萩原 兼従（蘒原兼従）（はぎわら かねより、天正16年（1588年） - 万治3年8月13日（1660年9月17日））は、江戸時代前期の神道家。吉田兼治の子。母は細川藤孝（細川幽斎）の娘。室は高台院の姪。(萩原家（蘒原家）)の祖。
萩原兼従(狩野探幽筆。土津神社蔵、福島県立博物館寄託)
概要
1599年（慶長4年）、豊臣秀吉を祀る豊国社の正遷宮の式典が祖父・吉田兼見、父・兼治の主宰により執り行われる[1]。同年、兼見が、豊臣政権下で豊国社が最も尊崇を受ける神社であると考え、その社務職を吉田家で抑えることを画策[1]。兼見が当時10歳の兼従の後見人になるべく、兼従を養子とし萩原（蘒原）性を名乗らせ豊国社の初代・社務職に就任させた[1]。1615年（元和元年）大坂の陣で豊臣氏が滅亡すると、豊国神社は破却され、職を失った兼従は豊後国の領地に下った。伯父である細川忠興の計らいにより徳川幕府から特別に赦され、1000石を与えられ、本家・吉田家の後見役となる[1]。しかし、その境遇は世捨て人の立場であったが、神道学者としての名声は高く、水戸藩・徳川頼房からの信頼が厚く、水戸藩の神道研究に影響を与えている[1]。
1653年（承応2年）に吉川惟足が門下となるが、本来、一子相伝、血脈相伝の唯一神道を惟足に継承させた[2]。その背景として、吉田家を継いだ兼従の弟・吉田兼英とその子・兼起は病身であり、兼起は明暦3年（1657年）に没している[3]。また、自身は高齢であり、兼従の子は5歳と幼少であったため、継承させることができず、断絶の危機を感じていたためである[3]。
兼従の死後、吉田神社の境内に「神海神社」が創建された。