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商業高等学校

(Category:高等学校) > (Category:日本の高等学校) > (Category:日本の専門学科設置高等学校) > (Category:日本の商業に関する学科設置高等学校) > 商業高等学校

商業高等学校(しょうぎょうこうとうがっこう、Commercial high school)とは、日本の主に経済ビジネスなどの知識を習得することを目的とする高等学校。狭義には「(商業に関する学科)」(商業科)を中心に学科が構成されている専門学科ないし専門高等学校を指し、広義には「商業に関する学科」や「商業の課程」が設置されている高等学校全般を指す。

概要

商業高校は、経済を含めた社会科学系や情報系に関する教育課程を編成している。平成21年告示された文部科学省高等学校学習指導要領は、令和になり、大幅な改訂がなされている。商業高等学校の授業科目において、2/3は普通科目の授業で、1/3が商業科目である。そして商業科目の教育内容は簿記教育を中心とし、その教育水準は、一般大学における経済学部・商学部・経営学部などのカリキュラムと同水準である。今回の改定については、2022年度入学の高校1年生からが対象となる。文部科学省高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説商業編において、商業科の目標について「商業の見方・考え方を働かせ,実践的・体験的な学習活動を行うことなどを通して, ビジネスを通じ,地域産業をはじめ経済社会の健全で持続的な発展を担う職業人として 必要な資質・能力を次のとおり育成する。」としている。そして、文部科学省高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説商業編において、「総合実践」は平成時代の教育よりも現実社会に即した授業となり、たとえば「コンピュータを活用して経営のシミュレーションなどを行う学習活動,株式会社の設立や証券投資に関する学習活動,法人税の申告と納付,消費税の申告と納付,所得税の源泉徴収・納付・年末調整, 住民税の特別徴収・納付など税の手続及び社会保険の手続に関する学習活動,金融機関 における業務を想定した個人資産の運用やコーポレート・ファイナンスに関する学習活動」等を想定明記している。2022年4月からの成年年齢引下げに伴い、2022年4月からの高校学習指導要領改訂が行われ、金融庁が金融教育の拡充を進める目的で令和4年3月17日に高等学校向けに発表した「金融経済教育教材」も教材として使用されるようになった。文部科学省高等学校学習指導要領(平成 30 年告示)解説商業編において、商業科が育成を目指す職業人としては,「例えば,流通業,金融業等を担う人材,製造業,サービス業等様々な業種における販売,仕入,営業,マーケティング,企画,人事,経理,原価管理,情報等の部門に関わる職の担当者などが挙げられる。さらに,商業の学びを継続するなどして公認会計士,税理士,中小企業診断士, 社会保険労務士,ファイナンシャル・プランナー,旅行業務取扱管理者等の資格職に就くこと及び商業の学びを基盤として経験を積み管理的立場の職に就くことも目指している。このほかにも,商業の学びは汎用性の高いものであることから,それを生かすことができる業種や職種には様々なものが考えられる。」としている。教育活動の対象となる専門分野には、さまざまなものがある。例えば経済を主とするものや、情報系、外国語系と多岐に渡る。主に国際経済などの社会科学の知識を身につける他、高校の教科は勿論のこと、資格取得を目指す高校が多いのが特徴で、取得した知識や資格など普通科との差別化を図り、生徒はそれを大学進学などの進路に利用している。特に大学進学に関しては、高い合格率を持つ高校も多く、普通科よりも高い合格率があり、現役大学合格率100%を自負する高校も多い。そのため難関大学に多数の合格数を出している高校もある。さらには一般入試で合格する生徒も増えているのも特徴である。資格取得を目指す高校が多い理由として、商業教育史においては、1873年(明治6年)6月に福澤諭吉が日本初の簿記書である『帳合之法』初編を慶應義塾出版局から出版し簿記講習所を設立して以降、日本国内における創成期の商業学校は、福澤諭吉が設立に関わった商法講習所(現・一橋大学)、三菱商業学校慶應義塾分校)、慶應義塾出身者が歴代所長をしてきた大阪商業講習所(現・大阪公立大学)が設立され簿記教育が奨励されてきた。『帳合之法』は日本全国の簿記教育で用いられる教科書となる。

