焼入れされた材料を適切な温度へ再度加熱し、組織を安定化、機械的性質を改善する処理[5]。マルテンサイト化させる焼入れの後には、ほとんど必ず行われる[6]。鉄鋼材料の焼戻しの場合、加熱温度は最大でもオーステナイト変態点以下とするのが原則で、実際には 100–250 °C の低温焼戻しや 450–680 °C の高温焼戻しが行われる[7][5]。
温度 0 °C 以下に冷やす処理[7]。深冷処理や零下処理とも呼ばれる[16][17]。主に焼入れ直後の鉄鋼材料に対して経年変化の元となる残留オーステナイトを減少させるために行う[16]。セミオーステナイト系析出硬化型ステンレス鋼などでは、準安定オーステナイトをマルテンサイト化させるために行う[18]。およそ −80 °C まで冷やすようなサブゼロ処理ではメタノールとドライアイスなどが冷却材として使われ、−200 °C 近くまで冷やすような場合は液体窒素が使われる[19]。
日本熱処理技術協会(編)、2013、『熱処理ガイドブック』4版、大河出版 ISBN (978-4-88661-811-5)
山方 三郎、2010、『図解入門 よくわかる最新熱処理技術の基本と仕組み』第2版、秀和システム ISBN (978-4-7980-2573-5)
大和久 重雄、2008、『熱処理技術マニュアル』増補改訂版、日本規格協会 ISBN (978-4-542-30391-1)
ASTM A941-10a, Standard Terminology Relating to Steel, Stainless Steel, Related Alloys, and Ferroalloys, ASTM International, West Conshohocken, PA, 2010, www.astm.org