大島てる(おおしまてる)は、事故物件の情報提供ウェブサイト、およびそれを運営する日本の企業である。運営代表者の個人名としても使用する。
概要
1837年(天保8年)創業(ただし創業時は不動産とは無関係の事業を営んでいた)。現・会長の先々代から不動産関連の事業(賃貸および管理事業)に進出した。「大島てる」という社名はこの先々代の名前から取っている。事故物件情報サイト「大島てる」の開設は2005年(平成17年)である[3]。
サイト内の事故物件の定義としては、殺人事件、自殺、火災などの事件・事故で死亡者の出た物件としており、対象となる物件(宿泊施設を含む)の住所や部屋番号、元・入居者の死因を公開している[4][注 1]。
活動当初は対象地域を東京都内および近郊に設定していたが、現在は日本全国及び日本国外の一部まで広げている。 情報は無料公開しており、収益源としてはサイト内広告やユーザー投稿物件を除いたサイト内公開情報の一覧表販売などがある。
株式会社大島てるの関連会社として大島ぬい事務所があり、船舶の売買を行っている(「株式会社大島てる」の現・会長であり海事代理士でもある大島てる(本名・大島 学)が兼務)。なお「大島ぬい」とは1837年(天保8年)における創業者の名前に由来する[3]。
活動の手法
常勤社員は情報(発信)を担うIT専門職と情報収集を担う営業職により運営され、常設の事務所はなく、多数の協力者やボランティアに支えられている[3]。
情報収集の手法としては、他殺の場合は新聞等のメディアで事件情報を収集、裁判を傍聴し、起訴状の公訴事実により、住所等を特定し、現地での聴きこみにより、裏付けを取る。自殺の場合は調査が難しい事から、サイト利用者等、外部からの情報提供により、独自取材を行なっている[5]。
会長のプロフィール
「広報官」[3]を自称する代表取締役会長の大島てる(本名・大島 学)は、1978年(昭和53年3月16日)生まれ[6]。東京都出身。大学教授の父親を持ち、アメリカとオーストラリアで3歳から7歳までを過ごす[7]。小学校六年生の時、母が病死し、祖母に育てられる[7]。1996年(平成8年)巣鴨高校卒業[8]、駿台予備校で1年間の浪人生活を送り、東京大学経済学部卒業・コロンビア大学大学院(中退)[9]。 留学中に同時多発テロ事件が発生し、「当時から野次馬でしたから現場に駆けつけました。倒壊現場では、立ち込めるホコリを吸い込んで、ずいぶん咳き込みました」という[7]。
部屋で死体遺棄事件があったと「大島てる」に掲載された横浜市内のマンション地権者から「掲載内容は事実無根で名誉毀損にあたる」と横浜地方裁判所に民事提訴され、ウェブサイトからの当該情報の削除や謝罪広告等を求められた事もあるが、被告は代理人弁護士を付けない「本人訴訟」で勝訴した[10][11]。判決確定後、原告のマンション地権者から「50万円払うから、情報を削除してくれ」と要求されたが「内容が誤っているという指摘であれば、もちろん訂正するが、それ以外には応じない」との理由で断った[2]。
事業内容の一つに「落選運動」を掲げていたが、「一応そう書いているだけです。仕事として成り立っているわけではない。」と説明し、この業務は休止すると発言した[12]。
メディア出演等
テレビ
脚注
注釈
出典
- ^ 平成22年(ワ)第1336号 損害賠償等請求事件 判決文 []
- ^ a b c 森史之助 (2012, p. 68)
- ^ a b c d 古田雄介 (2010年12月21日). “まるで不動産版ウィキリークス!「大島てる」の正体は?”. ASCII.jp (東京都千代田区富士見1丁目8番19号 角川第3本社ビル: アスキー・メディアワークス) - 2020年(令和2年)11月21日閲覧
- ^ “自殺や他殺などがあった物件マップがすごい! 都内は事故物件だらけ!”. ガジェット通信 (東京都渋谷区代々木2丁目16番1号 宮坂甲斐路ビル 5階: 東京産業新聞社). (2009年9月21日) - 2020年(令和2年)11月21日閲覧
- ^ 佐藤裕一 (2009年10月25日). “不動産の事故物件情報サイト「大島てる」運営者に聞く”. My News Japan (東京都新宿区新宿1丁目9番4号) - 2020年(令和2年)11月21日閲覧
- ^ 森史之助 (2012, p. 62)
- ^ a b c 事故物件サイトを作った男の譲れない使命感 - 東洋経済オンライン
- ^ 『文藝春秋』2018年(平成30年)3月特別号「同級生交歓」
- ^ “「私を訴えてくる大家の方が幽霊より怖い」 東大卒・大島てるの"事故物件人生"(2017年(平成29年)9月15日 02時00分)”. AbemaTIMES (2017年9月15日). 2020年11月21日閲覧。
- ^ “”. 2014年12月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月21日閲覧。
- ^ 森史之助 (2012, p. 67)
- ^ 森史之助 (2012, pp. 68–69)
参考文献
関連項目
- 都市再生機構 - 事故物件を特別募集住宅という名称で販売。
外部リンク
- 公式ウェブサイト (日本語)
- 事故物件公示サイト 大島てる 公式ブログ - Ameba Blog (日本語)(2017年3月30日 21時26分00秒 - )