2月10日「簿記の日」

2月10日は簿記の日。制定したのは全国経理教育協会です。
この日は、日本の簿記のバイブルと言われている「帳合之法」という本が発行された日です。
その本は、アメリカで簿記の教科書として広く使われていた本を、福澤諭吉が翻訳したモノです。

— BS朝日 週刊記念日

そして、日本全国で簿記の普及に係る者の多くが福澤諭吉の薫陶を受けた慶應義塾出身であった[1]。福澤諭吉は1873年11月6日付の初代滋賀県令松田道之宛の書翰にて「日本国中一ヶ所にても真の帳合法を用ひ度、私の素願に御座候」と述べている[注 1]。滋賀県では後に近江商人の士官学校と称される滋賀県立八幡商業高等学校が生まれる。商業高等学校における在学中一貫した簿記教育(資格取得)を重視する流れは明治期以降の商業教育の伝統による。令和3年5月現在、日本全国で商業学科を設置する学校数のべ599校、商業学科生徒数171,088人、総合学科を設置する学校数のべ381校、総合学科生徒数163,539人[2]が、日々、福澤諭吉の『帳合之法』以来の簿記教育を受けている。福澤諭吉は慶應義塾の目的として「我日本国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらん」と掲げ、福澤諭吉は門下生に対してこの目的を「恰も遺言の如くにして之を諸君に嘱託するものなり」とした[3]。それゆえ、商業教育にかかわる福澤諭吉の門下生は全国の商業学校で礼法等を重んじた。幕末から明治を迎え、士族の子弟が商業学校で学び、商業道徳、士魂商才を育んだ。今日においても、商業高等学校の生徒指導は普通科に比べて、厳格であり、頭髪、服装、所作に気品を求める。商業科目は実学を重視し、福澤諭吉は『帳合之法』と同時期に出版した『学問のすゝめ』の書中で「もっぱら勤むべきは人間普通日用に近き実学なり。譬えば、いろは四十七文字を習い、手紙の文言、帳合いの仕方、算盤の稽古、天秤の取扱い等を心得」とした(『福澤諭吉著作集 第3巻 学問のすゝめ』西川俊作 慶応義塾大学出版会)。現実の生活に役に立つ学問をまずは身につけることを奨励している。商業高等学校へ進学する大きなメリットとして、商業分野に関する専門教育を早期に受講できる点である。

商業高校や情報高校、商業科・情報科を置いている高校のほとんどが、財団法人 全国商業高等学校協会(全商協会)の会員校となっていることが特徴となっている。各種検定や競技大会は全国商業高等学校協会が主催となっているものが多い。商業に関する学術団体については、1951年4月21日、日本商業学会が慶應義塾大学教授向井鹿松を初代会長として設立された[4]

