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裸祭り

裸祭り（はだかまつり）は、男性参加者が褌姿など裸体に近い姿、または全裸で参加する日本の祭り。

西大寺会陽の参加者

概要

裸祭りとは祭りの参加者（氏子）が、生誕した時と同じ裸体となることで清浄無垢の姿で神との交渉を行う神聖な祭事とされ[1]、禊として厄を落として新たに生まれ変わる神事と、闘争を伴い、その年の五穀豊穣・豊作祈願・大漁祈願を占う神事の二つに大別されている[1][2][3]。

裸祭りは正月の修正会（しゅじょうえ）の最後[4]か、川祭、夏越し祭りの折に開催されることが多い。正月の裸祭りは物忌を終えた氏子が新しい生命を得て復活した姿を示すものであり、夏の裸祭りは穢を払う禊を起源を持つと言われる[3]。

裸祭りは全国的に行われており、正月の裸祭りでは岩手県奥州市水沢区の(黒石寺蘇民祭)、愛知県稲沢市の尾張大国霊神社(通称：国府宮神社)の儺追（なおい）神事、岡山市西大寺の会陽（えよう）、福岡市東区の筥崎宮の玉せせりなどがあり、夏の裸祭りでは東京都品川区荏原神社の天王祭り、京都市賀茂神社の夏越し祭りなどが著名[3]。常陸大宮市の祇園祭は毎年2日間開催され、1日目は男児が子供神輿を、2日目は褌姿の成人男性が大人神輿を担いでいる。

参加者の性別

参加者は、基本的に多くが男性である。 男性が裸で参加する一方で着衣の女性がそれを見物し撮影することが問題となったため、近年では全裸で行う祭りは少なく、ふんどしなどを着用した上で参加するケースが多くなっている。 宗教学者佐木秋夫によると、少なくとも過去には女性による裸祭りがあったらしい[5]。

土浦の大波神社の旧6月4日の宵宮には娘たちが裸で拝殿前のたき火を回りつつ歌い、終わって巫女（みこ）が水につかる裸行事があった。宮古島には裸体で山ごもりする行事があり、＜のろ＞が全裸で秘儀を行った。奄美大島にものろが裸で渓流に入る秘儀がある。

上記のようにこれらは一般大衆が参加するような祭りではない。

歴史

毘沙門堂裸押合い祭（新潟県南魚沼市）

約1,200年前から受け継がれる大祭で、2018年（平成30年）に国の重要無形民俗文化財に指定された[6]。本尊の農業の神・毘沙門天が開帳される初詣の正月3日に、周辺の農民が多数訪れ、早く参拝しようと押し合う中で次第に裸となり、裸押合いが始まったとされ[7][8]、1841（天保12）年発売の『北越雪譜』（鈴木牧之著）でも、当時の参拝者が裸で押し合う様子が描写されている[7][9][10]。時代を経て長年3月3日に行われて来たが、2020年（令和2年）より3月最初の土曜日に変更となった。

西大寺会陽（岡山県岡山市）

寺伝によれば、室町時代の永正年間に忠阿上人が参拝者に守護札を授与していたが、希望者が増えたため、1510（永正7）年に参拝する群衆の頭上に牛玉（紙製の守護札）を投げ与えた所、奪い合いになったのが会陽の始まりとされる[11][12]。札を奪い合う群衆は当初は着衣だったが、動きやすくなるために次第に裸になっていったと推測され[11][12]、1661（寛文元）年の年紀を持つ縁起本に会陽初期の様子を表した絵図があり、裸と着衣の人間が入り交じって描かれている[4][13]。

