『乳姉妹』(ちきょうだい)は、1903年(明治36年)に発表された菊池幽芳による日本の小説であり、同作を原作とし、1909年(明治42年)に吉沢商店が製作・配給したのを始めとして、1938年(昭和13年)に大都映画製作作品まで、全13回映画化された日本のサイレント映画群である[1]。
略歴・概要
小説『月魄』の初出は、菊池幽芳の勤務先が発行する『大阪毎日新聞』、および『東京日日新聞』紙上で、1903年(明治36年)8月24日 - 12月26日に掲載された。翌1904年(明治37年)、春陽堂から単行本が、前篇・後篇の2巻に分巻して刊行されている[2]
菊池本人の回想するところによれば、『己が罪』と同じく評判がよく、新派の劇団が競って演目に上げたとのことである[3]。
『己が罪』の20回には及ばないが、13回映画化された。最後に映画化された1936年(昭和11年)、すでに時代はトーキーであったが、大都映画はこれをサイレントで製作・配給した[4]ため、13作すべてがサイレント映画となった。
フィルモグラフィ
映画化の一覧。
題 | 監督 | 主演 | 製作 | 興行 | 年 |
---|---|---|---|---|---|
乳姉妹 | 撮影千葉吉蔵 | 中野信近 | 吉沢商店 | 浅草・電気館 | 1909年 |
乳姉妹 | 不明 | 不明 | M・パテー商会 | 浅草・大勝館 | 1910年 |
新乳姉妹 | 不明 | 中野信近・(藤川岩之助) | 吉沢商店 | 浅草・電気館 | 1910年 |
乳姉妹 | 不明 | 吉沢専属俳優 | 吉沢商店 | 浅草・オペラ館 | 1912年 |
乳姉妹 | 田中栄三 | 藤川三之助・五月操 | 日活向島撮影所 | 浅草・オペラ館 | 1918年 |
乳姉妹 | 田中栄三 | 中山歌子・新井淳 | 日活向島撮影所 | 浅草・三友館 | 1922年 |
乳姉妹 | 池田義臣 | 栗島すみ子・関根達発 | 松竹蒲田撮影所 | 浅草・(松竹館) | 1922年 |
幽芳集 乳姉妹 | 野村芳亭 | 岩田祐吉・五月信子 | 松竹下加茂撮影所 | 浅草・大勝館 | 1923年 |
新乳姉妹 | 島津保次郎 | (若葉照子)・筑波雪子 | 松竹蒲田撮影所 | 浅草・電気館 | 1925年 |
乳姉妹 | 松本英一 | 不明 | 帝国キネマ芦屋撮影所 | 不明 | 1927年 |
乳姉妹 | 阪田重則 | マキノ智子・松浦築枝 | マキノ・プロダクション御室撮影所 | 浅草・千代田館 | 1929年 |
乳姉妹 | 野村芳亭 | 岡田嘉子・川崎弘子 | 松竹蒲田撮影所 | 浅草・帝国館 | 1932年 |
乳姉妹 | 吉村操 | 琴糸路・佐久間妙子 | 大都映画 | 河合キネマ | 1936年 |
1918年版
『乳姉妹』(ちきょうだい)は、1918年(大正7年)製作・公開、田中栄三監督による日本のサイレント映画、女性映画である。
スタッフ・作品データ
- 監督 : 田中栄三
- 脚本 : (岩崎春禾)
- 原作 : 菊池幽芳
- 撮影 : 藤原幸三郎
- 製作 : 日活向島撮影所
- 上映時間(巻数) : 6巻
- フォーマット : 白黒映画 - (スタンダードサイズ)(1.33:1) - サイレント映画
- 初回興行 : 浅草・オペラ館
キャスト
1922年 日活版
『乳姉妹』(ちきょうだい)は、1922年(大正11年)製作・公開、田中栄三監督による日本のサイレント映画、女性映画である。田中栄三にとって2度目の映画化であるが、女性役を女形で撮った前作とは違い、本作には、女優を起用している。
スタッフ・作品データ・キャスト
1922年 松竹版
『乳姉妹』(ちきょうだい)は、1922年(大正11年)製作・公開、池田義臣監督による日本のサイレント映画、女性映画である。
スタッフ・作品データ
- 監督 : 池田義臣
- 脚本 : 伊藤大輔
- 原作 : 菊池幽芳
- 撮影 : (桑原昴)
- 製作 : 松竹蒲田撮影所
- 上映時間(巻数) : 10巻
- フォーマット : 白黒映画 - (スタンダードサイズ)(1.33:1) - サイレント映画
- 初回興行 : 浅草・(松竹館)
キャスト
1923年版
『幽芳集 乳姉妹』(ゆうほうしゅう ちきょうだい)は、1923年(大正12年)製作・公開、野村芳亭監督による日本のサイレント映画、女性映画である。オムニバス映画『(幽芳集)』の1篇として製作され、野村監督の『(幽芳集 己が罪)』および池田義信監督の『幽芳集 月魄』とともに3本立てで公開された。
スタッフ・作品データ
- 監督 : 野村芳亭
- 脚本 : (小田喬)
- 原作 : 菊池幽芳