主な商業高等学校

高校名 備考
兵庫県立神戸商業高等学校 日本最古の歴史を有する商業高等学校。福沢諭吉の支援の下、甲斐織衛(慶應義塾出身)を校長として設立された神戸商業講習所を源流とする。
横浜市立横浜商業高等学校 日本で2番目に歴史が古い商業高等学校。神奈川県の公立高校として最古の歴史を有する。明治15(1882年)設立の横浜商法学校が源流である。横浜商法学校設立発起人である馬越恭平が福沢諭吉に三菱商業学校教員美澤進(慶應義塾出身,当時32歳)の招聘を依願し、美澤進が初代校長として41年間勤める。教員は福澤門下が占める。
新潟県立新潟商業高等学校 日本で3番目に歴史が古い商業高等学校。1883年11月18日設立の北越興商会付属新潟商業学校が源流である。尾崎行雄(慶應義塾中退)が主唱した北越商会は後の新潟商工会議所の母体となる。初代校長斉藤軍八郎は後に神戸商業学校(現・兵庫県立神戸商業高等学校)、大阪商業学校(現・大阪府立大阪ビジネスフロンティア高等学校)等勤務を経て下関商業学校(現・下関市立下関商業高等学校)校長となる。
岡山県立岡山東商業高等学校 1880年10月に設立された岡山商法講習所を源流とする。岡山商法講習所の初代所長箕浦勝人(慶應義塾出身)は、近隣県にある神戸商業講習所と兼務した。初代教頭は山本達雄_(政治家)(慶應義塾と三菱商業学校出身、後に43歳で日本銀行総裁となる)が勤める。山本達雄は教頭の後、大阪商業講習所の教頭となった。1882年3月、岡山県商法学校と改称し、1883年3月廃校した。1898年(明治31年)、岡山県商業学校として新たに新設された岡山県を代表する商業高等学校である。
下関市立下関商業高等学校 明治17(1884年)9月に設立された赤間関商法講習所が源流である。赤間関商法講習所は交詢社社員関谷禎造らにより神戸商業講習所に倣って設立された。初代所長は福澤諭吉の従兄弟中村英吉(慶應義塾出身)である。中国地方・四国地方・九州地方・沖縄において、最も古い歴史を有する商業高等学校である。

日本全国はもとより、特に、関西以西の商業教育は京都慶應義塾、大阪慶應義塾、徳島慶應義塾等福澤門下が多数商業教育に従事してきた[5][注 2]。なお、関西圏では、桐原捨三(慶應義塾出身)を校長として設立された大阪商業講習所(現大阪公立大学)を源流とする大阪市立天王寺商業高等学校が統廃合され、商業高等学校の名称が外れ大阪府立大阪ビジネスフロンティア高等学校となった。大阪府立大阪ビジネスフロンティア高等学校は大阪公立大学と教育面での提携等をしている。関東圏では、東京都立商業高等学校が実業学校系のナンバースクール_(旧制中等教育学校・新制高校)の伝統を有する。事例として東京都立第五商業高等学校一橋大学と教育面での提携等をしている。

東京の事例

  • 明治期。私学を中心として、商業学校_(近代期) が相次いで設立される[6]。多くの商業学校は第二次世界大戦後に今の商業高等学校の源流となる。事例としては、東京専門学校_(旧制) (後の早稲田大学)創立委員である矢野龍渓(慶應義塾出身)は錦城商業学校(錦城商業高等学校の母体)を設立する。
  • 大正期。公教育として、東京府立商業学校(東京都立第一商業高等学校、天下の一商)を筆頭とする実業学校系のナンバースクール_(旧制中等教育学校・新制高校)や東京市立京橋商業學校(東京都立芝商業高等学校)等が設立される。
  • 昭和期。商業高等学校の人気が最盛期を迎える。三大義塾の一つである攻玉社も、昭和期に商業学校(のちに、攻玉社商業高等学校の母体)を有していた。
  • 平成期。平成後期には、商業高等学校の人気に陰りがでる。商業高等学校が縮小していく。事例としては、東京府立第二商業学校を源流とする実業学校系のナンバースクール_(旧制中等教育学校・新制高校)である東京都立第二商業高等学校が閉校される。また、東京都立牛込商業高等学校と東京都立池袋商業高等学校は統合し、東京都立千早高等学校が誕生した。東京都教育委員会[注 3]は平成30年7月に商業教育コンソーシアム東京を設置した。高校生版ビジネススクール「東京プランニング・ラボ」(会場:東京都立第四商業高等学校。都立商業高校各校から選抜された生徒が集合し学習する)が始まる。
  • 令和。令和の現在、商業高等学校の教育内容は刷新された。社会人として役に立つ商業教育(実学)が行われている。職業教育・就職指導が格段に充実している。事例として、東京都立千早高等学校は「役立つビジネス教育」を唱え、ビジネス科目学術アドバイザーとして税務大学校講師[注 4]を招聘している。東京をはじめとする全国各地の商業高校では、優秀な商業高校の生徒のために、職業教育(英才教育)の一環として税務署へのインターンシップが行われている[注 5]。そして、学習面の充実にとどまらず、例えば東京都立第三商業高等学校ではホテルオークラ東京ベイでテーブルマナー講習を行う等、生徒が社会人としての立ち居振る舞い・品格・気品を備えるように行き届いた教育が行われている。東京都立葛飾商業高等学校経済産業省中小企業庁起業家教育支援事業に参加している。東京都教育委員会による学力向上研究校(外部人材を活用することにより、個に応じた学習支援の充実)、習熟度別授業の実施、アクティブ・ラーニング推進、EdTech導入(経済産業省)、RESAS de 地域探究実践校(内閣府)、学習支援クラウドサービス(Classi)の利活用、TOKYO GLOBAL GATEWAYでの体験型英語学習への参加、専門高校海外派遣(東京都教育委員会)の事業開始等が挙げられる。また、大学レベルの第二外国語教育等も開講されるようになってきた[注 6]。都立第五商業高校は中国語、韓国語、フランス語を開講している。千早高校はベトナムのベトナム経済法科大学と姉妹校締結をしている。このように、都立商業高校へは優秀な教職員を配置し、極めて質の高い教育が行われている。

