春日山原始林(かすがやまげんしりん)は、奈良県奈良市の市街の東方に位置する原始林で約250haの広さがある。春日大社の神域として古より狩猟や伐採が禁止され、積極的な保護により原始性を保ってきた。奈良の景観保全上においても重要な役割を果たしており、ユネスコの世界文化遺産「古都奈良の文化財」の一要素となっている[1][2]。
概要
春日山は春日大社の山として神聖視され、樹木伐採が841年(承和8年)から禁じられてきたため、森林が極相に達した原生林が広がっている。暖帯北部に属する地域であるが、暖帯南部の植物が非常に多く、繁殖もさかんである。主な樹種はナギ・ヤマモモ・シイノキ・アラカシ・ツクバネガシ・イチイガシ・カゴノキ・アオガシ・イスノキ・サカキ・クロバイなどである。林中には蔓性植物も多く、とくにカギカズラの群生が多い。このほかビナンカズラ・(ウドカズラ)・テイカカズラ・オオイタビ・(ヤマイバラ)・ゴトウヅル・フジなども多い。暖地性シダのナチシダ・(オオバノハチジョウシダ)・ヘラシダ・ウラジロなども多い[3]。また、このような暖地性の草木の中に温帯性のホオノキ・タラノキ・リョウブ・クマノミズキ・ウリハダカエデ・(シナノガキ)・(イモノキ)などの樹木が分布錯綜しており、林相的にも興味深い[3]。
市街地(奈良市)に近接して原生林が存在することは極めて珍しく、学術上の価値も高いことから1924年(大正13年)に国の天然記念物に、1955年(昭和30年)2月に特別天然記念物に指定された[3]。また春日山の照葉樹林は国の(名勝)にも指定されている。1998年(平成10年)12月には古都奈良の文化財の一部として世界遺産に登録された。
交通アクセス
周辺
脚注
外部リンク
座標: 北緯34度41分3.5秒 東経135度51分52.3秒 / 北緯34.684306度 東経135.864528度
- 奈良公園ガイド(2013年4月25日閲覧)
- 世界遺産春日山原始林と天然記念物ニホンジカの保全生態学的研究(2013年4月25日閲覧)
- 春日山原始林|春日野奈良観光(2013年4月25日閲覧)