山岸 徳平（やまぎし とくへい、明治26年（1893年）11月25日 - 昭和62年（1987年）5月22日）[1]は、日本の国文学者。中古文学専攻。東京教育大学教授、実践女子大学教授、中央大学教授などを歴任。
人物
新潟県西蒲原郡（現新潟市西蒲区・旧西川町）生まれ。実践女子大学学長、教授。東京教育大学名誉教授。中古文学会初代会長。
1938年、宮内庁図書寮（のちの宮内庁書陵部）で『とはずがたり』を発見した（書籍目録では地理に分類されていたのを書名から訝しく思い、探し出したという）。
著作に『堤中納言物語評釈』、『河内本源氏物語研究序説』、日本古典文学大系『源氏物語』、『山岸徳平著作集』全五巻など。
略歴
- 大正3年（1914年） 新潟師範学校卒業
- 大正7年（1918年） 東京高等師範学校本科卒業
- 大正13年（1924年） (東京帝国大学)文学部国文科卒業、大学院入学
- 大正14年（1925年） 学習院教授
- 昭和5年（1930年） 東京文理科大学助教授、東京高等師範学校教授
- 昭和14年（1939年） 東京文理科大学教授
- 昭和24年（1949年） 東京教育大学教授
- 昭和29年（1954年） 定年退官後、実践女子大学教授
- 昭和33年（1958年） 実践女子大学二代目学長[2][3][4]
- 昭和36年（1961年） 中央大学教授
- 昭和43年（1968年） 勲二等瑞宝章受章
- 昭和62年（1987年） 心不全のため死去[5]。
著書
単著
- 『源氏物語開題 尾州家河内本』尾張徳川黎明会、1935年
- 『源氏物語研究序説 河内本』岩波書店、1936年
- 『日本精神叢書 懐風藻と日本文化』文部省教学局、1942年
- 『新日本文学史』有精堂出版、1952年
- 『説話物新釈』金子書房、1952年
- 『山岸徳平著作集』全5巻 有精堂出版、1971-73年
- 日本漢文学研究
- 和歌文学研究
- 物語随筆文学研究
- 歴史戦記物語研究
- 説話文学研究
編著・共著
- 『源氏物語研究』島津久基共著 新潮文庫、1938年
- 『平安文学研究』編 有朋堂、1948年
- 『ローマ字で引く国語新辞典』福原麟太郎共編 研究社辞書部、1952年、新装版2010年
- 『半井本保元物語と研究』高橋貞一共編著 未刊国文資料刊行会、1959年
- 『常用新辞林』高橋書店、1960年
- 『平治物語（九条家本）と研究』高橋貞一 未刊国文資料刊行会、1960年
- 『清水新国語辞典』清水書院、1961年、他に清水新漢和辞典がある
- 『日本漢文学史論考』 岩波書店、1974年
- 『日本文学研究のために』 新典社、1977年
- 『作品中心日本文学史』 新典社、1984年
校注等
- 『現代語訳国文学全集 第12巻 今昔物語集』非凡閣、1938年
- 『枕草子』校註 清少納言 東京武蔵野書院、1939年
- 『大鏡』校訂 古典文庫、1947年
- 『唐詩評解』有精堂出版、1952年
- 『堤中納言物語評解』有精堂出版、1954年
- 『平中物語・和泉式部日記・篁物語』朝日新聞社（日本古典全書）、1959年
- 『八代集全註』有精堂出版、1960年
- 『堤中納言物語』 角川文庫、1963年
- 『源氏物語』日本古典文学大系全5冊1958ー63年、全6冊 岩波文庫1965-67年、ワイド版1994年
- 『五山文学集、江戸漢詩集』岩波書店〈日本古典文学大系 89〉、1966年
- 『無名草子』訳註 角川文庫、1973年
記念論集
- 中古文学論考 山岸徳平先生をたたへる会 有精堂出版、1972年
- 日本文学の視点と諸相 山岸徳平先生記念論文集刊行会 汲古書院、1991年
栄典
エピソード
「トッペイ先生」「トッペイさん」などの愛称があり、本を探していると気軽に声をかけてくれる気さくな先生だった。
高等師範学校時代は徒歩部（今の筑波大学陸上競技部）に所属していた。先輩に金栗四三がおり、一緒にマラソン選手として数々の大会に出場した。気分転換にはマラソンをした。なお、大日本体育協会評議委員、全日本陸上競技連盟理事、全国マラソン連盟副会長でもあった。
富士山には100回以上登っている。
脚注
参考文献
- 久保木哲夫「山岸徳平先生―博覧強記の人―」『むらさき』第41輯 2004年12月