この記事は(検証可能)な(参考文献や出典)が全く示されていないか、不十分です。(2009年8月) |
王シュレット事件(おうシュレットじけん)は、2003年にフジテレビ系列『水10!』の1コーナーとして放送されていたバラエティー番組の『』(渡辺琢演出)で、プロ野球・福岡ダイエーホークス(当時)の王貞治監督(以下、王監督)を侮辱するような内容のコントがホークスの地元局のテレビ西日本を含めて放送され、フジテレビやテレビ西日本に批判や苦情が寄せられた一部の騒動である。
王シュレット事件 | |
---|---|
場所 | フジテレビジョン |
日付 | 2003年(平成15年)8月13日 |
概要 | 当時プロ野球・福岡ダイエーホークスの王貞治監督を侮辱する内容のコントを放送した。 |
被害者 | 王貞治 福岡ダイエーホークス監督 |
対処 | スポンサーの降板 2003年の日本シリーズの中継にフジテレビ系列のテレビ局を(テレビ西日本を含め)推薦しないと発表した。 |
謝罪 | あり |
経緯
2003年8月13日、ワンナイR&Rで放送された通販番組を題材にしたコーナー「ジャパネットはかた」で、山口智充(DonDokoDon)と宮迫博之(雨上がり決死隊)が王監督の顔の模型を便器内に仕掛けたウォシュレット「王シュレット」を売り込む内容のコントを放送した[1]。
ボタンを押すと、王貞治がホームランを打った際のスイングと同じ勢いで水が噴射する仕組みとなっている。
放送後の反応
このコントで、王監督を侮辱したとしてダイエー球団側がフジテレビに抗議した[2]。その後、フジテレビ側が王監督本人と球団関係者に謝罪するも[3]、8月19日にはダイエー球団の高塚猛オーナー代行が「同年の日本シリーズ中継にフジテレビ系列のフルネット局を推薦しない」方針を表明し[2]、最終戦の放送権はテレビ東京が獲得した[注釈 1]。
一方、日本シリーズでダイエーの対戦相手でもあった阪神タイガースの星野仙一監督(当時)もスポーツ紙からの取材[4]に際し、フジテレビおよび山口と宮迫と、両者の所属する吉本興業に対する不快感を激しい口調で表明し、これを受けて阪神球団も関西テレビを含めフジテレビ系列局を推薦しなかった。
番組の制作局であるフジテレビも、テレビ西日本・関西テレビ放送を含む番組の制作に一切関与していないフジテレビ系列(FNN・FNS)のフルネット局も巻き込む形で責任を取ることとなり、2003年の日本シリーズについて、日本テレビ系列とのクロスネット局であるテレビ大分(NNN・NNSともに加盟)[注釈 2]、テレビ宮崎(NNNのみ加盟、さらにテレビ朝日系列〈ANN〉にも加盟)以外のFNS系列局では試合中継の放送が全く行われない事態となった(第7戦のダイジェスト中継も前述のクロスネット2局を含むフジテレビ系列局では実施されず、大分県・宮崎県ではTBS系列局である大分放送・宮崎放送でそれぞれ放送された)。
クロスネット局での『水10!』の通常の編成は、テレビ大分では遅れネットでテレビ宮崎は同時ネットであった。この年の日本シリーズについてはテレビ大分では第2戦のみ、テレビ宮崎では第2戦と第5戦をいずれも日本テレビ系列ネットで放送した。
そのウォシュレットのコントでは、ビデを捩った「シゲ」という器具も紹介され、スイッチを押すと山口が長嶋茂雄巨人軍元監督(現:同球団終身名誉会長)の口調で、器具の作動アナウンス音を再現する場面があり、かつて王監督とともに巨人の顔でもあった長嶋元監督を連想させるものではあったが、これに関して長嶋元監督やその親族(亜希子夫人や公的活動を行っている一茂・三奈などの実子)及び読売グループ(読売新聞社・読売巨人軍・日本テレビ・報知新聞社など)からの抗議は特に無かった。
事件への対応とその影響
事件の翌週(2003年8月20日)の放送では、冒頭でフジテレビの須田哲夫アナウンサー(当時)が謝罪した[2]が謝罪の放送時間が15秒ほどしかなかったため、視聴者からは「この程度では謝罪にならない」という多くの苦情や批判がフジテレビに寄せられた[5]。
この事件を受け、8月20日から9月末まで『水10!』自体は後半枠の『ココリコミラクルタイプ』も含め、前後の提供クレジットはすべて自粛した。この事件の影響から、番組名も『水10!・ワンナイ』から『水10!』となり、新聞の番組表にも『ワンナイ』のみ番組タイトルの表記は無くなった。この他にも、「企業イメージを損ねた」としてウォシュレットの製造元かつ商標権者でもある東陶機器(現・TOTO)[注釈 3]やコーナーのネタ元になったジャパネットたかた[注釈 4]が『FNNスーパーニュース』などのスポンサーを降板し(ジャパネットは後に復帰)、CMは公共広告機構(現・ACジャパン)のものに差し替えられる事態になった。
