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辛子明太子

辛子明太子(からしめんたいこ)は、スケトウダラ卵巣たらこ)を塩漬け熟成し、塩抜き後に唐辛子昆布砂糖醤油などの調味液に漬け込んで発酵させた惣菜である。釜山の「唐辛子をまぶした塩漬けタラコ」である「明卵漬」が由来であり、ふくや川原俊夫が日本人向けに製造法を変更し、砂糖を加えるなど味付けの塩辛さを減らして生み出された[1][2]。ふくやが製造法を独占せずに他企業へ教えたことから日本全国へ普及した[1][3]

辛子明太子

概要

発祥は、朝鮮半島の釜山の料理の、「ニンニク・唐辛子をまぶした塩漬け発酵したスケトウダラの卵巣」である明卵漬(ミョンランジョッ)である。これを鰹節や砂糖などを用いて、日本人好みの味に改良したことからである。スケトウダラと唐辛子を使う点は同じだが、日本人の製法·味が和風に一定部分改良されている。韓国式と日本式の最大の違いは、日本式は塩度と調味料を非常に弱くすることにある。赤唐辛子を利用する「メンタイコ」は釜山に由来し、韓国では「明卵漬」(ミョンランジョッ、명란젓)と呼ばれ、塩漬けだけを利用する方法は北朝鮮の咸鏡道地方で主に食べられ、これを「白明卵漬」(ペㇰミョンランジョッ、백명란젓)と呼ぶ。[4][5][6][7][8][9][2][10][11]

語源

スケトウダラのことを朝鮮語で明太(명태、myeongtae、ミョンテ) と呼ぶことに由来するという[12]。朝鮮王朝時代の日記である『承政院日記』の孝宗三年(1652年)の条に「明太卵」と記載されているのが「明太」の語の初出である。朝鮮王朝時代末期の学者である李裕元が記した『林下筆記』によると、「明太」の語の由来は、明太を釣り上げた明川郡の「太」を氏とした漁師に由来するという。なお、朝鮮半島東南部の方言では、「明太」を「メンテ」と発音する。ただし、現代朝鮮語においてはタラコのことを「明卵」(ミョンラン、명란)と呼ぶため、明太子という表現は日本独自のものである[13]

なお、日本で「」の字が文書に現れるのは1670年であり、そもそもは「スケト」という呼び名だった。中国では普通話(標準語)ではスケトウダラのことを「黄線狭鱈」(繁体字: 黃線狹鱈簡体字: 黄线狭鳕拼音: huángxiànxiáxuě)と呼ぶが、東北官話中国東北部の方言)ではスケトウダラを「明太魚(明太鱼míngtàiyú、ミンタイユィ)」と呼ぶことがあり、ロシア語でも「минтай(mintaj / mintay、ミンタイ)」と呼ぶことがある事からロシア起源と言う主張もある。

韓国での明太は日本のたらこと違い辛み付けされており、その為意味としてはたらこ=明太子=スケトウダラの子であるが食品としての味は異なる。 下関博多をはじめとする西日本の一部地域では、唐辛子を使わないいわゆる「たらこ」を示す言葉として辛子明太子と使い分けられている[14]

ロッテホテルによると、川原俊夫が明卵漬(鱈子キムチ漬け)は塩辛く、そのままでは日本人受けしなかったため、唐辛子粉、鰹節、酒の調理液に漬け込む方式を開発した。これを「十日恵比須神社大祭」で商売繁盛の日である昭和24年1月10日に「味の明太子」として販売した[2]


今日では「明太子」は辛子明太子を指す言葉として用いる人が多く、さらには「めんたい」と略されて「めんたいスパゲティー」や「めんたいロック」など九州博多の代名詞としても用いられることもある。これは元々たらこを示す言葉としての「明太子」が使われない地域に、お土産や特産品として「辛子明太子」がもたらされ、やがてその略称としての「明太子」が全国的に広がったためと考えられる[14]

歴史

 
韓国の明卵漬

明卵漬(「メンタイ」「まぶし型」)

昔の朝鮮半島の文献によると、明卵漬の製造は発酵させることをベースとしていた。塩漬けして発酵させた後、トウガラシ粉とニンニクを加えてまぶした。塩漬けさせて発酵させるため、水分が抜けて、タラコの身が引き締まるが、塩辛い味である。ロッテホテルマガジンは低塩で日本人向けの甘めの調味液で漬けた明太子とは異なり、濃度の高い塩で発酵させた「明卵漬」は日本人には塩辛い味と解説している[2]