- 撮影 : 水谷文次郎
- 製作 : 松竹下加茂撮影所
- 上映時間(巻数) : 不明(短篇)
- フォーマット : 白黒映画 - (スタンダードサイズ)(1.33:1) - サイレント映画
- 初回興行 : 浅草・大勝館
- オムニバス映画『幽芳集』の1篇
キャスト
1925年版
『新乳姉妹』(しんちきょうだい)は、1925年(大正14年)製作・公開、島津保次郎監督による日本のサイレント映画、女性映画である。
スタッフ・作品データ
- 監督 : 島津保次郎
- 脚本 : 野田高梧
- 原作 : 菊池幽芳
- 撮影 : (桑原昴)
- 製作 : 松竹蒲田撮影所
- 上映時間(巻数) : 5巻
- フォーマット : 白黒映画 - (スタンダードサイズ)(1.33:1) - サイレント映画
- 初回興行 : 浅草・電気館
キャスト
1929年版
乳姉妹 | |
---|---|
監督 | 阪田重則 |
脚本 | 都村健 |
原作 | 菊池幽芳 |
製作 | マキノ・プロダクション御室撮影所 |
出演者 | マキノ智子 松浦築枝 |
撮影 | (大森伊八) |
配給 | マキノ・プロダクション |
公開 | 1929年5月31日 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『乳姉妹』(ちきょうだい)は、1929年(昭和4年)製作・公開、阪田重則監督による日本のサイレント映画、女性映画である。
スタッフ・作品データ
- 監督 : 阪田重則
- 脚本 : 都村健
- 原作 : 菊池幽芳
- 撮影 : (大森伊八)
- 製作 : マキノ・プロダクション御室撮影所
- 上映時間(巻数) : 10巻
- フォーマット : 白黒映画 - (スタンダードサイズ)(1.33:1) - サイレント映画
- 初回興行 : 浅草・千代田館
キャスト
1932年版
『乳姉妹』(ちきょうだい)は、1932年(昭和7年)製作・公開、野村芳亭監督による日本のサイレント映画、女性映画である。
スタッフ・作品データ
- 監督 : 野村芳亭
- 脚本 : 川村花菱、(久米芳太郎)
- 原作 : 菊池幽芳
- 撮影 : (長井信一)
- 製作 : 松竹蒲田撮影所
- 上映時間(巻数) : 15巻
- フォーマット : 白黒映画 - (スタンダードサイズ)(1.33:1) - サイレント映画
- 初回興行 : 浅草・帝国館 / 新富町・新富座 / 麻布・(松竹館) / 新宿・新宿松竹館
キャスト
1936年版
『乳姉妹』(ちきょうだい)は、1936年(昭和11年)製作・公開、吉村操監督による日本のサイレント映画、女性映画である。
スタッフ・作品データ
- 監督 : 吉村操
- 脚本 : (高須二三男)
- 原作 : 菊池幽芳
- 撮影 : (松井鴻)
- 製作 : 大都映画
- 上映時間(巻数 / メートル) : 10巻 / 1,973メートル
- フォーマット : 白黒映画 - (スタンダードサイズ)(1.33:1) - サイレント映画
- 初回興行 : 浅草・河合キネマ
キャスト
ビブリオグラフィ
註
外部リンク
- Chikyôdai 1909 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1910 - IMDb(英語)
- Shin chikyôdai 1910 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1912 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1914 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1918 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1922 I - IMDb(英語) 日活
- Chikyôdai 1922 II - IMDb(英語) 松竹
- Yûhô-shû Chikyôdai - IMDb(英語)
- Shin chikyôdai 1925 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1927 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1929 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1932 - IMDb(英語)
- Chikyôdai 1936 - IMDb(英語)