芦田 太郎(あしだ たろう、1985年7月26日 - )は、演出家、プロデューサー。Amazon Studios所属。2022年までテレビ朝日総合編成局第1制作部(バラエティ番組制作)に14年間在籍。『』『』『トゲアリトゲナシトゲトゲ』『』(ともに企画・総合演出・P)を手掛ける。東京都世田谷区出身、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。父親は哲学者の芦田宏直。
経歴
幼少期・学生時代
(世田谷区立塚戸小学校)、世田谷区立千歳中学校、東京都立戸山高等学校、早稲田大学政治経済学部経済学科を卒業[2]。
幼少期から責任感が強く、学級委員長や生徒会長を務めた[3]。中学校の卒業式では、教師には秘密でプログラムにない曲を学年全員で歌うなどドッキリやサプライズを仕掛けることが好きだったという。 高校ではサッカー部キャプテン、大学ではサークル日本一を目指す稲穂キッカーズで副キャプテンを務め、2007年にはサークル日本一に。 特に『ダウンタウンのごっつええ感じ』『めちゃ×2イケてるッ!』から大きな影響を受けた[4]。
就職活動ではテレビ朝日以外に三井物産、電通、博報堂から内定を獲得。[5]進路に迷うが、当時『ロンドンハーツ』でCPをやっていた板橋順二から「芦田、テレビと代理店と商社の大きな違いは分かるか?代理店と商社は1から100、1から1億という付加価値を付ける業界だけど、テレビはゼロからイチを作るんだ。お前はどっちがいい? ゼロに何かけてもゼロだけど、俺らはそのゼロを1にできるんだぞ」という言葉に感銘を受ける。最終的に迷った末に「ゼロからイチ」を楽しみながら達成できるのはテレビしかないと思い、進路を決めた[2]。その過程を克明に描いた「芦田太郎のブログ」等は、その後多くの就活生に影響を与えた[6]。
テレビ朝日時代
2008年(平成20年)テレビ朝日入社。総合編成局1制作1部(現在は第1制作部)に配属。寺田伸也班として、爆笑問題の『雑学王』と『検索ちゃん』のアシスタントディレクター(AD)を担当。[2]。
2010年(平成22年)初めての自分の企画『キャラブレイク』の企画書が通り、特番のP・演出を経験する。 この番組はアンタッチャブルの山崎、おぎやはぎ小木、ビビる大木が芸能界でキャラに悩む芸能人の相談者をイジりながら新キャラを発掘するというバラエティ番組。 進行は芦田の同期である竹内由恵アナウンサーが務めた。
2011年(平成23年)『関ジャニの仕分け∞』、奥川晃弘(現在総合編成局次長兼総合編成部長、元第2制作部の部長)が率いる奥川班に異動。 『関ジャニの仕分け∞』のチーフADを1年半経験する。[2]。
同番組ではディレクターとして人気企画となった柔軟女王決定戦を担当し、この企画で知名度を上げたSKE48須田亜香里を見出す。 さらに横山裕、大倉忠義が高卒認定試験に挑んだ「高卒認定試験合格出来るか仕分け」などを担当。[7] 『関ジャニの仕分け∞』番組終了とともに『関ジャム 完全燃SHOW』の立ち上げに携わる。
2015年(平成27年7月には自身が企画する番組『』が「お願い!ランキング」枠で放送される。 「卒業以来会っていない同級生は今、一体何をしているのか?」を番組が調査するドキュメントバラエティ。 企画の着想は、芦田自身が高校のサッカー部の結婚式に行った際に、ある友人の消息がつかめず、「あいつ今何してる?」と周囲の友人と話が盛り上がったこと。 帰宅後、「誰もが一人はいるはずの気になるあいつ」を代わりにテレビが探してくれたら喜ぶ人はたくさんいるのでは?と企画書を書いたという。
2015年(平成27年)10月から土曜0:45 - 1:15の枠でレギュラー放送がスタートする。[2]。 その後、レギュラー放送からわずか半年の2016年(平成28年)4月からゴールデンタイムの水曜夜7時枠でレギュラー放送開始。
2019年(令和元年) 自身の企画番組『』がスタート。 3回のトライアル特番を経て2020年(令和2年)土曜夜9時55分枠でレギュラー放送開始。 日本国内では毎週のようにTwitterでトレンド入り、韓国、中国、台湾をはじめとするアジアの13の国と地域でも番組配信。 これは日本のバラエティ史上初めてのことである。[8] 中国の動画配信サイト「bili bili(ビリビリ)」での総再生数は1億回を超える。[9]
