貨物船ジャグ・ドゥート爆発事件(かもつせんジャグ・ドゥートばくはつじけん)は、1989年2月16日に横浜市で発生した事件である。翌日の2月17日に横浜地方海難審判理事所により「重大海難事件」に指定された(1991年3月19日裁決言渡し・横浜地方海難審判庁)[3][4]。
概要
ヨーロッパで貨物を積んで出港したインド船籍の貨物船「ジャグ・ドゥート号」は、1988年11月26日にエジプトのポート・サイド港にてC重油を470キロリットルほど給油した後、インド北東岸のハルディア港にてヨーロッパからの積荷を揚荷した[4]。その後、ハルディア港に近いパラディップ港に移動して鉄鉱石約21,000トンを積み、1989年1月26日に出港。1月31日にシンガポールのシンガポール港にてC重油を173キロリットルほど給油(補油)し、2月12日朝に広島県の福山港に入港して揚荷した[4]。
2月14日午前8時頃、船は福山港を発して京浜港へと向かい、2月15日の午後10時12分に京浜港横浜区の検疫錨地に錨泊。2月16日午前10時12分に抜錨し、船の定期検査と冷却装置の工事のため、同日11時35分に2号ドックに入渠した[4]。この時点で燃料タンク内にはまだ8.5キロリットルほどの残油があり、エジプトでの給油分とシンガポールでの給油分が混ざっていたと考えられている[4]。この燃料に引火したことで後に爆発・火災が発生したということである。
同日に船の機関室内で溶断作業中、飛散した火花類に、C重油タンクの開口部から漏えいして甲板上に滞留する石油ガスが引火し、その火炎が右舷C重油セットリングタンクマンホール蓋のすき間からタンク内に入り、石油ガスに着火して、午後3時25分ごろに同タンクが爆発し、着火したタンク内の油が破口から噴出して飛散し、機関室各部に火災が生じた[4]。爆発の結果、船は右舷C重油セットリングタンクの前壁が大破し、火災によって機関制御室、工作室、などが焼損し、廃船となった。この大事故により、乗組員2人と作業員等10人が死亡したほか、乗組員8人と作業員3人が負傷した[4]。
脚注
外部リンク
- 貨物船ジャグ・ドゥート爆発事件 - 海難審判所