『郵便配達人ジョゼフ・ルーラン』(ゆうびんはいたつにんジョゼフ・ルーラン)は、1888年8月にフィンセント・ファン・ゴッホによって描かれた絵画。
概要
ゴッホはフランスのアルルで近所に暮らしていたルーラン一家をモデルにして複数のポートレイトを描いている。夫人を描いたものに『ルーラン夫人ゆりかごを揺らす女』がある。
モデルとなったジョゼフ=エティエンヌ・ルーラン(1841年4月4日 - 1903年9月)について、ゴッホは手紙で郵便配達人としているが、実際には駅の郵便物取扱係であった。妹ヴィル宛ての手紙で彼を「頭部はソクラテスに似て、鼻はほとんどあるかなしか、(中略)たっぷりとしたごま塩の髭、大きな耳を持ってる。この男は強烈な共和主義者にして社会主義者で、議論もなかなか上手い」と評している。
ゴッホはルーランをモデルにした絵を6点残しており、そのうち1889年4月に描かれた胸像の背景に花を散りばめた3点については、モデルとなったルーランが仕事の都合で同年1月にマルセイユに移住していることから、以前に描かれた同じ構図の2点を模写したものと考えられている。
ギャラリー
1888年8月初頭(F433、JH1524)
油彩、キャンバス、64.1 x 47.9 cm
デトロイト美術館蔵。1888年11月-12月(F434、JH1647)
油彩、キャンバス、65.0 x 54.0 cm
ヴィンタートゥール美術館蔵。1989年4月(F435、JH1674)
油彩、キャンバス、67.5 x 56.0 cm
バーンズ・コレクション蔵。1989年4月(F436、JH1675)
油彩、キャンバス、64.0 x 54.5 cm
ニューヨーク近代美術館蔵。1989年4月(F439、JH1673)
油彩、キャンバス、65.0 x 54.0 cm
クレラー・ミュラー美術館蔵。
脚注
- ^ 『一枚の繪』2017年8月号、一枚の繪株式会社、 107頁。