漆原 大晟(うるしはら たいせい、1996年9月10日 - )は、新潟県燕市出身[2]のプロ野球選手(投手)。右投左打。オリックス・バファローズ所属。
経歴
プロ入り前
粟生津小学校2年時に吉田ジュニアクラブで軟式野球を始め[3][2]、吉田中学校在学中は硬式野球の三条リトルシニアへ所属[3]。中学時代のチームメイトには2学年後輩に知野直人がいた[4][注 1]。
新潟明訓高等学校へ進学し、1年夏の甲子園では背番号18でベンチ入りを果たすも[5]、阪神甲子園球場での登板機会は無かった。2年時以降は同球場での全国大会に縁が無く、3年夏の背番号は11であった[6]。
新潟医療福祉大学健康科学部健康スポーツ学科に進学すると[2]、1年秋の関甲新学生野球連盟秋季リーグ・対関東学園大学戦でリーグ新記録となる11打者連続奪三振を達成[7]。2年夏の新人戦では最高殊勲選手賞を受賞し、チームの優勝に貢献した[3]。同大学でのチームメイトには2学年先輩に笠原祥太郎[8]、3学年後輩に桐敷拓馬、佐藤琢磨がいた。
2018年のNPB育成ドラフト会議でオリックス・バファローズから1巡目で指名を受けた[9]。11月30日の入団交渉にて支度金300万円、年俸260万円(金額は推定)という条件で入団に合意した[10]。背番号は127[11]。
オリックス時代
2019年、一・二軍合同の春季キャンプを二軍で過ごしていたが、一軍のランチタイム特打に打撃投手として登板。球種をあらかじめ申告しているにもかかわらず、主力級の打者からストレートで次々と空振りを奪い、前年まで一軍監督を務めていた福良GMを驚かせた[12]。ウエスタン・リーグ公式戦では(クローザー)を務めていた金田和之の一軍昇格に伴い、4月下旬からクローザーに抜擢された[13]。この年はウエスタン・リーグで39試合に登板し、1勝0敗23セーブ・防御率3.52という成績で同リーグのセーブ王に輝いた[13][14]。オフに40万円増となる推定年俸300万円で契約を更改し[15]、その後球団からの提案でプエルトリコウインターリーグに(アテニエンセス・デ・マナティ)の一員として参戦[16]。同リーグでは13試合に登板し、0勝2敗3セーブ・防御率0.77を記録した[17]。
2020年は育成選手ながら一軍春季キャンプのメンバーに抜擢されると[12]、2月20日に支配下選手登録[18][19]。推定年俸は420万円、背番号は65へ変更となった[20]。オープン戦の序盤はリリーフとして4試合連続無失点を記録していたが[12]、先発陣の総合力が上がらないチーム事情があり、オープン戦の途中から先発に転向[21]。しかし、新型コロナウイルスの影響で開幕が6月に延期となり、開幕前の練習試合で結果を残せず[22]、レギュラーシーズンの開幕は二軍で迎えた。ウエスタン・リーグでは6試合の先発で防御率2.12を記録し、西村徳文一軍監督の辞任に伴って二軍監督であった中嶋聡が8月21日から一軍監督代行へ就任したことを背景に、8月23日に一軍初昇格[23]。同日の埼玉西武ライオンズ戦、3点リードの9回表にクローザーとしてプロ初登板を果たし、2点を失いながらもプロ初セーブを記録した[24]。「NPBの球団に育成選手契約で入った日本人投手」が支配下選手登録を経て「一軍公式戦の初登板でセーブを挙げた」という事例は漆原が初めてであった[25]。その後は中継ぎとしての起用が中心となり、9月20日の西武戦ではプロ初ホールドを挙げるなど[26]、シーズン終了まで一軍に帯同。この年は22試合の登板で0勝0敗5ホールド2セーブ・防御率3.42を記録し、オフに780万増となる推定年俸1200万円で契約を更改した[27]。
2021年は前年にセットアッパーを務めたタイラー・ヒギンスやMLBから古巣へ復帰した平野佳寿とクローザーの座を争うこととなり[28]、自身初の開幕一軍をクローザーとして迎え、3月27日の西武戦で1点リードを守り抜き、シーズン初登板初セーブを挙げた[29]。しかし、4月8日の千葉ロッテマリーンズ戦でピンチを招いてイニング途中で降板すると[30]、同10日の北海道日本ハムファイターズ戦では3失点でプロ初黒星を喫し[31]、中継ぎへ配置転換となった。4月22日の西武戦、3点ビハインドの9回表に登板して三者凡退に抑えると、直後にチームが逆転サヨナラ勝ちを収めたことでプロ初勝利が記録された[32]。その後はセーブやホールドが付かない場面での起用が中心ながらも一軍登板を重ねていったが、9月6日にプロ入り後初の登録抹消となり[33]、そのままレギュラーシーズンを終え、クライマックスシリーズや日本シリーズでもメンバー入りすることはできなかった。この年は34試合の登板で2勝2敗4ホールド2セーブ・防御率3.03を記録し、オフに800万円増となる推定年俸2000万円で契約を更改した[34]。
2022年は「下半身からの連動を投球に伝えることがうまく再現できなかった[35]」と本人が話したように、シーズンを通して調子が上がらず、ウエスタン・リーグでは41試合に登板するも防御率6.00。45イニングで26奪三振・26四球[36]と球威・制球ともに本来の投球からは程遠く、この年は一軍登板なしに終わった。オフに450万円減となる推定年俸1550万円で契約を更改した[35]。
