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特定妊婦

特定妊婦は、児童福祉法に基づいた養育上の公的支援を妊娠中から要するような環境にある妊婦で、同法第6条の3第5項に定義される。

詳細

児童福祉法の条文では、「出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦」と定義されている。出産前の妊婦が、貧困状態にあったり、複雑な家庭内事情を持っている場合など、子どもの養育に対する支援が必要と判断されれば「特定妊婦」として登録される[1]。養育支援訪問事業ガイドライン[2]、厚生労働省通知[3]、子ども虐待対応の手引き[4]が、それぞれ特定妊婦の判断要件を示している。
特定妊婦と関連して、産科の医療者にはその情報を行政機関へ提供する役割が期待されている[4]日本産婦人科医会からは特定妊婦をスクリーニングする医療従事者向けチェックリストが提案され[5]、(日本周産期メンタルヘルス学会)からは地域行政機関との情報共有が強く推奨されている[6]。平成28年の児童福祉法改正に伴い、同年10月以降、「支援を要する妊婦等」が医療機関や学校等において把握された場合、その者の現在地の市町村へ情報提供することが努力義務となった(同法第21条の10の5第1項)[7]

対応

児童福祉法によると、特定妊婦は養育支援訪問事業や要保護児童対策地域協議会を通じて養育上の支援を受けることとなる(同法第6条の3第5項および第25条の2)。全国の要保護児童対策地域協議会における特定妊婦のケース登録数は、同協議会の対象として登録されるケース全体の1.1%程度である(平成24年6月末日時点の調査)[8]
行政機関における特定妊婦の個人情報の取扱いについて、必要かつ社会通念上相当と認められる範囲で行われる地方自治体間や地方自治体と医療機関との情報交換は、正当行為として守秘義務違反の違法性が阻却されるとの解釈が示されてきた[3][9]。平成28年の児童福祉法改正に伴って、この解釈が法律上明文化された(同法第21条の10の5第2項)。一方、日本産婦人科医会のマニュアルでは、より慎重な個人情報の取り扱いが推奨されている[5]

周辺的諸問題

  • 飛び込み出産

特定妊婦の判断要件には「出産の準備をしていない妊婦」が含まれている[4]。飛び込み出産により、出産前に特定妊婦として支援者が連携できなかった事例について、出生した乳児は要保護児童または要支援児童として連携が図られるものと想定されている[5]。要保護児童の場合は児童福祉法第25条により通告され(書面のみならず電話でも可能[10])、要支援児童の場合は児童福祉法第21条の10の5第1項により情報提供されることとなる。

  • 若年妊娠

特定妊婦の判断要件には若年妊娠が含まれており[2][3]、産後には文字通り「子どもが子どもを育てる」状況が生じ得る。未婚かつ未成年で子どもを出産した女性は、成人するまでの期間民法の定め(第833条または867条)により、出産した子どもの親権を行うことができないため[11]、若年妊婦の場合には親権の問題に注意を向ける必要がある。

  • すでに養育の問題がある妊婦

特定妊婦の判断要件には、「要保護児童、要支援児童を養育している妊娠」も挙げられている[4]。2つ年上の兄弟への虐待が確認されている事例で、妊娠段階において医療者が県や市と連携を図ったにもかかわらず生後2か月時点での虐待死亡が生じた事例が報告されており[12]、事例検証により「リーダーシップを担う機関を確認する」ことや「虐待の確証が得られない場合においても、(中略)職権による一時保護の検討を行うこと」などが提言されている。

  • 妊婦の心身の不調

特定妊婦の判断要件には、「心身の不調」や「こころの問題」なども挙げられている[2][4]。エジンバラ産後うつ病質問票などを用いることで、養育機能不全や虐待死に至る危険性が事前に察知される場合がある[12]

  • 望まない妊娠/妊娠葛藤

特定妊婦の判断要件には、「妊娠葛藤」[2]や「望まない妊娠」[4]が挙げられている。厚生労働省は、地方自治体の長などに対して妊娠等に悩む人に向けた相談窓口を整備すること、各機関が連携して支援にあたることを求めている[13]。仮に、出産後にも実親による養育が期待できない状況が続く場合には、養子縁組制度や里親制度が社会的な受け皿の候補となる。例えばドイツの場合、妊娠中絶手術を希望する際、その前段階で「妊娠葛藤相談」を受けることが義務付けられており[14]、仮に本人が希望する場合は秘密出産(内密出産と同意)という仕組みを介して妊婦のプライバシーと子どもの権利の両方が守られるよう制度設計され[15]、最終的に養子縁組によって解決が図られている。

  • 胎児虐待

胎児虐待を疑った場合、「医療機関から自治体の母子保健担当部署等と連携すること」が推奨されている[16]


  • 不可欠な帝王切開に対する拒否

児頭骨盤不均衡により帝王切開以外に出産方法がないにもかかわらず、帝王切開を拒否した事例が特定妊婦として報告されている[17]

出典

  1. ^ 「クローズアップ現代」取材班 (2022年6月28日). “「特定妊婦」とは?登録で受けられる支援は?深刻な”孤立”状態も”. NHK. 2022年6月28日閲覧。
  2. ^ a b c d 養育支援訪問事業ガイドライン(厚生労働省)
  3. ^ a b c 養育支援を特に必要とする家庭の把握及び支援について(厚生労働省)
  4. ^ a b c d e f 子ども虐待対応の手引き(平成25年8月改訂版)(厚生労働省)
  5. ^ a b c 妊娠について悩まれている方のための相談援助連携事業マニュアル(日本産婦人科医会)
  6. ^ 「CQ16.「特定妊婦」への対応は?」『周産期メンタルヘルス コンセンサスガイド2017』日本周産期メンタルヘルス学会、2017年3月31日http://pmhguideline.com/consensus_guide/cq16.pdf2022年6月28日閲覧 
  7. ^ 児童福祉法等の一部を改正する法律(平成28年法律第63号)の概要(厚生労働省)
  8. ^ 第2回専門委員会事務局提出資料(厚生労働省)
  9. ^ 児童虐待の防止等のための医療機関との連携強化に関する留意事項について(厚生労働省)
  10. ^ 児童相談所運営指針(厚生労働省)
  11. ^ 影山秀人:若年妊娠における法的問題.周産期医学 43: 925-928, 2013.
  12. ^ a b 児童虐待による死亡事例検証報告書(岩手県社会福祉審議会児童福祉審議会措置部会)
  13. ^ 妊娠期からの妊娠・出産・子育て等に係る相談体制等の整備について(平成23年7月27日(厚生労働省)
  14. ^ 小椋 宗一郎「ドイツにおける「妊娠葛藤相談」について : 義務づけられた相談をめぐる諸問題」『生命倫理』第17巻第1号、日本生命倫理学会、2007年、207-215頁、doi:10.20593/jabedit.17.1_207、2022年6月28日閲覧 
  15. ^ 渡辺冨久子「ドイツにおける秘密出産の制度化」『外国の立法』第260号、国立国会図書館、2014年6月、65-82頁、2022年6月28日閲覧 
  16. ^ 「CQ6.メンタルヘルス不調で支援を要する妊産褥婦についての、医療・保健・福祉の情報共有及び同意取得・虐待や養育不全の場合の連絡の仕方は?」『周産期メンタルヘルス コンセンサスガイド2017』日本周産期メンタルヘルス学会、20217-03-31http://pmhguideline.com/consensus_guide/cq06.pdf2022年6月28日閲覧 
  17. ^ 須田史朗『精神科治療学』第28巻第6号、星和書店、2013年。 

関連項目

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