水村 美苗(みずむら みなえ、1951年[1] - )は、日本の小説家、評論家。夫は東京大学経済学部名誉教授の岩井克人。
米国に長く滞在。夏目漱石『明暗』の続編として『続 明暗』(1990年)を創作し話題に。評論『日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で』(2008年)も高く評価された。ほかに『本格小説』(2002年)など。
来歴・人物
東京都生まれ。母は八木義徳に師事して、78歳で初の自伝的小説『高台にある家』を上梓した水村節子(1922-2008)。父親の仕事の関係で12歳の時に渡米。(ボストン美術学校)、イェール大学フランス文学専攻、イェール大学大学院仏文科博士課程に在籍、ポール・ド・マンの教えを受ける。
プリンストン大学講師、ミシガン大学客員助教授、スタンフォード大学客員教授として、日本近代文学を教える。
夏目漱石の未完に終わった『明暗』の続きを書いた『續明暗』で、1990年芸術選奨新人賞を受賞。
欧文が部分的に混在する横書きの『私小説 from left to right』で、1995年野間文芸新人賞を受賞。
エミリー・ブロンテの『嵐が丘』を戦後日本を舞台に書き換えた『(本格小説)』で、2003年読売文学賞を受賞。
2009年には『日本語が亡びるとき』で小林秀雄賞を受賞し、同賞を夫婦でものにしたことになる。その時点ですべての単著が賞をとっている。
著書
- 『續明暗』筑摩書房 1990年 のち新潮文庫、ちくま文庫 (ISBN 4480426094)
- 『私小説 from left to right』 新潮社 1995年 のち新潮文庫、ちくま文庫 (ISBN 4480425853)
- 『手紙、栞を添えて』辻邦生との往復書簡、朝日新聞社 1998年 のち朝日文庫、ちくま文庫
- 『本格小説』新潮社 2002年 のち新潮文庫 上 (ISBN 4101338132) / 下 (ISBN 4101338140)
- 『日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で』筑摩書房 2008年 のち文庫 (ISBN 4480814965)
- 『日本語で読むということ』筑摩書房 2009年 (ISBN 9784480815019)
- 『日本語で書くということ』筑摩書房 2009年 (ISBN 9784480815026)
- 『新聞小説 母の遺産』中央公論新社 のち中公文庫・上下 2012年 (ISBN 9784120043475)
英語訳
- A True Novel(本格小説)ジュリエット・カーペンター訳、2013年
- The Fall of the Japanese Language in the Age of English (日本語が亡びるとき 英語の世紀の中で) 吉原真里、Juliet Winters Carpenter訳、2015年
- Inheritance from Mother(新聞小説 母の遺産)水村美苗、ジュリエット・カーペンター訳、2017年
参考
- コトバンク
脚注
- ^ コトバンクに記載。