これまでネガティブなワードとして認識されていた「あざとい」の解釈をポジティブに書き換え、その象徴として田中みな実と弘中綾香をキャスティング。 「あざとい=処世術」という解釈がバズり、さまざまな女性誌やファッション誌で「あざとい」がキーワードに取り上げられる。[10]
『あざとくて何が悪いの?』『トゲアリトゲナシトゲトゲ』『』の演出、プロデューサーを担当する。その他にAマッソのYouTubeチャンネルも監修として参加している。
Amazon Studios時代
2022年(令和4年)11月発売のFRIDAY (雑誌)にて年内いっぱいでテレビ朝日を退社しAmazonへと転職、Amazon Prime Videoの制作を担当することが掲載された[11]。2023年(令和5年)1月1日、自身のSNSで正式に退社の報告とAmazon Studiosへ転職することを発表。文末を「これからは、Amazon StudiosでAmazon Prime Videoで配信されるバラエティ・ドキュメンタリーコンテンツを”0から1”していくことが新たな自分の目標となり、モチベーションになります。」と締めくくる[12]。
人物
- 読書家。好きな作家は村上龍、阿部和重、木下古栗、川上未映子、松田青子[2]
- 映画好き。好きな映画監督はデヴィッド・フィンチャー、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、ヨルゴス・ランティモス [2]
- 好きな言葉は「永遠に挑戦者であることは出来ない。しかし、挑戦者の感覚を持続できない奴は前に進めない。」(村上龍・1976芥川賞受賞の言葉)[2]
- 同期に『激レアさんを連れてきた。』の演出・舟橋政宏[2]
制作逸話
- 番組タイトルは、1行で内容を伝えられるわかりやすさとインパクトを重視する[13]。
- 週刊文春の取材で日本テレビのバラエティー番組を牽引してきた五味一男が「いま、注目してる番組は?」と聞いたところ、『』と即答。「本当によくできた、ありそうでなかった番組だ」とべた褒めした[2]。
- 志村けんが『』のゲストに来たとき「ゲストと同級生が直接会わない。スタジオでVTRを見る。どの同級生が登場するかもゲストには教えない。スタジオのセットが映画館みたいになっている、そういうシステム良いよね」と芦田の演出を褒めてくれたことに非常に感動したという。[2]。
- 『あいつ今何してる?』をみた加地倫三から、「お前の相槌が早すぎて驚いた。普通だったら編集点考えて間をあけるけど、逆にあれが芸能人のテンションと会話のテンポを上げてるから良いのかもね」と褒められた。芦田は、会話のテンポ、テンションをできるだけ上げた状態で話してほしくて意図的にやっているとインタビューで答える。その狙いとして、気になる同級生の思い出話をするテンションとか、興奮のバロメーターがリアルに上がっていかないと、見ている視聴者の方は「ただの思い出話」を聞いていられないと思う。だから楽しいエピソードを楽しそうに話している姿を最大限引き出すための手法だという。[2]。
- 芦田と多くの番組を手がける放送作家のそーたには『あいつ今何してる?』(テレ朝)の芦田(太郎)くんと仕事してると、すごく効率がいいなぁと思いますね。芦田くんはまだ30代前半なんですけど、相談事は会議を待たずにすぐグループLINEで来るので、会議は異常に短い。それにVTRが1本上がるたびに「チェックお願いします」とすぐにデータで送られてくるので、みんなで会議室に集まってVTRをプレビューすることもない。あと、テレビマンってだいたいギリギリまで粘って作る、いわゆる“ケツ合わせ”の人の方が多いんですけど、芦田くんって超前倒しなんですよ。たぶん、企画書を来週までに出せって言われても、翌日には出してるんじゃないかっていうくらいの感じ。それが一緒に仕事してていいなぁと思って、自分も見習って何事も前倒しにしてみたら、この方が自分には合ってるなと気がついたんです。まさかこの年(54歳)になって、30代の若者から仕事の仕方の影響を受けるなんて思わなかったですけど(笑)」と答えた。[14]