日露戦争直後から太平洋戦争中にかけて、鉄道省(後の日本国有鉄道→現・JRグループ)は下関と当時日本領であった朝鮮釜山との間に関釜連絡船を運航していた。また、中国との定期連絡船も存在し、スケトウダラ(明太魚)の辛子漬け(明太卵漬け)を運んでいた。朝鮮側の連絡船では釜山を経由して、明太の卵巣の辛子漬け(「明卵漬(明卵젓 / 명란젓、myeongranjeot、ミョンランジョッ)」)が下関へ輸入された。

朝鮮半島に住んでいた日本人は明卵漬を「メンタイ」と呼んだ。当時「メンタイ」と呼ばれた明卵漬は、塩漬けにした卵巣に唐辛子を振りかけて作る「まぶし型」で製造されていた[7][1]。ふくや創業者川原俊夫の孫である川原武浩社長は明卵漬と明太子の差異について、明卵漬は塩漬けにした卵巣に、タレと唐辛子に漬け込まれており、唐辛子やニンニクで漬け込んだ現代の「タラコのキムチ」「タラコのチャンジャ」に近い味であり、日本人には舌が千切れるくらいの辛さであると述べている[15]

辛子明太子(ふくや開発,「漬け込み型」)

ふくや川原俊夫が若いころに釜山で食べた明卵漬の記憶を基に、そのままでは日本人受けしない味なため、新たに塩で漬け込む製造法で辛子明太子を開発した。ふくやは「明卵漬」「まぶし形」戦後にそのまま売ろうとしたが、日本人には辛すぎて売れず、新製造法である「漬け込み型辛子明太子」を開発した。それでも辛さで朝鮮半島引き上げ日本人以外には敬遠されたため、調味液を白砂糖黒砂糖角砂糖ザラメ蜂蜜など出来る限りの甘味を加えたり、酒やかつおぶしや昆布の出汁でうま味やコクも加える試行錯誤をし、「辛子明太子」を開発した。辛子明太子は「明卵漬」のように発酵させる程塩漬けするのではなく、低い(塩度)で漬けるのが基本である。これにかつおだしや酒、トウガラシ粉、みりんなどを使い、トウガラシ粉以外は日本式の熟成調味料のため、辛さはやや控えめとなった。ふくやは約10年かけて生み出した製造法を独占せずに他企業へ教えた。そのため、日本全国へ明太子が普及した。後に塩漬けにしたタラコへ唐辛子をまぶして作る伝統的「明卵漬」は徐々に減っていき、調味液漬けの辛子明太子形がほとんどとなった。韓国でさえもまぶして作る、伝統的な製造法の明卵漬はほとんどなくなってしまって、逆輸入された日本風の明太子がその位置を占めるほどとなっている[4][7][9][16][1][3][2]。この漬け込みでは「乳酸発酵」を伴う。漬け込みに際しては、各社工夫をして異なる方法や副材料を使用する事もある。

国内外普及と「漬け込み型明卵漬」の登場・伝統的まぶし型明卵漬の衰退

 
辛子明太子と野沢菜をのせた弁当のご飯

ふくやが製造法を教えたため、その後を追って、1960年代には多くの同業者が設立された。1962年頃にふくやの斜め前と隣の2軒の店が、教えられた製造法で明太子を販売するようになった。1967~68年ごろには製造法を俊夫から教えられた大手の明太子メーカーが次々と開業した[3]。ふくやの社員たちが「商標登録や製法特許を取るべきだ」と訴えると、俊夫は漬物を引き合いに、「漬物にはさまざまな味がある。同じ大根でも白菜でも、漬け方ひとつで味は変わる。家庭ごとでも味が違う。そんな漬物に商標はあるか? 製法特許はあるか? 明太子だって誰が作ってもいいではないか」と説得している[3]。1975年に山陽新幹線博多駅まで繋がり、東京博多間全通後に設立された福さ屋が新幹線駅や東京の三越百貨店等へ販路を築き、全国的に知れ渡るようになった。近年では料亭や老舗醤油メーカーなども明太子を扱うようになり、良質の原材料を贅沢に使用した高級品の研究も進んでいる。1980年代には土産物の販売ルート以外にも、百貨店・量販店で広く販売されるようになり、全国でおにぎりパスタの具として広く利用・販売されている。2007年には、おにぎりなどの加工用辛子明太子の出荷量が、ついに土産用の辛子明太子の出荷量を逆転した。