校章

校章は各校が自由に定めている。ローマ神話の商業・学術などの神メルクリウスMercurius)を用いた校章は、東京高等商業学校(1887年・現一橋大学)が名高い。また「士魂商才」からを校章にする商業高校も多い。

  • 明治期。各地で創立された商業学校_(近代期) (私学では慶應義塾商工学校等)の校章等にさまざまに図案化され、全国へ普及している。
  • 昭和期。伝統ある商業学校が商業高校となった際には商業学校の校章をそのまま継承することがある。もっとも、時代により、学校の統合などの影響を受け、校章が変遷していくことは常である。

おもな設置学科

多くの商業高等学校で設置されている学科には、次のようなものがある。概ね「商業に関する学科」であるが、「#情報処理系」や「#国際経済・商業系」の一部に例外がある。なお、「商業に関する学科」の詳細については「(商業 (教科)#商業に関する学科)」を参照。また統合により消滅した学科もあるため、主な学科のみを列挙する。

総合系

情報処理系

  • 情報科(「(情報に関する学科)」として教育課程が編成されている場合[注 7]がある)
  • (情報会計科)
  • 情報処理科
  • (情報管理科)
  • (情報利用技術科)
  • 経営情報科
  • (情報ビジネス科)
  • (ビジネス情報技術科)
  • (情報システム科)
  • (オフィス情報科)
  • (情報デザイン科)
  • (情報経営科)
  • (情報進学科)
  • (マルチメディア科)
  • 情報科学科
  • (総合情報ビジネス科)
  • (情報コミュニケーション科)
  • 情報数理科

国際経済系

流通系

  • (流通経済科)
  • (生産流通科)
  • (流通会計科)
  • (国際流通科)
  • (情報流通科)
  • (流通サービス科)

会計系

  • 会計科
  • (会計ビジネス科)
  • (会計OA科)
  • ビジネス会計科
  • (情報会計科)
  • (OA経理科)
  • (情報事務科)
  • (会計システム科)
  • (事務情報科)
  • (マネジメント会計科)

その他特殊な学科

  • (単位制商業科)
  • 社会科学科
  • (OA秘書科)
  • (国際観光科)
  • (生活情報科)
  • (国際リゾート科)
  • (商業家庭科)
  • (企画科)
  • (グローバルビジネス科)

資格

工業高校と同様に資格の取得に力を入れている学校が多い。全国商業高等学校協会(全商)主催の検定試験の他、日本商工会議所(日商)の認定試験や情報処理関係の国家試験を生徒に受験させている高校もある。これらの資格が就職活動大学受験(主に推薦入試AO入試)の際にアピールポイントになることも多い。さらに学習の習熟が進んだ者は(国税審議会)[注 9]が行う国家試験である税理士試験公認会計士・監査審査会が行う国家試験である公認会計士試験を受験している。高い見識と卓越した教育力に基づいた会計教育を全国展開しているプロジェクトとして高崎商科大学と日本商業教育振興会による高大連携事業“Haul-A プロジェクト”が広く知れ渡っている。

