平成3年台風第9号(へいせい3ねんたいふうだい9ごう、国際名:ケイトリン/Caitlin[1])は、1991年7月に発生し、九州地方を中心に強風や大雨による被害をもたらした台風である[2]。
概要
1991年7月22日3時に、フィリピンの東の海上で発生した弱い熱帯低気圧が西北西へ進み、24日には台風9号となった。台風は勢力を強めながら北北西に進み、27日21時には沖縄地方のすぐ西海上で最盛期を迎え、中心気圧940hPa、中心付近の最大風速40m/sという、中型で強い勢力となった。台風は強い勢力を保ったまま、27日から28日にかけて沖縄本島と宮古島の間を通過した後[3]、東シナ海・九州地方の西海上を北上し、五島列島の西海上から北東進して、29日15時頃に対馬を通過して日本海へと抜け、同日17時頃に山口県下関市の北西150 kmの地点に達した[4]。その後は日本海で次第に勢力が衰えて、30日21時には日本海の北部で温帯低気圧に変わった[5]。
影響・被害
この台風により、九州地方の全域と山口県が暴風と大雨に見舞われ、下関市では29日14時に最大風速18.4m/s、同日18時10分に最大瞬間風速38.4m/sをそれぞれ記録したほか、山口市では29日の最大日降水量が114.0mmに達した[4]。長崎県や佐賀県、福岡県を中心に九州では大きな災害が発生した[5]。
日本ではこの台風により、死者・行方不明者6人、負傷者39人の人的被害に加え、全壊・流失5棟、半壊・一部破損59棟、床上浸水576棟、床下浸水896棟、被害総額101億円などの被害が確認されている[2][6]。さらに、農業や漁業関係などでも被害が生じ、農業関係は、梨やリンゴなどの果実の落果、レンコンの傷果、水稲の倒伏、ビニールハウスの倒壊、塩風害などが発生した。また漁業関係では、小型底地網の流出、中間育成施設からのアワビ2万個の流出の被害があった[4]。
外部リンク
脚注
- ^ “デジタル台風:台風199109号 (CAITLIN) - 総合情報(気圧・経路図)”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年5月2日閲覧。
- ^ a b “”. web.archive.org (2019年10月20日). 2020年5月1日閲覧。
- ^ “”. web.archive.org (2019年6月7日). 2020年5月2日閲覧。
- ^ a b c “下関地方気象台”. www.jma-net.go.jp. 2020年5月2日閲覧。
- ^ a b “長崎地方気象台 環境・気候”. www.jma-net.go.jp. 2020年5月2日閲覧。
- ^ “デジタル台風:台風199109号 (CAITLIN) - 災害情報”. agora.ex.nii.ac.jp. 2020年5月2日閲覧。