概要
シーラカンスやハイギョを含む脊椎動物亜門の下位系統群。分類階級としては硬骨魚類の階級の移動に伴い綱[2]や亜綱[3]などとすることもある。肉質の鰭を持つ。
四肢動物(陸上脊椎動物)はこのグループから進化したと考えられている。したがって、四肢動物を含めない限り、肉鰭綱は側系統群となる。四肢動物を肉鰭綱の1亜綱と扱うことで単系統群にする立場もある[4]が、この立場を採用すると、通常は独立の綱とされる四肢動物の各群(両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類)を下綱以下の分類階級にしなければならない[5]。
シーラカンスを除く総鰭類とハイギョは内鼻孔を持つことから、内鼻孔魚類とも呼ばれる[6]。一方でハイギョの内鼻孔は後外鼻孔が口の中に開いたものとされ、オステオレピス類や四肢動物の内鼻孔と相同ではないとも考えられており[4]、後者を内鼻孔類Choanataとしてまとめる説もある[5]。
分類
現生肉鰭類の系統仮説 | ||||||||||||||||||||||||||||
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甲斐 (2018) に基づく[3]。 |
矢野 (2006)[2]・甲斐 (2018)[3] に基づく。現生のもののみを示す[7]。なお、肺魚亜綱と四肢動物亜綱を肺魚四肢動物亜綱Dipnotetrapodomorphaとしてまとめることもある[2]。
- 輻鰭下綱 Actinistia(=シーラカンス亜綱 Coelacanthimorpha)
- シーラカンス目 Coelacanthiformes
- ハイギョ下綱 Dipnomorpha(=肺魚亜綱 Dipnoi)
- (オーストラリアハイギョ目) Ceratodontiformes
- (ミナミアメリカハイギョ目) Lepidosireniformes
- 四肢動物下綱 Tetrapoda(=四肢動物亜綱)
現生の3系統のほかに、(オステオレピス目)などの化石分類群が知られている[4]。シーラカンス目とオステオレピス目などを総鰭類Crossopterygiiとしてまとめる説もあったが、シーラカンス目はほかの現生肉鰭類の姉妹群(輻鰭類Actinistia)であり、オステオレピス目やリゾドゥス形類Rhizodontiformes、エルピストステゲ類Elpistostegalia(=パンデリクチス類Panderichthyida)は四肢動物と単系統群(四肢形類Tetrapodomorpha)を形成すると考えられている[4][5]。(ポロレピス目)は肺魚類Dipnoiの姉妹群と考えられており、肺魚形類Dipnomorphaを構成する[5]。肺魚形類と四肢形類は扇鰭類Rhipidistiaとしてまとめられ、(オニコドゥス類)は扇鰭類と輻鰭類より初期に分岐した基盤的なグループだと考えられている[5]。
脚注
注釈
- ^ 四肢類とエルピストステゲ類を姉妹群とする説や、四肢類をエルピストステゲ類の内群とする説がある。本項目では四肢類を含めない化石分類群として扱った。
出典
- ^ パーカー 2020.
- ^ a b c 矢野衛「魚類分類表」『脊椎動物の多様性と系統』、338-340頁。
- ^ a b c 甲斐嘉晃「脊椎動物(魚類)――水中で多様に進化した分類群」、日本動物学会 編『動物学の百科事典』丸善出版、2018年、92-95頁。
- ^ a b c d 矢野衛 著「魚類の多様性と系統分類」、松井正文編 編『脊椎動物の多様性と系統』裳華房、2006年、46-93頁。ISBN (4785358300)。
- ^ a b c d e 松井正文「脊椎動物の多様性と進化」『脊椎動物の多様性と系統』、2-43頁。
- ^ 田隅本生「脊椎動物における鼻器の進化と多様性」『耳鼻咽喉科展望』第14巻第1号、1971年、9-16頁、doi:10.11453/orltokyo1958.14.9。( )
- ^ 矢野衛「肉鰭綱」、松井正文 編『バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、裳華房、2006年、219-221頁。
参考文献
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- パーカー, スティーヴ 著、日暮雅道・中川泉 訳、養老孟司 日本語版監修 編『生物の進化大事典』三省堂、2020年6月9日。ISBN (978-4385162409)。
関連項目
外部リンク
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