担当番組
現在
- 『ふたりっきり旅』(演出・プロデューサー)
- 『Aマッソ公式YouTubeチャンネル』(監修)
過去
- 『検索ちゃん』(AD)
- 『雑学王』(AD)
- 『学べる!!ニュースショー!』(AD)
- 『(石原裕次郎23回忌特番)』(AD)
- 『30人31脚』(AD)
- 『ナニコレ珍百景』(AD)
- 『学生才能発掘バラエティ 学生HEROES!』(制作)
- 『関ジャニの仕分け∞』(ディレクター) ★初ディレクター
- 『関ジャム 完全燃SHOW』(ディレクター)
- 『下剋上カラオケサバイバル」(ディレクター)
- 『ミュージックステーションウルトラFES』(ディレクター)
- 『だんくぼ』(ディレクター)
- 『キャラブレイク』(演出) ★初演出
- 『MAX会議』(演出)
- 『スキマスター研究所』(演出)
- 『8時だJ 復活版』(演出)
- 『調べるJ』
- 『ファクトリサーチTV』(演出)
- 『関ジャニ∞のTheモーツァルト 音楽王No.1決定戦』(演出)
- 『』(演出・プロデューサー) ★初プロデューサー
- 『さまぁ〜ずチャート』(演出・プロデューサー)
- 『ロボット旅日本一周〜タカラモノクダサイ〜』(演出・プロデューサー)
- 『探シタラTV』(演出・プロデューサー)
- 『シタランドTV』(演出・プロデューサー)
- 『さまぁ〜ず論』(演出・プロデューサー) https://www.youtube.com/watch?v=SyVR3U8oaRM
- 『なにわ男子と一流姉さん』(演出・プロデューサー)
- 『』(演出・プロデューサー)
- 『トゲアリトゲナシトゲトゲ』(演出・プロデューサー)
- 『トゲトゲTV』(演出)
- 『』(演出・プロデューサー)
出演
テレビ
- 『ハードル・プードル ~若者応援バラエティー』(テレビ朝日) - 若手ディレクターとして企画を発表[15]
- 『はい!テレビ朝日です』(テレビ朝日) - テレビ朝日若手社員の仕事を紹介。当時入社8年目[15]。
- 『ツギクル芸人グランプリ』(フジテレビ) - 在京民放5局の売れっ子クリエイターの1人として審査員[16]
ラジオ
雑誌
脚注
- ^ 長男・太郎(家族を代表して)・祝スピーチ_2013年8月7日
- ^ a b c d e f g h i j k l m 『あいつ今何してる?』テレビ朝日・芦田太郎プロデューサーに聞く
- ^ 【仕事の裏側】テレビ朝日 演出・プロデューサー芦田太郎さん「見てよかった、出てよかったといわれる番組を作りたい」
- ^ 芦田 太郎 - テレビ朝日 新卒採用サイト
- ^ 芦田太郎のブログ「就職活動の終わりと始まり」(vol.1)
- ^ 大学生の就職活動とキャンパスライフの意味 ― 大学生が勉強しないで就職できる理由
- ^ 芦田太郎note「関ジャニ∞と高卒認定企画と。」
- ^ 中国での総再生数9300万回超 『あざとくて何が悪いの?』はなぜ人気?
- ^ 【YAHOO!ニュース】中国での総再生数9300万回超 『あざとくて何が悪いの?』はなぜ人気?
- ^ 【マイナビニュース】『あざとくて何が悪いの?』が示す新しい番組評価の形 芦田太郎Pが意識する“熱狂を生む要素”
- ^ 田中みな実もピンチ?”テレ朝のエース”の「意外な転職先」
- ^ “テレビ朝日 退社のご報告”. 2023年1月1日閲覧。
- ^ テレビ朝日人気プロデューサー・芦田太郎が語る
- ^ 【マイナビニュース】放送作家・そーたに氏が語るバラエティの危機感「ギリギリもやらなきゃ」
- ^ a b テレビ紹介情報「芦田太郎」
- ^ ネクストブレーク芸人を探せ!テレビ局の垣根を超えたリアル賞レース
- ^ 「噂の人物」による深夜の台本なしガチトーク番組~丸山桂里奈×テレビ朝日・芦田太郎
- ^ (日本語) 【テレ朝芦田さん】22.04.22 ラランド・サーヤの虎視舌舌『あなたの周りのあざとい奴!』【YouTube限定アフタートークあり】2022年4月23日閲覧。
- ^ AERA(アエラ) 2016年11/28号 (発売日2016年11月21日)
- ^ 赤楚衛二&町田啓太が表紙の『ダ・ヴィンチ』2022年5月号【目次】