茶臼岳(ちゃうすだけ)は、赤石山脈(南アルプス)南部の長野県飯田市との静岡市葵区境界に位置する標高2,604 mの山で、日本三百名山[2]に選定されている。
概要
南アルプス国立公園内に位置し、山腹上部の東側がその特別保護地区、西側がその特別地域に指定されている[3]。山体は、チャートと緑色岩などから成る[4]。山頂付近は森林限界の境界付近で、ハイマツとダケカンバが混じり、ライチョウの生息地となっている。山頂から北約1.2 kmには、亀甲状土の「御花畑」と称する高山植物の群生地がある。南西約400 mの稜線上には、仁田池がある。北東約500 mの横窪沢の源流部には、1993年(平成5年)にリニューアルされた茶臼小屋がある。山名は、上河内岳側から眺めた茶碗を伏せたように見えるなだらかな山容に由来する[4]。
登山
1925年(大正14年)7月に、長野県の上村の遠山尚岳会が、神祠を上河内岳に安置する際に易老岳から赤石岳に縦走する際に登頂したことが記録されている[2]。
登山ルート
赤石山脈(南アルプス)の主稜線上にあるため、稜線上にある縦走路の登山道を歩く際に、登頂されることが多い。最短ルートは静岡県側からの畑薙大吊橋の登山口からのルートである。1957年(昭和32年)の静岡国体の際に、畑薙大吊橋から畑薙山(標高1,835.5 m)を経る小鳥尾根のルートが整備されたが、その後荒廃してほとんど利用されなくなり廃道となっている[2]。
- 畑薙ダムからのルート
- 南アルプス縦走路
- 便ヶ島など各登山口より - 聖岳 - 聖平 - 南岳 - 上河内岳 - 御花畑 - 茶臼小屋分岐 - 茶臼岳 - 仁田池 - 希望峰(仁田岳分岐) - 易老岳 - 光小屋 - 光岳 - 易老渡など各方面
周辺の山小屋
登山口や稜線上には、山小屋とキャンプ指定地がある[5][6]。登山シーズン中の一部の期間に有人の営業を行っている。最寄りの山小屋は茶臼小屋で、キャンプ指定地が併設されている。南アルプス国立公園内であり、キャンプ指定地を除き、全山幕営禁止となっている。小屋からは富士山を望むことができ、1997年から食事提供を開始した[7]。小屋の周辺では、水が湧き出し、シナノキンバイ、ニッコウキスゲ、ハクサンフウロなどの高山植物が見られる。かつては仁田池の脇に小屋があった。この池の水は飲用に適さない[4]。
地理
山頂から南西延びる稜線は、岩とハイマツの混じった二重稜線となっている。
周辺の山
山頂からは、富士山、聖岳、光岳など360度の展望がある。
山容 | 山名 | 標高 (m) | 三角点等級 基準点名[8] | 茶臼岳からの 方角と距離(km) | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
聖岳 | 3,013 | 北 5.9 | 日本百名山 | ||
上河内岳 | 2,802.95 | 二等 「上河内岳」 | 北東 2.5 | 日本二百名山 | |
茶臼岳 | 2,604 | 0 | 日本三百名山 | ||
(仁田岳) | 2,523.80 | 三等 「仁田岳」 | 南西 1.5 | 仁田池 | |
光岳 | 2,591.06 | 三等 「光岳」 | 南西 6.2 | 日本百名山 |
源流の河川
茶臼岳の風景と展望
茶臼岳登山
畑薙大吊橋 | ウソッコ沢 | 横窪沢小屋 | 茶臼小屋 | 茶臼岳 | 上高地岳から茶臼岳を望む |
脚注
- ^ a b “日本の主な山岳標高(長野県の山)”. 国土地理院. 2011年5月4日閲覧。
- ^ a b c 『日本三百名山』毎日新聞社、1997年3月、p.254頁。ISBN (4620605247)。
- ^ “南アルプス国立公園の紹介”. 環境省自然環境局. 2011年5月4日閲覧。
- ^ a b c 日本山岳会 編『新日本山岳誌』ナカニシヤ出版、2005年11月、pp.1067-1068頁。ISBN (4779500001)。
- ^ a b 『塩見・赤石・聖岳』昭文社〈山と高原地図 2011年版〉、2011年3月。ISBN (978-4398757821)。
- ^ 『山と溪谷2011年1月号付録(山の便利手帳2011)』山と溪谷社、2010年12月、pp.134-139、ASIN B004DPEH6G頁。
- ^ 山下春樹『赤石・聖・荒川三山を歩く』山と溪谷社〈フルカラー特選ガイド〉、1998年7月、pp.68-73頁。ISBN (4635171213)。
- ^ “基準点成果等閲覧サービス”. 国土地理院. 2011年5月4日閲覧。