関西将棋会館(かんさいしょうぎかいかん)は、大阪府大阪市福島区にある日本将棋連盟の施設。日本将棋連盟の関西本部が置かれている。1981年に建設。JR福島駅から徒歩3分。東京の将棋会館と同様、対局室が設けられており、関西所属の棋士の対局はここで行われることが多い。
施設
対局室には、水無瀬の間、錦旗の間、芙蓉の間、御下段の間、御上段の間がある。特に5階は、江戸城本丸で(御城将棋)等の公式行事に使用された御黒書院(おんくろしょいん)を模した作りとなっている[2]。このほか対局には使用しない和室(御入側の間[3])、多目的ルームがある。
東京と同様、将棋道場、将棋教室なども設けられている。4階には将棋博物館が併設されていたが、2006年10月に閉館となった。
フロア
※2015年1月現在。
5階 | 対局室(芙蓉の間、御下段の間、御上段の間)、和室(御入側の間) |
4階 | 対局室(水無瀬の間、錦旗の間)、多目的ルーム |
3階 | 事務所、棋士室(関係者控室)[4][5]、宿泊室[6] |
2階 | 道場、青少年研修室[6] |
1階 | 販売、レストラン「イレブン」、カフェ・ダイニング「サーレアンドぺぺ」 |
将棋博物館
関西将棋会館の4階にある博物館で、日本将棋連盟が保有している将棋関連の資料を展示していた。中将棋・大将棋などの日本の古将棋(大局将棋は展示されていない)を復元した盤駒やチャトランガ・シャンチーなど同系統ゲーム、木村義雄十四世名人の家族から寄贈された将棋盤などが展示されていた。1981年には、名人三家のひとつである大橋家に残された古文書が寄贈されている。
2006年10月31日にスペース不足を理由として閉鎖され、所蔵品は大阪商業大学アミューズメント産業研究所に移管された。移管後は所蔵品の一部が同研究所内に常設展示されているほか、将棋に関する特別展示も不定期ながら開催している。
掛け軸
関西将棋会館の御上段の間には、四幅対の掛け軸がかけられている。これは、名人が実力制となって以降の(永世名人)四名の書で、『老子』の第二十五章から引用されている。
- 「天法道(天は道に法(のっと)り)」(十四世名人木村義雄書)
- 「地法天(地は天に法り)」(十五世名人大山康晴書)
- 「人法地(人は地に法り)」(十六世名人中原誠書)
- 「道法自然(道は自然に法る)」(十七世名人(予定)谷川浩司書)
ただし、永世名人は原則として引退後に襲位する称号であるため、揮毫者の谷川浩司が現役棋士である「道法自然」の掛け軸は、谷川が対局者もしくは立会人のときには外される。
旧施設
大阪では、天王寺から阿倍野筋をバスで10分ほど下った北畠に「関西本部」があった。元旅館だった建物を買い取ったもので二階建て[7]。1階が事務室・宿直室、2階が和室で、主に2階を対局場として使用した[8]。既に建物は取り壊され、2012年現在は駐車場となっている[8]。
移転計画
東京・大阪ともに建物の建設から35年以上が経過し老朽化が問題になっていることから、2018年6月に開かれた将棋連盟の棋士総会にて、今後の方向性を決めるための委員会として「会館建設準備委員会」を設置することを決議した。委員長には羽生善治が就任したほか、森内俊之・中村太地・久保利明らも委員として名を連ねている[9]。
関西将棋会館については、2021年2月に、2023年を目処に高槻市へ移転する方針が打ち出された[10]。高槻市は2018年に連盟と将棋の普及に関する協定を締結しているほか、元々桐山清澄・福崎文吾・浦野真彦ら同地出身・居住の棋士が多く「将棋のまち」を売り文句の一つとしている[11]ことなどから、今回の話につながったという。 予定地はJR高槻駅きた西口そばの高槻市営バスのロータリー交差点がある場所(地図)で、そのロータリーを移転させた跡地に建物を建設する計画[12]。連盟では現在の土地を売却した上で移転先の土地を購入する資金に充てるとしている。
その後連盟は公募型プロポーザル方式により建設を担当する事業者を募集し、2022年7月に大成建設に優先交渉権を与えることを明らかにした[13]。大成建設の案によれば、新会館は現行と同じ5階建てで、5階の特別対局室は従来同様に江戸城の「御黒書院」を模した作りとするほか、セキュリティにも配慮し1・2階を一般向けの道場やホール、3階より上を連盟職員及び棋士のエリアとする。また会館に隣接して「関西将棋の森」と題した公園を設け、会館1階の道場と公園が一体となった運用も想定した作りとする[14]。一方で、飲食店等テナントの入居は想定していない。
脚注
- ^ “高槻市移転の関西将棋会館 藤井2冠のホームグラウンドが駅徒歩1分に”. スポニチアネックス. (2021年2月22日)2021年2月23日閲覧。
- ^ コラム1 旧将棋博物館 - 大阪市
- ^ 本日の関西将棋会館 - マイナビ女子オープン中継ブログ・2011年10月14日
- ^ 4年ぶりに行った大阪・福島の「関西将棋会館」 - 田丸昇のと金横歩き・2012年4月23日
- ^ 棋士室への差し入れ - マイナビ女子オープン中継ブログ・2015年10月22日
- ^ a b 関西の「将棋世界」に行きたくなる?関西将棋会館に山口女流1級が潜入し、将棋道場や対局室などを隅々までご案内します! - 日本将棋連盟・2018年6月20日
- ^ 将棋会館今昔 - 将棋ペンクラブログ・2015年4月11日
- ^ a b 大阪・北畠の旧関西本部の思い出と今は駐車場になっている跡地 - 田丸昇のと金横歩き・2012年4月30日
- ^ 将棋会館建設準備委が発足 - 共同通信・2018年6月8日
- ^ 【独自】藤井人気・老朽化で対局室拡充求める声、「西の聖地」関西将棋会館が移転へ - 読売新聞・2021年2月21日
- ^ 将棋のまち 高槻 - 高槻市
- ^ 高槻市移転の関西将棋会館 藤井2冠のホームグラウンドが駅徒歩1分に - スポーツニッポン・2021年2月22日
- ^ 新関西将棋会館整備 優先交渉権者決定のお知らせ - 日本将棋連盟・2022年7月8日
- ^ 提案書