巽 博一(たつみ ひろかず、1913年 - 1998年[1])は、日本の経済学者。ケインズ経済学を中心に研究した。成蹊大学名誉教授。
略歴
研究
- 当時、日本では貨幣的経済理論に関する本がかなり出版されていた。鬼頭先生の『貨幣と利子の動態――貨幣経済の性格』(1942年)、高橋先生の『貨幣的経済理論の新展開』(1941年)、などが代表的だが、ディラードの『J・M・ケインズの経済学』(1948年)も副題は「貨幣経済の理論」となっている。1934年6月22日付のケインズから鬼頭先生宛ての手紙にも、「貨幣の純粋理論とそれに関する諸問題」についての本をだすと書かれている。『雇用・利子及び貨幣の一般理論』は、リアル・ファクターとマネタリー・ファクターを扱っているが、ケインズをこれを一つのものとして考えでいたように思われる。別の言葉で言うと、『一般理論』は貨幣経済の理論の展開を意図していたのではないかと思う、と述べている。
- アメリカで所得決定論という単純な形が生まれたかというと、第1にハンセンなどが提起した長期停滞論の考え方が、終戦直後までアメリカではかなり強かったこと。第2は、例のオックスフォード調査などで、利子率に対して投資だ非弾力的だという議論が普及したこと。これらが理由なのではないかと思うが、と述べている。
- 戦後の日本ではあっという間にアメリカ流のケインズ解釈になってしまったが、当時のリーディング・エコノミストが、クラインに影響されて投資・貯蓄の所得決定論こそ核心だ、言ったことの影響は無視できない。
著書
脚注
- ^ “巽, 博一, 1913-1998”. Web NDL Authorities. 国立国会図書館 (n.d.). 2021年12月24日閲覧。