文部科学省高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説商業編において「商業の学習分野と関連する主な職業資格としては,マーケティング分野については,観光ビジネスに関連するものとしての 旅行業務取扱管理者に関する資格,マネジメント分野については,中小企業診断士社会保険労務士などに関する資格やファイナンシャル・プランナーに関する試験,会計分野については,公認会計士税理士に関する資格,ビジネス情報分野については,情報処理技術者に関する国家試験」などが目標として挙げられている。沖縄県立那覇商業高等学校等では資格検定の取得を単位の修得に認めている。伝統校には部活動の一つに簿記部があり、全国簿記競技大会出場等を目指し活動をしている。

商業高校の生徒に人気の高い資格の例を以下に示す。

簿記会計関係
情報処理関係
ビジネス・経済関係
教養系

進路

就職

税務職員

商業高等学校在学中、簿記部や簿記検定試験等で簿記を身に付けた者の進路としては、税務職員採用試験を経て、税務大学校で学び、国税庁職員となることが最上位の就職先としてあげられる。税務職員採用者は、国税局や税務署において、税のスペシャリストとして法律・経済・会計等の専門知識を駆使し、国税調査官、国税徴収官、国税査察官といった職種に分かれて活躍している。税務職員は国税庁内の本科研修生選抜試験を合格し、研修を修了した場合には、大卒程度(国税専門官)と同等の処遇となる。それ以降の昇進に差異はない。従って、税務職員が就職先として人気の理由は、学歴による差別を受けない能力主義の職場だからである。また、税務大学校での教育内容は商業高校に設置される商業に関する学科の学習範囲と重なる。今日、多くの商業高等学校卒業生が税務大学校で優秀な成績を修め、国税庁幹部として立身出世している。

事例として、横浜市立横浜商業高等学校を挙げる。

国税庁に就職したOB、OGは、入庁後の研修で学ぶ簿記や会計の知識を在校中に既に学んでいることから、毎年のように、新入職員の中でトップクラスの成績を収めています。 — 横浜市立横浜商業高等学校[7]

大卒となりたい場合には、税務職員として働きながら、夜学、或いは放送大学等の通信教育課程を卒業し、大卒となる。事例としては、慶應義塾大学通信教育課程に関し、卒業生に国税局長等の主要幹部を輩出している。慶應の校友会としては大蔵国税三田会がある。

商業高校の生徒は、商業の学びを継続するなどして、公認会計士の職に就くことも目指せる。公認会計士資格取得のためには、「公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律」(令和4年法律第41号。令和4年5月18日公布)における実務経験(業務補助等)が求められる。

Q5国又は地方公共団体の機関における実務従事の具体例を教えて下さい。

A5これまで、国又は地方公共団体の機関における実務従事として業務補助等報告書の提出があった業務の実例としては、(1)国税局における税務調査の業務、(2)県庁における市町村の財務監査や地方交付税に関する検査の業務、(3)市役所における地方公営企業に係る決算書類作成業務や財務諸表の分析に関する業務等があります。 —  公認会計士の資格取得に関するQ&A 金融庁[8] 

仮に、大企業に入社できたとしても、東大慶應等の有名大卒者との競争の中で、人事配属先として、公認会計士の資格取得のために認められる業務(株式公開準備に関する業務等)へ配属されるかなどは不透明である。また、地方公務員になったとして、都道府県・市区町村において公認会計士の資格取得のために認められる業務への配属も確実性が乏しい。 この点、監査法人入所以外の手段として一番確実な選択として、税務職員採用後、国税局での税務調査に従事することである。そして、商業高校を卒業することは国税庁幹部への登竜門でもある。