選手としての特徴・人物
インステップ気味の投球フォームが特徴で、最速152km/hのストレート[13]、スライダー・カーブ・シュート・フォークといった変化球を織り交ぜる[3][8]。
愛称は「うるし」[37]。
詳細情報
年度別投手成績
年 度 | 球 団 | 登 板 | 先 発 | 完 投 | 完 封 | 無 四 球 | 勝 利 | 敗 戦 | セ 丨 ブ | ホ 丨 ル ド | 勝 率 | 打 者 | 投 球 回 | 被 安 打 | 被 本 塁 打 | 与 四 球 | 敬 遠 | 与 死 球 | 奪 三 振 | 暴 投 | ボ 丨 ク | 失 点 | 自 責 点 | 防 御 率 | W H I P |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020 | オリックス | 22 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | ---- | 102 | 23.2 | 20 | 2 | 13 | 0 | 1 | 30 | 0 | 0 | 9 | 9 | 3.42 | 1.39 |
2021 | 34 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 2 | 4 | .500 | 148 | 35.2 | 30 | 4 | 14 | 1 | 1 | 23 | 1 | 0 | 13 | 12 | 3.03 | 1.23 | |
通算:2年 | 56 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 4 | 9 | .500 | 250 | 59.1 | 50 | 6 | 27 | 1 | 2 | 50 | 1 | 0 | 22 | 21 | 3.19 | 1.30 |
- 2022年度シーズン終了時
年度別守備成績
- 2022年度シーズン終了時
記録
- 初記録
- 初登板・初セーブ:2020年8月23日、対埼玉西武ライオンズ12回戦(京セラドーム大阪)、9回表に6番手で救援登板・完了、1回2失点 ※初登板初セーブは日本人選手7人目
- 初奪三振:2020年8月27日、対福岡ソフトバンクホークス15回戦(福岡PayPayドーム)、6回裏に柳田悠岐から見逃し三振
- 初ホールド:2020年9月20日、対埼玉西武ライオンズ18回戦(京セラドーム大阪)、7回表に2番手で救援登板、2/3回無失点
- 初勝利:2021年4月22日、対埼玉西武ライオンズ6回戦(京セラドーム大阪)、9回表に5番手で救援登板・完了、1回無失点
背番号
- 127(2019年)
- 65(2020年 - )
脚注
注釈
- ^ 知野のプロ初安打、初本塁打は漆原から放った。“DeNA知野選手 故郷・三条で指導”. 新潟日報デジタルプラス (2021年12月29日). 2022年2月23日閲覧。
出典
- ^ “オリックス - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2022年11月28日閲覧。
- ^ a b c “オリックス育成1位指名の燕市出身漆原大晟投手が燕市長表敬 「1日も早く支配下登録選手に」”. ケンオー・ドットコム (2018年11月26日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ a b c d “漆原大晟投手が育成ドラフト1位でオリックス・バファローズに指名”. にいがた経済新聞 (2018年10月25日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ “三条リトルシニアリーグから悲願のプロ野球入り果たした知野直人と漆原大晟の祝賀会”. ケンオー・ドットコム (2018年12月24日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ “第94回全国高等学校野球選手権大会チーム紹介 新潟明訓高等学校”. 高校野球ドットコム (2012年8月8日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ “新潟医療福祉大・漆原「夢」舞台へ 中日笠原に続く”. 日刊スポーツ (2018年10月25日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “10・25ドラフトへ/大学生プロ志望届提出者一覧”. 日刊スポーツ (2018年10月18日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ a b “オリックス育成1位漆原、侍笠原を「追っていく」”. 日刊スポーツ (2018年11月9日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ “2018年度ドラフト会議 契約交渉権獲得選手”. オリックス・バファローズ (2018年10月25日). 2019年10月27日閲覧。