全国の裸祭り

北海道地方

東北地方

関東地方

中部地方

近畿地方

中国地方

四国地方

九州地方

台湾の裸祭り

脚注

  1. ^ a b 「裸祭り」、『世界大百科事典』（平凡社）、22巻、pp.553-554。
  2. ^ 「裸」、『世界大百科事典』（平凡社）、22巻、pp.552-553。
  3. ^ a b c 「裸祭り」『ブリタニカ国際大百科事典』。
  4. ^ a b 岡山県教育庁文化財課（編）、2007、「会陽の歴史」、『岡山県の会陽の習俗』、岡山県教育委員会 p. 16
  5. ^ 「裸祭り」、『世界大百科事典（1970年版）』（平凡社）、18巻、p.103。
  6. ^ “浦佐毘沙門堂裸押合大祭が行われました”. 南魚沼市 (2022年3月8日). 2022年7月11日閲覧。
  7. ^ a b c “裸押合い大祭”. 裸押合い祭り実行委員会. 2015年7月29日閲覧。
  8. ^ a b “裸押合大祭”. 大和観光協会. 2015年7月29日閲覧。
  9. ^ 鈴木昭英「浦佐毘沙門堂裸押合いの昔と今 ―祭式儀礼を中心として―」『宗教民族研究』第20号、日本宗教民俗学会、2010年、47-48頁。 
  10. ^ 本田郁子「地域社会における伝承的身体表現に関する研究 ―新潟県南魚沼郡浦佐裸押合い祭りを事例として―」『山口大学教育学部研究論叢 ―芸術・体育・教育・心理―』第34巻第3号、山口大学、1985年、159頁。 
  11. ^ a b 岡山県教育庁文化財課（編）、2007、「西大寺会陽」、『岡山県の会陽の習俗』、岡山県教育委員会 p. 63
  12. ^ a b c “会陽 裸祭り”. 高野山真言宗別格本山 西大寺. 2015年7月29日閲覧。
  13. ^ 岡山県教育庁文化財課（編）、2007、「巻頭図版」、『岡山県の会陽の習俗』、岡山県教育委員会 p. 1
  14. ^ “寒中みそぎ祭り＆寒中みそぎフェスティバル”. 木古内町. 2015年7月29日閲覧。
  15. ^ “寒中みそぎ祭り”. 木古内町観光協会. 2015年7月29日閲覧。
  16. ^ “かもめ島祭り”. 江差町. 2015年7月29日閲覧。
  17. ^ “星の降る里・芦別健夏まつり”. 芦別市商工観光課観光振興係. 2015年7月29日閲覧。
  18. ^ “あかびら火まつり”. 赤平観光協会. 2015年7月29日閲覧。
  19. ^ “四季のイベント情報”. 藤崎町. 2015年7月29日閲覧。
  20. ^ “七日堂裸詣り”. 柳津町. 2015年7月29日閲覧。
  21. ^ “七日堂裸詣り”. 柳津観光協会観光案内所. 2015年7月29日閲覧。
  22. ^ “二井山裸参り”. 横手市観光連盟. 2015年7月29日閲覧。
  23. ^ “裸参り”. 盛岡観光コンベンション協会. 2015年7月29日閲覧。
  24. ^ “祭事 松焚祭”. 大崎八幡宮. 2015年7月29日閲覧。
  25. ^ “こごたどんと祭”. 美里町. 2015年7月29日閲覧。
  26. ^ “歳時記・イベントカレンダー”. 会津坂下町. 2015年7月29日閲覧。
  27. ^ “東北の奇祭 やや祭り”. 庄内町観光協会. 2015年7月29日閲覧。
  28. ^ “裸参り”. 新山神社裸まいり. 2015年7月29日閲覧。
  29. ^ “奥州市観光サブサイト 黒石寺蘇民祭”. 奥州市. 2015年7月29日閲覧。
  30. ^ “第50回春を呼ぶ裸たるみこし”. 栗原市観光物産協会. 2015年7月29日閲覧。
  31. ^ “湯之沢裸まつり（長松垢離とり）参加者募集中！”. 西和賀町. 2015年7月29日閲覧。
  32. ^ “小高の裸参り”. 匝瑳市. 2015年7月29日閲覧。
  33. ^ “川原湯温泉湯かけ祭り”. 群馬県教育文化事業団. 2015年7月29日閲覧。
  34. ^ “和良比はだか祭り”. 四街道市. 2015年7月29日閲覧。
  35. ^ “内黒田はだか参り”. 四街道市. 2015年7月29日閲覧。
  36. ^ “江の島を彩る夏の風物詩「江の島天王祭」が今年も開催！”. 湘南新聞販売. 2015年7月29日閲覧。
  37. ^ “大和田氷川神社夏まつり”. 新座市. 2015年7月29日閲覧。
  38. ^ “甘酒祭”. 秩父市. 2015年7月29日閲覧。
  39. ^ “夏祭り（祇園祭）”. 日本観光振興協会. 2015年7月29日閲覧。
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  41. ^ “大原はだか祭り”. いすみ市. 2015年7月29日閲覧。
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関連項目

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