公務員

職種としては、国家一般職、裁判所一般職、都道府県職、市区町村職、自衛官、消防官、海上保安官、刑務官、警察官、警察事務職等が挙げられる。商業高校での商業科目の学習経験(法的素養・財務会計の素地、人事労務論、経営理論等)がいずれの職種においても人の上に立つ指導者としての組織管理能力に直結している。また、行政庁の組織内での昇任選考(昇任試験)で出題される基礎的知識(法令等)は商業科目で学ぶことである。それゆえ、組織内で管理職として昇進するうえで大きな土台となっている。事例として、自衛隊について、会計科 (陸上自衛隊)への配属は商業高校卒業し簿記一級や税理士試験科目合格等を有すると大いに考慮される。

大学への進学

概要

  • 国家公務員共済組合連合会(KKR)では国家公務員共済組合員向けのサービスとして放送大学へ進学すると学費割引をしている。商業高校卒業後、国家公務員をしながら大卒を目指す勤労学生に有利となっている。
  • 大学入学共通テストから「簿記・会計」の出題が、2024年を最後になくなる。総合型選抜による入学者の増加により、大学受験勉強の必要性が低減されているといえる。
  • 現代社会では、テレワークなどで在宅勤務が定着している。コロナ禍でも自由にオンラインで大学の授業を受けることができる遠隔教育(通信教育)の学生からの評価と学習効果は顕著である。

夜学

商業高校は地域で活躍する職業人を育成する専門高校である。卒業後すぐに就職をする生徒がいる。したがって、商業高校では社会で役立つ実学を商業科目として講義している。長引く不況下、大学の学費だけは高騰化が著しい。昼間の通学制の大学へ通える家庭の財力がある者だけではない。ヤングケアラー等、様々な事情を抱えながら生活のために働かざるをえない商業高校生徒もいる。そのため、昔から向学心を持ち、昼間は働きながら夜は大学(二部)へ通う勤労学生も多かった。本項目では、勤労学生について取り上げる。

東京の事例
  • 昭和期。大手町の金融機関や霞が関の官公庁へ勤務する国家公務員となった商業高校卒業生等を対象として、私立大学の夜間(二部)がある。早稲田大学は明治時代から通信教育を積極的に行い、夜間教育に関しても、主に通学圏内の商業高校卒業生等へ勉学の機会を提供していた。慶應義塾大学は、昭和期には既に通信教育課程を擁して全国展開をしていた。なお、慶應義塾は明治期に慶應義塾夜間法律科を擁していたが、後に慶應義塾夜間法律科を母体として専修大学が誕生した。MARCH_(学校)日東駒専等も夜学と通信教育課程等を開学していた。
  • 平成~令和。多くの私立大学が夜間(二部)をやめる。そのため、かつて明治大学や青山学院大学等の夜学へ通っていた勤労学生層(商業高校卒業生等)は放送大学、早慶等の通信制大学へ進学するようになる。一般論として、夜学や放送大学等へ進学するならば、学費、教育の質、生涯獲得賃金等の面からたいへん有利である。

通学制

通常、各校には指定校推薦の定員が用意されており、この制度を利用して大学へ進学する生徒もいる。各校は大学が自校に対して定員を設けるよう、私立大学に依頼したりして、私立大学との関係を強化したりするなどのことを行っている。一般入試で商業高校の生徒に対する優遇制度を実施している私立大学もある。全国の簿記を学ぶ商業高等学校生徒にとっての会計学の最高学府は、福澤諭吉が創立した慶應義塾大学経済学部および商学部である。優秀な商業高校生は商業高校で学んだ会計学を慶應義塾大学等で更に学び公認会計士を目指す。

国語、英語などを必須とし、選択科目から専門科目を選んでの受験が認めている大学もある。また専門学科優遇制度を設けている大学もある。

商業高校に用意される指定校推薦の定員は、主に私立の商学部経済学部経営学部法学部社会学部といった社会科学系統の学部及び学科が多い。また公募推薦やAO入試による受験・一般入試を受験するなど、過去の様に「商業高校卒業=即就職」という状況ではなく、過去の蓄積から「就職にも強く」、進学に十分に対応して学校が増加している。 また、進学における分野も社会科学系統に拘らず、本人の希望に応じ様々な分野に進学している。