新幹線開通後に明太子は全国区となったが、2016年にふくやの川原正孝社長は、「ふくやだけが明太子を独占販売していれば、恐らく(日本全国へ)広がらなかったと思います」とし、製造法を他社へ教え続けた俊夫を支持している[3]

2018年11月辛子明太子(めんたいこ)製造販売「蔵出しめんたい本舗」が、ニシンの卵数の子を辛い調味液に漬け込んだ「数太子(すうたいこ)」を開発。数の子ならではの食感、うまみ、辛さが特長で、おせち料理や歳暮向け高級食品として販売[17]

ふくや創業者川原俊夫の孫である川原武浩社長も由来である「明卵漬」は、スケトウダラの卵巣を塩と唐辛子、ニンニクや胡麻などと発酵させたものであり、スケトウダラの卵巣版チャンジャと解説している[15]

販売形態と産地

辛子明太子は、その形状によって販売価格・流通経路が大きく異なる。

卵巣の形を保ったままのものは「真子(まこ)」といい、比較的高値で取引される。主に贈答や接待に用いられる。皮が切れたものを「切れ子(きれこ)」と称し、比較的安価で家庭用として好まれる。さらにまったく形がなく粒のみのものを「ばら子(ばらこ)」という。ばら子はパック詰めにして業務用に使用されたり、チューブに入れたりして販売されている。切れ子には少し切れただけのものから、ほとんどばら子に近いようなものまで多種が存在する。なお、真子・切れ子・ばら子の品質には特に違いはない。さらに、明太子の原料は戦前の頃に比べはるかに細く痩せてしまったといわれるが、細い明太子に別のばらこを注入する技法も生み出された。

明太子の産地について、原料となるスケトウダラの卵は日本近海、アメリカ・アラスカロシアなどで獲れたものが中心であり、スーパーで見かけるものの多くがアメリカ産・ロシア産となっている。 1970年代から日本のODA援助により大型船を手にした韓国の財閥各社が北海道沿岸の定置網から横取りしたスケトウダラの卵を博多の各業者に輸出することで安価な辛子明太子が流通するようになった。 近年比較的安価で売り出されている「原産地 中国」と表記されたものを見かけるが、これは上述の卵を中国で加工した中国加工製品であり、中国産の原料卵を日本で加工しているわけではない。なお2009年頃、不況や中国をめぐる食品問題のあおりを受け、中国に工場を構える業者の多くが撤退を開始していたが、近年再び中国加工のものが増え始めてきた。

食べ方

副菜としてそのまま、もしくは好みにより軽く焼いて食卓に供する。また、酒肴やおにぎり、お茶漬けの具材としても好まれる。NTTドコモ「みんなの声」における「好きなごはんのお供ランキング」では、「辛子明太子」が一位であった[18][19]

洋食に取り入れられることも多く、ほぐした辛子明太子をマヨネーズと和えて「めんたいマヨネーズ」としたり、バターライスに混ぜたりスパゲッティに用いることもある。

また、パン屋では明太子をバターマーガリンマヨネーズ等と合わせてペースト状にし、フランスパンに塗った「明太子フランス」がよく売られている[20]

参考文献

  • 平井明夫著・社団法人日本水産学会監修 『魚の卵のはなし』 (成山堂書店、2003年)(ISBN 978-4425851614)
  • 藤川祐輔「博多の起業家―福さ屋・佐々木吉夫を中心として― 」(中村学園大学『流通科学研究』 4巻1号、2004年10月1日) 43-56頁 NAID 110006405795
  • 今西一・中谷 三男 『明太子開発史 - そのルーツを探る』 (成山堂書店、2008年)(ISBN 978-4425883714)