- ^ “オリックス育成1位・漆原と仮契約「強気に攻めていくスタイルが自分の持ち味」”. デイリースポーツ (2018年11月30日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “オリ育成D1・漆原、最速151キロの直球が武器”. サンケイスポーツ (2018年11月30日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ a b c “オリックス・漆原の直球すごいぞ!育成1年目、春季キャンプで打撃投手 球種申告も一軍主力空振り斬り”. サンケイスポーツ (2020年5月14日). 2020年8月24日閲覧。
- ^ a b c “漆原大晟 クローザー未経験からウエスタンセーブ王 育成ルーキー、意識改革で成長”. スポーツニッポン (2019年10月1日). 2019年10月20日閲覧。
- ^ “2019年度 ウエスタン・リーグ 【セーブ】 リーダーズ(投手部門)”. 日本野球機構. 2019年10月20日閲覧。
- ^ “オリックス・漆原、40万円増でサイン ウエスタンでセーブ王「自信が付いてきた」”. Sponichi Annex (2019年10月27日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “オリックスの育成・漆原大晟がプエルトリコWLで好投中。ファーム無敗男が来季の秘密兵器となるか?”. パ・リーグ.com (2019年12月17日). 2021年12月7日閲覧。
- ^ “オリックス・鈴木優、漆原もプエルトリコから帰国”. SANSPO.COM. (2019年12月26日)2020年1月28日閲覧。
- ^ “オリックス・バファローズ 支配下選手一覧”. 2020年度 支配下選手登録. 2020年2月27日閲覧。
- ^ “漆原投手 支配下選手登録のお知らせ”. バファローズ 公式サイト (2020年2月20日). 2020年2月27日閲覧。
- ^ “オリックス・漆原が支配下登録、背番号は65に”. デイリースポーツ (2020年2月20日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “オリックス漆原プロ初先発3回2失点「大事な役割」”. 日刊スポーツ (2020年3月14日). 2020年8月24日閲覧。
- ^ “オリックス5-10ソフトバンク/練習試合詳細”. 日刊スポーツ (2020年6月3日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “オリックス・漆原、富山が今季一軍初昇格 中嶋監督代行就任3日目で2度目の入れ替え”. サンケイスポーツ (2020年8月23日). 2020年8月24日閲覧。
- ^ “オリックス・漆原 初登板初セーブ 継投でも中嶋監督代行が大胆起用”. スポーツニッポン (2020年8月24日). 2020年8月24日閲覧。
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- ^ “オリックス宮城が今季初勝利、西武追い上げ及ばず”. 日刊スポーツ (2021年3月27日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “経験値が違うぜ!! オリックス・平野佳 日本で1286日ぶりセーブも、漆原を思いやり控えめ”. Sponichi Annex (2021年4月9日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “日本ハム今季初カード勝ち越し宮西1勝、オリックスは守護神の漆原が誤算”. 日刊スポーツ (2021年4月10日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “オリックス・漆原 嬉しいプロ初勝利 開幕当初は守護神「なかなか結果が出ず、申し訳ない気持ちだった」”. Sponichi Annex (2021年4月23日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “6日の公示 オリックスが増井ら3選手抹消 日本ハムは大田、楽天は黒川を抹消”. Full-Count (2021年9月6日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ “【オリックス】漆原大晟は800万円増の2000万円で更改 「全部経験させていただいた」”. 中日スポーツ (2021年12月6日). 2022年2月6日閲覧。
- ^ a b “【オリックス】漆原大晟は450万円ダウンで契約「パフォーマンスの安定」で来季巻き返し図る”. 中日スポーツ (2022年11月27日). 2023年2月4日閲覧。
- ^ “2022年度 オリックス・バファローズ 個人投手成績(ウエスタン・リーグ)”. 日本野球機構. 2023年2月4日閲覧。
- ^ “127 漆原 大晟 選手名鑑2019|オリックス・バファローズ”. オリックス・バファローズ オフィシャルサイト. 2021年7月30日閲覧。