なお近年では商業高校の大幅な見直しと合併が行われ、大学の様々な分野に対応ができる高校が増えており、さらに独学などで一般入試を受けて大学へ進学する生徒がいる。特に英語や国語などに力を入れており、国際化に対応できる人材を育成するための高校が増えてきているのが特徴である。東京都では東京都立千早高等学校を第1号として設置が行われた。 さらに、香川県立高松商業高等学校では数学と情報、経済に力を入れている情報数理科が新設された。数学に力を入れ、理系大学への合格を目指す新型の学科として設置された。 また、近年新型の商業高校を設置することが多くなっており、兵庫県では新たな新商業高校の設置を計画している。[9] 大阪府でも大阪市立大阪ビジネスフロンティア高等学校のように合併が進んでいるのも事実であり、新分野の商業高校の設置が進んでいる。

なお大学進学率は00年から2倍に増加し、20%に急上昇した。一般入試で理系に進学する人も増加しており、今後進学率は高まるとされている。[10]

2013年に東京都において専門学科のアンケートが行われ、2014年から本格的に再編に動き始める予定がなされている。進学率の上昇や、より求められる国際人としての能力を高めるためなどの背景にあるとされている。さらに進学においての姿勢について研究を行っている。

また科目も2013年からマクロ経済学Javaなどの大学や専門学校で習う内容を学習するようになり、大幅な改定が行われた。また2012年現在の大学進学率は26%と2000年から2.5倍に増加している。 さらには英語などの授業も進学向けの科目が用意され始めるなどと進学に向けて動き出している。以前よりも英語などの教科などが重要になっている。元々通常の専門学科とは違い、外国語の科目を増設することが認められているため、外国語に力を入れている高校も目立ちつつある。教育方針でも国際的、英語やITを重要視する高校もある。

通信制

高等学校卒業後、働きながら大学を卒業する場合は通信教育課程が有利である。学費は通学制大学の数分の一に抑えることができる。たとえば、慶應義塾大学通信教育課程は最短4年で卒業した場合、学費総額860,000円で済む計算となる。当然、慶應義塾大学内でも通学制の学生は通信制の学生の数倍の学費がかかる。通信教育課程へ進学することのメリットは多大な奨学金などの学生ローンを背負うことなく、働きながら進学できる点にある。商業高等学校生徒に人気の通信制大学は放送大学や春秋に書類審査のみで入学できる慶應義塾大学通信教育課程(入学定員文学部3,000名、経済学部4,000名、法学部2,000名)[11]等があげられる。特に、放送大学は高校生が入学する場合、満15歳以上であれば、誰でも選科履修生・科目履修生として入学することができる。したがって、商業高等学校へ入学した後、放送大学学生となり、簿記等の科目の単位習得することが望ましい[12]。通信制大学への進学の際、放送大学の単位習得の状況等を入試時の志望理由書などに学習経験の一端として記載すると書類審査の対象となる。大学によっては編入学等による進学後の単位認定もされる。商業高等学校卒業までに日商簿記2級を取得することが望ましい。大学の通信教育課程(慶應義塾大学通信教育課程経済学部等)で会計学を学ぶ場合、商業高校に設置される商業に関する学科の学習範囲と重なる。会計学、簿記論、原価計算などの科目試験の単位認定レベルは日商簿記2級を想定している。したがって、普通科高校の学生が通信制大学を中退することの原因の多くが日商簿記2級をそもそも習得できないことで挫折する点に対して、商業高等学校の生徒は容易に卒業をしていくこととなる。

