立された。序盤で先頭集団につけたハドルは30分13秒17の北中米カリブ記録を更新した。上位20位までで自己新記録を達成できなかったのは4人だけであり、レベルの高さが際立つ大会であった。

日本勢鈴木亜由子高島由香関根花観の3人がエントリーしていたが、鈴木は左足の違和感を訴えて欠場[9]、高島と関根が出場した[7]。両者ともハイペースで展開するレースに適応できず、徐々に集団から遅れを取る厳しい戦いとなり、高島が18位、関根が20位でフィニッシュした[7]。試合後のインタビューで両者とも悔しさをにじませる一方、高島は「ここに立つのが夢だったので嬉しかった」、関根は「東京オリンピックにも出られるように頑張りたい」と語った[7]

日程

時刻はすべてブラジル時間UTC-3JST-12)。

ラウンド
2016年8月12日金曜日 11:10 決勝

記録

今大会までの各種記録は以下の通り。

世界記録   王軍霞 (CHN) 29:31.78   中国北京 1993年9月8日
オリンピック記録   ティルネシュ・ディババ (ETH) 29:54.66   中国北京 2008年8月15日
2016年当季世界最高記録   アルマズ・アヤナ (ETH) 30:07.00   オランダヘンゲロー 2016年6月29日

今大会で以上の記録はすべて塗り替えられた。

世界記録オリンピック記録
2016年当季世界最高記録
  アルマズ・アヤナ (ETH) 29:17.45   ブラジルリオデジャネイロ 2016年8月12日

結果

WR 世界記録 | AR エリア記録 | CR 選手権記録 | GR 大会記録 | NR 国家記録 | OR オリンピック記録 | PB 自己ベスト | SB シーズンベスト | WL 世界最高(当該シーズン中)
| DNF 途中棄権
順位 選手 国籍 記録 備考
0  アルマズ・アヤナ   エチオピア 29:17.45 WR, OR
0  ビビアン・チェルイヨット   ケニア 29:32.53 NR
0  ティルネシュ・ディババ   エチオピア 29:42.56 PB
4 (アリス・アプロット・ナワウーナ)(英語版)   ケニア 29:53.51 PB
5 (ベッツィ・サイナ)(英語版)   ケニア 30:07.78 PB
6 (モリー・ハドル)(英語版)   アメリカ合衆国 30:13.17 AR
7 (ヤスミン・キャン)(英語版)   トルコ 30:26.41 PB
8 (ゲレテ・ブルカ)(英語版)   エチオピア 30:26.66 PB
9 (カロリーヌ・ビヤーケリ・グレヴダル)(英語版)   ノルウェー 31:14.07 PB
10 (エロイーズ・ウェリングス)(英語版)   オーストラリア 31:14.94 PB
11 (エミリー・インフェルド)(英語版)   アメリカ合衆国 31:26.94 PB
12 (サラ・ラーティ)(英語版)   スウェーデン 31:28.43 NR
13 (ダイアン・ヌクリ)(英語版)   ブルンジ 31:28.69 NR
14 (スーザン・クイケン)(英語版)   オランダ 31:32.43
15 (ジョー・パベイ)(英語版)   イギリス 31:33.44 SB
16 (ジェス・アンドリューズ)(英語版)   イギリス 31:35.92 PB
17 (アレクシー・パパス)(英語版)   ギリシャ 31:36.16 NR
18 高島由香   日本 31:36.44
19 (ダリヤ・マスロワ)(英語版)   キルギス 31:36.90 NR
20 関根花観   日本 31:44.44
21 (ドミニク・スコット)(英語版)   南アフリカ 31:51.47 PB
22 (ナターシャ・ウォーダック)(英語版)   カナダ 31:53.14 SB
23 (アリア・サイード・モハメド)(英語版)   アラブ首長国連邦 31:56.74
24 (シトラ・ハミドワ)(英語版)   ウズベキスタン 31:57.77 NR
25 (ラニ・マーチャント)(英語版)   カナダ 32:04.21 SB
26 (カルラ・サロメ・ローシャ)(英語版)   ポルトガル 32:06.05
27 (サロメ・ニャイラルクンド)(英語版)   ルワンダ 32:07.80
28 (イップ・ファステンバーグ)(英語版)   オランダ 32:08.92
29 (トリハス・ゲブレ)(英語版)   スペイン 32:09.67 SB
30 (ヴェロニカ・イングレーゼ)(英語版)   イタリア 32:11.67
31 (タチエリ・ジ・カルヴァーリョ)(英語版)   ブラジル 32:38.21
32 (ブレンダ・フローレス)(英語版)   メキシコ 32:39.08 SB
33 (マリエル・ホール)(英語版)   アメリカ合衆国 32:39.32
34 (ベス・ポッター)(英語版)   イギリス 33:04.34
35 (マリソル・ロメロ)(英語版)   メキシコ 35:33.03
N/A エカテリーナ・ツングースコワ
(Ekaterina Tunguskova)
  ウズベキスタン N/A DNF
N/A (ジュリエット・チェクウェル)(英語版)   ウガンダ N/A DNF

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ “”. Rio 2016. 2016年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月12日閲覧。
  2. ^ a b “アヤナ、驚異の世界新=「最も汚れた記録」更新”. 時事通信社 (2016年8月13日). 2016年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月13日閲覧。
  3. ^ “”. Rio 2016 (2016年8月12日). 2016年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月13日閲覧。
  4. ^ Morse, Parker (2016年8月9日). “”. IAAF. 2016年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月13日閲覧。
  5. ^ a b “”. IAAF (2016年8月12日). 2016年8月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月13日閲覧。
  6. ^ Bloom, Ben (2016年2月4日). “”. Daily Telegraph. 2016年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月13日閲覧。
  7. ^ a b c d “”. 日本放送協会 (2016年8月13日). 2016年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月13日閲覧。
  8. ^ “”. IAAF. 2016年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年8月13日閲覧。
  9. ^ 鈴木亜由子は4日後の8月16日に開催された、女子5000m予選2組に出場したが、当組12着に終わり決勝進出はならなかった。
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