関連項目

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ a b c d 「感動する会社は、なぜ、すべてがうまく回っているのか?」 p37,藤井正隆 , 2011年
  2. ^ a b c d e “釜山、明卵の街” (朝鮮語). www.lottehotelmagazine.com. ロッテホテル. 2023年2月10日閲覧。
  3. ^ a b c d e “最初はまったく売れなかった明太子、どうやって福岡から全国区に?”. ITmedia ビジネスオンライン (2016年4月18日). 2023年2月10日閲覧。
  4. ^ a b c 玉置標本 (2018年4月2日). “なぜ明太子が博多名物なのか、ふくやの社長に聞いてみた”. デイリーポータルZ. 2021年10月16日閲覧。 “スケトウダラの卵巣を塩と唐辛子、ニンニクや胡麻などと発酵させたもので、今の明太子というよりは、チャンジャに近いものだったみたいです。 スケトウダラの胃や腸で作ったものがチャンジャで、卵巣で作ったものが明卵漬。 ややこしいのが今の韓国に伝統的な明卵漬はほとんどなくなってしまって、日本風の明太子ばかりなんです。若い韓国人からは「韓国の明太子が日本にもあるのか」と言われるのですが、一周回って文化が行き来をした結果なんですよ。”
  5. ^ るるぶ福岡 博多 天神’21 -p10,2020
  6. ^ “福岡 博多明太子 | 九州の味とともに 冬 | 霧島酒造株式会社”. www.kirishima.co.jp. 2021年10月16日閲覧。
  7. ^ a b c INC, SANKEI DIGITAL (2016年10月5日). “【九州の礎を築いた群像】辛子めんたいこ編(2)誕生”. 産経ニュース. 2021年10月16日閲覧。 “「明卵漬は売れるんじゃないか」。そう考えた川原は24年1月、メンタイの販売に踏み切った。入れ物がなく、しっかり洗った金魚鉢に詰めて店頭に並べた。もくろみは外れ、売れ行きは悪かった。”
  8. ^ “カラシメンタイコ eヘルシーレシピ - 第一三共株式会社”. eヘルシーレシピ - 第一三共株式会社. 2021年10月16日閲覧。
  9. ^ a b “「明太子」誕生物語り | ふるさと歴史シリーズ「博多に強くなろう | 地域社会貢献活動 | 西日本シティ銀行について | 西日本シティ銀行”. www.ncbank.co.jp. 2021年10月16日閲覧。
  10. ^ “博多・辛子明太子を生んだ「変な会社」の真髄”. 東洋経済オンライン (2018年11月7日). 2023年2月10日閲覧。 “辛い物を食べ慣れない日本人の口には合わない。「辛すぎる」と発売翌日にクレームが入り、ほとんど売れなかったという。俊夫さんはめげることなく、持ち前の探求心で旨味や風味を残しながら辛みを抑える方法を研究。唐辛子を微粉にしたくて、京都の香辛料メーカーに相談するほどのこだわりようで、改良を重ねた。”
  11. ^ https://www.donga.com/news/Opinion/article/all/20220728/114714330/1
  12. ^ 八塩圭子「中小・中堅企業の発信力の研究― 明太子の「ふくや」の事例を通して―」(『 學習院大學經濟論集』 52巻4号、 2016年1月) p.157-173, hdl:[//hdl.handle.net/10959%2F3983 10959/3983
  13. ^ 今西一・中西三男『明太子開発史』成山堂書店、2008年8月28日、81頁。ISBN (9784425883714)。 
  14. ^ a b “”. 市場ネットワーク. 2003年1月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2003年1月24日閲覧。
  15. ^ a b 玉置標本 (2018年4月2日). “なぜ明太子が博多名物なのか、ふくやの社長に聞いてみた”. デイリーポータルZ. 2023年2月10日閲覧。 “明卵漬はスケトウダラの卵巣を塩と唐辛子、ニンニクや胡麻などと発酵させたもので、今の明太子というよりは、チャンジャに近いものだったみたいです。ややこしいのが今の韓国に伝統的な明卵漬はほとんどなくなってしまって、日本風の明太子ばかりなんです。若い韓国人からは「韓国の明太子が日本にもあるのか」と言われるのですが、一周回って文化が行き来をした結果なんですよ”
  16. ^ 全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会
  17. ^ 明太子じゃなく「数太子」発売 鳥栖市の蔵出しめんたい本舗|経済・農業|佐賀新聞ニュース|佐賀新聞LiVE
  18. ^ NTTドコモ「みんなの声」の「好きなごはんのお供ランキング」28785票(2011/5/15〜5/28)中、第一位が「辛子明太子」
  19. ^ goo 第一位が辛子明太子
  20. ^ めんたいフランスはうまい(デイリーポータルZべつやくれい執筆)
  21. ^ “チャンジャとは?簡単な作り方もご紹介!”. DELISH KITCHEN. 2021年10月16日閲覧。

外部リンク

  • 辛子めんたいこの話(全国辛子めんたいこ食品公正取引協議会)
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