この事件について、当時ダイエーの王監督は、「野球界と芸能界を一緒にするからこういうことになる」との見解を示し、加えて「僕自身は実際に(の映像を)見ていませんが、かなりえげつないものだったと聞いています。対応ですか?それは球団に任せているから」と冷静にコメントした[6][注釈 5]。
その一方で、この事件に激怒していた阪神の星野監督とも親密である一方、出演者の山口・宮迫の所属する吉本興業の先輩でもある明石家さんまは、朝日新聞のインタビュー記事にてこの件に触れ、同コントの出演者に関してはフォローするコメントを述べている。
その後、ホークスの日本シリーズのFNS系列での中継放送は次に日本シリーズに進出する後身の福岡ソフトバンクホークスにて、後任の秋山幸二監督が指揮を執る2011年[注釈 6]まで地元局のテレビ西日本を含め行われなかった[注釈 7][注釈 8]。
一方で、タイガース主管の日本シリーズのFNS系列での中継放送は、現在に至っても行われていない[注釈 9][注釈 10]。
フジテレビの須田アナウンサーが謝罪したこの日の放送でも、番組は妊婦に扮した小池栄子に粉ミルクをかけるというコントを放送、視聴者からは「育児に不可欠な粉ミルクを軽率に扱うとは何事か!」などの苦情が寄せられた。さらには使用された粉ミルクの製造元である和光堂より、「企業イメージを損ねた」とフジテレビに抗議する事態に発展した。
脚注
注釈
- ^ テレビ東京は系列局のない地域が大半のため、これ以降テレビ東京系列が地上波中継する際には子会社のBSジャパン→BSテレ東ではなくNHKの衛星放送2波(NHK BS1・NHKハイビジョン)との並列での獲得となっているが、2021年の中継はBSテレ東との並列での獲得となった。なおこのため、独立局のうち普段テレビ東京の番組を多数放送している局はもちろん、テレビ大阪開局以来関係が疎遠になっていたサンテレビやKBS京都にまで中継がスポンサードで同時放送された。
- ^ テレビ大分は、日本テレビ系列・フジテレビ系列ともニュース系列組織には完全加盟しているが、番組供給組織についてはネットワーク業務協定に参加していない準加盟に近い扱いである。
- ^ スポーツ支援顧問に王監督を起用していた。
- ^ 同年3月までホークスのスポンサー。
- ^ 巨人での現役および監督時代も、野球を扱ったギャグ漫画などの創作物でかなり下品にいじられる表現が行われた例があったが、この時は特に抗議するなど本人および読売グループ側から言及したことがなかった。
- ^ 2010年にもホークスはリーグ優勝したが、同年はクライマックスシリーズにて千葉ロッテマリーンズ(同年リーグ3位・西村徳文監督)に敗れ、日本シリーズへの出場権を逃したため。
- ^ 対戦相手は中日ドラゴンズ(落合博満監督)。
- ^ フジテレビ系列では第1戦と3戦を放送。
- ^ 元々関西テレビが阪急東宝グループだった上、阪急電鉄も球団を保有し、関西テレビが同球団の優先放送権を持っていたことから(実際に阪急時代は主管分の日本シリーズを独占中継した)、球団のオリックスへの売却や阪急・阪神経営統合より以前は阪神電気鉄道・阪神球団と競合関係とみなされることもあり、阪神主催試合の放映権の確保数が少なかった。阪神主管の日本シリーズについては阪急球団のオリックスへの売却後に放映権を確保したことがあるが、早期に決着したなどの事情により放送が実現していない。
- ^ 阪神が日本一となった1985年は、フジテレビ系列では西武ライオンズ主管分を中継した。
出典
- ^ 「」『47NEWS』(共同通信社)、2003年8月22日。2013年9月1日閲覧。オリジナルの2014年8月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b c 「」『47NEWS』(共同通信社)、2003年8月20日。2013年9月1日閲覧。オリジナルの2014年8月19日時点におけるアーカイブ。
- ^ “”. フジテレビ公式ウェブサイト. フジテレビジョン (2003年8月20日). 2003年8月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2003年8月22日閲覧。
- ^ スポーツニッポン、2005年8月18日、第1面、スポーツニッポン新聞社。
- ^ 『スポーツニッポン』2003年8月22日付
- ^ 『西日本新聞』2003年8月19日付。