経歴・人物
物流・運輸業を営む東江グループの代表取締役社長を務める。東江運輸の創業者である渡邊喜八郎の息子であり、慶應義塾大学卒業後に同社に入社、後に経営の後を継いだ。
交友
政治家の中川昭一とは、互いの娘が同級生という縁から私的に親交があった。中川が小渕内閣で農水相を務めていた当時の1998年8月、所有するオフサイドトラップが「農林水産大臣賞典」の新潟記念を勝った際にその旨を中川に伝えたところ、「僕はジャパンカップの表彰式に行くことになってる」と聞かされ、これが同競走へエルコンドルパサーが出走する選択理由のひとつになったという[1]。ジャパンカップも農林水産大臣賞典であり、渡邊は中川から優勝トロフィーを授与された。
馬主活動
日本中央競馬会(JRA)に登録する馬主として知られる。勝負服の柄は、かつては黄、青一本輪、赤袖を、現在は青、白襷を使用している。冠名は特に用いないが、慶應大学時代にサッカー部(同学での名称は「ソッカー部」)に所属していた経験から、馬名の多くはサッカー経験に想を得たものとなっている。オフサイドトラップはサッカーの戦術、エルコンドルパサーはペルーの民謡「コンドルは飛んでいく」のことで、かつてペルーに住んでいたサッカー部の先輩からの発想[2]、ハンソデバンドは日本代表にも選出された元プロサッカー選手・播戸竜二に由来する[3]。また、1990年代より以前の所有馬は加藤修甫厩舎、二ノ宮敬宇厩舎に所属させることが多かった。
「トウコウ」の冠名で知られた父・喜八郎と親子二代の馬主であり、かつては良血馬を喜八郎、動きが良い馬を隆が所有するという形態が取られていた[2]。馬の血統表やファミリーテーブル、セールの名簿を眺めることが趣味であるといい[4]、血統に造詣が深い。所有馬はいずれも自身が考案した配合によって生まれたもので、事実上のオーナーブリーダー(馬主兼生産者)である。特に日仏で活躍したエルコンドルパサーがよく知られ、クロスが幾重にも掛けられたその配合は、アメリカの競馬誌『デイリーレーシングフォーム』において「フェデリコ・テシオ、マルセル・ブサックに続く (Move over Federico Tesio and Marcel Bussac)」、「比類なき配合によって、エルコンドルパサーは非常に重要な種牡馬となるだろう (With his incomparable pedigree,El condor pasa should be very important stallion)」と高い評価を受けた[5]。渡邊は実際のところさらに濃いインブリードを構想していたが、アメリカ本国の関係者から「頭が狂っているのか!?」と注意されて予定が変わったという。
「我々は常に挑戦者でありたい」[6]と語り、所有馬の海外挑戦に積極的な姿勢を表明している[6]。1999年のエルコンドルパサーのフランス遠征に続き、2003年にはスシトレインのアメリカ遠征を計画した[7][6]。ただしスシトレインの遠征は最終的に取りやめている[8]。
2022年8月7日の3歳未勝利に出走したガリンシャを最後に持ち馬は出走しておらず、現在中央登録馬は1頭もいないことから、馬主業から撤退した模様。
来歴
主な所有馬
GⅠ級競走優勝馬
- オフサイドトラップ(1998年天皇賞・秋、七夕賞、新潟記念)
- エルコンドルパサー(1998年NHKマイルカップ、ジャパンカップ、ニュージーランドトロフィー4歳ステークス、共同通信杯4歳ステークス、1999年サンクルー大賞、フォワ賞、凱旋門賞2着、イスパーン賞2着)
重賞競走優勝馬
その他の所有馬
受賞
- 東京競馬記者クラブ賞(1999年)
- ケンタッキーサラブレッド協会賞(1999年)
脚注
注釈
出典
- ^ 『書斎の競馬』第1号 pp.43-44
- ^ a b 『優駿』1999年5月号 p.89
- ^ “ハンソデバンド由来はあのサッカー選手”. スポニチアネックス (2010年2月2日). 2010年4月15日閲覧。
- ^ 『優駿』1999年10月号 p.20
- ^ 『書斎の競馬』第1号42頁に掲載された紙面写真より。なお、この記事では馬主名が「Kihachiro Watanabe」とされていたが、誤りである。
- ^ a b c 「トピックス 渡辺オーナーに直撃!! スシトレイン米国遠征の理由」、『サラブレ』第9巻第3号(2003年3月号)、エンターブレイン、11ページ。
- ^ "Sushi Train Scheduled for Stop on Triple Crown Trail", The Blood-Horse, 2003年1月23日, 2016年1月25日閲覧.
- ^ 「スシトレイン放牧へ」、競馬ブックコーナー、競馬道OnLine、2003年3月10日、2016年1月25日閲覧。
参考文献
外部リンク
- 東江グループ