社会との関わり

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ なお松田は明六社の社員でもあり、福澤と親交があった。慶應義塾(編纂)『福澤諭吉全集 第17巻』1961年、158頁
  2. ^ 関西圏の伝統校では戦前の商業学校時代から、学年末考査(学年末試験)が行われる年明けは、十日戎(商売繁盛の神、えべっさん)の福笹や雪池忌(福澤諭吉の命日)の時期であり、学業成績が悪い生徒は単位取得の願掛けをしていた。
  3. ^ 東京都教育委員会(令和4年4月1日現在)
    氏名 備考
    教育長 浜佳葉子 慶應義塾大学経済学部卒業。都水道局長
    委員 山口香 筑波大学体育専門学群卒業。日本学術会議会員
    委員 秋山千枝子 福岡大学医学部卒業。公益社団法人日本小児保健協会会長
    委員 北村友人 慶應義塾大学文学部卒業。日本学術会議連携会員
    委員 新井紀子 一橋大学法学部卒業。国立大学法人総合研究大学院大学複合科学研究科情報学専攻教授
    委員 宮原京子 英国レディング大学 欧州研究専攻 文学修士修了 デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議委員
  4. ^ 冨塚嘉一博士
  5. ^ 都立第五商業高校は立川税務署
  6. ^ 総務省では、地方公共団体における「多文化共生の推進に係る指針・計画」の策定に資するため、「地域における多文化共生推進プラン」を策定している。日本全国の商業高校は地域で活躍する職業人を育成する専門高校であり、商業高校の卒業生は地域経済のリーダーとなる。そのため、商業高校では大学レベルの教育等を行っている。一般的な普通科高校の学生よりも期待されている。
  7. ^ 長崎県立諫早商業高等学校など。
  8. ^ 新潟県立新潟商業高等学校新潟県立三条商業高等学校三重県立松阪商業高等学校など。
  9. ^ 国税審議会委員名簿 令和5年3月15日現在
    役職 氏名 現職
    会長 佐藤英明_(法学者) 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
    会長代理 土居丈朗 慶應義塾大学経済学部教授
  10. ^
    同校には、税理士や公認会計士を目指す生徒が多く、……寸劇では、税務署職員が脱税を試みるスーパーの社長役を演じ、生徒が国税調査官役を務めた。売り上げを過少申告したり、休業店舗の名義で架空請求書を作ったりする社長役。国税調査官役の生徒らは、帳簿とレジごとの売上金額を確認するなどして脱税の実態を調べ、納税を促していた。 — 「大津商で税務教室 寸劇で脱税者を説得」朝日新聞デジタル 2021年12月23日
  11. ^ 全国商業高校Webアプリコンテスト実行委員会“「商業科目」を有する全国の高等学校を対象にして、高校生が社会や身の回りの課題解決につながるWebアプリケーションを制作し発表を行うコンテストです。”

出典

  1. ^ 友岡賛『日本会計史』慶應義塾大学出版会株式会社2018年、50頁
  2. ^ 文部科学省「学校基本統計(学校基本調査報告書)」高等学校学科別生徒数
  3. ^ 明治29年(1896)11月1日、芝紅葉館で行われた慶應義塾旧友会での演説。「慶應義塾は単に一所の学塾として自から甘んずるを得ず。其目的は我日本国中に於ける気品の泉源、智徳の模範たらんことを期し、之を実際にしては居家、処世、立国の本旨を明にして、之を口に言ふのみにあらず、躬行実践、以て全社会の先導者たらんことを欲するものなり」
  4. ^ “学会HP”. 日本商業学会. 2022年1月23日閲覧。 個人会員1,072名,賛助会員11社・団体,購読会員32件 (2019年7月現在)
  5. ^ 山内慶太「福沢諭吉門下生による会計教育の全国展開」『企業会計』第68巻第3号、2016年、35‐37頁
  6. ^ 参考:慶應義塾百年史付錄等
  7. ^ 日本商工会議所 簿記坂(参照2022.9.17)
  8. ^ https://www.fsa.go.jp/ordinary/kouninkaikeisi/ 公認会計士の資格取得に関するQ&A 金融庁 令和4年7月6日
  9. ^ http://www.city.kobe.lg.jp/information/committee/education/preservation/commerce/img/01-siryo.pdf
  10. ^ http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20120208-OYT8T00152.htm
  11. ^ https://www.tsushin.keio.ac.jp/
  12. ^ https://www.ouj.ac.jp/about/certification-evaluation/

関連項目

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